表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/20

第一章―とある日常―

「詩帆へ  今日も残業で遅くなりそうです。ゴメンネ  母より」



短い文。走り書きで綴ってある母からの置手紙だ。


その白無地のメモ帳を、私はトーストにかかっていたラップと共にゴミ箱の中へ落とした。


いそいそと朝食を済ませ、着替えて顔を洗い、髪型を整え 計15分。重い瞼に逆らい続け、遅刻は免れた。


校則に適った黒いハイソックスに、白い夏服のセーラー。スニーカーを履いて、重い鞄を肩に掛ける。


自宅のマンションから外の世界へ出れば、それほど眩しく暑い場所はなかった。


人混みと暑さの中、デジタルの街をただひたすら走って、…


スニーカーにブレーキをかけ、駅ビル前。


電車の発車音は自分を安心させた。既に自分は電車の中、幸いなことに腰をかけることまでできた。


白い電車はユラリと動くと、線路を駆ける衝撃音と共に、私を日常へと運ぶ。



時が止まってしまえばいいのに。


そう思いながら駅で買ったレモン水を飲む。微かにそれは涙の様な味をしていた。



そして私は今日も明日も、来週も来年も変わらず、この静寂を感じ続ける。


根拠などないが、今までがそうだったからそうとしか考えられなかった。






「次はー、御代里村ー、御代里村ー…」――――







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ