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(07-11)深森の廃村(螺子式)

(07-11)深森の廃村(螺子式)


 新たな魔法の記録装置は良いのですけど、筐体を止める為には、今のところはめ込みやら、割ピン留め位しかありません。あるいは、接着するとか。不便ではありますが、そうとは言え、いきなり3[㍉]ビスを作ってねとか無理です。さていかが致しましょうかの辺境村村娘です。お寒うございます。

 

1. 魔鉄

 

 ボルト・ナットとは言っても、そもそも締め付けとかに耐えられる金属がありません。チタン?無理無理。この世の中には、魔鉄と言われる鋼鉄に匹敵する鉄はあります。溶融した状態で魔力を込めるか、特定の魔獣から作成した骨粉を混ぜて合金にし、冷却するとできるそうです。但し、自在に操れる鍛冶師さんはさほどいないらしいですけど。先日の街行で魔鉄のインゴットがありましたので、買ってみました。うーん、魔鉄?魔力が込められている?どの辺に。よーく魔力視をしますと、入っていますね、薄っすらと。あまりに魔力値が低いので、とりあえず。

 

「エイッ!」


 残念、入りません。魔銀と異なり、溶けていないと入らないみたいです。それではと、欠片をるつぼに入れてリトちゃんパワー。ほんでもって『トリャッ!』。物には限度と言うものがありますから、入れ込み続けると飽和します。魔鉄改の出来上がり。ついでに未使用新品の大狼の骨を削って、溶けた魔鉄に混ぜてみたら、ビカッと光って、少し黒味が少ないですけど、魔鉄改が出来ました。ビックリした、光るとは思わなかった。それで魔鉄改の先を適当に尖らせ、ナイフ状にして魔鉄の固まりをギョリギョリっと。なんと、魔鉄が削れてしまいました。

 

 とりあえず、超魔鉄としておきますが、購入した魔鉄と比べると、黒味が増している気がします。あれかね、フライパンの黒錆みたいなもんかね?錆びにくくなるやつ。なんとなくですけど、鉄と鉄の隙間に魔素が入り込んで、丈夫にしている感じがあります。良いか、固くて丈夫なら。もう一度熔解し直しても性質は変わりませんでした。これなら鋳造ができそうです。でもなんか別のものに変化してないか?この鉄。面白い事に、溶融温度にも変わりがないので、魔鉄を扱える所なら超魔鉄が取り扱えそうです。


 いつもの鍛冶屋さんに、大狼の骨で作った超魔鉄を見せて、作れるかどうかを聞いて、できるなら、金工道具を作ってもらおうかと来てみました。


「嬢ちゃん、この魔鉄どこで手に入れた。まさか作ったのか」

 

 相変わらずのグラングラン。目が回るからやめて。

 

「あ、すまん。ついな」

「『特定の魔獣』というか、大狼の骨粉ですよ。混ぜただけですけど」

「大狼?その骨まだあるか?」

「ありますよ、大量に」

「大量?どの位だ」

「んーと、店先の床一杯になるくらい?」

「はぁ?そんなにデケェ奴なのかっ!」

「そう、体毛の一本一本が抗魔鎧で覆われていてね、そりゃもうすごかったー」

「よし、売れ!脇腹一本。2金でどうだ」

「肋骨一本で2金?なにそれ」

「少ねぇか?それだけ魔力が多けりゃそんなもんだろ。それ以上は勘弁してくれ」

「いやいや、そうじゃなくて、只で良いくらいなんだけど」

「ばかやろ、そうは行くか!」

「じゃあ、一本おまけで一対で宜しく」

「そうか、すまんな」

 

 その後、鉄の作成を見せてもらったら、20リットル位の湯桶(鍛冶用)に茶さじ一杯分ほどの骨粉を入れて、別の柄杓から唯の鉄を注いでいました。その途端にビカーッっと光り輝きましてね、できたのが超魔鉄。骨の魔力は、溶けた後に魔素となって勝手に混じりこむらしいです。ファンタジック・ワールドだねぇ。

 

「ほれ、魔鉄になるだろ?」


 ということで、超魔鉄でハンマーやら、鉄床(かなとこ)(ヤスリ)とかを作ってもらいました。あと、万力。万力くらいの幅広ピッチならできるらしいですが、ミリピッチとなると、今は難しいという事でした。

 

「万力のはさみを動かすのはどうやって作るの?」

(ヤスリ)に決まっておるだろうが」

 

 見てみると、ネジと言うより螺旋に近く、とても荒いウォームギアって感じでした。そらまあそうだわな。

 

2. タップとダイス

 

 手動で、雌ねじを切るのがタップで、雄ねじがダイス。それを木型で出来ないかね?ということで、万力の溝角度を参考にして、少し真面目に製図をしまして、1[㍉]ピッチの6[㍉]ボルト・ナット用工具をなんとか作ってみました。まずは、タップから。タップというのは、外側に切削刃がありますので、外側をヤスリでショリショリ。次にそのタップを使って、ダイスを作ります。表面に魔力を纏わせれば、木はもちろん金属加工もできますので、木に穴を開け、タップでねじを切ります。木の棒をダイスで六角ボルト型に加工して、嵌まればOK。16[㍉]までの工具の木型を揃えて、超魔鉄にして下さいな。流石に、16[㍉]を超えると重くて回りませんでした。

 

「そうか、こうすりゃよかったのか。この工具と、螺子棒(ボルト)螺子止(ナット)を家で量産していいか?」

「どうぞ、どうぞ。それじゃ、図面を渡しておきますね」

「良いのか?よし!工具は持ってけ」

「あははは。はーい、ありがとう」

 

 ということで、魔鉄のボルト・ナットが作れるようになりました。6[㍉]超えは、身体強化しないと無理ですからね、良い子は真似をしないように。6[㍉]未満はなぁ、プレス機のような機械ができないとだめだろうな、細かすぎて。


3. タッビングするネジ


 タップを作れた所で思いだしました。もう一つ、小さなネジを作れそうなネジがあるんですよ、その名も『タッピング・ビス』。自分でネジ山を切りながら対象を固定してくれるネジです。

 

 通常のネジと違って、自分で切り込んでいく形状なので、目が荒い。荒くないと入らないからだと思いますけど、今どきならちょうど良い気がします。


 まずは、木型を作成しましてですね、頭の所に+型の引っかかりを作ります。プラスドライバーで回せるようにするためです。マイナスを通り越して、いきなり+形状なのは、何かを製品化した時に、恐らく直ぐに出てくるであろう模造品の追従を、暫くの間断ち切るためでもあります。ビス本体は鋳造できても、頭に開けるのはプレスです。あんな小さい突起部分を、鋳型に作り出す事は出来ませんので。よし当面は完璧、たぶん。


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