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(10-05)深森の廃村(大移動)

(10-05)深森の廃村(大移動)


 さて、お姉さんがお兄さんの薬を上級に昇格させましたので、先の宣言通り婆ちゃん塾からご卒業と相成りました。そうしますとですね、大変な事になるのです。そうです護衛としてお姉さんを守ってきたガンさんとジョルさん家もお引越しとなるのです。こちらは、以前に『そうなるよ』と言ってありますので、慌ただしさはないのですが、誰が作ったのか平屋の一軒家でございましょ、結構な荷物があるんだわ。こっちに来た時には、体一つで馬に乗っていただけなのにね。黒猫どころか、飛脚もいません、ましてや0123なんて掛けても通じません。荷物なんざ無限容量の引越し屋がいますので、どうにでもなるのですけど、お家はどうすべの辺境村村娘です。こんにちは。


1. どこに引っ越すの


 お館(辺境伯様)の裏手にある空き地を開削して農場と住まいにすれば良いということになりました。未だ2輪に未練たらたらのガンさん達は、反対しましたが、知ったことではありません。小川も流れていますしね、農業用水に関しては問題ありません。水道原水は井戸になってしまいますけど、魔道具があれば大丈夫。自動揚水と加圧魔石で上水構築。浄化槽はその場で作ればよろしい。うむ、なんの問題も無いね。


 ハンジョさんに馬車で来てもらって、お姉さんとカミさん達は馬車で、ガンさん達は馬で移動して来て、お姉さんと皆は館にて報告中。私等は只今引越し予定地にて3人で縄張り中。あの家ね、風呂釜式の内風呂だったんですけどね、一度も使ったことがなかったらしいです。浄化槽は配管を切って置き去りにすれば大丈夫だし。家そのものを全部持ってきてしまいました。


「エッちゃん、そっちへ縄引っ張ってぇ。アッセさん水平は取れたぁ?」

「はーい、大丈夫です。この辺りが浄化槽になるんですかね?」

「そうそう、後で穴を開けるからね、印付けといて」

「了ー解」

「ミーちゃん、縄張りなんて久しぶりだね、ガンさん達が来る前に畑と用水路の縄張りして以来だね」

「そうだね、平屋を立てる時は土台をそのまま使ったしね」


 という事で、2軒分の整地が完了。ついでに畑も開墾しておきました。


「ミーちゃん、畑広すぎないかな」

「大丈夫でしょ、あの二人なら。なんとかするでしょ、あっちより少し狭いよ」

「あまり変わらないような…まあ平気ですかね」

「大丈夫、大丈夫。たぶん。ほんじゃ出すよぉ」

「「はーい」」

「それっ!ほい、引越し完了。次は浄化槽だよん」

「引越し屋さんもできますね」

「黒猫印で良いかな」

「危ないですよ、それ」

「こっちじゃ関係ないもーん。でもあれか、魔獣便とかになるかな」

「あはははは『引越し荷物の魔獣便』とかですか」

「あまり嬉しくないね、それ」

「あ、井戸探ししますね」

「よろしくぅー」


 2時間で家ごとお引越し完了。井戸探索と穴掘り終了。機能検査終了。魔法万歳。


2. 引っ越し終わりました


「ミーちゃん、これさ、本当にここに住むの?」

「えっ、今までと同じだよ。なんも変わらんよ」

「「変わらないからよ」」

「いいじゃん、ちょっと文化住宅しているだけだよ」

「『文化住宅』言いえて妙ってやつね」

「ちょっとじゃない気もするけど」

「大丈夫。この先周りもこういうお家になっていくから(何年先かしらんけど)。ああ、ハンジョさんが利用するかな、生活中の先進住宅見本として、見学者を時々連れて来るかも知れないね」

「「それは別に構わないけど。お茶を出す位しかできないけどね」」

「なるほど、それは良い考えですな。その対価としてお住まいいただくとすれば言い訳にもなりましょう」

「「あ、そうか。なるほど」」


 ほほほ、ちゃんと考えていますってば、嘘ですけど。今、思いつきました。まあ、そう言う世界なんでいろいろ面倒ではございます。


3. 来客いろいろ


 お姉さんは、魔導国への嫁ぎ準備に入りました。例の煩…指導熱心な侍女長さんが来て作法の確認とか、お召し物の見繕いとか、いろいろ意見をしているようですが、少々煙たがれているのに気がついていないようで、残念な方ですね。だいたい田舎の辺境伯と少し見下しているようで、本人は単に王宮勤めの侍女長だってだけなんですけどね。

 世の中絶賛男尊中でしょ、それが身についている人だから、どうにもお姉さんとそりが合いません。『王子を』『王子が』と煩い。そもそもお兄さんが『どうしても』だったんだから、実は『やなこった』ができます。そういう取り決めなんですよ。侍女長さんが来ている事を聞いたリア姉さんは、人差し指を立てて『え、こちらに来ているんですか、シーッ、私はいません』でございます。


「よぉ、ガンドウはいるかー」

「あら、お義父さんいらっしゃい。お義兄さんもようこそ」

「「「おう、じゃまするぞ」」」

「なんだよ、いきなり来るなよ」

「いいじゃねえかよ、何時家立てたんだよ。ここは空き地だっただろ」

「お館様のお陰だよ、気にするな」

「そうか、お嬢様のお守りは終わったのか」

「ああ、後は魔導国へ嫁に行くだけだな。待て待て、靴を脱げ。上履きに履き替えてくれよ」

「めんどくせえ家だな。わぁーったよ」

「なんでだよ、面倒くせえじゃねーかよ」

「気がつけよ、自分家と比べてどうだよ、あちこち綺麗だろ。靴を脱ぐからだぞ」

「ちっ、上品になっちまって面倒な野郎だ」


 んんんん、なんかねあちこち見回して、物珍しいじゃないね、値踏みか物色している感じだね、何を考えているんでしょうかね。持ち出せる小物は、ガラスの皿位だぞ。まあ、あのガンさんの父親・兄弟らしいからねぇ、なんとなく察しられますよね。


「おい、ガン。こりゃ何だ」

「ああ水道だよ。栓を回せば水が出る」

「飲めるのか!」

「生で飲めるぞ、しっかり浄化されているからな」

「「んだとう」」

「天井に板が張ってあるのか、お館様奮発してくれたもんだな」

「おい、あの水板の丸いのはなんだ、そもそも窓が全部水板じゃねーか」

「この家はな、先進文化住宅って事で、あのハンジョ商会の商売見本になっているからな。だからでもあるんだよ、そうそう汚すわけにもいかねえんだ」

「この棒もか」

「それは『掃除機』と言って、お掃除する機械ですよ」

「こっちの箱はなんだ」

「それも『洗濯機』と言って、お洗濯できる機械ですね」

「ハンジョ商会ってのはすげえな。あそこで作っているのか」

「いや、最初に作ったのは、ミー…ああそうだ」


 ばかめ、口滑らしてやんの。根堀葉掘り聞き出された挙げ句。


「そうかよ、タダなのか。ならその親兄弟にもただだよなあ」

「「だよなぁ」」


 うーわ馬鹿まるだし理論、自分達に都合良く解釈してやんの。まるで2輪を欲しがる誰かさんのようだって、似てて当然か。


4. 魔導国3名様ご帰国


 ソバーニさんは、国へ帰ったらセイユー伯爵になっていました。ソバーニさんがなんでやねんと尋ねると、少しずつ魔道具が出回り始めたらしく、魔導感光板も魔力紋も承認試験が終了したとかで周知が始まったそうです。ほんで、隣国との橋がけ(してないけど)の功績と魔道具の実績を持って伯爵に陞爵。『周りが勝手に陞爵して行くんです。なりたくないですけど』は、本人談。


 リア姉さんも嫁入りだし、なんか王子様の挙式と合同で上げる事になるっぽい。残るはサーワ姉さん…はいるんだって、流石伯爵令嬢。嫁の決まりが早いわ。ただ、サーワ姉さんが中の上、もう少しで上級薬師に手が届くと知ると、サーワ父ちゃんが慌てて、あっちの家もあたふたと慌てて、薬師界隈ではかなり上位の位置付けとなるらしいです。ジージョさんは、しっかりと部隊長家とお話が進んでいるようで何よりです。


「達者で暮らすさね。3人共精進おしよ」

「はいっ。ありがとうございました」


 こちらもいつの間にかお弟子になっていまして、リア姉さんとサーワ姉さんが中級で、ジージョさんまで初級の上(学院卒業時同等)。うむ、できの良い弟子達で何より。


「お前さんは、上と下の差が激しすぎるさね、超特級とゴミを混在作成できる人間はまずいないさね」


 誰ですかね、そんな奴いるんですか。こまったお弟子さんですね。3人は船で送ってきました。帰りは花畑へ寄って、魔法で包んでダバーっとお花摘み。真空乾燥させてその日までお取り置き。何をするかですか、その日までのお楽しみ。


5. 誰か来た


「親父達、まさかあそこへ行かねえよな」

「行くでしょ、タダでとか言っていたから、集り(たかり)に行くんじゃないかしら」

集り(たかり)ってなんだよ、大丈夫かな」

「どっちがよ」

「ミーだよ。まぁ、たかが洗濯機程度なら作ってやれば良いだけだけどな」

「何言ってるの、お義父さん達が五体満足で帰れるかどうか心配してあげたら」

「五体満足って、ミーがそんな事するわけねーだろ。そっちこそ何言ってんだ」

「あんたは、本当に身勝手で自己中心的ね。あそこは管理放棄地で、国の法なんて当てはまらないの。ミーちゃん相手に強請(ゆすり)だの集り(たかり)なんてしてみなさい、どうなるかなんて考えるまでもないわ」

「そんな理由ねえ、巫山戯るなよ。そんな事できるわけねー。洗濯機ぐらい作ってやりゃいいじゃねーか」

「何をもって『そんな理由ねえ』よ、なにが『洗濯機ぐらい』なのよ。まるで根拠がない身勝手な話しね。ミーちゃんはね、お館様の領収入とか、領内の技術向上の為に作ってくれていただけよ。考えなしで強請る(ねだる)だけのあんた達とは違うの」


 はいその通り。よく分かっていらっしゃる。まぁ、ロウタらが出るまでも無いね。

 

「おいっ、そこの娘。ミールってのはいるか」

「どちら様ですか」

「そんなのはいいから、ミールってのはいるのかよ」


 柄悪いですねぇ、容姿がなんとなくガンさんに似ている感じがしますけど。態度も似ているしね。わざわざ聞くって事は、私の事を知らないって言う事ですよね。


「ですからお名前が分かりませんと、取次できませんが」

「頭のわりい面倒くせえ小娘だな、ズンドウだ。ガンドウの親だよ」

「いますけど、今は外へ出ておりますね(うそじゃないですよ、ここ庭だし)。ご要件をお聞きしておきますけど」

「いいから、呼んでこいって。面倒くせぇ、ぶった切るぞこの浮浪児が」


 うわ、いきなり長剣出して来た。なんだこのおっさん。ちなみにエッちゃんは録画中で、アッセさん録音中。そりゃ、魔力が揺らいでいる人達が来れば用意しますわね。


「親父それじゃ馬鹿にはわからねえだろう。ガンドウに『洗濯機』だの『掃除機』を作ったんだろ、ただで使わせているらしいじゃねえか、俺等にも出せって伝えろや」

「それなら、間もなくハンジョ商会から売りに出されるはずです。『洗濯機』が5金で、『掃除機』が3金ですのでお買い上げありがとうございます」

「あん、聞こえなかったのか?奴のはただなんだろ?そのただのやつを寄越せばいいだよ。さっさと出せや」


 はぁー、こいつらにして、あれかい。このバカ親ならあの駄々っ子脳筋が育つのもわかる気がするけどね。


「あの2軒分は、稼働試験用なので、手間賃の代わりに機械をお使い頂いているだけですよ、決して無料ではありません」


 説明しているんだから、本人だと気づけよ。無理かな。


「んだとこら、稼働試験だ、なんだそりゃ。下手に出てやりゃ、いい気になりやがってよお。ちいと痛い目を見ないとわからんようだな。躾が足りてねえな、どれちと躾けてやるか」


 どの辺が下手なんでしょうか、さっきから強請り(ゆすり)集り(たかり)にしか見えませんけど。危ないなぁ、どこぞのバカ親と同じかよ。いきなり長剣を振りかざしてきたよ。確かガンさん家って、士爵じゃなかったっけか。士爵って貴族扱いなんじゃないの?これじゃまるでゴロツキじゃん。


「稼働試験というのはですね、ご家庭でお使いいただく上で、危険はないか、十全に動作するかとお試しいただくわけですね、その後製品として流通させるわけです。その間に動作報告をお出し頂いたり、近所であればお尋ねしたりする事になります」

 

 結構やるもんだね、袈裟斬りからの横薙ぎへの捌きが早いな。なんかお得意の剣術っぽいですね。まあ速度的には下り坂って所でしょうか。近接での切合も息があっていて大変よろしい。


「従いましてですね、決して無料と言うわけではないのですけれど、ご了承頂けましたでしょうか」


 いつまでやる気だこのジジィども。いい加減怒るぞこの野郎。息が上がってきましたね、戦場でそれだと、そろそろ一撃もらってしまいますよ、気をつけないと。

 

「ちょろちょろ動くんじゃねぇよ」


 あーあ、本性が出てきたねぇ、ご苦労様ですね。そろそろ良いかな。


「要するにあれですか『家には5金も3金も銭はねえから、ちと脅せば寄越すだろうよ』と言う貧乏士爵の戯言でしょうかね」

「んだと、俺は貴族だぞ、無礼打ちで死ねやこのアマ」

「あのですね、正統な理由がない場合は、貴族であろうが、なんであろうが帝国では単なる殺人でしてね、相手がたとえ無宿のものであっても罪として成立するんですよ。そもそもここは管理放棄地なので、帝国法は通用しません。という事なので、すでに正当防衛が成り立っているんですけど、いかが致しますか。続けますか、続けますと貴方の生命は終わりますけど、どうします」

 

「ハァ…ハァ…ハァ、フッ」


 お、やめる気になった…違うね、溜を作っているだけか。こりゃ十八番が来るね。

 

「うぉりゃー、せやっ!」

 

 魔力盾の前には何をしても無力なんだけどなぁー。


「面倒臭いなぁー、そおれっと」


 スパーン


 長剣を持つ腕ごと水刃できり飛ばしました。その他2名様は、連れ帰ってもらわないといけないので、膝下を片足づつスパン。水刃って光の回復を混ぜると便利なんですよ、切り口を洗浄し、同時に傷口を塞ぐ事ができます。出血はしません。


「…………えっ……ぎゃぁーーーーー」

「うるさい、とっとと帰れ。ばあか」

「この人殺し野郎、覚えていやがれ」

「野郎ではない、お嬢ちゃんだアホ。腕忘れるなよー、あと汚い足」

「ミーちゃん、本当にタダで品物を出すと、難癖つけてでも集って来るんだねぇ」

「ねぇ、前にも言ったけど、碌でもない輩が多いでしょ」

「困ったものだね」

「ねぇ」


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