家出は過去へ1-1
一応此方の方が最初に作っていた作品です。字が読み辛く誤字脱字も有ると思いますが読んでいただけたら嬉しいなと思っています。
あはは…なぁ信じられない事ってさ実際に起きると驚いて何もできないよな。
まぁここだけの話なんだがさ、もしも、もしもだけどね、未来から自分の子供が
やって来たって言ったら信じる?いいや信じられないよなぁ。
でも、目の前に居る女の子は俺の事をパパ、パパって呼んでるだよね~
あえて言っておくけど、犯罪は犯して無いからね!!本当に犯して無いからね!!
はぁ…、どうしてこうなったのか、ちょっと時間を遡ってみようか…
******
俺の名前は田邉才悟22歳で東京都功誠福祉大学2年で男、
学科は生活学科で将来は一応では有るが管理栄養士を目指している。
学校は、家から通うには遠いから、そのために安いアパートを借りて
一人暮らしをしている訳だ。東京って言ってもかなり端のほうだから、
電影風景間違えた、田園風景ね田園風景それが時たま存在してる場所に
大学やアパートが有るんだよね。
まぁ……生活費や自分の遊ぶ金やらアレやコレやと色々な物にお金が必要なるからって言う理由で、
アルバイトして働いている何処にでもいる様な若者なんだよね。
その日も何時もどうりに喫茶店で働いて、たまたま早く帰れる事になったから、
家にそのまま帰るのもなんだなぁ~と思って町を観光がてらぶらついていたんだ。
「ふぅ…こうして町を歩くのって入学してから一回もやってなかったな…」
「学校に入りたての頃は人ごみで気分悪くなってたから当然といえば当然か
第一東京は人が大過ぎだっつうの、周りを見渡せば人・人・人だもんなぁ~」
実家は神奈川の馬堀海岸って場所だけど、あそこは適度に人がいて、
風景も長閑だし落ち着いてるし。住んでて普通に暮らせてたなぁ。
東京でも端のほうだからか、渋谷や新宿や原宿みたいにどばぁっと人はいない
けど、それでも多くの人を見かけるな…
そんな事を考えながら、町を歩いていた。
テクテクテクと靴が地面にぶつかる音だけが響く夜の町並は騒がしくなく
静まりかえっていて、其れが逆に不気味な感じだった。
「何時もなら、通行人や仕事帰りの人が結構通ってるはずなんだけどな」
時間帯は夜の8時20分だから人が通っていても可笑しくないだが、
珍しい事もあるもんだな…って思っていたんだ。
…ぇん…うぇ…
あれ…今何か小さな音が聞こえたような~
うぇぇ…うぇ…ん
うん…聞こえたような気がするな…しかも…女の子の声だった気が…
うん、気のせいだ気のせい気にしたら駄目なんだよ。
考えてもみようか、今よるの8時32分過ぎだよ、いくら何でも夜の8時半過ぎに
どっからともなく、女の子の泣き声みたいのが聞こえるなんて無いでしょ
普通に考えればね、まぁ、都会って事も有るのかな夜遅くまで外出を許す
なんて事が有るのかもしれないな。
地元じゃあんまり考えられなかったけどさ…
女の子って言っても高校生とかじゃなくて、もっと声が幼い感じがするんだよな。
高校生くらいの女子なら確かに夜の8時半過ぎでも外に出ている可能性は
有るけどさ…でも…中学生とか小学生よりも幼い感じの声がしてるだよね。
あはは~そんな事ある訳無いのにな~
いくら都会だったとしても普通に夜遅くには子供を外出させないでしょうよ。
冷たい夜風に少しばかり恐怖心を抱きながら狭い路地を抜けてもう少しで
公園に差し掛かろうとしたその時だった。
うぇぇん…うぇぇぇん……って泣いている声がハッキリ聞こえてしまったんだよね…
うぇぇん…うぇぇぇん……しかも泣き声が公園の方からしているような…
うぇぇん…うぇぇぇん……いや、ね、今心境的にはこっちも泣きたくなってきてるんだ。
本当に夜中の公園の方から幼い女の子の泣き声とか聞いてみな、凄く怖いから本当に怖いから。
しかも姿が見えてないんだよ、分からないんだよ、分からない事ほど辛いものは無いから。
普通の時間帯に泣いてるなら駆けよって「大丈夫?」と聞けるけど、夜の公園からってなると
話は変わってくると思うんだ。
しかも、その公園はちょっとしたイワク付きな場所なんだよね…………………
東京に来て間もない頃に出来た大学の友人に言われたんだよ。
「お前の住んでるアパートの近くにさ、公園あるじゃん、公園がさ……
昔其処の公園でさ子供が居なくなった事が有ってさ、
居なくなってから1ヶ月経った頃に子供が見つかったんだよねぇ~
公園の木々の中で一つ一つの部位で分けられてた子供の遺体がさ…」
そう言った後にこうも付け加えてたなぁ~「居なくなったのはこの地に引越して来た
ばかりの家族の娘さんなんだよ。ただ、今でも死んだ事を理解できずにその場所を
彷徨ってるってウワサがあるんだよね~」
「小学校の一年生になったばかりで学校を楽しみにしてたみたいなんだよ。
ただ、学校に行く前に死んでしまったから、悲しんで泣き続けてるって……ウワサだよ
だから、朝や昼は煩くて聞こえないけど夜になると聞こえるらしいよ……幼い女の子の泣き声がさ…」って言いやがりました。
えぇ、言いやがってましたとも、しかも、ビビる俺を尻目に笑ってましたよ。
まぁ、半分冗談だけどなって言ってましたとも。でも、結果がこれだよ!!
泣き声メッチャ公園から聞こえてますね!!絶対に公園から聞こえてますよ!!
だって、歩いて公園に近づくたびに泣き声が大きくなってるんだもの
聞こえない訳ないよねぇぇぇ!しかも、この公園を通った先に住んでる
アパートが有るんだよねぇ!…………此処通らないと結構回り道になるんだ…
嫌だぁぁぁぁぁ!!通りたくねぇぇぇぇ!!そんな事を思った所で始まらないんだよなぁ。
はぁぁ。俺はため息を吐きながら公園と歩み始めた。
遂に公園の前までやって来ると公園は異様な雰囲気を纏っていた。
何で~何でデスカ?? 何時も通っている道なのにも拘らず、寒気がするくらいに
公園の雰囲気がおどろおどろしい感じにナッテイルデスカ?
怖さで変な言葉遣いになっちゃたよ。
もう考えるのは止め止め、公園から泣き声が確実にしているとか絶対に気のせいだ。
例え公園のブランコが勝手に揺れているのも風の影響なんだ。うん、気のせいだね。
例え人影が見えたとしても気のせ……………………ってそんな訳あるかぁぁぁぁぁぁ!!
人影が見える時点でかなり怪しいだろうがぁぁぁ、しかも、しかもだよ人影がとっても小さい
人影で確実に其処から泣き声が聞こえて来ているンデスヨ!!
怖いなんてもんじゃないね。怖すぎるからね!!
大の大人が何を情けないとか思っている人もいるかも知れない。
ただ、考えてみても欲しい、夜中に公園でしかも小学生くらいの女の子が泣いてるんですぜ!!
もしコレが親と喧嘩して家出てきましたって言う場合なら、その子どんだけ親と激しい喧嘩したんだって話な訳なんですヨ~
まぁ、一部の例外として、小学生の女の子を見て最高だぜ!!お持ち帰りだ~!!って人や小学生の女の子が泣いてイルだとぉ!
放っては置けない!!俺が家に連れて帰る!!(発言者の家)誰にも邪魔はさせないぜぇ!!って人も中には居るんだろうけどさぁ!!
俺そんな変態と言う名の紳士さんでは無いからね!本当だから信じてお願い……
とは言え、怖くても此処の公園と通らないと帰りが遅くなるしなぁ~
更に明日は一時限目から授業あるし早く帰って寝る準備しないと本格的に不味いんだよ。
もうそろそろ夜の9時になるし覚悟を決めて通るしかない。
意を決して公園の中に入っていく。
俺自身の体が強張っているのが分かる。
………ギィィィコ…ギィィィ……コ。
ブランコの揺れる音がより大きく聞こえてきた。
やばい、本当に寒気しかしない。それに…
…ひぃぃっく…すん…すん……
泣き声がかなり現実味を帯びてきていた。
最初は幻聴かなって思っていたかったのに、そうは問屋が卸さなかったみたいだ。
俺も馬鹿だなと思いつつも何故かブランコの方へ行ってしまった。
別に俺が変態な紳士さんな訳じゃないよ!! 本当だよ!! 信じてくださ~い!!
心の中で言い訳を考えつつブランコの方へ歩むと、小さい女の子、幼稚園から小学生低学年位だろうか、
そんな女の子がブランコを漕いでいた。ただし、全身ずぶ濡れで……
えっとぉ…そのぉ…冗談ですよね? えっ!コレ本気なの!!現実なのデスカぁ!!
現実だとした性質悪い現実だかんね!
可笑しいぜ、可笑しすぎるぜぇ、だって今日降水確率0%って朝の天気予報で言っていた通り、今日は雨降らなかったんだから、
全身ずぶ濡れってのはあまりにも可笑しいじゃあありませんかぁぁぁぁぁ!!
この子、絶対に幽さん的な奴ですよね。霊さん的なアレですよね。
格好は子供用のピンクのシャツに青のスカートと黒のソックスみたいだ。
夜に黒だと思ったのは、黒のソックスが濡れてる影響からなのか、単純に真っ暗だからなのか、
一瞬足が無い様に見えた。
でも、月明かりに一瞬照らされた時に服装の色や黒色のソックスを穿いている事が分かったんだ。
ただ、夜中にずぶ濡れの女の子が只黙ってブランコに乗っているのは流石に怖くなかろうか?
しかもだ、泣いているのに顔が無表情だったんだぜぇ……こえぇぇって!!
更には、近寄った時に足音を少し立ててしまった所為か、こっちに気付いちゃったんだよね、あはは…
そして、女の子は俺の事をまじまじと眺めて(暗闇で顔の詳細が分かったら凄いよ)ニタァと笑った(訂正、この子凄い子だよ)
ごめんなさい帰っていいですか?今すぐに帰らせてくれませんか!?
っえ?何故かって?そりゃぁ…怖いからに決っているでしょうがぁぁぁ!!!!!
ホラーだから!!ホラーだからね!!
夜中に女の子が無表情で泣いてたかと思ったら行き成りこっち向いてニタァって笑われてみろよ、
ホラー映画の様相を呈しているからな!!怖いだけで終わるからな!!ガクブルで終わるぞ絶対!!!!
本当なら、君はどうして泣いているの?とか迷子?とか沢山色々なことを聞いて親御さんの許へ返すべきなんだろうけどさ、
そんな余裕なくなるくらいホラー映画の場面に遭遇した様なもんだよ。
こっわ!!って思うしかないって本当に。
しかも、女の子は俺の事を見つめて「み・つ・け・た・よぉぉぉぉぉ!……見つけたぁぁぁ!!」と仰るでは無いですか?
俺は君に対して用事は無かったし、君の事を知らないんだ…だ、だからね君ニタァって笑いながら見つけた
って言うのやめよう。うん、本当にやめよう。だからお願いします、やめてくださぁぁぁぁぁぁぁぁい!!
でも、俺の心の願いは空しくも叶わなかった。
だって、幽霊的なずぶ濡れな女の子が行き成り抱きついてきたらそりゃぁ卒倒もんでさぁ。
ただ、怖すぎて逆に卒倒出来なかったけどね。
「会いたかった、会いたかったよぉぉぉ」どこぞのアイドルグループの歌詞みたいだなこれじゃ。
女の子の台詞を何処か冷静に聞いている自分が居た。多分、怖さが逆に振り切れてしまったのか?頭はすっかり冷静になっていた。
それに女の子は体は冷えているけど熱が無いわけでは無く、むしろ心地いい暖かさがあるな。
いいや、あえて言っておくが変態な紳士さんにはマダ成っていないと思う。
もう、紳士でもいいやって思い始めてきている。怖さが振り切れてから、この子の体が温かいのが変に気持ち良くなったのかもしれない…
いや、待て、待つんだ、俺は変態にまだなる訳にはいかねぇぇんだぁ!!
でも、そんな俺の心情を無視して女の子はとんでもない事を告げてきたんだよね…
「見つけた!見つけたよ!!パパ!!パパに会いたかった!!」そう言って俺に強く抱きついていた。
あっ…俺の人生終わったな…変態さん確定です!!
ありがとう、ありがとう、俺を変態さんにしてくれてありがと~!!
俺はこうして紳士の道を極めるのであった。変態と謂うな名の紳士に……
ってぇそんな訳あるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
心の中での大絶叫は終了して俺自身現実へ戻ってきた。
目の前にいる女の子に対して言わなければいけない事がある。
いや、ね、あの子供に対してこんな事言うべきではないんだろうけど大事な事だから
俺は言わないといけないよな…うん、言うべきなんだよな…
「あのね、君、俺さ、そのね、年齢イコール彼女居ない暦と一緒って人なんだよ」
俺は女の子に対してなんて事言ってんだろうな。
これ、新手の公開処刑ではなかろうか?
でも、大事な事をもう一つ伝えなきゃいけない事がある。
「えっとね、俺、その、夫婦の営みは愚かキスだってしたこと無いんだよ?」
俺は、それはそれはもう信じて貰える様に笑顔で伝えましたよ。伝えましたとも。
ただね…少しだけね…哀しくてね…なんか目から雫がね出ているだけなんだよ。
だからね…少しだけ…少しだけで良いんだオジサンの顔見ないでくれるかな?
ちょっとだけで良いんだよ…女の子にそれだけ告げると俺はちょっと…ごめん大分涙を流した。
別の意味で泣けてきた。彼女もいた事が無ければ夜の営みもキスもしたこと無いのにソレなのにパパって言われた事が衝撃ではある。
そして何より、小さな女の子相手に包み隠さず俺の青春事情を話してしまったのがとても哀しかったです。
まぁ、人によっては何かに目覚めてしまう人もいるだろうけどな。
それでも、女の子は俺に向かってパパって呼んで来るんだよ。
やっぱり新手のドッキリではなかろうか?
そしてより強くギュ!って抱きしめてきて、「パパはパパだよ、何があっても私のパパ何だよ!!」
そう言っていた。とは言ったって、本当にさっき述べた様に俺は恋愛経験ゼロだしなぁ。
まぁ、好きな人はいるっちゃいるが…友人関係ましてや恋人関係にも成ってないし…向こうはただの知人程度の関係にしか思ってないだろう。
しかも俺みたいなヘタレに奥さんが出来るとも、いぃやそれ以前の問題として恋人すら出来るか危ういって言うのに…
「えっとね、やっぱり人違いなんじゃないかな?俺は恋人が出来ると思えない程ヘタレだから、
違う人何じゃないかな?親御さんと喧嘩したなら一緒に謝りに行くからお家に帰ろうよね?」
俺はとりあえずこの子を親御さんの許に帰そうって思ってる。
こんな夜遅くに外に居る事を心配しているだろうし、何より喧嘩でもしているならこの子の為にも親御さんとちゃんと
話す方が良いだろうしさ。
ただ、俺はヘタレはヘタレなんだけどソレを子供に伝えたのは何というか哀しさが残るな…うん…
でも、そんな事はどうでも良いこの子を親御さんの許へ届けてあげたい、それに全身ずぶ濡れだと風邪や熱に犯される
だろうから早く送り届けてあげないと…
そう思って口にしようとする前にこの子が話しかけてきた。
「パパは結婚するよ~ソレに私の事をアイツが生むもん!!ただ、ちょっとだけ先の未来からやって来ただけだもん!!
パパは自分の事を卑下しなくて良いんだよ。それにパパは面白くてカッコイイんだから!!だからね、自分の事を
悪く言わなくても良いんだよ!!」
そうか、そうなのか、俺の事そういう風に思ってくれてありが………って今何て言いました?
「えっと、もう一回言ってくれるかな?」
「パパは自分の事卑下しなくて良いんだよ?ってところかな?」
「いや、ソレよりもちょっと前かな?」
「もしかして未来からやって来たってところかな?」
そうそうソレソレ最近の子供って発想が凄いな~ 人の事をパパ呼ばわりしたと思ったら、
今度は未来からやって来たなんて、そんな突拍子も無い話をする位に親御さんの許へ戻りたくないのだろうか?
「あのね君、親御さんの所に帰るのは辛いんだろうけどね、でも、トンでもない嘘を付いてまで帰りたくないのは
どうしてなのかな?オジサンで良ければ話は聞くからさ、人の事をパパって言うのもそうだけど、未来から来たなんて
あまりにも突拍子の無い話まで作ってまで家に帰りたくないのはどうしてなのかな?教えてくれるかな?」
きっとこの子にとって辛い事情はあったんだろうけど、その話を聞かないとこの子はまた辛く苦しい生活に戻ってしまうかも
しれないって思ったからこそ、この子の目線に合わせて優しく話かけて話をし易い様にしたんだけど、それでもこの子は
俺の事を「パパ!!は私のパパなんだもん!!信じて欲しいんだもん!!」と涙目に成りながら訴えてきていた。
そんな事言われてもなぁ~俺本当にこの子と接点が無いし、どうしたものか………
俺が考えに耽っていると公園の入り口辺りからキィィーって音がした。
まぁ、さっきまでホラーみたいな体験してた所為もあり、恐怖心は無くなっていて、寧ろ何でもドンと来いやぁ~
ってな感じに気が大きくなっていた所為もあって公園の入り口辺りに止まった人の事を考えて無かったんだよね。
だからかな、公園に入ってきた人の事を全く気にしていなかったんだよね。それよりもこの子を何とかしないとな、って思っていたんだよ。
「あのすいません、少し聞きたい事があるのでちょっとお時間良いですか?」
そんな言葉を聞いたから、誰かが後ろから声を掛けて来ているなと思い振り返ってみるとさ、
見覚えのある紺色の征服に身を包み頭には威厳のある帽子に、腰には泥棒もびっくりな警棒を付けており、更には手錠まで腰にぶら下げていらっしゃる。
俺の事を見つめている顔には変質者を見ている様な、怪しい奴を捕まえなければみたいな使命感に燃える
若き警察官の姿がそこにはありました。
「えっと…何の御用でしょうか?」俺は平然を装って警察官の人と対応した。
警察官さんは俺を見るや否や「公園で女の子の泣き声がしているって通報があったので確かめに来たんですよ。
それと、怪しい不審人物が居たと言う連絡が入ったので今此処周辺の人達に聞き取りをしているんですよ」
務めて冷静に彼は言葉を述べていた。
「そ、そうなんですか?え、ええっとお仕事大変ですね~」あははと笑って誤魔化したいけど今聞いた話しは全部…
「その女の子は一体どうしたんですかね?」
彼はニコニコしながらこっちに視線を向けてきていた。
そうだよね、うん、そうだと思っていたよ。全部俺が悪い奴で女の子にいけない事をしようとしている様にしか見えない
ですよ。しかも、小学生くらいの女の子をこんな夜遅くに出歩かせて泣かせてるってなれば、そりゃぁ疑いますよね?
そうですよね。俺だってそんな人物居たら疑ってしまうでしょう。
でも、でもですね!!決して俺はそんな不審人物じゃないんですよ!!更に言えば変態でもないんですよ!!
確かに今警察官さんが仰りたい事は重々承知しておりますよ。客観的に見れば俺は年端も行かない女の子を連れ回して
如何わしい事をしている様にしか見えないですよね。そう言いたいんですよね!そうですよね!!
「あのですね…話はちゃんとしますんで、落ち着いてもらえませんかねぇ?」
「私は落ち着いていますよ。如何したんですか?顔色が悪いようですけど大丈夫ですか?」
彼は俺が顔色悪くなってる理由を別の意味で解釈しているだろう。
でも、待って欲しい。俺の顔色が悪いのは俺自身が疑われる事間違いなしって状況なのにも関わらず、
俺はこの件で何もヤマシイ事は考えていなかったんですって事を伝えることが出来ない事に今とっても悩んでいるんですよ。
その影響で顔色がとっても悪く見えるんだと思います。
だから、腕時計見ながら手錠に触ろうとするのやめません?
俺の心情を知ってか知らずか、警察官さんは優しく俺の事見つめ、そして………
「話は署で聞きますので着て頂けますね?」
と仰っており、完全に誤解していましたとさ、本当にね俺今日は哀しい一日になりそうだね。
今日と云う日に途方に暮れそうになった時救いの手が俺に差し伸べられていた。
それは…俺の前へ出て警察官さんに向かって話す小さな女の子だった。
「今ねぇ、パパと遊んでもらってたの~!!お仕事で夜遅くて大変なんだけどね!!パパは優しいから私と
遊んでくれる時間を作ってくれてたの~、それにね私が我が儘言ってお外で遊びたいって言ったんだよ~。
お母さんは反対してたけどパパが付き添って私と遊ぶから良いでしょって?お母さんに無理言ってお外で
遊べる様にしてくれたの~」
笑顔で俺と一緒に遊んで楽しんでいるとこの子は言ってくれたお陰で警察官さんの目に戸惑いが出ていた。
それだけじゃなく、この子は俺の体にしがみ付いてもっとブランコ乗りたい~良いでしょ~
とまで付け加えていた。
警察官さんも如何するべきか悩んでいた様だが俺に向き直ると、更に質問してきた。
「こんな夜遅くにお子さんを外で遊ばせるのは親として大人として本当にどうなんですか?
その子が言っている事は本当だとしても夜遅くに外で遊ぶのはご近所さん達に迷惑になるって考えなかったんですか?」
「それに子供が泣いていたって情報が入っています。子供に無理やり言わせてるって事はありませんよね?」
まだ、何処か煮え切らないんだろうし警察官さんの言いたい事は分かると思う。
俺が子供に対して危害(虐待や性的な虐待)を加えているんじゃないかって思っているんだろうさ。
しかも、この子が凄く従順だからそう思われて仕方ないのかもしれない。
だからって、俺が変態や最低な父親や大人だって思われるのは少し話が違うし納得が出来ない。
疑わしきは疑えって考え方もあるんだろうけど、それで何もしてなくても疑われるのは正直言って気分良くないな。
確かに俺だって、この子にはさっき会ったばかりでどうやって対処すれば良いのか俺には分からないよ。
だけど、俺は子供に危害を加えたりは絶対にしない。例え赤の他人だろうが自分の子供だろうが絶対に危害を加えたり何かしない、
だからこそ警察官の人に信じて貰いたいんだけど俺が何か言うたびにきっと疑いの目が強くなりそうで俺は何も言えなかった。
それにこの子の服がびしょ濡れなのも警察官さんは気になっているんだろうし、それなのに早く家には帰らないのが可笑しく
見えてしまうのだろう。だからこそ疑いの目が消えないんだろうけど俺はソレが悔しくもあったが、今は堪えるしかなかった。
結局何も言えずに押し黙っていると女の子が話し始めた。
「ねぇ~ 警察官さんはパパの事を疑っているの?パパは何もしてないよ?
私がお水のみたいって、あそこに在る水道へ水を飲みにいったんだよ。
そしたら、お水が勢いよくね、ドッピャー!!って出て体に沢山掛かっちゃったんだよ!!
それで、体が水浸しになって泣いちゃったの!!」
“だからパパは悪くないよ!!”ってこの子は涙ながらに警察官さんに訴えていた。
その言葉や姿を見て聞いた警察官さんは俺に対して疑ってしまって申し訳ありませんと伝えて来た。
それから、あんまり夜遅くに子供を出歩かせたりしない様にと釘を刺さして公園の外へ戻って行った。
結局俺はこの子に助けられて事なきを得た。切欠はこの子だとしても助けてもらったのに
何もお礼をしないのは無礼になるだろう。それに、この子は俺の子供(仮では有るけど)だって言って
いるし、小さな女の子をこのままにしておく訳にもいかない。
それに家に連れて行ってちゃんとした事を聞かないといけないな。
「俺の家に今日はとりあえず泊まってて良いから君のお話を詳しく聞かせてくれるかな?」
「うん!!パパと一緒にオネンネする!!」と言って俺に抱きついた。
今の会話を聞かれたらやっぱり疑われるなと思いながらも俺はこの子を連れて自分の住んでるアパートへ
行く事にした。友人の冗談からこんな大事になったんだ明日は思いっきりアイツを殴らせてもらうとしよう。
そして、この子を連れて歩き出そうとしたけどちょっとした疑問が頭をよぎって、ツイツイ聞いてしまった。
「えっとね確認じゃないけど…幽霊じゃ…ないよな?」
この子は笑って俺の方へ向くと“うん!!”って応えていた。
「じゃ何で?何でニタァって感じで笑ったの?オジサン気になっちゃったよ」
俺は何処と無く如何わしく思える発言をしている様な気がしたが、俺の思っていた事をこの子に聞くと
意外な答えが返ってきた。
「夜の公園だったし、ニタァって笑えばパパ怖がるのかなって思ってやったよ!!」
「そしたらパパ凄く怖がっていたし面白かったよ、パパはやっぱり最高だね!!」
予想していた言葉の斜め上の答えがやって来たのがなんというか……うん、あとで説教するからね。
俺は君が想像している以上にアレ怖かったんだからね!!後で説教タイムだ。
人をからかうのも大概にしないと駄目だって事は教えておかないと駄目だと思いました。
この子の将来のためにも色々な事を教えていく必要がありそうだ。この子の父親って決まった訳じゃないけど、
俺は親(一時的)だとしてもチャンとこの子に色々な事を教えていかないとな。
その事を心の中で固く誓い家へ向けて歩みだした。
俺の借りているアパートは公園を抜けてから10分くらいの位置に在る。
公園を抜けた後の住宅街はいつもどうりの静けさだったんだが、今日はこの子を連れて
歩いている所為もあるためか、その静けさが逆に監視されている様な感じがして精神的にあまり良ろしくなかった。
対照的にこの子は俺の手を繋いで満面の笑みを浮かべながら、楽しそうに鼻歌を歌って歩いてた。
「夜だからあんまり大きな音は出しちゃ駄目だよ?」
「はぁ~いパパ」
って返事が聞こえてくる。昨日までの俺じゃ考えられない光景が広がっている。多分だけど昨日の俺が見たらきっと、
俺は遂に変態になったんだなって錯覚すること間違いないだろう。
俺が言ったとおり、音を下げて鼻歌を歌っていた。どうもご機嫌な様子に変化は無さそうだ。
それに言うことを素直に聞いてくれるあたり、この子はとても良い子なんだろうけど…
ただ、警察官を納得させるくらいには話術に長けているのがどうも歳不相応に見えるんだけど、
この子はとても元気で健気な良い子って事で納得しておこう。
それに、俺の左手を握り締めながらブンブン振って楽しそうに鼻歌を歌っている姿はどうみても歳相応にしか見えない。
俺の手を嬉しそうに楽しそうに握り締めている姿に微笑ましさを感じながら俺らはアパートへ向かって歩いた。
公園から歩いて、ようやく目の先に俺の借りているアパートが見えてきた。
もう少しで到着なんだけど、周囲を確認しながらアパートへと向かう。ここで変な噂建てられたら俺は
ここら辺の界隈を歩けなくなるだろう。ソレだけではない、さっき回避できた警察へ今度は直行コースを辿る事になる。
だからこそ慎重に慎重を重ねたかったんだけど隣から「パパおトイレいきたい…」の言葉が聞こえた事で慎重って言葉を忘れ、
急いで自分の部屋の鍵を開けてトイレに連れて行った。
「ここがトイレだから終わったら、流しで手洗いうがいをする事、いいね?」
「は~い」って声だけ聞こえてトイレに入って行った。扉が閉まったのを確認して俺もその間に手洗いとうがいを行った。
実際問題に家へ連れてきたのはいいんだけど、これから先を如何するかを考えると頭が痛くなりそうだった。
この子の親御さんの許へ連れて行ってこの子が家出したのは自分の所為なんですって言ってでも良いから何とか家に
帰してあげたかった。
考えてみても、小さな女の子が親の許を離れていて普通なら寂しいだろう。
仮に親と喧嘩していたとしても親の許を離れるのはやっぱり切ないと俺は思うんだ。
まして、女の子なんだから寂しいのを今スッゴク我慢しているのかもしれない。
男の子なら痩せ我慢で寂しくないやいって言う子も沢山いるだろうけど、女の子が他人である俺の事をパパって
言うのは流石に我慢しすぎてたんじゃないかって俺は思う。
まぁ、とりあえずは落ち着くまでは俺の処であの子を預かろう。
あの子の事がまだ詳しく解った訳ではないし、あの子についての情報を知るためにも、あの子の親御さんが
どういう人なのかを知るためにも、あの子に嫌な思いをさせない様に注意しながら聞いていかないと。
そんな事を考えているとトイレの方から水の流れる音が聞こえてきた。
いけね、水にずぶ濡れだったんだよなあの子、着替えを用意してお風呂の用意もしておかないと、
風邪でも引いたら大変だし元気な女の子を元気じゃ無くすのは気が引ける。それに俺はそんなの絶対に嫌だね。
「今からお風呂用意するから先にお風呂へ入ってきなさい。それと代えの服はお風呂の扉前にカゴが置いて有ると思うから
其処において置くから風呂から出てきたらソレを着てね」
つっても俺の服しか持ってないから俺の服になってしまうのは仕方ないだろう。
女の子は俺に向かって「分かった~パパの匂い付きのシャツを貸してくれるんだね!!」
小さな女の子が何か凄いことを言っている様な気がするけど気にしないでおく事にする。
「パパの匂い大好き、パパの匂いを嗅ぐとね、何かね!お胸が熱くなるんだよ!!」
って言っているのも気にしない方向でいくから早くお風呂に入ってきなさい!
この子は何て凄い事を平気で言えるんだろうね、そう思いつつもお風呂の準備を終わらせて早く入るように促した。
この女の子も素直に言うことを聞いてお風呂に入っていった。
まぁ、如何わしいビデオとかならば、この手の発言の後に女の子へ手を出す奴もいるだろうけど、
俺は健全だからね!!、同じ学部に好きな女の子がいる俺にはそんな趣味は御座いません!!
ってこんな事考えてる場合じゃない明日の準備とかしておかないと、明日は午前から授業があるんだよ。
あの子には明日色々聞いていくとしてご飯の準備をしておくかな。
今は午後の10時45分って、かなり不味いな明日寝坊するぞこのままじゃ、手早く作れる物で今日は我慢してもらおう。
冷蔵庫の中身を確認しながら使えそうな材料を選んで、流し台にまな板と包丁を置き、ガスコンロに大小2つのフライパンを置いた。
今日は女の子もいるしオムライスにしておこう。オムライスに使える材料も残っていてお米も冷蔵庫にあったからな。
一応では有るのだが、ただのヘタレに見えても昔から料理を作ってきてはいたからな自炊は普通に出来るのさ。
って言っても自慢にもならんがな。ただ家事は昔からやってきていたので家事はわりと出来る方だと思う。
それに管理栄養士を目指している人間としてはそれぐらいはやらないと。
管理栄養士を目指す理由としては、お祖父さんとお祖母さんが農家をやっていて
お祖父さんとお祖母さんが作った野菜を色々な人達に食べてもらいたかったんだ。
だから俺がお祖父さんとお祖母さんが作った野菜を調理して少しでも多くの人に食べてもらえたらなって思いから
管理栄養士を目指しているんだよ。お祖父さんとお祖母さんに孫孝行したいっていうのが俺の夢なんだ。
昔から夏休みの時にはお祖父さんとお祖母さんのお手伝いをしていて、何時も手伝いが終わると採ったばかりの野菜で
味噌汁を作ってくれてさ、それがとても美味しかったんだ。その味を知れば知る程俺は多くの人にこの野菜の味を
知ってもらえたらなって思うようになって、管理栄養士の勉強をしようと思ったんだよ。
家のお祖父さんとお祖母さんが作ってる野菜はキャベツだったりキュウリだったりと他にも色々有るが
季節の野菜にしろ何にしろ沢山の野菜を無農薬で育てているんだよ。
水質の管理とかも追求していて、そうした手間暇掛けて本当に安心して食べられ野菜を作っているんだよ。
だからこそ、色んな人にお祖父さんとお祖母さんが作った野菜を食べてもらえればなって思う、
そう思ったからこそ管理栄養士を目指しているって訳なのさ。
って話が大分脱線してしまったけど、俺自身は料理をキチンと作っている事は誰にだって理解してもらえるだろう
きっと……早くしないとあの子が風呂から出てきてしまうな。
手早く材料を切って、卵を溶いてそれに牛乳を入れ(卵に牛乳を入れるとふっくらする)、大きいフライパンに油をしき、
材料を炒めて、材料に火が通ってから塩とコショウで味付けして、ケッチャップを入れて少し材料と混ぜる様に炒めて、
お米を投入して混ぜていく。その間に溶いた卵を小さいフライパンに入れて、上に乗せる生地も一緒に作くっていった。
お米の方はほど良く混ざって入るみたいだから風味付けのために黒コショウをいれて混ぜながら味を見る。
「うん…子供でも辛く感じはしない味に調節出来ているな、ならご飯の方はコレでOKっと、後は卵の生地を
乗せればオムライスは完成だな」
そして卵の方もひっくり返したりしながら生地を形作っていき、卵も大丈夫そうだったから完成したケチャップご飯の
上に乗せてオムライスを完成させた。女の子が出てくるまでの間に調理器具を洗っておいておく。
俺が洗物を終えると同時にお風呂場の扉が開く音が聞こえてきた。目を擦って眠そうにしながら
こっちへやって来た。よし、ちゃんと服は着ていた。俺の服だからブカブカでは有る物の何とか着てくれていた。
明日はこの子の服買ってこないといけないな…
「お風呂でちゃんと暖まれたかな?服はブカブカだろうけど許してね」
とりあえず女の子に怖い思いをさせたくなかったから俺は優しく話した。
女の子はこっちへ向くと「パパの匂いに包まれて私幸せだよ~~でも、残念なのはこの服が洗ってあった事かな
パパの匂いをもっと嗅ぎたかったのに…」俺はこの子に対してどんな反応を見せれば良かったのか今となっては、
分からなかった。
「はは、こらこら匂いを嗅いじゃいけないだろ、色々聞きたいことは有るけど今日は遅いからまた明日ね」
「ご飯は出来ているから、お腹すいてたら食べてね。おじさんは今日はもうそろそろしたら寝ちゃうからさ」
女の子にとりあえずご飯と寝る場所を用意して詳しい話は明日聞くって事で納得してもらった。
女の子も「うん!!分かったよ~パパのご飯を食べて寝ちゃうね」と言ってご飯を食べ始め様としたけど、
俺が「ちゃんといただきますっていってから食べなきゃ駄目だよ?」って言うとそうだったって言いながら、
いただきますと言って食べ始めた。俺もそれに続く様にいただきますといってご飯を二人で食べ始めた。
本来は食後直ぐに寝るのは逆流性食道炎になったり、ポリープが出来やすくなるとかでいけないらしいけど、今日は別だ。
二人してご飯を食べていく。
「パパの作ったオムライス、すっごく!すっごく!!美味しいよ!!!」
嬉しそうに美味しそうに食べてくれるこの子を見ると俺も作った甲斐があるってものだ。
女の子は美味しいを連発しながら残さず食べていき、お皿を空にしていた。
「本当にすっごく!!美味しかったよ!!パパ!!やっぱりパパのご飯スッゴイ美味しいよ!」
「俺もそう言って貰えて凄く嬉しいよありがとね」って言いながらこの子の頭を撫でていく。
撫でられると嬉しそうに女の子は笑っていた。
そうだ俺肝心なこと聞いてなかったな…
この子の事を本格的に知っていくのは明日からで良いとして、コレだけは聞いておかないと…
「あのさ、今更聞くのも可笑しいかも知れないけど、お名前を教えてくれるかな?」
なんだかんだで俺はこの子の名前を聞くのをスッカリ忘れていた。
俺は色々な事が短時間で起こりすぎた影響からか、すっかり名前を聞くのを忘れてたんだよね。
でも、そんな俺に怒る事無くこの子は名前を教えてくれた。
「私はパパの娘で香織、田邉香織て言いうんだよ~ まだ、この時間では生まれてないけど、
パパの子供として生まれて来るんだよ~」と俺に名前を教えてくれた。
――あれ?今なんか凄い事言わなかった?
俺の気のせいだよね?この子が親の許へ帰りたくないからこんな事を言ってるんだろう。
俺の聴き間違いだよね…良しもう一回聞いてみよう。
「えっと…もう一回名前を教えてくれるかな?」
女の子は少し不思議そうな顔をしていたけど、もう一回俺に教えてくれた。
「私は香織だよ、田邉香織て言うんだよ。後ね私今年で6歳だよ!!」
俺は如何やら聞き間違いをしていた訳では無さそうだった。
う~ん、俺の苗字と一緒なのって偶々なのか?まだ、判断がつかないな。
少し意地悪だけど、田邉って苗字はどう書くのかな?と質問しながらメモを渡した。
香織ちゃんはメモを受け取ると字を書き始めた。そして、書かれたメモには田邉香織と漢字で書かれていた。
しかも、6歳の子供の中ではかなり字が綺麗なのではと思ってしまうほど綺麗に書けている。
俺が子供の時はもっと字が汚くて俺以外に読める人いないって云われたくらいに字が汚かったんだ。
6歳の子供ならあんまり綺麗でなくても可笑しくないのに、俺より綺麗なんじゃないかって思うくらいに綺麗に書かれてた。
そして、6歳の子供に字の綺麗さで負ける俺っていったい……
そんな事を気にしている場合ではなかったんだ。
普通の子供には読み辛いはずの田邉と云う漢字を書いていた。
たなべって云っても、普通の田辺って漢字なら6歳の子供でも読めるだろうけど、俺のは少し
難しい漢字の方の田邉って漢字だったんだけど、香織ちゃんはこの漢字で普通に苗字を書けていた。
偶然にしては可笑しいよな、表札を見たって言ったって、ものの数秒で香織ちゃんをトイレへ連れて行った訳だし、
表札を見て把握したとしてもを普通の子供が俺の苗字を素直に答えられると思わない。
現にお隣が此処に越してきた時挨拶してくれたのだが、田邉って漢字だとお隣さんは分からなかったみたいで、
俺の苗字を間違って発言してたんだし、子供だって間違えても可笑しくは無い筈なんだけどな。
俺が香織ちゃんが書いてくれたメモを読みながら悩んでいると香織ちゃんが俺に話してくれた。
「私はパパの子供だって言ってるじゃん!!もう!!どうして信じてくれないの?
今よりちょっと先の未来からやって来ただけで、正真正銘パパの子供なんだからね!!」
顔を膨れさせながら俺にそう話した。多分俺が信じてあげてなかったのがいけないんだろうけど…
―――って待って、さっきから度々発言していた気はするけど、あえて聞き流していた言葉が
やっぱり耳に入ってきた。多分だけどこの子香織ちゃんって子はさっきから凄いことを何回も言っていたよね。
俺はそれをもう一度聞くべく香織ちゃんに聞いた。
「えっとさ、俺の聞き間違いでなければ良いんだけど、もしかして、もしかすると…香織ちゃんは未来からやって来たのかな?
違うなら違うって言ってね。俺さ、ちょっと可笑しい事を何度も聞いちゃったのと公園での出来事で結構疲れちゃったからかな、
何か香織ちゃんの事を誤解しているのかもって思っちゃってさ…」
「今言った事間違ってたらごめんね」
香織ちゃんは膨れ面から笑顔になると俺の言っている事は間違ってないよと俺に教えてくれた。
「もう、パパは理解するの遅いんだから。でも分かってくれたから許してあげるね!!」って笑顔で言っていた。
俺は最後の確認としてもう一つ質問をする。
「俺の名前ってなんて言うか分かるかな?」
流石にコレは答えられないハズだ。コレを答えられた時は本当に彼女の言っている通り、未来からやって来たって事になる。
そんなSFじみた話は信じがたいのだけれど、この子はどうやってかは知らないけど未来から来たんだろう。流石に此処まで
話をしてきて俺をからかってましたは無いんだろうな…まぁ、俺の名前が答えられればだけどね。
俺は答えられないだろうって高くくっていたからかな。
「パパの名前は才悟って言う名前だったよね!!パパはお友達さんからラストって謂うあだ名で呼ばれてたって言うのも、
私パパから聞いているよ~」
普通に答えてくれただけでなく俺の友人から呼ばれているあだ名までプラスして答えくれた。
しかも、そのあだ名は今付けられているあだ名だった。大学内の友人関係だけでしか使われて無いあだ名を6歳の
子供が答えるのは、俺の事を昔から知ってないと流石に無理があった。
「えっと、じゃあ本当に未来からやって来たの?」
未来の俺の本当の子供に向かって投げかけ疑問は、うん!!と言う嬉しそうな言葉と共に帰ってきた。
あはは…なぁ信じられない事ってさ実際に起きると驚いて何もできないよな。
こうして、俺の回想は今に繋がっていると云う訳だ。
だからこそ、この非現実的な状況に俺は頭が痛くなった訳だった。
そして香織ちゃんはこっちへ向いて「パパこれからよろしくね!!」と俺に笑顔で言ったのであった。
読んでいただいた皆様へ本当にありがとうございます。
自分の作品は拙くて誤字脱字や読みづらさもあると思いますが、
少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
不定期更新になるとは思いますが、これからも誠心誠意書いていきますので
よろしくお願いします。
読んでくれた皆様本当にありがとうございました!!