夏到来!霊媒師始めました。
夏だからなんか涼しくなるホラー書こ!と書いていたら、なぜかコメディーになりました。
こっくりさんやったことないんで知識間違ってたらすみません。
俺は、霊媒師だ。ゆーれいが見えるのだ。先祖代々霊感が強く、こないだも迷えるゆーれいを3体ほどあの世へご招待してやった。すごいだろう?ハハッハハハ。ハーハハハハハ!ハハ・・・・ハ・・・・
・・・うそだ。霊感なんて全くない。ついでに言うと先祖にもない。
なぜこんなうそをついたのか。理由は一つ。
「夏だからーーーーー!!」
「・・・なに騒いでんの?てか、人の話聞いてた?」
全く、冷めた目というのはいつ見ても気分が悪い。目の前の席に座る後藤がそんな目をして俺を見ていた。
「聞いてた。聞いてた。えーっと、まつぼっくりが見たいだって?おいおい、季節を考えろよ。今夏だって叫んだばっかだろ?」
「聞いてないじゃん!違うよ。『こっくりさんやらないか』って言ったんだよ」
「は?こっくりさん?」
俺は思わず眉間にしわを寄せていた。驚いたからじゃない。『またかよ』 という意味で、だ。
後藤はいわゆる『霊マニア』というやつだ。とにかく心霊現象や怪談なんかが大好きで隙あらばそれについて熱く語る。今だって、聞いてもいないのにこっくりさんのやり方や、由来なんかを一人で語っている。
しかもマニアにしかわからない専門用語を使うので正直俺にはちんぷんかんぷんだ。
語るだけならまだいいのだが、実際にやろうとするのが面倒だ。毎回俺がつき合わされる。というのも、高校に入学してクラスでの自己紹介で、軽いノリで言った「実は俺、霊媒師なんです!」というオチなしのギャグを真に受けたらしく、後藤は俺のことを本当に霊媒師と勘違いしている。そのせいでエンジョイするはずだった高校生活の大半を後藤との心霊スポット巡りに使ってしまっていた。霊感ゼロの二人なので今のところ実際に霊を見ることはなかったが。
もちろん何度も違うと言ったのだが謙遜としか受け取らないので、弁解のしようがない。最近はもうあきらめて霊媒師として通っている。
それにしても、こっくりさんについてこんなに楽しそうに語れるやつもなかなかいないだろう。
いまだに、こっくりさんを熱弁している後藤をあきれながら見ていると、後ろから控えめな声がかかった。
「あの、山手君・・・ちょっといいかな?」
名前を呼ばれ、後ろを向くとクラスの女子の佐々木さんが申し訳なさそうな顔でこちらを見ていた。
「いいけど、なに?」
何度か話したことはあるが、佐々木さんはどちらかと言うと控えめなタイプで積極的に男子に話しかける子ではない。だから、話しかけられたことに驚きつつ先を促すと佐々木さんはゆっくりと話し出した。
「うん。あのね、山手君たちの話が聞こえて・・・その、こっくりさんがどうとかって」
「あぁ。後藤がやりたいって言ってるんだよ。それがどうかした?」
「その・・・私も入れてくれないかな?」
「・・・え?まさか、こっくりさんに?」
佐々木さんが小さくうなずいたのを見て俺は目を丸くした。俺の佐々木さんのイメージとこっくりさんがまるで結びつかない・・・まじめで、おとなしく怖い話なんか大の苦手そうなのに。
やはり人は見かけによらない。そう思っていると、それまでこっくりさんについて語っていた後藤が目をキラキラさせて佐々木さんに話しかけていた。
「佐々木さんも好きなの?」
「え!?あ、うん」
「大歓迎だよ!本来3人程度でやるものだから俺らだけじゃ人数足りなくて困ってたんだ」
・・・おい。俺はやる前提か。
俺はジト目で後藤をにらんだが、軽くスルーされた。
「さっそく今日の放課後やろうね!」
「・・・うん」
後藤の笑顔につられるように佐々木さんも小さく笑うと、うなずいた。
なんか分からんけど、二人ともやる気満々なんですけど・・・勘弁してくれよ。バックれる気満々だったのなぁ。
楽しそうな二人を見て、俺は大きくため息をついた。