(09-12)深森の廃村(闇精霊)
(09-12)深森の廃村(闇精霊)
ジュンちゃんが帰ってきません。技法が古すぎるのか、解呪が難しいのか。早く闇の精霊さん達を開放して上げたいものです。なぜか人が増えてしまった深森の廃村ですが、この地は放棄になりそうです。さてどうしましょうの辺境村村娘です。こんにちは。共和国二人組は、取説持って格納庫に宿泊中。ハンジョさんは、馬車で領都に戻りました。
1. 空飛ぶエッちゃん
エッちゃんが空を飛びたいそうで、教える事になったのはいいんだけど、今の魔力量なら手本を見せれば重力の事を無視して、美白ちゃんがなんとかしてくれるかなと思いつきました。良かった美白ちゃんが来てくれていて。
「ひとまず、浮いてみせるね。それを真似して想像すれば、美白ちゃんだっけ?なんとかしてくれると思うんだ」
「そうなの?わかった」
ということで、とりあえず高度30[㌢]から。
「どお?自分が浮く所を想像すればいけるはずだけど」
「ん~、ソレッ。おぉぉぉ、浮いた。・・・・・」
「魔力の減り具合はどう?浮いている時になくなると、まずいからね」
「ほとんど減らないみたいよ、これなら大丈夫。前、後ろ、右、左。うん、平気」
「木より高く『ちょっと行ってくる』飛んじゃだめだからねっ!って遅かったぁー」
はい、そうです。ここは森。深い深い森の入り口。木より高く上がるとですね。
「ぎゃぁ~~~~~~!」
「おお、集まってきた。本当にあいつら飛ぶのか。初めて見た」
「僕もだよ、飛ばれると結構怖いね」
二人とも他人事だと思って、ひでぇ。息も絶え絶えにエッちゃんが戻ってきました。それでもパニックにならず、あいつらに囲まれる前に降りてこられたのは偉いです。
「ぜぇ、ぜぇ、はぁ、はぁ、死ぬかと思ったぁ~」
「人の注意を聞かないからです」
「早く言ってぇ~、い~や~、何あれぇ」
「掃除虫」
「それは、知っている。なぜ飛んでくるの!」
「知らん。何故だろうね。飛行船には近づかないのにね、生身だと来るんだよね」
「迷惑、もっと高く飛んで見たいのに、残念」
「そうだよねぇ、あっ!ちょっと試してみよう」
ということで、木の高さ位から、徐々に高度を上げて行きます。早速引き返して飛んできましたが、来る前に倍、さらに倍と上昇すると、500[㍍]ほどで周回を始めました。それより上には来ないみたいです。何の為に飛んでくるんだろう。鳥類の獣とか魔獣には寄って来ないみたいなんだよね、それ以外には魔法しかないと思われるので、理由も目的もさっぱりわからないよね。
「うーんとね、あいつらが来る前に500[㍍]以上に上がってしまえば、大丈夫そうだよ。理由は分からないけど。ほんで、3000[㍍]は越えないこと。空気が減るからね」
「なるほどって、高さはどうすればいいの?」
「風の子か、美白ちゃんが、教えてくれるよ」
「そうなの?精霊さん凄いね。耳栓があって良かった」
2. 闇の魔王^h^h女王^h^h精霊王様
今ですね、目の前に妖艶な女性がいます。前に会った言の葉の精霊王さんは、バインバインの美人さんだったのですけど、今度の精霊王さんは、激しく妖艶。色っぽいより、艶っぽい。あやしげな美人さん。
「うちの子達を助けてくれたのは、貴女かしら」
光の加減かな、濃紺だったり紫にも見える長いドレスで、スリットだっけ?切れ目。とても深くて、御御足がスラッと。パンツ履いているのかな?見えそう。
「貴女、何か可笑しな事を考えていない?」
「ソンナコトハナイデスヨ。闇の精霊さんの事ですかね。助けた訳ではありませんけれど、石は持ってきました」
「そうですわ、久しく見かけないと思っていたら、古の魔法で封印されていたと白の子から聞きましたの」
「そうらしいです。それで、開放する方法が分からないので、ジュン…白の精霊にお願いしたんですけど」
「そうですわね、精霊の子達では古の封印呪法は、解けませんものね。ただ私でも、世に出てしまった封印環には手を出せませんの。貴女お手伝い下さるかしら」
「はい、アタシに出来ればですけど」
「そうね、ひとつ手にとって、石に鎖のような物が見えるか、確かめて下さいな」
「はいっ。えーっと、金色の鎖が何本か光っていますね。あ、錠前みたいなものがある。それで閉じられているっぽい」
「錠前?そこまで見えますのね、それなら簡単ですわ」
「開ければ良いんですかね?」
「その通りよ、ただ鍵がないから、どうしたら良いかしらね」
「あ、この手の古い鍵なら大丈夫です。カチャっと」
「…は?それで開いてしまうの?人間が開けられるとは思いませんでした」
精霊女王様が驚いていますけど、昔の鍵なんぞ、ちょっと引っ掛けがあるくらいだから、魔力盾の要領で鍵を作れば、チャチャッと開きますがね。
〔うははは、流石ミール。変な子〕
〔変な子ってなによ、こんな初期の錠前なんか、ピンで開けられるってだけだよ〕
〔そうは言っても、ねぇ白の。こんな簡単に開くとは思いませんでしたわよ〕
〔だっよねぇ、あはははは〕
〔あ、アッちゃん。こんにちは〕
「この後は、どうすれば良いですか?」
「しばらく待って…出てきませんね。寝ているのかしら」
「よし、叩き起こそう『おーい、起きろぉー』」
ペシペシ叩くと、黒い玉がもっそりと出てきました。寝起きかよとか思ったら、次から次へと、おい、一個の石に何人入っているんだよ。
〔闇の!おはよう〕
〔うん〕
〔寝ぼけていないで、シャキッとしなさいな。水を掛けますわよ〕
〔いい〕
後は、3人で流れ作業。エッちゃんに、石へ魔力を入れるのを手伝って貰って、マヨネ酢さんがペシペシ。
「ところでさ、マヨネ酢さん。この子たち見える?」
「はいぃ?精霊って見えるの?さっきから誰と話しているの?」
「あ、そういう事か。うんとね、闇の精霊女王様かな?たぶん」
「えぇ、そうよ。そうね言ってなかったわね。その通りよ」
「ミーちゃんはね、精霊が見えて、見えるから話せるんだって」
「えぇぇぇぇ。そんなのありですか、なんですかそれ」
「あ、これどうぞ。精霊会話耳栓。名前は付けているでしょ?」
「名前はなんとか付けられたけど。本当に見えるの?狡くない?狡いでしょ」
「狡いって言われてもねぇ、アタシのせいではありません」
「だよねぇ、しかたがないよね。マヨネ酢さんも諦めましょう」
「・・・・・本当だ、聞こえるようになった。凄い!何これ」
「ね、そうだよね。面白いよね」
「貴女、雑談しながら良く鍵を開けられますわね」
なに、光ちゃんにお願いして、錠前を調べて貰ったから、ホイホイ開けられるだけなんですけどね、それにしても全部同じかい。手抜きだろう。助かるけど。
「よーし、これで今ある分は終わったぁ。あ、他にも見つけたら鍵を開けちゃって良いですかね?」
「そうね、問題なければお願いしておこうかしら」
「解りました」
今はどうなっているかと言うとですね、宿の周りは溢れ出た寝起きの闇精霊だらけ。普通では見えないんだけど、私の周りはまりものような黒玉だらけ。
〔それでは、お礼はまた後で。皆行きますわよ〕
〔ふぁ~い〕
〔寝るなー!起きろー、生きろー。じゃあね、まったね〕
〔ごきげんよう〕
〔はい、またね〕
大丈夫かよ。
「へぇ、この石って、空になると透明になるんだね。魔法は?あぁ、これ魔導具でもあるんだね、いつもの隷呪環と同じか。闇精霊の印が入っている。あれ?色付きの隷呪環って南部辺境伯にも付けちゃったよね。あれにも入っているのかね?あっ、まさか」
手持ちの蜥蜴さん家の隷呪環を出してみましたが、色は付いていても、精霊の存在は感じられませんでした。有りと無しがあるんだね。これは注意しないといけないな。
「隷呪環が沢山手に入っちゃったね。どうするかね?全部魔石だし、首輪はともかく、腕輪の方は高そうな気がしない?」
「う~ん、ワタシにはわからないけど、マヨネ酢さんは?」
「僕もこういうのはからっきしですね。宝石商にでも持っていかないと」
「知り合いにはいないね。いいか、鞄に入るようになったから。邪魔にはならんよね。当面『女の魔道具一号』にしちゃえば良いよね」
そんな話をしていたら、精霊王様が戻ってきて、お礼をしてくれるっていうので、精霊を見られるようにできないかって聞いたら、エッちゃんとマヨネ酢さんが名前をつけた精霊ならできると言う事で、なんかイヤリングみたいな物をいただけました。ネックレスとしても大丈夫そうなので、まぁ普段はそっちに。
「女王様ありがとうございます。こっちでいいのかな」
「僕も、ありがとうございます」
「見えたっ!春水ちゃん?初めましてじゃないけど、初めまして。ミーちゃん、ありがとう」
「あ、なるほど」
「そうね、特例みたいなものですからね」
「僕も、良かったんですかね」
「良いんじゃない?貰っとけば」
「これからも見つけたらお願いね、ではごきげんよう」
「「「はい、ありがとうございました」」」
女王様は帰っていきました。
「あ、エッちゃん。声に出すと変な人扱いされるから気をつけてね」
「そうだよねぇ。ミーちゃんも前はそうだったもんね。判った気をつける。早く慣れないとね、変な人になっちゃうね」
「なるほど、それは気をつけないとまずいですよね。僕も早く慣れないと」
「ふっふっふ、当分変な人が見られそうだ。はっはっは。そうだ『貴族の前では素振りを見せない、使わない』。じゃないと取り込まれると思うんだよね。気をつけてね」
「そうだよねぇ、魔法ってだけでも今はまだ危ないんだよね」
「なるほど、そうですよね。僕も気をつけないと」
「そう言えば、マヨネ酢さんは貴族だったね」
「もう、違いますよ。追い出されてしまいましたし」
「なんで?金の成る木だったのにって、まあ良いか。個人情報、お家の都合」
「そうですね、そのうち。まだ、思い切りが良くないです」
「「はーい」」
で、早速エッちゃんとマヨネ酢さんは、頭をあっちこっちに向け始めました。いえね、黒い子がフヨフヨしているんですよ、2玉ほど。二人に聞くと、気配っぽいものは感じるそうなんですよね。それで、何をしたいんだろあの黒玉は。
「闇の精霊魔法ってどういうのですかね」
「なるほど。ミーちゃん、使わないと寄ってこられないって事かなぁ」
「そうか、律儀だねえ。うーん、闇?闇ねぇ、あぁ!これかな?」
影渡を実践してみました。なるほど、人の場合は精霊がいないと実現できないのかも知れないですね、トリィは素で出来ていたという事ですかね、羨ましい。
「ミーちゃん、トリィみたいに影渡ができるんだ。ワタシもできるかな。エイッ!」
「えっ!えっ!影から影へ移動できるんですか?何それ、何それ。えっと、えっ?難しいですよ、想像するのって」
「おお!一瞬で移動できるんだ、すっごいねこれ。はい、こんにちは」
エッちゃんも影渡ができるようになって、精霊さんとお友達。うむ、マヨネ酢さんはトリィのを見たことがないからね、自前でなんとかしてね。
「影渡は難しい?じゃ、これは?『黄昏よりも暗き存在、飛球となりておのが周りを虚無に滅せよ』」
「なんですかそれ、あはははは」
「虚無球。それっ」
超小型ブラックホール。ピューっと飛んで木の先っちょが消滅。どこへ行ったのかしらね、我ながら危険だ。
「あ、そうか。それならなんとか…本当に消滅しますね。危ないですね、これ」
「まぁ、使わなければ良いんじゃない?」
「そうですよね、危険すぎますよね、あっ、こんにちは」
「あれっ?アタシの子は?どこに居るんだ」
〔やっほー、さっきはありがとうね〕
〔なんの、毎度お世話になっているからね、できる事があって良かったよ〕
〔ところでさ、女王様がね、あんたの近くに私が知っている闇のがいるらしいって教えてくれたんだけど。それで、どこよ〕
〔は?なにそれ。精霊が?感じ取れないけど、どこよ〕
〔そうだよね、いないよね。どこよ〕
〔闇の精霊?近く?まさかね…うーん…あっ!いた。いたよ鞄に〕
まさかと思って、鞄の中を探索したら、いました。寝ている闇の精霊が。あれっ?大きくないかね。
〔はぁ?鞄の中?出てきなさーい〕
〔うるさ~い…あ、白の。ひさ~〕
〔あんた、いつから鞄にいたの?〕
〔結構…前。ここ…居心地…良い〕
〔何?この子。こんにちは。で、なんで1/6の中級なの?〕
〔中級は…闇の裏技〕
〔〔なんじゃ、そりゃ〕〕
鞄から、闇の中級精霊が出てきました。居心地が良いってなんだろう。駅から5分みたいなもんかね。それで、着ているのがネグリジェかよ。起きてくる気無いでしょ。
〔名前付けた方が良い?無理に付けても良くないし〕
〔名前…無くても良い…ここ…住んで…良い?〕
〔それはいいけど、いいの〕
〔ここ…気持ち…良い〕
〔あいかわらず、ポエポエして、眠そうにしているわね、この子〕
〔闇って、そういうもん?〕
〔うーん、他の子は、ちゃんと起きているからなあ、この子だけかもしれない〕
〔面白い子だねぇ。はい、貴女が良ければ、自由にしてね〕
〔ありがとう、お休み〕
〔〔なんじゃ、そりゃ〕〕
〔まぁ、良いや。居るのが分かったから、じゃまたね〕
〔はーい、またね〕
本当にいつから入っていたんだろう。面白い子だ。
3. 明日はどっちだ
船長のイルガさんが、格納庫の天井を見上げています。
「先団長、あれギャラスの筒に入っていますけど、光球ですかね?」
「そうだよね、全部光球だよね。給魔は?蓄魔は?どうなっているんだろ」
「そう言えば、屋根になにか魔石が貼り付けてありましたよね」
「あぁ、あったね。まさかと思うけど、あれで魔力生成しているのかね」
「有りえますね、ミーくんなら。魔力生成して、どこかに溜めているって事でしょ」
「そういう事だろうね。どうすれば、こんなもの考えつくんだい」
「そうですよねー。とんでもない子ですね」
「あっはっは。本当にね。我が国に欲しいよね」
「そう簡単には、来てくれないでしょうけどね。来たら来たで、政府が欲を出しかねませんしね」
「そんな事したら、国が消えるよ」
「まさか。それはないでしょうけど、武力で押したら、どうなるかわかりませんね」
「いや、たぶん消えるね。あの子の鞄。大聖堂と教会街区が入ったんだぞ、首都一つ位たぶん入るね」
「そうか、ありえるのか。それはまた、すごいな」
「さて、これ以上いると帰れなくなるよね、この取説貰えないかね?」
「言えば大丈夫でしょ。それと、送ってくれますかね?あ、帰りは私ですからね」
「残念、分かったよ」
「いいじゃ無いですか、来た時は一度も代わってくれなかったんだし」
二人は、これ以上こっちにいると、海が荒れる季節になるとかで、残念ながら帰る事になりました。取説?良いですけど。副長さんのお土産それで良いのって聞いたら、十分過ぎるって言われましたんで、持ち帰られる小さな物って事で、ウィスキー樽と万年燈火を渡しておきました。船長さんすまんね。
あ、万年燈火ってね、陽光魔力発生器と蓄魔があって、日が暮れると自動的に光球が点くだけのもの。それで、溜めた魔力がなくなると消えるのね、閾値って便利ですよね。




