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序章
20xx年、東京。
すっかり現代化してしまった今、昔は田舎だったこの街も、デジタルの波に流され洒落た存在となった。
熱いコンクリートの道、交差点を行き交う人々、密集した高い建物。
それ等からは未来しか見えないのか、もしくは既に未来など見えないのか。
温暖化を気にして僅かな緑も残されているが、その僅かさが現代人間たちの適当さを物語っている。
白く明るく晴れた朝、まだ学校へ行くまでには余裕のある時間を、部屋の時計が表している。今日は月曜日か…
またキリの無い一週間は幕を開ける。何度も何度も同じつまらない学校生活が。
カーテンを開ければ、窓の下から入り込む電車や車の音。建物の並ぶ景色。
振り返れば、テーブルの上には母からの残業告知メッセージが、冷めたトーストと一緒に置いてあった。
私は、進展が欲しいのだ。決してこの世の中を嫌っているわけではない。
ただ、生き甲斐が欲しい。
未来に夢を見れたなら…。