属性…? part3
「ルネ。やっぱり必要だっただろう。オーブが…」
父上が、苦笑いしながら母上に視線を向ける。
“ほらね”って顔。なんかちょっと得意げ。
オーブ?……え、オーブンレンジしか思いつかないんだけど。笑
異世界って、ほんとに言葉の意味が違う。
私がそんなことを考えてる間にも、父上と母上は真剣な顔で話をしていた。
どうやら、笑ってる場合じゃないらしい。
「じゃあ、使いましょうか。こんな石、家ではなかなか使わないんだけどね…」
「カイト、取ってもらえるかしら。今は身動きが取れなくて…」
そうだ。母上は今、私を抱っこしてるから動けない。
そして、ようやく気づいた。オーブって、あの石のことだったんだ。
さっき父上が言ってたやつね。なるほどなるほど。
私は一人で納得していた。
「承知いたしました、奥様」
カイトが静かに応じると、白い手袋をはめて、近くの机からオーブを取り、父上に手渡した。
「じゃあ、もう一度やるよ」
父上はオーブを両手で包み込むように持ち、深く息を吸った。
「リアスト・エレメンタル」
目をぎゅっとつぶって、あの冷たい感覚が来るのを待っていたけど……
何も感じない。
恐る恐る目を開けると、今度はオーブが七色に光っていた。
「もしかして……リアは虹律属性じゃないのか……」
父上の顔が青ざめている。
カイトも、静かに頷いた。
「ニイヤル様。わたくしもこの目で見ました。虹律属性でございます」
母上が、信じられないという顔で、紫色に染まったような表情になっていた。
「ニイヤル……どうしましょう」
ルイの時とは違う。空気が重い。焦りが、部屋全体に広がっている。
「この子に、こんな残酷な運命は背負わせられないわ。まだ幼いのよ。この子には属性はなかったことにしませんか」
母上の声が震えていた。
近くで叫ばれると耳が痛いけど、それ以上に、何かが怖かった。
……虹律属性って、そんなにヤバいの?
父上が私をそっとベッドに戻してくれる。
「とりあえず、カル。ルイの時と同様、いや……リアは“無属性”です。いいですね」
母上が、悲しげな目でカル兄さんを見つめる。
怒ってるようにも見えるけど、どこか泣きそうな顔だった。
「なんで母上……知ってるでしょ?無属性って恐ろしいんだよ。馬鹿にされるし、いじめられるし……」
カル兄さんが、信じられないという顔で母上に問いかける。
「それはわかっている。でも、リアはそれより危ないの。命の危機かもしれない」
父上が代わりに答えた。
……え?私、また死ぬの……?
「リアがいなくなるのはいやだ。わかった、ぼく、約束守るね」
カル兄さんが、真剣な顔で言ってくれた。
「わかってくれたらよし。今日はもう遊んでいいぞ。母上と父上は向こうに行ってるから、カイトとリアとルイのお世話を頼むな、カル」
そう言って、父上と母上は部屋を出ていった。
……また夫婦会議かな。なんか、こういうの多くない?笑
でも、私が転生して三か月でまた死ぬかもって、どういうこと?
命ってそんな軽いものじゃないし、ひょいひょい殺されても困るんだけど。
「リア。あのね、にじりつぞくせいってね、なにかを犠牲にするんだよ。命だったりね。リアは、なんでこの属性を持ったんだろう」
カル兄さんが、ぽつりと語りかけてくれる。
カイトは遠くから静かに見ているだけ。たぶん、私が理解できてないと思ってる。
「日常的な簡単なリアストは、犠牲にする必要はないんだ。でも、争いごととかは別だよ。
でも、ぼくはね、それよりも“無属性”のほうが怖いんだ。庶民だと馬鹿にされる。リアは大丈夫かな……ぼく、守れるかな」
カル兄さんは、私にいろいろ教えてくれた。
まとめると──虹律属性は、何かを犠牲にして使う力。
日常では問題ないけど、戦いや大きな力には代償が必要になるらしい。
母上が怒っていたのは、そういうことか。
でも、私自身はまだ何も知らない。もっと知りたい。
だって、隠す理由も、怒る理由も、ちゃんと理解したいから。
……虹律属性。
いったい、どんな恐ろしい力なんだろう。




