家出は過去へ 1-2
次の話が書き終わるまでかなり遅くなってごめんなさい!
この話を少しで多くの人に楽しんで読んで頂ければ幸いです。
俺は香織ちゃんと話して判ったのは、俺の未来の子供かもしれないって事だった。
かもしれないって言うのは、未来から来たって話があんまり理解出来ていないからでもあるけど。
俺は香織ちゃんの話に色々と納得出来ない所もあったけど、分った事にして昨日は終えたんだよな。
当然と言えば当然だが、まだ疑問は残っていたので、
色々聞きたい事を明日に聞かせてもらうって事でお互いに寝る事にしたんだよ。
香織ちゃんも俺に色々と聞きたそうにしていたし、色々と話したそうだった。
だからこそ、次の日にお話しをしようって事を約束して香織ちゃんを寝かしつけたんだ。
また、次の日に話を改めてしたかった理由は色々とあるんだ。
突飛よしもな話しが行き成り出てきた事で素直に話しを受け止める事が出来なかった事が一つ目だ。
二つ目は頭が混乱して理解が追いついていかないのと、言われた事を整理したかったのがある為だった。
そして三つ目は夜遅くまで子供を起こして、無理をさせてまで話を聞くべきではないだろうと云う思いがあったからだ。
それに、香織ちゃんが眠気を我慢するために目を擦りながら話をしている事もある。
最後の理由として、次の日の授業が朝の早くからある為にもうそろそろ寝ないと不味かったからでもある。
そして、次の日を迎えた訳だけど色々と新鮮だった。
朝起きたら隣で誰かが寝ているって現実が俺にとってはとても新鮮だったが、
小さな女の子が同じ布団で一緒に寝ていた現実を朝っぱらから経験するのは些か心臓に悪かった。
昨日まで俺は一人だったのに……今隣には6歳の女の子が同じ布団に寝ている光景は、本来なら微笑ましい筈なんだけどな。
本当の親子ならって話だけどさ。
でも傍から見たら俺がこの子を連れ去って一緒に寝る事を強要している変態さんにしか周りには映らないだろうな……
そんな状況が、俺はいけない事をしてしまっているのでは?と錯覚させていた。
いや…半分は実際にいけない事なんだろうけどね……
しかも添い寝している状態だしね。家族で無い限りどう見ても変態にしか見えないと思う。
この子に布団を使って貰いたくて「汚くて悪いけど、このお布団で寝てね!」って言ったのだが「パパと一緒にお寝んねする!!」の一点張りだった。
何とか言う事を聞いて貰って、俺は廊下に香織ちゃんは布団に寝る事になったんだ。
一度は離れて寝ていたのだが、香織ちゃんは俺が寝たのを確認してから俺の所へ来ては一緒に寝始めて、
そのたびに体へ少し重みを感じた俺が目を覚まし、香織ちゃんを布団へ運んで寝かせるっていうのを何度も何度も繰り返していた。
流石に何度も何度も目を覚まして廊下で寝ている俺の所に来るのは香織ちゃんの体にも悪いだろうと思ったのも事実だが、何度も何度もお互いに目を覚ますという結果になっただけで、どちらにとっても悪い状況にしかならなそうだった。
だから一緒の布団で寝る事にして、やっと香織ちゃんも俺もちょっとだけ寝付けた訳である。
未来から来た俺の子供だって香織ちゃんは言っているけど、俺にとってはまだ知り合って間もない子だ。
俺の子供だって思うには少し時間が掛かるだろうし、俺にとっては見ず知らずの小さな女の子と一緒の布団で寝ている感覚になってしまい、俺が犯罪を犯しているじゃないかって感覚に苛まれて、結局あまり寝ることが出来なかったのである。
そして、朝になったって訳だが……横に寝ている小さな女の子が俺の服の袖を掴んで可愛らしい寝息をたてている光景がとても微笑ましく思える一方で、俺を変態へと導いている気がしてしまうのは、俺が多分こういう事に慣れていないからなんだと思う。
とりあえず、置いてある時計を見てみると朝の授業までのまだ時間が有りそうだった。
香織ちゃんの為に朝と昼のご飯を作っておかないとな。
香織ちゃんの事を良く知らないのもそうだが、今下手に外に出させて変質者や危険人物とうに狙われたりしたら大変だ。
だからこそ今日は、少なくても家に居てもらわないといけないな。それにこの町を詳しく知っているのかどうかも分からない状況で子供を下手に外出させるのは得策とは言えないし。
6歳に成ったばかりの子供を外出させるならまだ、大人と一緒に出かけた方が好いだろう。
それか、同世代の子供達が遊んでいる場所に行かせるのも好いんだろうけどね。
何にせよ、香織ちゃんのストレスにならない様に気を付けてあげないと。
どんな子供であっても、寝顔を見てるだけで元気が出てくると思うんだ。
だからかな、可愛い寝顔で寝て居る香織ちゃん姿を見ているだけで、俺の心は自然と癒されていた。
ただ、事情を知らない人から見ると変態に思われそうだけどね……
まっそんな事はさて置いて、香織ちゃんを起こさない様に気を回しながら歩いて流し台に向かう。
「料理を作って置いておけば多分食べてくれるよね?」
とりあえず、ご飯を研いどいてカレーの様に朝昼晩でもいける食事を今は作っておこう。
少し午前の授業に遅れるのは手痛いだろうとは思うけど、子供にはキチンと栄養のある物を食べていて欲しいからな。
本当は子供の栄養バランスを考えて三色バラバラの食事でキチンと栄養満点な料理を食べさてあげた方が成長にも好いんだろうけどさ。今は一時的かもしれないけど、子供と生活するって分かっていたら、料理の献立はちゃんと考えていただろう。
確かに俺の一人ならその日その日で献立は起てるだろうが、子供も一緒に生活しているとなると話は別だ。
やっぱり子供にはチャンと成長して欲しい思うから、子供の嫌いな食べ物や好きな食べ物を把握しておく事もしていたと思う。更に子供が好き嫌いなく食べれるように工夫しながら、栄養満点な料理を作っていたと俺は思う。それは分かっていても、今日は難しいかな。
本当は今日から献立作りをやるべき何だろうけど、この子の服をどうするか考えたりしないとならないし、
俺一人分しか考えていなかったから食材も一人分になってるし、更にバイトも入っていたりして、今日は何かと忙しい一日になりだからな……
だから色々と難しいって思っているんだ。器用な人なら同時に考えて行動出来るんだろうけど、俺は複数の事を考えるのが苦手だから、一つ一つの問題を解決してから次の問題に移るしか出来ないんだよね。
考え事するのも良いけど今は時間に余裕が無いんだった。
朝ごはんを用意しながら洗濯物もやっていかないと……もちろん香織ちゃんを起こさない様に気を付けながら。
しかし、香織ちゃんの事を一緒に生活していく事になるのは良いけど、俺の子供だって確証がある訳では無いのは問題だよな~昨日は香織ちゃんが気転を利かしてくれたから、警察のご厄介に成らずに済んだけど、確証が無い状態だと誘拐しただとか、子供に対して以上性癖が有る人だって思われても可笑しくは無い。
確証が無い状態じゃ何を言っても犯罪者扱いされてしまうかも知れない。
本当に親子だって分かる何かが有れば良いんだけど、持って無さそうだし……どうすれば良いのか分からない。
それに未来とは言えど、本当に俺の子供だって信じて言いのかすら分からないのは辛いな。
だからと言って香織ちゃん自体は真剣に話しをしていたし、嘘を付いていない事は分かるんだ。
それに子供の言う事を疑うのはしたく無いのも事実なんだよな……
だからこそ、香織ちゃんの事は慎重に考えて行動しないといけないな。
って…午前の授業まで時間はあまり無いって言うのに、俺はまた考え込んでたな。
あーやめやめ……今は悩んでいたってしょうがないさ。
まっなる様にならぁな。
考えるのをやめにして、今はご飯の用意をしたり洗濯物を干していかないと……
香織ちゃんを起こさない様にしながら、料理の続きや洗濯物を干したりと色々な事をやって行く。
そんなこんなで家事をしていたら、学校へ急がないと間に合わない時間になっていた。
香織ちゃん一人を家に置いて行くのは本当は心苦しいが、今しばらくはそうなってしまうだろう。
色々と対策を考える必要は有るけど、昨日会ったばかりで手段を講じておけって方が無茶な話しだと思うんだけど……他の人はどうなんだろうか?
今は考えている場合じゃないな、早く学校へ行かないと……俺は鞄に今日受ける授業の教材がちゃんと入っているかどうかの確認をしつつ、弁当を鞄につめながら靴を履いた。
そして、俺は寝て居る香織ちゃんの方へと向き直して小声で「行ってきます」とだけ告げて家を出た。
******
借りているアパートを出て今学校へ向かっている訳だけれど、何時もとは違った気分で外を歩いていた。
まぁ、当たり前って言えば当たり前なんだろう。朝になっている事もあるが、昨日夜はとても怖い思いをしたし、更に色々な事もあったからか、何時も使っている学校の通学路だとしても今までとは違う感覚になっていた。
それに朝の日差しが気持ち良いからか、考え事がサッパリして行く気がした。
頭の中がサッパリして行っても考える事はやっぱり香織ちゃんの事だけどね。
大人の男の傍で警戒心無く安らかに寝て居る香織ちゃんの姿を見ると、俺自身と何らかの関わりが有る事は事実だと思う。じゃなきゃ、大人の俺に対してあんなに無防備な姿は見せないんだろうから。もし知らない人だったら、警戒して近づかない様にすると思うしね。
未来からやって来たと言っていた事を今は信じるしかないけど、もし出鱈目だとしたら俺の事を何処で知ったんだろうか?
香織ちゃんのニコニコと笑っていたあの笑顔が、嘘偽りだとは思わないけど……もし嘘だったら演技している事に成るだろうから、香織ちゃんの精神的に良くないだろう。本当の両親と問題が有ったなら、その問題を解決出来る様にしてあげないといけないな。
その場合は他人の家庭の事情に成るから、本来なら首を突っ込むべき問題じゃないんだろうけど、子供が苦しむ姿は見たくない。
だから、余計なお世話だとしても首を突っ込んで問題を解決しに行こうと俺は思う。
でも、俺には香織ちゃんの笑顔が嘘偽りには思えないんだよね。本当に俺の事を知っていなければ、俺と関わろうとは思えないと思う。
俺は外見的に見ても性格的に見てもカッコイイって男じゃないし、大概一人で居る事が多いんだ。まー悪友と居る事もかなり有るけどな……とは言え、俺と関わり合いの無い場合なら、外見的にカッコイイ男性の事をお父さんって呼んだ方が女の子としては得が多いと思う。
少なくても俺みたいに目立ちそうに無い男をパパって呼ぶのは有り得ないと思うんだ。
それに俺の事を本気で好きだったからこそ、あんなに懐いてくれてるんだろうしね。
もし俺自身が嫌われていたならば、俺の所には来ていなかったんだろうから。
未来の俺自身がちゃんと父親やれていたかどうかは不安だけれど、何とか父親(今は仮だけど)として、子供と良好な関係を築けていたんだろうな。
そうじゃなきゃ、香織ちゃんが俺のいた時代に来よう何て思わないと筈だから。
それに本当に嫌いな親だったら無関心を貫くか、親の話に適当な相槌うっている様な関係になったり、
些細な喧嘩を切欠に互いに憎悪しあう関係にしか成り得ないと思うんだ。
でも、様々な事で疑問に思うのも事実なんだよな……
未来からやって来たって言うのは良いけど、それなら何故未来の俺の処に行かなかったのか?
それ以外にも母親とは仲が悪いのか?とか、父親が俺なら母親は誰なのか?とか、未来からどんな手段で過去に来れたのか?
とか、それこそ気にしたら限が無いだろう。
それに一番気懸かりなのは……未来の俺だ。何故香織ちゃんが過去に行く事になったのかって理由がハッキリしていないのが問題だ。未来の俺と仲が良いのなら、香織ちゃんの性格から考えても父親だと思われる俺に凄く懐いていたと思うんだ。
それなのに過去に来たって事は………もしかして、未来の俺とは仲が悪かったのかな?
過去の俺なら優しかったから俺の所へやって来たって事なのかな?それならもっと対策を練らないと、じゃないと香織ちゃんが嫌な思いをするだけだ。
子供が嫌な思いをするのは本当に避けたいし、ちゃんと未来の両親の許(俺と奥さん)へ戻してあげたい。
そして未来の親子関係も良くなる様にしてあげたいから。
香織ちゃんの言っている事をを100%信じるならばの話ではあるけれど……只嘘だとも思えないけどね。
今はともかく、考えるのをやめて学校に集中しないと…
今日の午前の授業は必修科目だし受けとかないと、不味いんだね。後々補修で時間潰さなくちゃいけなくなるのはかなり辛い。
バイトとかやっている影響から香織ちゃんと接する時間は限られているし、バイトに遅れたり、休んだりしなければ成らないのは痛手になる。補修になればバイトや香織ちゃんと接する事が出来る時間より減っちまう。それだけは何としても防がないとならない。
だから、今は学校の事に専念しないと……でも何か忘れている様な気がするんだよな……
何だったけな?……昨日の事に関連していた筈なんだけど……ああ!そうだ!……そうだった!!
友達に会ったら一発ぶん殴るんだったよ。いっけねぇー忘れる所だった……
むしろ此れは絶対に忘れちゃ駄目だ!昨日の件でどれだけ怖い思いをしたか教えてあげないといけないね!!
よ~し!急いで授業より前に学校へ着くぞ!!
こうして決意を新たに俺は学校により急いだのだった。
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何とかギリギリではあったが学校へと着いた。
本当なら授業前にアイツをぶん殴る事から始めて気分をスカッとさせたかったけど、今は無理だな……時間的に余裕は無いだろう。他の人達も席に着き始めているし、授業に集中してないと直に単位が危うくなるのは間違い無い事だし……しかも授業の内容も難しい事が多いから、少しでも聞き逃せば痛手になる。
単位習得に必要になるレポートを何枚も書く羽目になるけど、授業の内容を予習や復習しておけば書く事が出来る内容になっている事が多い。
それだけじゃない、栄養士になる為の必要な単位数が割と多い事もあって、テストの回数が必然的に多くなっている。更にテストの問題は授業に出た内容が多い事も有って、キチンと聞いておけばテストとかにも有利になるのは間違い無い訳だ。
逆に少しでも聞き逃すとテストが一気に厳しくなるのも事実。だからこそ、毎回毎回授業には真剣に取り組まないといけないん訳なんだよ。
どんな資格であったとしても資格を取る事は難しい事だと思う。でも俺は…頑張って何とか取りたいと思っているんだ。実際問題として、今年の間に栄養士の資格を取っておかないと管理栄養士になるのはグンと難しくなる。
その為にも、少しでも早く資格を取っておきたいのが今の心情である。
それに俺は栄養士になる事が一番最初の目標であり、最大の目標でもあるんだ。
そう言った思いがあるからこそ、絶対今年中に単位習得する心算なんだ。
そもそも何で俺が栄養士を目指そうと思ったのかと言うと、祖父と祖母が農家をやっていて、
祖父母が作った野菜を一人でも多くの人に美味しいって言って貰って食べて欲しかったらなんだ。
夏になるとうち等の家族は祖父母の所にちょくちょく遊びに行ってた事も有って、俺や父さんが畑の仕事とを手伝ったりとしていたんだけど、手伝ってくれた御礼にって言って、祖母が収穫した野菜を使って味噌汁をよく作ってくれたんだよ。
それが凄く美味しくてさ……更に収穫した野菜を使って作ってくれたロールキャベツも凄く美味しかったんだ。
俺は小さい時にこう思ったんだ。祖父母が作った美味しい野菜を俺一人しか知らないのでは?って気がして寂しく感じたんだ。
だからかな、祖父母が作った美味しい野菜をより多くの人に食べて貰えたらなって思っていたんだ。
また、祖父母が真心込めて作った野菜を最大限に美味しくするには、栄養の事をもっと考えられる様にしないといけないなって思ったんだ。その為にも栄養に関する専門的な知識を学んだ方がいいって思ったんだよ。
その時に栄養士って資格を見つけて、コレだ!!って思い資格を取る為に大学に入る事にしたんだ。
それ以外にも栄養士を目指す切欠に成った事がある。それは家の仕事を手伝っていた時だった。
元々俺の実家は飲食店で、両親はお店で忙しく家事をやっている余裕が無くて、それを小さい頃か見てきていたから、両親の仕事が大変なのも分かってたんだ。だから俺にも出来る事をしようって考えて、家事をする様になっていったんだよね。
両親の力にもなりたいって思いが強かった事もあって、仕事の手伝いとかも積極的に俺からやらせて貰ったんだ。
両親としては、元気に他の子達と遊んできて欲しかったみたいだけどね……
祖父母が農家を生業としていて事もあって、畑の維持で大変な苦労をしていた祖父母をよく見てきていた。
そんな祖父母の力にも俺はなりたかったんだんだ。だから、俺は夏になると祖父母の所へ行って収穫の手伝いや、野菜の葉とかに付いた虫とかを除去する手伝いだとかもしていた。
それに祖父母は無農薬で野菜を作ってたから手入れも大変で、そう言った事もあって積極的に手伝ってたんだ。それが小さい頃からの習慣って言うか…やっていた事でもあり、やってきた事だった。
もちろん、俺が好きでやっていた事だったから苦では無かったかな……飲食店の手伝いも好きだったしね。
まぁ、そう言う事もあって、俺は大学に入るまで実家の仕事を手伝っていた。
そして俺は、このまま家の仕事を自分の仕事にするんだろうな……ってその時は考えていたんだよ。
俺が栄養士って道を考える前はね……でも、両親が俺に言ったんだ。
「お前にはお前の人生がある だから、こんな飲食店なんか継がずに自分の好きな様に生きていきなさい」
「それにお前は昔から家事や仕事の手伝いをしてくれたし、お祖父さん達の手伝いもして来たじゃないか…」
「今まで自分の好きな事をやる時間が少なかった事が多かっただろう……」
「だから、これからはお前の人生は、お前の好きな様に歩んで欲しいんだよ……父親としてな……」
「だからさ……家の事は考えなくて良いから好きに歩みなさい……自分だけの人生を……な」
これは父親が言った言葉だ。俺は好きで手伝いをしてきただけなんだけど、父さんにはそう言う風に感じていたらしい……
「私はお父さんみたいな考え方じゃないけどね……でも、そうね…貴方らしく生きて欲しいかな」
「ずっとこのお店で働いていても出会いは無いだろうし、都会とかに行って色んな出会いをすると良いと思うの……母さんはね!」
「それと貴方は若いんだから、早く他所の場所に行って貴方が好きになった女の子と付き合って頂戴」
「と言うよりも早く恋人作って私に紹介して頂戴ね!」
「孫の顔とかも見ておきたいから早くお願いね~」
これが母親が言った言葉である。豪い落差ではあるが……兎にも角にも、俺に好きな事をして生きて欲しいと言うのが両親達の思いだった。
母親としては彼女居ない暦=年齢と言う方程式を完成させていた俺の事を案じたんだとは思う。
孫の顔を見せてねってお願いなら何とかなりそうだけど……香織ちゃんの事を説明し辛いのも事実なんだよね。
未来から来たって事を説明しても信じて貰えるかどうか分からないし、そもそも香織ちゃんが本当に未来の俺の子供なのか本当の所は分からないの問題だし。
それに将来の奥さんの事を俺は知らないからな~説明次第では親を泣かせる羽目に……って言ってて思ったけど、そう言えば香織ちゃんのお母さんの事を聞いていなかったな。
昨日は夜遅かったのもあるし、親の事を聞いても俺の事しか言ってなかったんだよね……親に遭いたくて未来から来たって言っていたけど、母親はその時居なかったのかな?
過去の父親に遭いに来たってのも気になる話しだけど……未来の俺は一体香織ちゃんに何をしたんだろうか?
まぁ何にせよ、いずれは分かる事だと思うし、家に帰ってから香織ちゃんにそこ等辺は聞いてみるか。
かなり話しが脱線しちゃったな……
「才悟お前がやりたい事を見つけて欲しいと…生き甲斐を見つけて欲しいと…俺達夫婦は思っているって事だ」
「そうね……生き甲斐だけでなく、彼女も見つけてきなさいね!」
「まぁ、何にせよ俺達家族はお前の事を応援するから頑張って欲しいって事だな」
そう言ってくれた事で自分のやってみたい事を考えて探して見つけられたんだよ。
こう言った事もあって俺は栄養士になりたいと思っていたんだよ。
だから最初は管理栄養士の資格を取ろう何て考えてはいなかったんだけど、祖父母の作った野菜をもっと多くの人に知って貰うにはどうしたら良いかを考えて、小学校や色んな施設とかで多くの人達に味を覚えて貰うのが好いのでは?って考えたんだよね。
栄養士を学んでいる過程で、管理栄養士の話しが有ったから気になって調べたんだ。
そうしたら、学校とか病院とか介護施設とかの特定多数の人に対して、食事を作る際に指導が出来るって知ったんだよ。
俺はそれを知ってコレだ!って思ってさ、管理栄養士の資格を一応目指してみようって思ったんだ。
成るのは相当難しいだろうけど、目指せる分は目指してみたいと思ってはいる訳なんだ。
ただ、今は目指す事よりも香織ちゃんの事を如何するかの方を優先しないと不味いだろうな。
香織ちゃんの本当の親御さんとか心配しているだろうしね。
って、今は授業に集中集中っと……
******
なんとか午前の授業が終わり昼休憩になったな。
やれる事はやったから問題無いとして……さてと、やるかアイツをな……
どうせアイツの事だ。昼休みになって暇に成ったからと俺の事を何時も通りからかいに来る筈。
だから先手必勝!で行かせて貰う事にしよう。
そして、そんな俺の読み通り件の人物がやって来たのである。そうアイツが……
「よぉ~ラスト~今日も元「貰ったぁぁぁぁ!」ぐはぁ!」
暢気な掛け声と共に講義室に入ってきた男に対して、俺は問答無用のグーパンを決めた。
俺の拳はどうやら奴に効いた様だなぁ!
「いってぇぇぇ~何すんの!!ホント行き成り何してんの!!」
「話せば色々あるが、お前のお陰でスッゲェ怖い思いしたんだからな!!」
「だから!!その時の怖さをお前にも味わって貰おうって算段だよ!!」
「だから昨日の俺の怖さを思い知れー!!」
俺はそう言った後にもう一発コイツに拳を喰らわせた。
まぁ、入り口付近で騒ぎすぎても他の人の迷惑になるしコレくらいでよしとするか!
入り口には悪友だった奴の変わり果てた姿(俺自身がやったし、容疑は否認しない)が其処には有ったと言う……
5分後には何事も無かったかの様に元の姿に戻ってはいたけどね。
「で!行き成り何!何なの!殴ってくるなんて何なんだよ!」
「理由が分からないにも程があるからね!!」
「俺さんが納得いく説明を要求する!!」
俺達は講義室から場所を変え食堂へとやって来た訳だけど、俺がサッキ殴ってきた理由を目の前にいる悪友は聞きたがっていた。
まっ、殴られれば当然気になるよな~殴ってきた理由って奴をさ。
「お前に前言われた事が現実に起こった所為だからだよ!」
「前に言われた事?俺さんお前に何か言ったっけか?」
そう言って目の前で惚けているコイツの名前は北島五郎って言うんだ。
年齢は俺と同じではあるが、俺より数ヶ月誕生日が早いってだけで年上面をよくしていて、それ故に俺をからかってくる事が多い男ではある。人をからかっておちょくる面もあるが、基本的にはお喋り好きで素直な奴である為に何処か憎めない部分があるそんな男ではある。
そんな男ではあるが!今回ばかりはやり過ぎだったからね!
まぁ、確かに香織ちゃんの事を想定しろって方が難しいだろうけどな。
「公園の話しだよ!公園の話し!」
「公園?何だっけか?」
五郎は本当に分からないのか、惚けているだけなのか?
まだ考える仕草をしていた。だから俺はコイツにコイツ自身が言った事を伝える。
「俺のアパート近くに引越して来た女の子が幽霊に成って、夜な夜な公園を彷徨い泣いているって話だよ!!」
「その話しが昨日マジで現実に起きたんだからな!!」
「そのおかげで、どれだけ怖い思いをしたと思ってんだよ……スッゲェ怖かったかんな!」
俺の話をコイツに伝えるとマジで?と驚いた顔をしていた。
幽霊では無かったけど、聞かされた事と同じ様な状況に出くわしたら凄く怖くなるのは当然だと俺は思う。
だけど、コイツはそんな俺の気持ちを知ってか知らずかとんでもない事を言い出した。
「えっと……その話し俺さんの作り話だったんだけど?マジで起きたの?夜中の公園で?マジで?」
おいおいおい!!作り話ってどう言う事だよ!!えっ……何、俺コイツの作り話に踊らされてたの?
もう一度殴りたくなって来たんだけど、どうしてくれようか……
色々なものを堪えながら、コイツの言った事に頷くと本当にばつが悪そうな顔をしていた。
「何て言うか……その、ごめん……本当にそんな事が起きるなんて思ってなかったからさ…あははは……本当すまん!」
コイツも何だかんだで反省してくれたみたいだな。
俺は「もういいよ……俺だってお前を殴ったんだからお愛顧だよ」
「こっちこそごめんな」と言ってお互いに謝った。
幽霊騒動の件はもう良いとして、五郎にも色々と相談に乗って貰うかな。
一人で考えてはいたけど、俺は香織ちゃんに踏み込んだ事を聞けてないのと、聞けそうになかったんだ。
その事からもお一人で考えて行動しても良い結果にはなら無そうだって思ったんだ。
ただ、その前に確認だけしておく。
「一応幽霊の話しは作り話なんだよな?半分冗談とか言っていたけど、作り話で良いんだよな?」
「ああ……半分って言っていたのはネットであった怖い話とか本当にあった事件の話しとかを元に、俺なりにアレンジした怖い話しだよ」
「お前の住んでいるアーパート近くの公園では、そう言った話は無い筈だけど……それがどうかしたか?」
「いや……それなら良いんだ」
そう言う事か半分冗談って言っていたから、本当に其処で出来事でもあったのかと思ったけど、
どうやら、そう言った幽霊的な出来事は無いみたいだ。
「そしたら幽霊の事は良いんだが……昨日それ以外にもちょっとした事があってさ……」
「いや…幽霊騒動が関係していると言えばいるんだが、五郎お前の意見を聞きたかったんだよ」
「だから少し相談に乗って貰って良いか?」
俺がそう言うと、五郎は不思議そうな顔をして頷いていた。
そして俺は昨日の事について話していく。
「実はさ…昨日公園で一人の女の子に会ったんだよ」
「公園って言っても夜中だったんだけど、一人の女の子が居たんだよね……体全体が濡れていた女の子がさ……」
「おい!おい!怖い話ししたのは悪かったけど、冗談言うのやめようぜ~」
「だいたい夜中に雨でもないのに体全体を濡らすなんてどうやれば出来るんだよ~」
言いたい事はご尤もな話しだが、人が話している時は最後まで聞いてから答えるもんなんだけどな。
「話しは最後まで聞いて欲しいんだがな……そして今の話はマジの話しだけど……」
「えっ…マジもんの話しなの?」
俺はコイツの言った事に頷くと話しを続けた。
五郎の奴、体が一瞬ブル!って震えていたけど大丈夫か?
まさか?怖い話しをする奴が怖い話しと同じ様な状況を怖がるなんて事ないよな?
五郎の顔が少しだけ顔が青くなっている様な気がするが気の所為と言う事にしておこう。
「俺が怖い思いをしたのは、お前が話していた怖い話し通りに涙しを流していたからなんだよね……」
「………………」
五郎の奴、言葉が無くなってるけど大丈夫だろう…うん!大丈夫って事にしておこう!
「その女の子は夜中なのにブランコに乗っててさ、公園にギィィコ…ギィィィコって音と共に泣き声が響き渡ってたんだよね……」
「俺は夜中なのに女の子がブランコに乗ってる女の子が居るのなんて可笑しいし、目の錯覚って思ったんだけど……」
「俺はそんな女の子と偶々目が合ってさ……そして……みぃ~つ~けたよ!!って笑みを浮べながら、どんどんさ俺の方に寄って……」
「うぁぁぁぁぁ!!ごめん!!ゴッメンなさ~い!!許してくだせぇ~俺が俺が悪かったから~」
一言も発して無かったから大丈夫って思って言い続けてたのに……ついにギブアップしたな。
「あのな怖い話しをするならさ、怖い話しに耐性くらいは持ってる筈だろ?」
「そうじゃないなら、怖い話しはコレからするなよな?良いな?」
俺は呆れた顔をしながら五郎に指摘しておく。五郎も俺の指摘に物凄い勢いで頷いていた。
「で!話しの続きなんだけどな!」
「お前は鬼だろ!!俺さんスッゴイ反省してんで!ホント許してくだせぇぇぇぇ!!」
「俺の話はここから本題なんだよ……俺だって昨日の夜はスッゴイ怖くてしょうがなかったからな」
「まっ諦めて、話の続きを聞いてくれ」
五郎…お前…幾らなんでもこの位の話しで泣くなよ……怖い話しをするくらいなんだからさ……
「その女の子がさ…俺の近くに寄ってきて、行き成り俺に抱き付いてきたんだよね……」
「しかも、抱き付いてきた女の子服ががスッゴイびしょ濡れ所為なのか、体が物凄く冷たくてな……それで居て実際に触れられるんだぜ……」
「その時に俺は、幽霊に道連れにされる形で死ぬのかと思ったね……アレは本当にさ……」
「もうホント許して!ホント俺さんが悪かったですから~!後生だから許して~」
だからまだ話しの続きだって言ってんのに……
五郎お前今にも失神しそうな顔になってるぞ…本当に……
「五郎、俺が怖い話し調で話していたのは悪かったよ」
「でもな?俺が此処にいる時点で、その話は無事に終わったって分るだろ?」
「だからさ、この話しを聞いても大丈夫だから、もう泣くなって……な?」
五郎を落ち着かせないと話の続きを聞いて貰えそうに無いな。
とりあえず五郎が落ち着くまで待ってから話の続きをした。
「本当悪かったって…ごめんな…でも、少しは怖い思いをした人の気持ちも分ってくれよ」
「良いぃってぇ!俺さんがぁホントぉに悪かったぁんだぁからさぁ!」
五郎はズルズルと鼻水を鳴らしながらもそう言っていた。俺はポケットティッシュを五郎に渡すと鼻をかませた。五郎がもう少しだけ落ち着くのを待ってから話しを続けていく。
「さっきまでは怖い話し調にはしていたけど、これからは普通に話すからさ」
「夜の公園で体を濡らしていた女の子はさ、俺に抱き付くと俺の事をパパって呼んだんだよ」
「うん?それってどう言う事だ?」
「えっと…お前って子供いたの?」
「それともアレか?女の子をひっ捕まえて無理やりパパって言わせる犯罪的なプレイ?」
普通に考えるとこう言う反応になるのはしょうがないと思う。
俺も他の人が同じ状況になっていたら犯罪か隠し子かって疑うだろうしな。
「言いたい事は分かるけど犯罪は犯して無いから安心してくれ」
「それと隠し子どころか、彼女居ない暦イコール年齢の俺には到底子供なんて作れないと思うけど?」
まぁ自分で言ってて悲しくなるけどね。
「まっ!それもそうか!お前女の子苦手だもんな!女の子に声掛けられるだけで緊張して言葉が震えるくらいだもんな~」
五郎の言う通りでは有るんだがな……なんか釈然としない言い方ではあるけど今は気にしないでおこう。
「五郎お前だって人の事は言えないだろ……」
「……そうだった……俺さんも居た事ないな…」
「彼女云々の話しはよそう……この話しは俺達にとっては酷な話しだし…」
「そう…だな…」
恋愛の話しは俺達にはまだキツイな。
恋人を作るって話しは今の俺達には到底出来ない事だと思ってはいるけどね。
第一に俺達はモテる容姿をしていない。
俺の顔は凡庸って言っても良いだろう……五郎以外にもお前って何処にでも居そうな顔してるよな!って言われた事が有るのだから間違いないと思うんだよね。
五郎の方はと言うと、俺の顔は丸いんだよ心みたくな……って本人が言っている通り、割と横に長め丸みを帯びていた。別に丸すぎるって訳では無いけれど少し太めって言っても過言では無いのかも知れない。
しかも五郎は周りから、年齢に比して割と老けて見えるって言われた事も有るのだとか……
だから顔に付いては、俺達にモテ要素は何一つ無いと言えると思う。
二つ目としては服装にも気なんて使ってはいない所だろう。
普通に考えても女の子はだらしない格好をした男なんて好きにならないだろうから。
俺達の着ている服に解れている箇所が有ったとしても、俺達は気にせずに着ているくらいだからな。
「で?恋人も出来なさそうなお前さんになんでパパって呼んでくる女の子が居る訳?」
「やっぱりお金でも積んで言わせ「俺は断じて犯罪を犯してなどいない!って俺は言ったと思うけどなぁ!?」
五郎のこめかみに強く拳を押し当てて捻ろうとしたが「待って!!お願いだから待てくれぇ!!」と言って来たから一応止めておく。
「冗談だって!冗談!つってもさ……女の子と知り合いだったって事は無いの?」
「お前のアパート近くの公園に居たんだろ?だったら知り合いって可能性もあるじゃんか?」
「遠縁の親戚だったとかそういう可能性だってあるかも知れないじゃん?」
「そこん所は如何なんだよ?」
こいつは直ぐに冗談を織り交ぜて来るから性質は悪いが、話し自体聞く気は在るようだから話しを続けた。
「いいや……知り合いじゃないんだよ」
「遠縁でも何でも親戚に子供は居るけどさ、皆結構大きいしさ……それに男の子だけだよ」
「もし知り合いだったらさ、駅とか人目の付きやすい所や分りやすい場所にでも待ち合わせでもして、俺が借りてるアパートの部屋に送ってから泊まって貰ってるよ…その方が安全だしな」
「それにさ……もし知り合いだったら、大人の同伴無しで夜遅くに小さな子供を外に外出はさせないさ」
「しかも女の子だよ?夜は昼よりも人目が少なくなるから色々と危険が多くなるって分ってるのに一人で公園に遊ばせると思うか?」
「俺なら夜遅くに遊ばせるなんて事はしないし、絶対にさせないな」
「それ以外にも、俺が女の子と知り合いだったら連絡とって待ち合わせをしてから部屋に連れて行ってるよ」
実際俺がもし香織ちゃんと知り合いだったらそうして居たと思う。
でも……実際に言われた言葉は『パパ』だったんだよな~しかも名前まで知ってたし……
少なくとも俺は知り合いじゃないけど、香織ちゃんの方は何らかの形で俺を知って居た事にはなると思うんだ。
けど、小さい女の子の親戚だろうが家族であろうが知り合いは居ないんだよな~これがさ……
借りているアパートには基本大学生の人しか居ないし、部屋を借りている住人達の誰かと知り合いだったとしても見ず知らずの人になるであろう人の名前は出さないと思う。いくら部屋を借りている者同士だがらって、かなり仲良くなければ俺の名前は挙げないと思うんだ。
俺自身アパートに越してきた時に初めて他の部屋の住人さん達の事を知ったし、
その日に挨拶をして以来ろくすっぽ会話してないのだから仲が良いとは言い難いと思う。
勿論朝や夜に会った時や街中で出合った時には挨拶したりするけど、基本其れ位の関係でしかないんだよな~
悲しい話だけどね……そりゃ~一番最初の時には、隣の部屋の人と仲良くなるって目標が有ったりはしたんだけどさ、隣の人は夜にバイトしながら学校に通っている人だったり、俺とは違う学校の人だった事も有って実際に仲良くなるのは難しかったんだよ。
それに隣の部屋は両方とも女性が住んでるし……流石に女性に話しに行く勇気は俺にはまだ無かったから(今も無いが)、結局の所無理だったんだ。
そう言う事もあって、俺と仲良くしている人は同じアパートには住んでいないから、アパートの住人の子供だとか、知り合いだとか言うのは分からないのが事実なんだよ。
まぁ、アパートの住人が子供を連れて歩いている所は見た事無いから、アパートの住人の知り合いって言う可能性はかなり少ないと思う。
だからこそ、そこ等辺にいる様な俺の事を知ってるのが可笑しい訳なんだよね。
「まぁ、そりゃーそうだよな…女の子一人を夜中に公園に一人にするって事は俺さんだってさせないね」
「お前さんは知り合いと会う場合は連絡必ず入れて待ち合わせとかするしな…」
「お前さんは連絡取らずに急に会いに行くとか来るとかしないもんな」
「才悟お前さんの性格から考えても知り合いって訳では無さそうだな!」
五郎は笑いながらこの真面目め!とか言っているが納得はしてくれた様だ。
「で?お前さんはどうするの?」
「その女の子の事をどうしたいの?」
俺自身元々考えていた事はあるんだけど、如何せん香織ちゃんのお家の事情が分らないから下手な事はしたく無いのが事実だ。
ただ俺は一応考えている事があるのは事実だからその事を五郎に話す事にした。
「警察に行って親御さんと連絡が取れないかどうかを確かめてみたいとは思っているんだ…」
「だけど、親御さんに問題があって……それで……俺の事をパパって呼んで家に帰らない様にしているのだとしたら、その問題を解決したいと俺は思っているかな」
「帰る事で危険になるなら、俺はあの子を預かって置きたいと思うんだ」
一番良いのは、あの子が安心して暮らせる様にする事だ。
そう俺は考えているけど、親御さんが香織ちゃんを傷つける様な輩なら会わせる事はしたくない。
仮に警察へ行く事で親御さんと連絡が着いたとしても、一度親御さんと会ってちゃん話したりして、
人がらを確認してからじゃないと会わせるのは危険だと思う。
香織ちゃんの言う事だけを信じれば俺は家族なのだろう……けど、俺からしたら見ず知らずの子であるのも事実ではあるんだ。俺のしようとしている事は香織ちゃんにとっては余計なお世話なのかも知れないけど……でも色々と確かめてからじゃなきゃあの子為にもならない。
第一大人の男であり、他人かも知れない俺に会って居る時に香織ちゃんは怯えている様子が無かったんだ。
それが凄く気になるのも事実だ。若しかしたら俺や大人への怖さを隠して居るのかも知れないし何とも言えない状態だ。
香織ちゃんの言ってる事は信じたいし信じてあげたいのは山々なのだが俺はそれを信じられない自分が居る。
それに行き成り自分の娘だって言われて信じろって言われても無理が有るのも事実でさ、
香織ちゃんの言ってる通り俺の未来の娘って可能性も有るとは思うよ。
だけど…話しが突拍子もないファンタジーやSFみたいな話だと……信じて好いものなのか判断が付かないんだ。香織ちゃんの言ってる事が本当なら、俺は香織ちゃんの事を信じずに香織ちゃんを警察に連れて行くだけになるし、そうする事で香織ちゃんを傷つけてしまう事だって有り得るかも知れない。
でも本気で香織ちゃんの事を思うなら、調べたり、香織ちゃんの本当の事を知らなきゃいけないと思うんだ。
もちろん俺は香織ちゃんを傷つけたい訳じゃない、寧ろその逆だ……俺は守ってあげたいんだ。
幼い香織ちゃんが背負っているものを俺は一緒に背負ってでも守ってあげたいと思う。
それがどんなに困難な事であったとしても俺はそうしてでも香織ちゃんを守ってあげたいんだ。
まだ一日も経ってないのにこんな事を考えるのは少し可笑しいのかも知れないさ。
でも、昨日の今日でこんな事を言うのも変かも知れないけれど、俺はあの子を助けてあげたいって心の中で強く感じたんだ。
それは本能的な思いなのかも知れないし、子供を大事にしなければって言う大人しての責任感から来ている
思いなのかも知れないさ……それでも俺の心の中にあるこの気持ちは本物だから……だから助けたくて守りたいんだ。
このまま有耶無耶にしてあの子を放って置く事はしたくないし、それに傷つける事だって本当はしたくないって思っては居るんだ。
もちろん子供を傷つけたくないって思いが先行しているとは思う。
只それだけでは説明出来ない思いが、俺の心の中に何かしらある気がするんだ。
まぁ、そんな事を昨日の今日で思うのは可笑しいのかも知れないけれどね。
それを知る為にも、香織ちゃんの事を調べて確認しなければならないと思う。
それが香織ちゃんの為にも俺自身の為にも良いと思うから……だから警察に連れて行って調べて貰いたいって思っている。
これが今の俺の考えだ。
香織ちゃんが赤の他人であるはずの俺を選んだ理由を考えると不安にはなるさ。
それは香織ちゃん自身が、本当の家族と居る事で辛くて苦しい事態になると知った時だ。
本来なら本当の家族と一緒に居る事が子供の為に良い筈なのに、それなのに一緒に居ないって事を考えると気は重くなる。香織ちゃんはもしかしたら、本当の家族と居る事で香織ちゃん自身が凄く傷つく環境下で育って来たって可能性があるかも知れないと言う事があるからだ。
小さい子供しかも女の子が、見ず知らずの男に恐怖心を抱かない方が本来ならよほど危険なのだから。
やっぱり……警察に行くべきだよな……下手したら犯罪者扱いされるかも知れないけど、其れでもあの女の子が無事に両親の基へ帰れた方が良いのは明白だよな。
「だけどさ……出来る限りは親御さんの基へは帰してあげたいって思うよ」
「親御さんがどうしようも無い輩なら……その時は俺がその女の子を暫く預かろうと思う‼」
俺の決意を五郎に示すと五郎は俺の肩に手を置いて頷いていた。
「才悟お前さんがそう決めたならそれで良いんじゃないかい?」
「第一お前さんが女の子の発見者なんだ……だったら、俺さんにとやかく言う権利何て無いと思うぞ」
「それに俺さんだって多分そうするだろうから、まぁ、それで問題無いんじゃないの?」
俺は五郎と何だかんだ相談した事で改め考えを決め直した。
やっぱり警察へ一回行くべきだと……
「ありがとな五郎助かったよ…お陰で考えを改めて考えを纏める事が出来たわ」
「まぁ、お前さんが真面目な話をするならこっちも真面目に答えないとな」
「そりゃ~良かったよ…こっちも役に立てたなら何よりだっと!」
「それより才悟?もうそろそろ講義が始まるぜ準備しないのか?」
「そう言えばそうだったな……」
五郎に言われた事で時間を確認してみると、講義がそろそろ始まる時間だった。
俺は講義の準備を急いで行うと今日やる事を頭の中で確認しながら、やる事を頭の中で纏めて行く。
そして色々と決めた後、俺は五郎少しだけ他愛の無い話をして今日の残りの講義へと臨むのだった。
かなり長くて大変だったと思いますが、読んで頂きありがとうございました。
これからもこの作品を読んで頂ければ嬉しいです。