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(09-08)深森の廃村(船艤装)

(09-08)深森の廃村(船艤装)


 一日中まだ暑いですね『いい加減涼しくなれよ』って毎年思っています。船の艤装ですけど、別に砲塔を取り付けたりはしませんし、レーダーも無ければ、自衛兵装もありませんから、居住設備を取り付けるだけですけどね。甲板上の構造物は船尾楼閣以外ありませんので、全通甲板のようになっています。上部構造物過多により復元能力がなくなるってのはないと思いますが、別に計算したわけではないので、どうなるか分かりません。辺境村村娘です、こんにちは。


   【船内図】

                         舵柵鶏楼

                        楼航海室窓

   嘴嘴嘴--舟艇錨錨翼翼翼翼翼翼翼翼舟艇水柱昇船長室窓

      首水厨房柱錨食堂室室水柱室室室室用柱降室室庫尾

       首倉倉柱錨室室室室用柱室室室室用柱路室室庫尾

        首倉柱錨船員所倉用柱酒酒酒水水柱厩厩厩尾舵

        首倉飛倉バラスト倉空倉バラスト石動動動尾舵

       球竜竜竜竜竜竜竜竜竜竜竜竜竜竜竜竜竜竜竜

       

1. 手すりがないと落ちるよね


 相当に傾いたり、上下に揺れたりしても平気なように調度を揃えていきます。棚の扉は全て鉤爪の引っ掛けフック付き。椀や皿などの什器は、木です。割れては困る。


 それでですね、船縁の安全設備ですが、手すり部分がないと困りますよね。船首に立って風を受ける、タイタニックごっこが出来ないじゃん。さてそうすると、手すりの縦棒が問題でしょ、同じものを量産しないといけないんですよ。ただの丸棒でも、角柱でもいいですけどね、なんとなく装飾を入れたいじゃん。昔の寺院とか西洋城とかの廊下に見られる装飾した石柱のような見た目の手すり。格好良いでしょ?よし、作ろう。

 

「あーっ、ずれたぁー」

「ミーちゃん、これは難しいよ。型紙があってもずれちゃうよ」

「だよねぇ、熟練の腕がいるよねぇ」

「うん、白と木の精霊さんがいても、人の目と想像がずれちゃうと、同じにはならないんだね」

「そうかぁ、そういう事だねぇ。難しいな、これは」

 

 一点ものの木型を作るには、アド君がいますので、指先でひょーいっとできるのですけど、大量に同じものを作るには適していません。手すりの支えとか沢山要るでしょ、その支えも同じ形じゃないと、見栄えが悪いじゃありませんか。でね、型紙を作りまして、指でなぞるようにして切削加工しようとしてみた結果がこれ。なんかこんなゲームがありませんでしたっけね、ほら、2本線の間に棒を通す『いらいら棒』でしたかね、そんな名前だった気がしますが、まさにあれ。


 こういう場合は、飾り対象の木材を回転させて、案内情報に従った切削工具が、前後左右に移動して、シュルシュルッと削ってくれる機械があると便利だと思いませんか?そういうのを、数値制御式(NC)旋盤と言います。他には、刃物の方が回転して、固定した対象物を削るフライス盤というのもあります。

 

 切削工具台を手前と奥方向にはレールで、左右にはネジで動くようにして、台の手前にガイドローラーを取り付け、それに張力を掛けるためのバネがないので、工具台から重りを吊り下げ、切削台が跳ね上がらないように奥側を多少重くしてみました。

 

 台座移動ネジをクルクル回すと、切削台が案内板をなぞるように前後に動きながら移動していき、回転対称に装飾を施します。その回転対称を固定するには、どうするか。爪が開閉する保持器があって、それに連動する3つの爪が電気ドリルの取付口的な感じで付いてくれれば文句ないのですが、残念仕組みは知りません。なんとなく、蚊取り線香のような、渦巻き歯車が入っているような気がするのですけどね、分かりません。人間の感性に任せることにしました。中心が出るまで頑張ってねと言う事ですね。実際にやると、結構時間がかかってイライラするんですけどね、後世に任せたぞ。

 

「これはいいね、削っている削っている。ブレなくするまでが大変だけど」

「ねぇ、思ったより大変だったよね。支えの仕組みは思いつかないんだけどね」

「爪が同時に動いて中心を取るんだよねえ、誰かに期待しよ」

「そうだねぇ、それしかないか」


 およそ、100本近い、手すりの支持棒が出来ました。多分に自己満足ですけどね。いつもの鍛冶屋さん達の所でお披露目すると、早速作り上げまして、木工工房へ。木工工房さんは、噂を聞きつけた人達から、食卓の足だの椅子だの、階段の手すりやらのリフォーム注文が入ってウハウハ状態となりました。


2. 天火


 木造船ですよねぇ、中で火とかは使えるんでしょうか。たぶん下敷きとして防火用にレンガでも敷けばなんとかなると思いますけど、危ねえな。どうしていたんだろ。残骸にそれらしい場所はあったのですけど、既に設備が無くなっていました。耐熱石板?在ったとしても、真っ先にどこかへ行っちゃっていますよね。

 

 この世界の魔導焜炉ってのは、火力が足りませんでね、精々熱湯を維持できる程度なんですよ。それも結構な魔力注入が必要となりますので、専門の担当が必要になるみたいです。天火なんかもほぼ同等。燃料と言えば、今のところはもっぱら薪か木炭。ご安全にと言うならば、よし磁気誘導加熱…電力なんてなーい。

 

 竹筒に井戸水を入れます。だいたい15度位でしょうかね、もう一つ同じ形の竹筒にも入れまして、こちらは動かしません。先の竹筒を魔法で上下に振ります。ひたすらシェイクします。不思議でもなんでもないですが、フリフリ水の温度がものすごくちょっとですけど上がるのです。

 

「うわっ!本当だ。少し温度が上がっているみたい。どうして?」

「冬場にさ、人が集まって押し合い圧し合いするとどうなる?」

「んーと、暖かくなるかな」

「じっとしていると寒いでしょ。それで、お水が人みたいに粒の集まりだと考えて」

「へぇ、春水ちゃんもそうだって言っているね、粒粒なんだ」

「そう、小さいから繋がっているように見えるけどね。振ると粒粒が擦れあって温度が上がるのよ」

「えっ?じゃぁすっごく沢山振ると、お湯になるって事?」

「そう、お肉もお魚も、お水を含んでいるものは、そのお水を沢山擦れあわせると、温度が上がります」

「沢山てどのくらい?」

「1秒間に24億回」

「は?やったのそれ」

「アタシじゃないけどね」

「精霊さん、よく過労死しなかったね」

「いやいや、精霊さんが動かすわけじゃないよ。動かすのは魔力」

「あっ、そうか。そうだよね。そしたら、春水ちゃん。1秒間に24億回お水の粒を動かしてぇ、お願い、エイッ!」


 巧くイメージできるといいのですけどね、どうなったかと言うと。

 

「うっそぉ。本当にお湯になった。すごーい。じゃあ次は、お肉ね。ソレッ!」

 

 焼き目は付きませんけどね。

 

「うっわー。乾いたまま茹で上がっているようだね、これはすごいね。エステリーナは?濡れ毛が乾くかな」

「焼け死ぬよ。不思議なことに内側から焼けるからね。温風でよろしく」


 電波じゃあるまいにと思うんですけどね、不思議にも内側から加熱されます。電子レンジと同じなんですよ、なぜかなんて分かりませんけど。そんなこんなで、魔導天火がロールアウト。ただねぇ、単一電池大の鉱物魔石に満充填しても15分位しか使えない。『単一電池大の魔石』となると、結局魔石の消費量がバカにできなくなりますなぁ。 


3. 焜炉


 やっぱりね、茹でステーキより、焼き目ステーキの方が、美味しそうじゃないですか。ということでですね、焜炉も要るんですよ。できれば省魔力の方が良いですよね。さて、どうするかと言うと、水の精霊に、水に溶け込んだ魔力を取り出してもらう事にして見ました。

 

〔アッちゃん、水の中の魔力を取り出すなら、それらしい様子を想像すればいい?〕

〔えーと、出来そうですわね。でもお水の魔力と言っても、大気中より少し多い程度ですわよ〕

〔用途的には、人の保有魔力を補填できれば良いんじゃないかな〕

〔あぁ、お助けする感じでしょうかしら〕

〔そうそう、全部じゃなくてね、足りない分を補うの〕

〔それなら、大丈夫そうですわね〕

 

 ということで、船底に魔導銅板を貼り付けて、魔導線で焜炉に接続。とろ火から強火までの4段階しかありませんけど、調整レバーに魔力補充機能を持たせて、同時使用で蓄魔器を充足する事にしましょう。


 天板には、それっぽい魔法陣模様を描けば、魔導具と思ってくれるでしょう。地上ではアッちゃんの代わりに、エル君にお願いする事にしました。おかげさまで、宿の厨房に天火と焜炉が揃いました。


4. 夏いですわ(2)


「ミーちゃん、暑いですわ。また、凝乳(ぎょうにゅう)氷菓を作って下さいな」

「何を贅沢な。あれ?何か既視感。えーと、卵がありません」

「使わないものは?」

「あれが入っていないとねぇ、だめだしなぁ」

「なんとかして下さいませ。大丈夫、ミーちゃんならできますわ」

「このお嬢様はぁ」

「あはははは」

 

 仕方がない、牛乳から練乳を作ります。煮詰めるのに時間がかかるのですけどね、魔法の世界でエーンヤコーラ。氷をシャカシャカ細切れにします。器に盛って出来上がり。

 

「なんですの?氷だけ?あらッ?この濃いめの乳は良いですね」

「ただの氷ですのにね、削るとまた違った舌触りになるんですね。面白いです」

「多めに掬わないと、溶けちゃうんだけどね」

「「「「そのようですわね。ンーーー!」」」」


 よしっ!今日は行けた。


「ミーちゃん、皆どうした…ンーーーッ!」

 

 こめかみを抑えて、足をジタバタ。はっはっはー。

 

「やっと収まりました。なんですの、これは。毒なのかしら」

「違いますよー、一度に沢山食べるとなるんですぅ。うひゃひゃ」

「知っていましたね、酷いですわ、もう。どうすれば良いのかしら」

「普通に、少しづつ食べれば起きません」

「もう、この子は。悪戯にはなりますかしらね」

「ミー、そろそ…また変なもん食ってるな。氷?なんだそれ」

「食べる?はい、どうぞ」

 

 大きめの匙を添えて、お召し上がり下さい。

 

「おぅ。ウガーーーッ!何だこりゃ!いってぇー」

「ミーちゃん、これはなんだい?食べ物なのかい?」

「「「「面白い事を考えますわねぇ」」」」

 

 ワハハハ。水を抜いて、掃除をしたら今日はおしまい。


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// 分子運動による加熱は、摩擦熱ではありませんので、真に受けてはなりません

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