多すぎる情報量
「んん…。えっと、カルとルイとリアは三人とも王族にあたります」
急に、おばあさまが話題を変えた。無理やりすぎない?でも、え?王族?
「僕たちは公爵家の息子と娘ですよ、おばあさま」
カルが冷静に返すけど、確かにおかしい。陛下と皇后陛下がおじいさまとおばあさまって、どういうこと?
「実は王家には代々、国民やその暮らしを知るために三つのことを行うのです」
おばあさまが指を三本立てる。
「一つ目は、公爵家として過ごすこと。二つ目は、侍女や侍従になること。三つ目は、平民として過ごすこと。国や民を知るために必要なのです」
「生まれてから六歳までは公爵家の子供として過ごします。六歳からは王家としての勉強をしながら侍女や侍従として働きます。そして八歳で学園に入学。八歳から十六歳まで学園に通い、十六歳から十八歳まで平民として過ごします」
おばあさまはさらっと言うけど――
…え?よくわからない。
働いて、平民になって、学園に通って?順番ぐちゃぐちゃじゃない?
「どういうことですか?」
カルも混乱してる。目がぐるぐる回ってる気がする。私も頭がいっぱい。
ふと疑問が浮かんだ。
「声や顔とか一緒だと、全部ばれるんじゃないの?」
思わず心の声が漏れた。ため口になっちゃったけど、大丈夫かな?
おばあさまは気にしてない様子で、にっこり笑う。
「そこで代々、王家には声や見た目など、すべての外見を変えられる特殊能力があるのです」
――ほうほう。また新しい話が始まった。
「でも、それだったら母上はばれるのでは?」
カルが復活して質問する。
「確かにそう。でもね、王家の血が入っていたら使える能力だから、今は何百人、いや何千人も使えることになる。だから“リアスト”がすべてを判断するのです」
おばあさまの声が少しだけ厳しくなる。
「リアストで桜の誓いをして力を受けることができる。悪用しようとすると能力は消える。不思議なものです」
ふ~ん。これは私も理解できた。
「リアストが桜の涙を与えた人のみ使える」
「この話を王家の血がつながっていない人に話そうとしたら、言葉が出なくなる。不思議でしょう?」
おばあさまは優しく笑う。
「詳しい説明は、理解できるようになってからね」
「とりあえず三人は桜の涙をもらいに行かないと。ニイヤル、よろしいか?」
父上が母上に目線を送る。母上は静かにうなずいた。
「ええ。ただ今日は三人とも疲れているようですし、後日にさせてもらえませんか?」
父上の言葉に、私は心の中で拍手した。だって、もう頭がパンクしそう。
カルもルイも、ぼーっと何かを見つめているだけ。だって、まだ私は二歳だよ?カルも五歳くらいだし。(←正確な年齢を覚えてない人)
その様子を見て、おじいさまが豪快に笑った。
「そういえば、お前たちの従兄弟が来ていてね。お友達と遊んでいるみたいだから、行ってみたらどうだ?」
「ねえ、おじいさま。いとこってなあに?」
ずっと黙っていたルイが尋ねる。
「えっとね、ルイの父上の兄弟の子どもだよ。兄弟はルイにとってのカルとかルイみたいなものじゃ」
「んー。とりあえず親戚ってこと?」
この会話で、思わず笑みがこぼれた。周りを見ると、おばあさまも笑っている。
「とりあえず遊びに行ってきなさい」
「はーい」
私は父上と母上に目線を送り、ペコリと頭を下げる。カルとルイと手をつないで外へ出た。
――これが後悔することになるなんて、思ってもみなかった。




