表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/20

十四、安心からの不安



その先には道という道が続いている。


だが、まだ建物どころか人の一人も見当たらなかった。


「結構道程が長いですね…あれ?」


疲れをちらつかせている自身の足。雨乃に振り返り口を開いた。


しかしその言葉を聞いていたのは、吹き抜ける風のみだった。


視界には渡ってきた吊り橋と、自分を見上げるへどろの湖。


一人ぼっちであるという確信に、不安が灰色の霧となって頬の傍を横切る。


不思議と気味が悪くなり、その感じがぐるぐると心臓を取り囲む。


「雨乃さん…?」





―――――此処に居ては危ない、先を急げ―――――




刹那、少年らしき声が響いた。


あまりにもすぐ傍で話しかけられているように感じたが、そこには確かに誰もいない。


「誰…どこにいるの…」


小さく声を出したが人の気配はなく、それからその少年らしき声も聞こえなかった。


訳が解らなくなり、微かに痛み始める頭を押さえる。



さっきまでそこにいた雨乃はどこへ消えてしまったのか。


いきなり自分に話しかけてきた声は何だったのか。


もやもやと謎を考え込み、一人。足の疲れにその場にあった木の陰にうずくまっていた。


雨乃に村を案内してもらうはずが、肝心の案内人がはたりと消えてしまっては、どうにも進みようがない。


困り果てていると、足元にひらりと何かが舞い降りてきた。


見ると―――虫食いもなく真っ紅に染まった、一枚の紅葉の葉だった。


「何で…?この辺、紅葉の樹なんか見当たらないけど…」







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ