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(06-10)深森の廃村(後見編)

(06-10)深森の廃村(後見編)


 おはようございます。エッちゃんと街にきています。そろそろ帝都に行きたいなぁと、様子を伺っている辺境村村娘です。


1. 大人の目玉がギーラギラ


 『終わったぁ』でお茶をしていたら、呼び出されまして、言ってみると何これ。

応接室がハンジョさんの荷物で一杯。


「ハンジョさん、木型まで持っていたの」

「いや、窯元がなくてね、良いところがないのだよ」

「あぁ、焼く気だったんだ」

「もちろんだよ、放っておく手はないからね」


 ハンジョさん、用足の木型を持ち歩いていたらしい。重さはないから良いけどさ。


「あ、危ない品物も出しちゃったの」

「まぁね。オババ様に確認したら、ミーちゃんに聞いておくれだってさ」

「さいですか。すると、そちらの方々の前で実演までしてしまった訳ですね」

「まあ、そうだね」


 知らないぞう、危険物展覧会。


「さて、ミール君。井戸水の汲み上げ器等の品物なんだが、家で扱わせてもらえないだろうか」

「それって、こちらがハンジョさんの後見になるって事ですかね」

「そうとも言うな。どうだろうか」

「では、ハンジョさん。損得勘定計算開始。はいどうぞ」

「損得勘定か、なるほど。あ、それはもう終わっていてね、私は了承しましたよ」

「あれ?でもハンジョさんのお店って王都にあるんですよね、それの後見ですか」

「いや、支店を置こうかと思いましてね、ミーちゃんとの連絡も密になるでしょ」

「ならば、是非は有りません。ハンジョさんにお任せですから」

「そうかね、悪いようにはしないと誓おう。いや、ありがたい」


2. 考える方向が明後日よ


「それでな、これらの製品をなるべく知られずに用意したいのだが、なにか案はないかね」

「またですかね、本当にこの世は世知辛い。うんざりしますね」

「君は知らないのだろうが、これは大事な事なんだ、複製されると商売にならんのだからな」

「そうじゃないですよ。考える方向が違うんですよ」

「何を憤っているのかね、私も我慢の限界と言うものがあるんだがね」

「製造許可という考えがないでしょ。誰かが作った、考えた物の権利を守り、収入を保つって考え方」

「製造許可?なんだねそれは」

「ですから、誰かが新しい物を考えますでしょ、それを国際的かつ公的機関に登録するんですよ、それを権利として、その権利を購入した者が商品に出来るようにします。商品を作って売ったらその何割かを権利者に支払う仕組みです。一定期間すぎたら、安価に開放する事もお忘れなく。ないでしょ、そういうの。そっちを設立するほうが先です。この先ずっと、ほぼ永遠に有効な制度になるはずですし、最初から技術を公開する訳だから、盗むも何もないですよね」

「なんと、そんな考え方があるのか、こりゃ参ったな、憤るはずだ。失礼した」

「ミーちゃん、設立には時間がかかるよね、近々ではどうすれば良いかね」

「うーん、10年位あれば作れるんじゃないですかねえ、駄目かな」

「うん、領が保たないな。すまんな」

「だったら、今の工房制度を転換する必要があるかなぁ」

「工房制度?」

「うん、今は一つの工房が製品を一括で全部請け負っているでしょ。製品化までの時間もかかるし、誰かが寝返ったり、裏切ったり漏洩しやすいですよね」

「情けないが、そうだねミーちゃん。其れを防ぎたいんだけどね。でもそれしかないだろ」

「そんな事ないよ、各工房が意識を変えるのと、部品の製造精度を上げる必要があるけど、一つの製品を部位ごとに分けますね、部位ごとに多数の工房に同時発注して行き先をぼかします。担当部位以外の情報は渡さず横流し禁止で。出来上がった部品は組み立て専門工房に集めて組み立てます。組み立てだけなら単純ですから、女に子供、老人とかでも稼ぎになります。その内のどこの誰が狙われても、それなりの期間、秘密は守れるはずなんですが、どうですかね」

「『部品の製造精度』と言うのはなんでしょうか」

「それはですね、同じ型の部品を複数の工房に発注するじゃないですか、当然部品の精度が悪いとすり合わせが必要になるはずなんですよ、今は一つの工房で行っているので、適当にすり合わせができますけど、同時発注ではそうも行きませんでしょ、だから一つひとつの部品精度を上げないと、それがうまくいかないんです」

「あ、そうかなるほどな。だから工房の意識改革も必要になると言う事なのだね」

「そうです。そういう事になるはずです」

「「「悪かった。考え付きもしなかった」」」


 済みませんね、ズルです。フォードさんありがとう。ただ、凝り固まった親方の意識を変えるのは大変だし、税制の変更やら、法の整備やらもゆくゆくは必要になるであろうことも付け加えておいた。


3. 家の娘


「ミール君。家の娘をどう思うかね、やっていけそうかね」

「お姉さんですか、アタシには分かりませんけど。婆ちゃんがですね、初級の上を作れるようになるまで、3年かかったらしいんですよ。お姉さんは、半年で到達していますから、その辺で計ってもらえたらと思いますけど」

「なるほど、そうかね。あの御方の3年が半年?早くないかな」

「あ、ニマニマしている。親ばかさんですか?なんだ、家を出されたって言っていたから、大問題でもあったのかと思っていたけど、愛されているじゃん」

「はっはっは。かなわんな。君は本当に6歳なのかね?」

「そうですよ、ミーちゃんはむっちゅです」

「あっはっはっは。いや今回は本当に助かった。私も領もだ、感謝する。娘もね、君といるだけでも、生き生きとしてるようだ。これからも宜しく頼むよ」

「どの程度役に立てるかわかりませんが、いままでどうりで宜しければ」

「うん、それで良い」

「それでと言ってはなんですが、管理放棄地の事は、婆ちゃんも含めて努めて内密にお願い致します」

「うむ、それは任せてくれたまえ」

「あ、そうだ。お姉さんが技術を習得するのは良いのですけど、世間に製品を卸すときって実績とかないと認められませんでしょ、普通。薬師には承認機関とか資格とかあるんですかね」

「資格かね?一般的には薬学院の卒業証書、師事した師匠の認定書だな。そうか学院の卒業証書も念頭においておかんといかんな。うむ考えておく事にしよう」

「お願いします」

「君は、本当に6歳か」

「ミーちゃんむっちゅです」

「はっはっはっは」


4. 帝都へ行こう


「初めて乗るけど、こんなに揺れるとは思っていなかった」

「そうだねぇ、乗り上げると余計に来るね」

「揺れに慣れないと、大変だよね。大丈夫かい君たち」

「それでもだな、貴族向けと言う事で、それなりの作りではあるのだがな」

「ミーちゃん、何かない」

「飛ばすか!」

「飛ばす?空をかね、そんな事ができるのか」

「今すぐは無理ですけど、余り派手な事はしない方がいいですね」

「ミーちゃんにしては、めずらしい」

「ハンジョさん、暴走娘みたいな事を言わない!」

「「「わっはっはっは」」」


 そうです、馬車です。コーチだか、キャリッジとか言われていたやつですね。でも結構揺れます。道路だって整備されている訳ではないので、ガッタガタ。轍がすげぇ、石もある。誰かなんとかして。


 辺境伯様は、年間報告の義務があるとかで、社交も兼ねて帝都へ。奥様は、逃げました。ゆずみたいな果実を風呂に浮かべて入っています。好評で何より。


 辺境伯様の馬車ですから、乗り合いと違って上等な代物。それでも結構揺れるんですよね、大変だわ。辺境伯様と、お姉さんは進行方向へ向いて、私達二人とハンジョさんは、御者席に背を向けて、ハンジョさんと辺境伯様は、仕事の話もするんで向かい同士で座っています。もちろん一両だけじゃないんですよ、護衛さんとか、侍女さんズとかの馬車もありますし、大所帯。貴族の移動って大変だよぉ。


「ミーちゃん、揺れをなくす魔法ってないかなぁ」

「エッちゃん、そんなのがあったらとうの昔に使っているよ」

「そうかぁ、じゃあ道具は、鞄の中に無い?」

「無いわよ。道具かあ」


 ふと天井を見上げると、弓。なぜに弓?


「なんでこんな所に弓があるんだろう」

「それはな暴徒に襲われた時なんかの最終手段だな」

「なるほど…これの大きいのはどうかなぁ。作れないかな」

「大きいの?どうするんですの」

「いや、弓ってミョンミョン撓る(しなる)でしょ」


 両手を広げて、上下にミョンミョン。


「そうですわね、それで矢を飛ばしますから」

「馬車の車台下左右につけて、弓の先に車軸を取り付けるとどうなると思う」

「みょんみょん、あっ!箱はそのままで弓だけが撓ると言う事かしら」

「うん、重くなりすぎて馬が大変かな」

「ミーちゃん、面白いね。絵に描けるかい?」

「そうですね、こんな感じですかね」


 車台の構造材の代わりに弓にして、その先に車軸を取り付けた絵を書いて渡してみました。木じゃ無理があるかなと思いましたけど、描くだけなら只ですわね。


「君は面白いなあ、こういう所でもいろいろ観察しているのだな。見習わんとな」

「そうですわね、日常の細かい観察とか、大事だと考えさせられますわ」


 魔獣?出ませんよ。野盗、強盗?居ませんよ、貴族の一団を狙うような馬鹿はおりません。そうそうテンプレられてたまりますか。


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