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薄緑の浅瀬  作者: Macaron
4/5

初めての遭遇

急に忍び笑いをした謡を見て少し驚いたが

わけを聞いて納得した


(あれは衝撃的だったからなぁ)


私を抱いていた謡とは違って

私は痛みで目を閉じることができなかったから。

私は師匠のしたことを全部見ていたのだ


森から出てきた師匠を見ながら私は

師匠と会った時を思い出していた

――最後が見える


謡が私をかばうように抱き着くが

ここまでかこまれたら何の意味もない


太ももに刺された矢の痛みで目を閉じる事もできず

ただ襲い掛かってくるワンコを見つめていた


まず、襲い掛かってくるワンコに氷の柱が突き立った

そして、後ろからも湿った音が響く中


弓をつがえたまま戸惑っているエルフの後ろに


男が棒を振ってエルフ達の首が飛んだ


そのまま放心していると謡が恐る恐る振り向いた


「大丈夫か?」


男の声で気が緩んだのか、痛みに耐えきれなくなったのか

はたまたその両方なのか


私の意識は暗転した





「――いいだろ――なんだから――べつに――」


声が聞こえる


薄く眼を開けるとたき火が

その向こうに盛大な独り言を言っている男がいた


(なにをいってるんだろう?)


いまだ盛大に独り言ちている男の声に耳を傾ける


「だ か ら ちゃんとやるって言っているだろう

給料分はちゃんと働く

あくまでもついでだがな。気やすめだとは言え

少なくともチュートリアルくらいは必要だろう」


(なにをいってるんだろう?)


先ほどとは違う意味の同じ疑問が浮かぶ


「起きたようだ

はなしはおわり。異論は認めん」


見ると謡が身じろぎをしている


「…んっ」


「起きたか。体は平気か?」


「あなたは…?

体って――っ遥は!?」


謡がこちらを見る

が、それよりも早く私は驚愕とともに跳ね起きた


「足が痛くない!!」


私の早すぎる反応に時が止まる


「――無事…みたいね…?」


何とも言えない空気の中


「………」


男が、何かを言った気がした


「さて、聞きたい事もあるだろうが

まずは自己紹介から始めようか」


初回授業のような事を言った


「俺は黒森飛沫だ」


「私は、一花遥ひとはなはるか――の姉でうたいです」


「ナニその愉快な自己紹介!?

私は一花謡――の妹の遥です!」


「二番煎じは面白くないわよ?遥」


圧倒的上から目線にカチンと来て


「私は小2までおねしょしていた

ヒ ト ハ ナ ウ タ イ さんのいもーとこと一花遥です!」


言い切って謡にドヤ顔をしてやった



――シバラクオマチクダサイ――



「じゃあ気を取り直して何か聞きたい事はあるか?

順番に一人ずつ言ってくれ」


どこか疲れたような黒森さんが言った


「まず、あなたは何ですか?

エルフでもダークエルフでもないようですが…?」


謡が恐る恐る切り出した

すっかり忘れていたがこの男は何十といたワンコとエルフ達を

鎧袖一触に殺していたのだ


「俺はトリトンという種族だ

この通り青い髪に入れ墨とかがわかりやすい特徴だ」


当然のような黒森さんと返答


「まってください!!

なんでエルフで通じるんですか!?トリトンってどう言う事ですか!?

種族って、人種の事じゃないんですか?」


悲鳴のような謡の疑問に逆に黒森さんが困惑の表情を浮かべる


「…村、開拓村の真ん中にあった石碑を読まなかったのか?」


「目つきの悪い――やばい人がずっと石碑を攻撃してたから

石碑に近寄れなくて…」


謡の言い分を聞いて黒森さんはこちらを見た


「私はずっと村のはずれで外に出られないか試してて…

外に出られるようになったらすぐ飛び出して運よく

エルフの村に着いたんだけど」


私の言葉を謡が引き継ぐ


「遥が来てすぐ大人たちが遥から何か聞き出そうと問い詰めて

遥が何も知らないと知ると『このダークエルフが!』

って罵倒し始めて危険だったから、ずっと村の外れにいたの」


何度か黒森さんが頷くとおもむろに


「一花謡、一花遥

俺の弟子、みたいのにならないか?」


訳のわからないことを言い出した

景色を見ている謡をしり目に私は師匠に駆け寄った


「お帰りなさい師匠!

ねえねえどこ行ってたの?

いい加減教えてくれてもいいじゃん!」


私が文句を言ってもいつも通りけむにまくだけだと思っていたんだけど


「ああ、わかった。

みんなが集まった言おう」


そんな返事が返ってきてびっくりした

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