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(09-11)深森の廃村(真教国)

(09-11)深森の廃村(真教国)


 マヨネ酢さんが加わりまして、中の人の事をこっそり聞いてみたら、女性でした。やっぱり記憶が曖昧で、ぼんやりとしか思い出せないそうです。これはおちゃ女神やらかしたな。それと、覚醒なのか誕生なのかは不明のままですけど、1年ほど時期がズレていました。あちらの方が早かった。こっちに来たのが同じ原因だとすると、まず間違いなくおちゃ女神がやらかしていますね。でも、漸く精霊王様が言っていた人に会うことが出来ました。辺境村村娘です。こんにちは。

 

1. 精霊真教国へ


「むぅ。自動操縦なんて無いな。エッちゃん、精霊真教国まで付き合ってぇ、上で旋回していてくれればいいから」

「それで良いの?下へ行くのは?」

「船の魔法を自分にかければ良いのだよ」

「そんな事ができるのか。帰ったら教えてね」

「もちろん」

「私も行っていいかな。上にいる間にいろいろ見学したいんだけど」

「どうぞ、どうぞ」

 

 まずは、温泉谷の人達だねぇ、昨日の今日じゃまだ生きていますね。きらびやかで立派な様相をしている人を片っ端から調べて命令書を探しました。従者っぽい人が持っていまして、はい確定。魔力鞄を強引にこじ開けて、飲食以外は没収。やっぱり今のうちに乗り込もう。


「よし、今のところ死亡者ゼロ。今のうち。あっ、舵輪持って見ます?」

「良いのかい?もちろん」

「そう言えば、前の船の舵取りってどうしていたんですか?棒しか見つからなかったんですけど」

「力技。こりゃ良いねえ。女の腕でも回せるじゃないか。この棒の数ってのは何か関係するのかい」

「あ、やっぱり。それはそれで、凄いな。あぁ、それならこの設計書をどうぞ。一応理由も書いてありますよ」

「良いのかい?私等は何をすればいいのかね?」

「何も、淡海(たんかい)の向こうとか、塩海(えんかい)の向こうとか、一度は行ってみたいじゃないですか。行った先の様子って、冒険譚でさえ判ら無いんですよ。それでね、偶然船が手に入って、漸く行けそうな所まで来たでしょ。その次は国があったら、そこに入国できるか否かですよね。お手伝いいただければなぁーって」

「そういう事かい。それなら簡単さ、もう十分すぎる位だよ。その時は任せな」

「そうですか。その時はよろしくお願いしますね。エッちゃんは、行く?」

「もちろん。お他所の大陸だよね。村から出ずに一生終えるのかなって思っていたんだけど、村どころか国を出て、2つも国を通り過ぎて、今度は大陸だよ?行けるのに、行かなかったら勿体ないよ」

「そうだよね、よーし、次は地面の反対側へお連れしよう」

「地面の反対側?その次は…月?」

「「「あはははは」」」

 

 舵取りをしながら、マラウィさん訝しがっていますね、操作感が違うもんね、もう一つは水対応の舵で空気を扱うんだから、効きが悪いのだ。というよりほぼ効かない。

 

「ねぇ、この舵って効きが良くないよ」

「あぁそれはですね、普通舵の相手って重い水じゃないですか、今は空気が相手で、空気って重さ感じないでしょ」

「なるほど、そういう事か。別の手段を考えないといけないということだね」

「そう、今は風魔法で無理やり曲げているんですよ。その出力が足りなかった。舵の大きさとか形とか、空気の事とか、まだいろいろ研究しないとだめでしょうね」

「なんとまぁ、いろいろあるもんだね。まあ我が国(うち)としちゃあ、ひとまずは機械動力からだから、ずっと先になるかね」

 

 予想ではもう少し効くはずだったんだけどね、航空機の尾翼と言うのは、それなりに仕事をしていたらしいです。次の形状は、飛行艇だろうかね。


2. お宅訪問


 さて、真教国に到着致しました。直接行っても、どうせしらばっくれるでしょうし、自分たちを棚に上げて、こっちを(なじ)ってくるのは目に見えていますけど、全国放送できればなぁ、実況生中継するんだけどなぁ。残念。

 

 さてその前に、本堂たる大聖堂とも言うべき所を調査させて頂きましょう。(ミッ)ちゃんの『光学隠形』を発動。あまり明るい所だと、陽炎みたいな揺らぎが見えてしまうみたいですけど、建物内であれば、まず見つかりません。ほぼ堂々として、テクテクと歩きまわります。下への階段があれば下へ。下へ、どこまで続いとるんじゃ!あ、地下3階で終わってくれた。なんか墓みたいだな、未成人のような小さい人骨が沢山。気味が悪いったらありゃしない。その時、下男のような出で立ちの人が、新鮮な遺体を台座に放置していきました。私と同年齢位?かな。気持ちが悪いので、写真を撮って、とっとと上へ行きましょう。検体?やだ。

 

 次は、上への階段。上へ上へ。こちらも3階まででした。大聖堂の割には中は低いのね、どうなっているんだろう。外からの見た目では、10階建て位は在ったのにね。と思ったら、あったよ。小間使が使うような、壁の隙間にある狭い階段。上に上がると、苦しげなうめき声。危ねえ、なんか危ねえ事している。こそっと部屋を覗いて写真撮影。口に出来ないような卑猥な行為が行われていました。あっちの部屋でも、こっちの部屋でも。何ぞここ。まるで肉塊みたいな男と、私位の年齢の子(男女問わず)が組んず解れつ、そう言う事をしているわけです。真教とは碌でもねえ所だ。撮影数が増えた。


3. 殴り込み


「よし、録音開始」 

 

 一発ものの特別なんで、長時間録音対応でございます。M(agical)M(edia)C(ard)みたいなのがあればねえ、無理だけど。思えば叶うぞ、そのうちに。誰か作って。

 

「こんにちはー、何方かいらっしゃいませんかぁ」

「なんだね君は!どこから入って来た」

「えっ?正面入口ですけど」

 

 同時に、慌てて門番さんが報告しに入ってきました。

 

「アンブラーミ枢機卿に申し上げます。たった今、賊が侵入…誰だね君は?」

「賊ではありません、ミールです。このような命令書をお持ちになった方が、武装した団体を伴い、アタシが住まう所にいらしたんですけど、どういう事でしょうか。名指しで殺害とか書かれているんですけど、ご説明いただけますよね。賊と言えば、そちらの方が賊ではないですかね」

 

 先の命令書をババーンと見せてみました。しっかりと、殺害が明記されています。

 

「何!という事は、管理放棄地の者か。兵団はどうした、全滅させたのか!」

「いやですよぉ、千人を天に送るなんてしたら、寝覚めが悪いじゃないですか。少しの間寝てもらっているだけですよ、生きていますよ、たぶん。それで、説明は?」

「枢機卿、直ちに排除致します」

「ふむ、良い、少し待て。どうせこの大聖堂では魔法は使えぬ。こんな小娘がいくら魔法に長けていようと、何もできぬよ。さて、君は何をしたいのかね?」


 魔法が使え無い?うそん。今だって身体強化に、魔力盾を使っているんだけどな。これだって魔法だぞ?精霊魔法の事かな?

 

〔アッちゃん、ジュンちゃん、使えるよね?〕

〔使えますわよ、変な事を言う人間ですわね〕

〔あっ、あの人的には使えなくなるんじゃない?あんたは別格〕

〔あっち基準か!そうか、なるほど〕

〔〔そうそう〕〕

 

「このような命令書の元、謂れなき襲撃を受ける所だったわけですよね、その説明をして頂きたいのですけど。次第によっては報復措置を取らせて頂きます」

「それは、面白い。できるものならやってみなさい。さて、そうだね、襲撃の理由だったね、そんな事は決まっておるではないか、精霊会話盤なる怪しげなものを市井にもたらし、あたかも精霊が話しているかの如く人心をたばかり、神聖なる我が教国を貶めようとしているのは明白。これ以上の謀反を見逃すわけにはいかぬよ」

「これは、ニックノ・アンブラーミ枢機卿ではありませぬか、何をしておいでで」

「ホール・モン枢機卿でありますか、いえねそこの小娘が、我らの聖なる討伐を、事もあろうに殺人であると言いましてな」

「それはまたおかしな事を。邪悪なるものを成敗するのは当然のこと。ふむ、これはまた類を見ぬ程の良き娘ではないか」

 

 来ましたー。ねっちょり視線。

 

「うへぇ、そのおじさんさっき上でこんなことしていましたが、崇高なる行いってこれですか?」

 

 先程の写真をばら撒いてみました。焼き増し需要対応複写機能でございます。あ、モンとか言う大豚さんが顔真っ赤。

 

「今度は、愚にもつかぬ作絵か!えーい、殺せ…いやひっ捕らえよ、私が直々に尋問してくれよう。加虐性癖とは、何事か!少女の悪しき行いを正してやっていたのだ」

「いや、『加虐性癖』なんて言っていないし、なんだ、自分で判っているじゃん」

「弓隊!射て!手足を狙い動けなくせよ」

「あひゃぁー、まんま性癖丸出し。そんな事をすると、この街なくなりますけど、宜しいですか?」

「何を世迷い言を『街を無くす』だと、面白い、やれるものならやってみよ」

「あ、はい。解りました。ご許可ありがとうございます」


 ビシュッ!カラン、ドシュッ!カラン。


「何だと!魔力の盾か!なぜ魔力消滅が効かぬ、その陣は闇の魔力消滅魔法陣だぞ、魔法が使えぬはずだ!」

「だから無駄だってば。では、仰せの通りに街を消滅させますね。ごきげんよう」

 

 光学隠形、空中浮遊で大広間から移動。

 

「何!どこだ!どこに消えた。魔法か!なぜ魔法が使えるのだ!」

「残念、そんな貧弱な魔力陣ではどうにもできませんよ」

 

 大聖堂を中心とする教会区を囲む城壁まで来まして、収納。範囲指定枠がホワンと光ると、一瞬で鞄の中へ。上でエッサホイサしていた枢機卿さん達が落ちて、下にいた人達と一緒に、ベチョッ!生気を失っていた人達も一緒。ごめん、呪ってもいいよ。更に一番ご立派な法衣を纏った人豚さんが、執務机と一緒に上からピューでゲショ!。

 

 そうするとですね、可笑しな事が起きました。拡張鞄ていうのは持ち主が死亡すると、鍵が外れるんですよ。中身が全部出ちゃうのね。そうしたらですね、例の隷呪環がそりゃもうどっさりと、何方の鞄からかは知りませんが、あちこちに山が出来ていますので、複数の人達からでしょうね、出てきました。

 

「なんじゃそりゃぁ!」

 

 当然、撮影ついでに回収したのですが、その多くが回収不可。なんで?

 

「あれ、なんで入らないの?あっちのには入っていたのに」

〔あっ!お願い!あれの石をなんとかして集めて。早く〕

〔えっ?うん、わかった〕


 斥力域で囲い込み、上空へ。船の翼格納庫へドサッ!船、落ちねぇで良かった。

 

〔説明は後ね、ありがとう〕

〔どうしたしまして〕

 

 ほんじゃ帰るか。

 

「ただいま」

「おかえり。いや、凄まじいね、あんたの鞄。街一つ丸ごとかい」

「えっ、はっはっは。内緒ですよ」


〔で、ジュンちゃんや、あれ何?〕

〔あれね、闇の精霊が封じられているのよ。出してあげないと〕

〔はっ?えっ?そりゃ大変だ。どうすればいい〕

〔ごめん、ちょっと王様に聞いてくる〕

〔分かった、待ってるね〕

 

「ミーちゃん、あの首輪だの腕輪だのは何?」

「あれね、アタシの鞄には入らなかったの、闇の精霊が封じられているみたいよ」

「そんな事ができるのかい?真教ってのはどうしようもないね」

「ねぇー、今精霊さんが解き方を知っている精霊さんの所に、聞きに行ってる。さて、下の部屋に下ろすか」

「どうするの?」

「倉庫と客室があるんだよね、そこへとね。もうちょっと操船しててね」

「は~い」

「任せな」

 

 早速、入り口を開けて客室区画へ移し替え。なんと一層目の客室が埋まっちゃったよ、すげぇ量だ。

 

「お待たせー、じゃ帰ろう」

「ミーちゃん、あの教会はどうするの?」

「管理放棄地の新街道沿いに出してね、各国から調査団を出してもらって、納得するまで見てもらうしかないかな」

「そうだね、それが良いね。それぞれが納得しないと、どうにもならないよね」

「うん、通達を出しながら帰る事にしましょう。まずは近場の魔導国へ」

「はいよ」

「すっかり操縦席の主ですね」

「ハッハッハ。船乗りだからね。こいつは面白い。港であいつを拾っていいかい」

「船長さん?船長さんも、好きなんですか?当たり前か、船乗りだもんね」

「そうさ。見せてやりたいんだ。どうかね?」

「構いませんよ」

「よし、まずは魔導国の城だね」


4. 港町


 置き去りにしていた馬車を回収しつつ、船長さんを呼びに行く事にしました。獣畜用昇降口も厩舎もあります。作っておいて良かった。


「おーい、イルガは居るかい」

「あ、船団長。ご無事で」

「あぁ。それでね、こいつに乗っても良いってさ。乗るかい?」

「えっ!そりゃもちろん」

 

 言うが早いか、既に乗船。

 

「うえぇぇ、ひでぇよ船長」

「副長、後宜しくな。いいじゃないか、土産持ってくるよ」

「「面白い人達だね」」


5. 水上の船上


「ミー君。あれは、用足はどうなっているんだ」

「水が出て、流れるだけですけど」

「なぜ水が要るのだ?」

「水が出て、後を洗うためですよ。船の中狭いでしょ、臭うのは嫌です」

「そうか、女の子だもんな。そりゃあいい。普通の船にはないんだよね」

「そう言えば、それらしい場所すらなかったな」

「だろ?」


 船長さん、あっちへ行って驚き。こっちへ来ては、感嘆符。


「ミー君、あの機関はどう言う事だ!人が要らないではないか」

「あー、船員さんが仕事なくすかな。いや、機関員が新たに必要だから大丈夫か」

「なるほど、それなりに仕事はあるのか」

「今は特殊状況だから、一人でも動かせるようにしてありますけどね。同じ船を作るとすると魔導具だらけで、バカ高い金額になりますから、普通は船員さんが必要ですよ。おそらく帆船と変わりません」

「そういう事か。いやそれにしても、驚いてばかりだな」

「あんたも私と同じか。面白いよな、この船」

「そうですな。いや、本当にこれはお見事。さて、操舵を代わって下さい」

「やだよ」

「ご自分だけ楽しんで、ずるいですぞ」

 

 皆同じだ。


6. 後始末したら廃村へ


 後は、帝国と王国へ空からこんにちは。調査団の依頼書を渡して、新街道の真ん中辺りに大聖堂をババーンと降ろしまして、謁見広間で写真展を開催しておきました。招待状がないと中へは入れませんので、ご安全。


 帝国なんてどうでも良いし、為政者なんだから、当たり前な対応かなとは思ったのですけどねぇ、問いただした所、当初思った通りでした。放っておけば、回りが便利になって行くんだから、いいじゃんね。なぜ鳴かずんば、殺してしまえになるかねえ、偉そうに。いや、偉いんだけどさ。未遂とは言え、身勝手さに腹が立ったのが収まらないので、お城を含む周辺を一式、賠償して貰いました。あ、脅してなんかしていませんよ、ちゃんと皆退避させましたよ。報復?どうぞお好きに。今度は、帝都が消滅するだけですけど。

 

「ただいまー。お客さんだよー」


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