属性…? part2
ルネがルインスをそっと抱き上げ、優しく胸に抱きしめる。
「ルイはこちらに移動しますよ」
穏やかな声で、いつの間にか父上によってベッドに戻されていたルインスに声をかけると、私の隣のベッドからルネの手によって再び父上のもとへと連れていかれた。
「ぎゃあー!ぎゃあー!」
ルインスが珍しく泣き出した。しかも、怒ってるみたいな泣き方。
……まあ、そりゃそうだよね。
何されるかわからない雰囲気の中に連れていかれたら、赤ちゃんでも警戒するって。
「はいはい、大丈夫ですよ」
母上が優しく揺らしながら、背中をぽんぽんと叩く。
「うー……」
不思議と、すぐに落ち着いた。母上パワー、恐るべし。なんとなくだけど、安心感がすごい。
「ニイヤル。私がルインスを抱っこしてるから、その間に属性の確認、できるかしら?」
母らしい、でもどこか慎重な声。もちろん、私たちの母上なんだけど、こういうときのルネは“母”って感じが強くなる。
「もちろんだ。そのまま止まっててくれ。ルネにリアストがかからないようにしたいんだ」
父上の声は真剣そのもの。属性を調べるって、そんなに大ごとなの?
ていうか、私の知ってる異世界ものだと、属性診断って教会とかでやるんじゃなかったっけ?
年齢制限とか、儀式とか……。この世界では、もっと簡単にできるのか。
……って、また話が逸れてた。考えすぎた。
「それじゃあ、いくよ。リアスト・エレメンタル」
父上がそう唱えると、ルインスの体がふわっと銀色に光った。
……銀?それって、何属性?
「時属性……シルバーだ」
父上がぽつりとつぶやいた瞬間、部屋の空気が止まった。
母上も、カイトも、カル兄さんも、みんな目を見開いている。
父上に至っては、口が開いたまま閉じられていない。
……え、そんなにヤバいの?時属性って。
「んんん」
父上が咳払いをすると、みんなが一斉に我に返った。
「間違いないわよね、時属性……」
ルネが確認するように問いかける。
「ああ、この目で見た。カイトも見ただろう?」
父上が視線を向けると、カイトはまっすぐに頷いた。
「この目で見ても、間違いありません。ニイヤル様」
「さすが千里眼を持つカイトが言うなら、確かだな」
……え?カイトって千里眼持ってたの?
日本のアニメでよく見る、なんでも見通せるやつ。
まじか、ハイスペックすぎるでしょ。
「ルイのことは、本人が自分を守れるようになるまで、秘密にしましょう」
ルネが静かに言う。その目は、母としての強さに満ちていた。
「そうだね」「約束は、生涯かけてお守りします」「はーい」
父上、カイト、カル兄さんがそれぞれ応える。
私は……たぶん、理解してないと思われてる。まあ、そうなんだけど。
そして、空気を切り替えるように、次は私の番になった。
「リアは泣かないねぇ。ママ、ちょっと心配になっちゃうよ」
そう言いながら、ルネが私を抱き上げる。
「確かに、リアはあんまり泣かないな」
父上も同意して、カイトもこくこく頷いている。
……やばい。普通の赤ちゃんのふりしなきゃ。
今泣いたらバレるよね。あとでこっそり泣こう。
……って、こっそり泣いても意味ないじゃん。
誰か、心の中の私にツッコんでほしい。三か月で歩いてる時点で、もう普通じゃないって。
「リア、準備はいい?」
父上がそう聞くので、「あいあい」と返事をすると、また真剣な顔になって、
「リアスト・エレメンタル」
その瞬間、私の体が七色に光った。
でも、熱くもなく、むしろ少し冷たい。
「光ったけど……何も感じない。いったい、これは……」
父上がつぶやく。カイトも、少し眉をひそめて言った。
「リアストの力は確かに感じられます。しかも、かなりの量をお持ちです。しかし……どの属性か、私にもわかりません」
「カイトでもわからないのか。なら、私にも無理だな」
父上が苦笑する。ルネは、私の頭をそっと撫でてくれた。
そして、父上がぽつりとつぶやく。
「……やっぱり、使うべきか。あれを……」
……なにを?




