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(09-17)深森の廃村(御要望)

(09-17)深森の廃村(御要望)


 Q.クリスマスはいつですか?

 A.現世にはキリスト氏がいません。連れてきてください。


 師走で御座います、師走と言えばサンタクロースですよ、サンタさん。いつの間にかハイハイを卒業していた護衛さんズ二世達に、押すと太鼓音が鳴る手押し車をプレゼントしてみました。寒中忙あり(字が違う)の辺境村村娘ですお寒う御座います。


 両家に於かれましては、1日中トントントントンと音が鳴り響き、朝早くからキャッキャキャッキャと笑い声が絶えず、私の頭頂が眠たそうなガンさんの拳でグリグリされる日々で御座います。解せん。


1. 洗濯機(要望)


 いつも通りの昼食時間。食事の後は居間区画でゆったりと過ごします。居間とか言っても宿屋の食堂区画を半分仕切って床下を掘り下げ、膝下くらいの床を追加しただけですけど。ちなみに一階部分は入口受付と厨房を除いて板張りです。土足禁止になっています。受付の隣は足洗専用の温水シャワーがありますので、大丈夫ですよ。乾燥機の導入もあり、革靴足のあの香りはいたしません。ついでに言えば、魔導掘り炬燵付き。作ったはいいけど、誰も此処から出ようとしやしねえ、ガンさんなんか最初からここでご飯食べてるもんなぁ。止めときゃ良かったかな。


「ねぇミーちゃん、冬ってねお洗濯が大変なの。分かるかな」

「ヒルダさん急にどうしたの。冬場のお洗濯?手が荒れるのが嫌とか?手洗いだと汚れ落ちが悪いとか?時間がかかるのは嫌とか?『用事を済ましている間に勝手にお洗濯をしてくれると助かるわぁ』とか、後は『子供が大きくなって、ちょっと目を離すと何処かへ行っちゃうから、おちおち洗濯もしていられないのよ』とか」

「それよそれ、その通り。全部よ全部。流石ミーちゃん」


 洗浄魔法ができるようになったんだから、他の光魔法化もできるんじゃないかなと思って二人を見てみると・・・行けるじゃん。今まで気にしていなかったんですけど、何しろ『エイッ』で終わっちゃうもんで。(ミッ)ちゃんの回復でできる事が分かってからずっとこればかりだったんですよね、ヒルダさん達は、出産で家に戻ったときになにかあったらしくて、最近魔法を使っていなかったそうです。気が付かなかったよ。


「二人とも魔法でできそうだけどね、魔道具の方が良いの?」

「うーんとね、家に帰ったときに魔法を使っちゃうとね、いろいろあったのよ。ご近所さんとかも変な噂が立ってみたりね。『憶測で物を言うな』と思うんだけどさ、人の事は言えないの」

「あはははは。『私もそうだったわ』みたいな」

「へへぇ、うん、そうそう。そういう事」


 先に精霊魔法を皆へ広めないとだめって事ですかね、誰か塾とか学校を作りませんかねぇ。


「手荒れかぁ、アッセさん何か作らなかった?卵関係とかで」

「試しはしましたよ、馬油とかで。頭数が少なすぎて供給が出来ませんでしたけど」

「ああ、大規模に飼っている所なさそうだもんね」

「そうなんですよ、普通は農耕用とか運送用に回されてしまって、なかなか手に入りません。自前で飼わないとなりませんでしたから、それは大変過ぎるかなって。それと誰もお肉を食べたがらないので、油以外の需要がないんです」

「アッセー、馬って食えるのか?」

「何を仰るガンドウさん。草食だから臭みもないし、ちゃんと食べられますよ」

「そうか食えるのか。非常食にできそうだな」

「何こっちみてるの、僕の魔天号は食べないでよ」


 話が逸れましたかね。


「で、ミーちゃん。お洗濯は?」

「光の回復魔法で…あ、だめか。光が届かないと斑になるわ、回復魔法なら簡単なんだけどなー、残念。普通に水洗いになりそうだね」

「光魔法ってお洗濯も出来るの?」

「できるよ『ホイッ』て感じで」

「わっ、これ楽じゃない。これを魔道具にするのじゃだめなのかな」

「衣類が重なると下の方に光が届きませーん。かき混ぜたとしても斑になっちゃうんだよね。回復魔法なら、簡単な繕いも兼ねられるんで楽なんだけどね」

「そっかぁ、でも綻びの修繕もできるのは良いわね、それは別にして欲しいかな」


 まぁ、そうだよね。


「水と風の魔法で済ますか、機械動力を利用するか、どっちが良いかな」

「もう考えついたの!」


 そりゃまぁ、東芝さんだっけ?半世紀以上前に第壱号機を出しましたしね。水洗いならそのまんま電気洗濯機で良いはずです。


「たぶん、できると思うんだけどね。少し実験してみるね」

「お願いね」


2. 掃除機(要望)


「はいッ!はいッ!じゃあ私は、家のお掃除がもっと楽になる事を希望します」

「それなら広域清掃の魔法で…魔力切れで倒れますかね?」

「うん。アッセさん、普通の人は倒れるね。消費が多すぎるね」


 掃除機ねぇ、小型の蒸気機関でも作るか?無理だわな。あの大きさの中に蒸気機関?そりゃだめだわ。あ、ジュンちゃんの真空でガラス掃除したな、海の廃村で。フウちゃんの方が効率良かったんだっけ?それは置いておいて、掃除機ね。ビニールみたいな軟質樹脂は存在しないから蛇腹なホースは作れませんね。カーペット等をビタビタ叩くビーターヘッドとか、ブラシヘッドならなんとかなりますかね。構造は…初期にあった布地フィルターで漉す感じになるかな。


「うーん、エッちゃん。できるだけ目の細かい布地って今ある?」

「布地?え~とね、絹を重ね織りしたのならあるよ。手触りが良くて、光沢があるの」

「丸底の籠を覆えるように半球の袋状に縫えるかな、その布地」

「半丸の袋?ん~と、できるね…うん大丈夫。もう思いついたの?」

「ずっと前にさ、海の廃村で水板(【ガラス】)のお掃除したじゃん」

「あぁ、あれか。でも魔法じゃだめでしょ」

「うん、あれをね、魔道具にすれば良いかなって」

「そうか、そうか。缶詰め魔力があるもんね、あの方法を使えばいいのか」


 そもそも掃除機ってのがそういう仕組みだしね、吸い込んだ空気を後ろから吐き出して、パックにゴミを溜めるんだから。サイクロン方式?仕組みが解りません。渦流の起こし方、あれが解りません。解らないと魔法化出来ません。旋風を起こしますでしょ、それの排気の仕方を思いつけません。おーい、大損さぁん。


 (1)丸底の竹籠を用意します。

 (2)外側を覆うようにして袋を作ってもらいます。

 (3)その袋を籠の内側に取り付けます。

 (4)円筒の枠に籠を取り付けて、反対側へ丁字型の竹製吸い込み口を付けます。

 (5)籠の底に排気気流を起こす風魔石を設置します。

 (6)卓上焜炉が犠牲になりました。


「へいお待ち、とりあえず実験」

「早っ!」


 シューンと空気が抜ける音と共にホコリが吸い込まれていきます。調子は上々。止めると中に吸い込まれたゴミが転げ落ちてくる。そりゃそうだよね、逆止蓋がないんだもん、当たり前ですわね。いろいろ工作する必要があるけど、ひとまず奥さんズに試して貰う事にしました。


「わっすごいわね、これ。籠をひっくり返せばゴミ捨てができるようになるのね。あっという間に終わりそうよね、お掃除」

「ミーちゃん、こうさ、なんて言うかな、懐中燈火みたいに部屋を照らすと綺麗になって行く魔道具はできないかな」

「あぁ、ヨルダさんそれが広域清掃魔法ね、あの手の魔法を道具化するとね、見た目が簡単な割に販売時にはすっごい高価になってね、アタシ等庶民には手が届かなくなるし、持っていると羨ましがられるどころか、妬まれるかもしれないよ」

「そうなの?」

「そうですわね、広域魔法というのは魔力消費が大きいですから、その分お高くなるでしょうしね、ソバーニさんどう思います?」

「そうですね、懐中燈火のようにすると言うのは良い考えだと思います。けれども、確かに高価にはなりますね。それこそ王侯貴族向けではないでしょうか」

「なるほど、いろいろあるのねぇ」

「という事で、あきらめてね」

「残念だけどね。でもお掃除の魔道具はすぐにできそうね。よろしくね」


3. 自立走行車(希望)


「ミーちゃん、あの馬車あと少しで動力化できそうですよね、なんとかなりませんかね」

「アッセさん、動力を載せて地を走れってか。未だ無理だねぇ、宙に浮くようにする方が簡単だよ、船と同じで良いんだから。ただし、浮くための魔力補助に大きめの生物魔石が必要になるけど。具体的には魔馬二頭分くらいの魔石」

「そうなんだ」

「そうだよ、馬の代わりに動力を載せるとね、まず細い車輪が保たない、次に車軸の支えが保たない。何より曲がれないし、まともに止まれない。理由は、対応できる機構を考えつかないからだけどね。結構前から考えているんだけどね、未だに考えつきません」

「そうだね~、魔導国に行った時からだもんね~」

「ねー」

「地上を走らせるのはそんなに大変なんだ」

「うん、地上走行物にはね、魔法が使えないんだよ。精霊がいないじゃん。土でも風でもないでしょ、機械にしかできないの。空圧浮揚板(ホバーボード)はさ、あんなの街中で飛ばしたらどうなると思う。ここと違って土埃が舞い上がって、非難轟々。二度と行けなくなるよ」

「なるほど、それは困りますよね」


 この辺りってのは、森の入口なんで草がすごいのですよ。人の魔力も豊富(誰のだよ)なので、それはもう日々これ成長でニョキニョキ伸びる。なので、芝じゃないけど、短く切るとお馬さんのご飯になると言うほどに結構な環境なのでございます。当然サボると歩けなくなります。すげぇです。


 (1)凸凹道を走るには、車輪を太く空気入りにしないと衝撃に耐えられない。

 (2)曲がる仕組みと『内輪差』を克服する機構を考えないといけない。

 (3)馬車より速くしたければ、止まる機構を丈夫にしないと危険極まりない。

 (4)皆が乗るようになると、決まり事を沢山作らねば危ない。


「問題点と言えばこんな感じかね」

「内輪差って何ですか?」

「馬車がね、交差点を曲がる所を想像してみて」

「馬車はそんな小回り効きませんよ。あ、だから曲がる仕組みから作る必要があるのか」

「4輪の乗り物が自力で曲がろうとするとね、内側と外側で前輪の角度とか、後輪の移動距離が違うんだけど、判るかな。こう軌跡図を書けば判る?」

「あっ、距離に差があるんですね。馬に引かれるだけなら大丈夫だけれど、動力輪の場合は…どうなるんでしょう」

「リア姉さん気がついた?まぁ、曲がろうとした途端に壊れるだけだろうけど」

「それでは、意味がございませんね」

「かろうじて出来そうな仕組みはあるんだけどさぁ、操作できる人がいるかどうかだね。アタシは自信ないぞ」

「えっ?どうするんです」

「箱はそのままでね、馬の代わりだけを機械にさせて、箱を牽引するの」

「曲がる時は?」

「曲がり具合に応じて、内側の回転数を下げてあげれば良いの。それで曲がりながら少しずつ元に戻せば曲がった先で直進するでしょ」

「微妙な操作が必要そうだねぇ、間違えると横転しそう」

「うん。あっ!左右2輪じゃなくて前後2輪はどうだろ。考えた事がなかったな」

「2輪車?今度は僕が操れるかな」

「知らん」

「酷い」


4. 掃除機(製作)


 所謂ハンディ型って奴で宜しかろうと思います。横型は蛇腹パイプを作れませんし、縦型はベッド下なんかには向きません。自律走行式?コントローラ下さい。障害物センサーは探知魔法でできそうなんですがね、その先が…残念、思いつきません。


 ヘッドは、一角魔兎の体毛をコの字型に纏めてブラシにします。魔狼の体毛は硬すぎて、野獣のは柔らかすぎて、だめでした。そのパッキン兼ブラシ台座は親分狼の皮。パイプは竹製で、釣り竿を思い浮かべて貰えば良いと思います。繋ぐことも出来ますしね。黒漆で補強して出来上がり。本体は逆止蓋を取り付けて、ゴミパックと布フィルター。排気用風魔石に(止)と(強中弱)の3段階に調整した吸引力選択用回転切替器。魔圧調整器と魔力の缶詰(いつの間にか名称になってしまった)。必要以上に集塵部分の気圧が下がった場合は、一応止まります。


「奥さんズ、これで試して」

「もう出来ちゃったの?すごいわね」

「この前のと同じだからね」

「わっ、これ軽い。片手で使えるのね」

「うん、もう少しすれば子供も持てるようになるだろうから、その時は『危ないぞ』ってのを教えてあげてね。本体の置き場所は、子どもの手が届かない所にね」

「「危険?」」

「吸い込み口を顔に向けたら危ないでしょ。目や耳に当てたらどうなると思う?事故って言うのは『そんな馬鹿な』と思う事が起きるんだよねー」

「あ、そうか。便利なものは危ないものでもあるのか」

「そうそう、便利になれば危険さが増すと思ってね」

「思いもよらなかった。そういう事ね、私等も気をつけないといけないって事ね」

「うん、そうとも言う。じゃ、宜しく」

「「はーい」」


5. 洗濯機(考察)


 普通に水でお洗濯をするとして、渦流をどうしましょ。風の魔石で旋回流(スワール)を起こせばなんとか…なりそうです。サイクルは、洗濯→脱水→濯ぎ→脱水→濯ぎ→脱水ですかね。水量の適量検知は、所要回転トルクの検出でしょうか、思いつかないと言う意味で無理です。常に一定量になってしまいますけど、しかたが無いです。水量の検出は、浮き玉で宜しかろうと思います。水の魔石でも良いのですけどね、魔石の数はなるべく減らしたい。上水からの注水口には耐圧型のホースが要りますよねぇ、無いね。設置時に石化管を特設するしかないですね。


 注水弁の操作は電磁ソレノイドで…ねぇよ。いや、魔導ソレノイドならできるな、ジュンちゃんが。脱水は排水が終わったら、中籠ごと旋風で一度遠心脱水しましょう。水回りパッキンは海蛇様。


 手順を所要時間毎に動作させるには、タイマーが要りますね。それは、どこで買えますか。黒鉄ゼンマイと真鍮歯車で計時機構を作るしかないか、時の精霊はいないんですよねここ。歯車ねぇ?どうすっかね。


6. 平歯車


 どうしても思いつかない歯車の作成なんですけど、何が原因かと言うと歯車の歯そのものでして、単に三角に削り出せば良いのではなく、歯と歯が滑らかに噛み合う為にはそれなりの曲線を描いていないといけないはずですし、適当に歯数を設定すると噛み合わない事もあるはずなのです。たぶんナントカ曲線とか呼ばれる物なんでしょうけど、それが解らないのですよ。


 ナントカ曲線と言うと、名前だけ覚えているのが『サイクロイド曲線』。直線上を滑ることなく円が転がるときに、円のある一点が描く軌跡です。高速道路のカーブなんかに使われています。計算?覚えていないに決まっているではありませんか。


 とは言え手をこまねいているのも癪なので、とりあえず木型を製作してみる事にしました。目標は大が32葉で小が16葉、分度器ないです。圧密材を使って、歯を入れていきます。大歯の寸法(山+谷)は24[㍉]で、直径がおよそ245[㍉]くらいになる予定です。型紙を円柱に貼り付けショリンと削ります。アド君が。んで、そのナントカ曲線ですけど、ないと只の三角ではガタつきが酷いのです。到底使えるものではありませんでした。タイマー用なので、小さいので良いのですけど、小さいのはさらに思いつかないのですよ。プラスチックの押出成形みたいに出来れば良いのですけどねぇ、プラ材…売っていませんね。


「何をしているんです」

「うん、歯車のすり合わせ部分の曲線が巧く行かないの」

「あぁ【インボリュート(伸開線)】でしたっけ?そういう曲線」

「えっ?インポがどうしたって」

「女の子が男に向かってそういう事を言ってはだめです。泣きますよ」

「知っているのかっ!ライデン」

「僕はライデンじゃないです」

「生成式知っているの?」

「でも【サイン・コサイン】が要りますね。【三角関数表】はありますか」

「それ欲しい。下さい!」

「持っていません」

「だめかー」

「はぁー、そうですよねー。概要は思い出せても細かい所は全然ですからね。狡したくてもできない事の方が多いですよね、無敵の【チート】下さい」

「生憎と持ち合わせが無いんだよねぇ。【関数電卓】持ってない?」

「持っていないですね、買って来ますよ。お店は何処ですか」

「遥か彼方のあっちの方かな?異世界とか言うらしいけど」

「伸開線の定義って、たしか『曲線に巻きつけられた糸をたるませないようにほどいていくときに糸の端点が描く軌跡』ですよね、大きく製図したものを縮小できれば良いのですけどね」

「縮小?…………あっ!【パンタグラフ】!」

「【電気】を集めてどうするんですか。そもそも架線ないですよ」

「そっちじゃなくて、図形縮小具。それなら作れるよね」

「なにそれ、【青猫ロボ】じゃなくて?」


 パンタグラフってのは、適当な長さの板に等間隔に穴を開け『✕✕』となるように接続し、接続点を変更することで相似図形を描くことができる定規であります。半歯分を書いて裏に表にしながら32と16回。製図が出来ました。後は、アド君が頑張ります。


「っしゃぁー」

「うーわ、作っちゃった。それで、何が出来るの」

「洗濯時計作りたいんだけど、あれの構造知らない?鉤爪みたいなのを使っている程度しか知らないんだよね」

「あぁ、そういう事か。今時は【コンピューター】がお知らせでしょ、【ゼンマイ】でチンなんて無いです」

「なんとかならないかなー」

「誰か万能な【チート】さんがこっちに来ないですかね?」

「ここの神様(ひと)、おちゃ女神っぽいからだめじゃないかな。そもそも私等事故物件らしいし」

「事故物件てなんですかそれ。なんとなく分かりますけど」

「まぁ、無いもの強請りしても仕方がないねー」

「そうなんですけどね、できればもう少し文明が進んでいる世界だったら楽できたのに」

「まあね、【ラノベ】で言う所の【ナーロッパ】だもんねー、それも中期相当品」

「そうですよ、【スマフォ】に【ネット】ないかなぁ。検索すれば出ますよね」

「あははははは、後千年生きればなんとか」

「無理」


 マヨネ酢さんのお陰でやっと歯車の糸口が見えました。さて、タイマーの中身を知っている人はおらんかね?マヨネ酢さんじゃないけど、【チート】さん【チート】さんはいませんか?


7. 小型歯車


 歯車やらなんやら大きいのを作って、それができたら、パンタグラフで小さくすれば良くないかって事でやってみました。青銅をベースに真鍮製歯車のが出来ました。やれやれ。時計ではないので正確な時間と言うのは要りません。適当にゼンマイが解れていくように振り子と二股の爪車で歯車を抑えてあげれば良いのです。洗濯と濯ぎ用にそれぞれタイマーを取り付けて、開始時に排水弁閉鎖と注水、浮き玉が上がりきったら、旋回開始。終了時に排水して、浮き玉が下がってから脱水処理して次のタイマーにバトンタッチするようにしたら、動けやッ!


8. 洗濯機(納品)


「奥さんズ、できたよー」

「えっ!春頃になるかと思ってた」

「アタシは当分できないと思っていたよ。アッセさんの助言ですごい進んだのよね」

「どうやって使うの?」


 取り扱いの説明をしながら、ついでにお洗濯。


「汚れが酷い時は、洗濯時計を一杯まで回せば良いのね。あの人達だとあり得るわね」

「後ね、これを洗剤といっしょに使ってみて」

「なにこの粉」

「汚れ落としの補助剤。一回で半さじ位かな」

「分かったわ。お洗濯も楽になりそうね、暇ができたら何をすれば良いかしら」

「それは作れないね」

「「そうよねぇ「あはははは」」」


9. 只の通話機だよ


 アッセさんも通話機を持ちたいと言う事で、作ることにしました。


「あ、形はですね、手に収まる位の長方形で、表面は水板が入っているとそれっぽくて嬉しいです。あっ!その水板の裏に絵とか写真を挟めると、もっとそれっぽいかもしれない」

「所謂、【スマフォ】」

「それです」

「でも、【タッチ】も【スクロール】もできないよ、そもそも画面じゃないし」

「良いんです、安心するんです」

「あ゛ー、【スマ中】がいる」

「なんですか、それ」

「歩き携帯中毒患者」

「そこまで行っていませんでした。多分」

「あら、めずらしい」


 木を圧縮して圧密材にします。シュルッと内側を削って、取替は難しいので、ゴームを粘着剤として周囲を囲み、ガラス代わりの水晶板に嵌ってもらいます。受話魔石を取り付けて、水晶板に風精霊印を入れると、全体がスピーカになります。送話の魔石は、外部スリットから取替ができるようにしました。押すとピョコッと出てきて、取り替えができます。本体表面は黒漆塗り。


「なんか、高級感がありますね」

「表はただの水晶板だからね、重くない?」

「大丈夫です。あ、思わず【フリック】とかしてみたくなりますね」

「そんなのないぞ」

「えへへへへへ」


 通話機に頬ずりしてやがる、自覚のない変態だ。やべぇ、こいつ元中毒だ。


 それでは皆さん


 船体を

 槌でたたいて

 除夜の鐘


 ゴワーン


 良いお年を。


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