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(05-13)名無の廃村(到着)

(05-13)名無の廃村(到着)


 【辺境伯領周辺地之図  1/50,000】


  道街街┃林森森森鶏森川森森森森森森森森鶏森氷山  西

  道街街┃林角森狼森川狼森森森森森森森森森③山温 南+北

  門━━┛林角森狼川狼+-草-草-草+森畑畑森森  東

  橋鰻川川川川川川狼②|畑兎森狼森森森森畑畑森森

  道林兎兎兎森森森+-+林兎森森兎馬草草廃山山山

  道林角角角草兎兎森草兎角兎兎兎兎草牛草山鉱

  角道草森兎①草草+草兎角兎森森兎兎牛草山


        50     100    150

  ┣━━━━━╋━━━━━╋━━━━━╋━[Km]


 年の暮れとなりました。只今絶賛移動中の辺境村村娘です。


1. 隣国の道行(3)


 それでですね、やっぱり旗は翻っていたようです。ここから北上といった所で、20才位の大人2人とお姉さんに囲まれてしまいました。なんでよ、ちゃんと魔獣と悪意の探知はしていたぞって、あっ!どちらでも無いわ、ダメじゃん。それで、さらに困った事に言葉が通じていません。お隣とは、言語が違うらしいです。ウッソーん、何故か解りませんが、強引に連れて行かれるような感じがひしひしと。大人3人と対峙して現在必死に抗い中。


 状況!窮地。


「$#%&,&%」


 その内の一人、道行風の服装はしていますが、身ぎれいな若い女性(と言っても15才位?)が何か言っています。服装的に場違いもいいところですね、なぜこんな所に居るんですかね。


「*+=¥。$#%&,&%+。><○✕△」


 全然分かりません。頭を振って、答えておきます。とりあえずは言葉ですよね、意思疎通ってやつです。そうだ!通訳出来る人はいませんかぁ。三人と二人しかいませんが。そうしている内に、お姉さんが訝しげな表情をしたあと、人差し指を眉間に当ててしばし黙考後何か閃いたようです。

 

「あなた達どちらから来ましたの」


 おぉ、言葉が通じそうだ。バイリンガルさんだぁー。


「あっち」


 王国の方を指さして、言葉少なくするよう心がけます。余計な事を言ったら、連れて行かれそうですからね。それでなくてもそれこそ連行されそうです。エッちゃんに小声で、スキあらば逃げると短く伝えて置きました。


「それで、ここからどちらへ行くのかしら」

「向こう」


 奥へ伸びる草茫々の道をさしながら答えると、以外な答えが返ってきた。


「あら、奇遇ですわね、私達もでしてよ。ご一緒しても良いかしら」

「エッ?向こうには捨てられた村しかないですよ」

「えぇ、存じておりますわ。それより、あなた方こそ廃村に何の用がおありですの」


 あぁ、ちょっと失敗しましたかね、旨い事誤魔化すなんて気が回りませんので、仕方が有りませんけど。一応、秘密にして下さいねと断りを入れてから『毒蜥蜴』という組織と少しばかり問題があって、追われる可能性が極めて高い為、隠れる為に逃げているのだと言う事を伝えて見ました。


「毒蜥蜴?なんでまたそんな暗殺組織なんかと関わりがございますの」

「それを聞くと、関係者になるような気がしますのが、どうします?」

「それもそうですわね、※✕+@¥^・・・?」


 最後の方は、帝国語だったらしく、意味がわからなかったのだけど、たぶん『貴方達も宜しくて』とか、確認していたのでしょう。二人とも目をむいて、ぶんぶんと頭を振っています。そんなにすごい組織なんでしょうか、彼処。


2. 隣国の道行(4)


 そこからは、移動しながら少しお話をしてみました。そうしたら、お姉さんにはなんと婚約破棄物語があったらしく、それはもう、『キーッ』とハンカチを咥えるかの如くに勝手に話し出しました。よっぽど悔しかったみたいです。


 それによれば、お姉さんの婚約者が『真実の愛を見つけた』そうで、婚約破棄されたお姉さんは、所謂政略結婚でどこぞのおっさんの嫁になるか、家を出るかを迫られ、結局家を出て、今ココ状態だそうです。お姉さん、お貴族様のご令嬢だって。貴族って面倒臭いですよね。それで、何故に廃村行きかというと、それなりに根拠があるのだそうな。


(1)謎の商会長

  かなり以前から、帝国ではそれなりの店を構えている商会長さんが、自らこの辺りに出てきているらしい事。

(2)㊙の商会長

  その商会長さんに聞いても何も教えてもらえない事。なんと、この商会長さん曲者で、何度後をつけてもまかれるらしいです。忍者か。

(3)凄腕薬師

  例の廃村原因となった流行病の時に、国の体面のせいで『国外追放』となったど偉い薬師さんがいて、もしかすると廃村に隠れ住んでいるのではないかと考えた事。


 そういう事で、仮にもし見つかれば、その人に師事して薬師になりたいと考えたらしいのですよ。例え当はなくても今はそれしか考えられないとの事で、崖っぷち。お付きの二人は護衛だそうで、家付きの結構な精鋭らしいです。とにかく、連れて行かれなくて良かったってことですね、窮状終了。


 そんなこんなで、夕方になりましたが、あっ!困った事になりました。


「えーとですねぇ、これから先、見ること体験すること全てを内緒にして貰いたいんですけど、いいですか。ちなみに『なぜかしら』とか聞かないで下さい」

「面白そうですわね、宜しくてよ」


 このお姉さん、不審な顔を見せながらも、間髪入れずに返事をしました。結構いい性格をしていそうです。


「それでは、これから先、見ること体験すること全てを内緒にしていもらいます」


 改めて、宣言してみたのですが、その時に同時に考えていた『話そうとすると体が麻痺する』というのが効いてしまったみたいで、三人とも少し体がぴくりと一瞬硬直したような気がするのですが、気の所為だったかも知れません。


「食事はどうしますか?魚とかありますけど。エッちゃんは何食べる?」


 家を出す場所を整備しながら聞くと、エッちゃんはいつも通りで、


「燻製兎のスープと、焼き魚」


 他の3人は、目が点になっています。それでは、リクエストにお応えして、三人の分は同じものを出すことにしました。家を出した所で、ようやくお姉さんが復活。


「あ…貴女!なんですのそれ、どこから出しましたの」

「え?この背嚢からですけど」

「私も小さいながらこの鞄に荷物を収めておりますけど、なんですの、なんですの」


 驚きの余りか何かしりませんが、眼の前の家を指さしたまま『なんですの』を繰り返しています。それより、拡張鞄て普通にあるのね、良かった疑われずに済みそうで。それからは薪を出せば、『えーっ』。エッちゃんが火を着ければ『なにーぃ』の大合唱。煩いです。


 食卓やら椅子やら用意して、ようやく支度ができたと思ったら、今度は質問攻め。でも、口に✕をして答えません。ややあって、なんとか諦めてくれたようで何より。


「だから、そういうものだと思えば良いでしょうに、普通の事なんだから驚かないでくださいよ」

「「「普通じゃないっ!」」」

「「頂きます」」


 もう、三人は放っておきます。皿を見つめて動きませんが。


「早く食べないと、冷めますよ」

「「「あ、はい」」」


 そんなに驚きますかね、驚くかな。二人共慣れてしまって、普通に過ごしているものだから、いつの間にか気にならなくなってしまっていたようです。


3. 隣国の道行(5)


 あれから反省して、人の魔力も探知できるよう練習しながら、二人と三人の道行となりました。出会って同行し始めてから2日。それから森の道に入って早10日。途中で廃村が2つありまして、そのどちらもが、基礎石はあるものの、家は朽ち果てていて、何も残っていませんで、石造りの家は瓦礫と化していました。数多のお墓が痛々しかったです。日本風にではありますが、お参りしておきました。


 そろそろ村があれば、見えてくるんじゃないかと思って居た所で、漸く3つ目の村が見えてきました。遠目ではありますが、何か白い煙が上がっているのが見えます。そう言えば、お昼時ですね。この世界では珍しく、お昼を取っているのでしょうか。煙たなびくと言えば人が居るって事ですよね。いい人なら良いのですけどね。


「あっ!煙だ。人がいそうだね」

「本当だ!やっとついたぁ」

「貴方達、よく見えますわね。魔法かしら」

「そうですよ、お姉さんも結構な魔力持ちじゃないですか、出来ませんか?」

「私ですか、どうすれば良いのかしら」

「簡単ですよ、目に魔力を集めて、遠くが視えるように念じるだけです」

「うーん、こうかしら。あらっ!本当に見えますね、存じませんでしたわ」


 他の二人も、少し少ないとは言え、魔力持ちなので出来るでしょう。同じように目を凝らしていましたが『おお、こりゃすげぇ。知らなかったぁー』感激してくれました。


 それでは、こんな奥に居るとは思えませんけど、盗賊やらを警戒しながら近づきます。探知では危険はないようですけど、念のため。静かに静かに近づくと、そりゃもうすんげぇ匂い。臭いの方が近いです。なんじゃこりゃぁー!


4. 薬を煎じる婆様


 近づくと、そこだけしっかりとした造りの家でした。周りの家々は、すっかりくたびれ果てているのに、その家だけ真新しいとは言いませんけど、壁は崩れていないし、屋根も大丈夫だし。なんだこれ。


 窓から覗いてみると、お婆さんが、大きな手持ち鍋をかき回していました。なんですかね、薬草を煎じているというより、煮詰めていますね。よくまぁ、この臭いの中で平気でいられるものです。鍋を火から下ろした所で声を掛けてみました。


「こんにちは」

「……はい、こんにちは」


 子供の特権みたいなものでしょうか、あまり驚かれません。それより、少し間が空いたような気がして、聞いて見ました。


「あのう、王国語がわかるんですか」

「あぁ、やっぱり王国語さね、わかるとは言っても、普段の挨拶位だけどね」

「後3人いるんですけど、呼んでいいですか。悪い人ではないと思います」

「こりゃ済まないねぇ、聞き取れないさね」


 耳を指して、聞き取れないような動きをしたので、身振り手振りで、後3人いる事を伝えて見ました。理解はしてくれたようなので、3人呼んで、お姉さんと代わります。


 お婆ちゃんの側にも精霊がいたので、二人が会話している最中に、考えました。


 (言葉ねぇ、そう言えば、『犬リンガル』ってのがあったっけ。犬声を拾って感情を教えてくれるって言うおもちゃ『相手の言葉を精霊さんが聞く→精霊さん伝達→私側の精霊さんが耳元へ話す』してくれるようなのが、あるといいんだけどなぁ、できないかなぁ)


〔面白い事をお考えね〕

〔あ、こんにちは〕

〔えぇ、ごきげんよう〕

〔あれ、考えがダダ漏れしてました?〕

〔はい、それはもう沢山〕

〔それは、ごめんなさい〕

〔それより、先程のだと声が違ってしまいますわね〕

〔それはですねぇ、仕方がないと思います。通じないより、通じる方が良いでしょ。出来る方法はありそうですけど〕

〔そうですね、それで宜しければ、はいどうぞ〕


 お姉さんが、90度のお辞儀をしていて、お婆さんが、う~んと唸っている所へお邪魔します。


「おばあさん、私はミールです。言葉が判りますか」

「おや、これは驚いたね。これは魔法かい。こんな魔法があるさね」

「魔法と言えば、魔法かな。お話すると、魔力がほんの少し減るよ」

「そう言われれば、そうさねぇ、なあに大した事じゃないさね」

「うわっ、ミーちゃん。ワタシも通じた」

「どういう事さね、精霊様が通じてくれているのかい」


〔え、なんで。視えないとお話できないんじゃ〕

〔ふふふ、言の葉の精霊しか知らない裏の道がございますのよ〕

〔いいんですか。大丈夫なんですか〕

〔はい、ご心配なく〕


「そう、3人。精霊さん同士が伝えてくれているの」


〔ありがとう〕

〔お易い御用ですのよ、このままお伝えして差し上げましてよ〕

〔ありがとう。頑張って帝国の言葉を覚えるから、暫くお世話になるね〕


「皆もかね?それぞれに精霊様が就いてくれたさね」

「うん、これで良い?頑張ってお婆ちゃんの言葉を覚えるからね、それまでね」

「こりゃ驚いたね、長生きはするものさね。私はね、ちょっと訳有さ。だから『ババ様』とでも呼ぶさね」

「では改めて、訳有2号のミールです」 

「訳有3号のエステルです」 

「あっはっは、なんじゃ、皆訳有さね」

「さて、お嬢さん。あんたも訳有のようさね、よければ覚えてみるかい」

「ありがとうございます。頑張ります」

「お話が纏まったようでなによりですね。よかったですね、お姉さん」

「えぇ、頑張りますわ」

「さて、お婆ちゃん。訳有二人としては、この辺りに住み着きたいんですが、良いですかね」

「私はかまわんさね、時々商人が来るくらいだからね。でも空いているまともな家なんて無いさね。どうするさね」

「二軒隣の家が、まだなんとかなりそうなので、治します」

「治す?直すんじゃなくてかい、どういう事さね」

「見ます?そのかわりお婆ちゃんも内緒にしてね」

「わかったさね、どれ見せておくれ」


 では、移動しましょう。


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