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(05-06)大森林のサバイバリスト

(05-06)大森林のサバイバリスト


 辺境開拓村村娘ですこんにちは。絶賛ミール露出で御座います。マッパです。どうしたら良いでしょう。こんな時はあれですよ、あれ。何かって言うと「デスカバリTV」。デスカバリのエドさんですよ、ひげもじゃさんの方です。車の方じゃない人ね。スッポコポンで秘境に出かけて、なんやらかんやらあっても、帰って来られる凄い奴。あと、無人島で遭難するゲームとか。うん、なとか成る成る。成ると良いな。成る事希望。


1. 裸じゃ困る


 人の目は全くないのでどうでも良いし、体の周りは、余剰魔素の鎧で覆われているしで、実はどうでも良かったりするのですが、新しい性癖が芽生えて癖になりそう。じゃなくて、いかんせん見栄えが悪い。貞操さんも心もとない。2足歩行の魔獣とかいて「くっ!殺せ」になったら、精神が保たないかも知れません。んなもんある理由ないですか、そうですか。


 さて、サバイバルの手始めは、石です。石器時代。石を砕いて刃物にする訳です。黒曜石あたりがいいそうです。あれっ?刃物あるよね、蛇が切れる奴。


 じゃぁ、次。樹木の皮、樹皮を切り取ります。それを細く裂きます。三つ編みに撚って紐にしたら、今度は切り出した樹皮を叩いて、柔らかくして、胸に紐で巻き付けます。ブラの出来上がり。いらないだろうって、死亡する遊戯はお好きですか。


 紐を腰に巻き付け、拗られたところに蔓を剥いだ薄皮を差し込んでいきます。スカートが出来ました。


 パンツ?パンツかー、そのうち何か考えよう。ペロン、チラリ、捲っても誰も見てくれないのもつまらないですね。


2. この先生き残るためには


 蛇を焼いたばかりですが、この後のご飯をどうしましょう。そうだ、それよりまずは、ここ何処でしょう。


 それでですね、私空を飛べるんですよ。何をしているんだ私。早速飛び上がったら、どこから現れたのやら、Gですよ、あれの大きいやつ。そりゃもう何十という数でした。


「んぎゃぁぁぁぁぁぁ」


 死ぬかと思ったんですよ、おん前らぁどういう習性してんだバカチンがぁー。下にいる間は、こそこそ隠れていたくせにね、空に上がった途端にヴォーンと羽音を立てて、私の大きさくらいなのが、大集団で襲って来たんですよ、ちっこいの一匹すらおぞましく感じるのにね、あのおぞましさって絶対DNAとかに刻み込まれていますよ、あれの人サイズ版が大挙して集まって来たわけですよ、酷いと思いませんか。


 仕方がないので、探索魔法を展開してみました。だいたい数百[㍍]位でしょうか、届く範囲は少し狭いですけど、森!見渡す限りの森。それはそれは森。木々の魔力と生き物の気配がするだけの果てしない森。ちくせう。でも川が見つかりました。行きましょう。


 魚♪魚♪魚♪。魚はいるかいなと、覗いてみれば急流なんてもんじゃ無い。かろうじて水は汲めますが、漁猟なんて無理。上流も上流、かなり上の様相。しかも水多し。川の隙間から更に上流を見上げると、見たことがある形の山が。げげーん、村から見えた山みたいな気がする。それが見上げる位の大きさになって見えました。仮にそうだとすると、結構な森の奥ですよ此処。あんの蛇どのくらいの速度で動いたんだろ。


 さて、魚はだめでしたけど、水辺にはそれなりにお助け果物っぽいものが成っているのが定番なんですが、あるかな。有りました。ご都合主義じゃないですよ、多分。小さめの梨?枇杷?なんだろう、たぶん果物。おそらく果物。お助け食料に違いない。


 とりあえず、食べられるかを検査します。良くね、こういう時って【鑑定】とか言うでしょう?あれ、やってみたいよね、鑑定ができる精霊っていないのかな。検査待ちの暇な時間に思いついてみました。あぁ、でも魔法じゃなさそう、あれ。そんな気がします。よし、舐めても平気、異常なし。頂きまーす。シャクっと噛みつくと、梨だねこれ。大きさは、枇杷くらい。色と形は梨。味も梨。ちょっと小さいね。いいか、食べられるんだから文句を言ってはいけませんね。


 見覚えのある山があり、同じとは思えないけど、そこから流れていると思われる川がある。そうすると、今する事は一つでしょう。そうです、川下りです。浮きを作って川の中を…無理だな、流れが早すぎる。死ぬパターンだね。


 まぁ、先は長そうなんで、ぼちぼち行く事にします。それで、時々ジュンちゃんが遊びに来ます。


〔歯を磨いたかぁー、ぎゃははは、あんたなんて格好してるのよ、服着なさい服〕

〔そんな物あるわけないでしょ、ここ森よ、森〕

〔まぁ、樹木の服なんて、斬新ですのね。新しい流行かしら、クックック〕

〔そうだ、何か無い?服の魔法とか〕

〔な~い、残念でし…植物精霊なら…あぁないな〕

〔植物の精霊?そんな子もいるんだ。へぇー〕

〔そうですわねぇ、魔法はありませんけど、紡織魔法とか考えたらいかが〕

〔紡織かぁー、糸はよればいいけど、布ねぇ、どうやるの〕

〔〔さぁ?〕〕

〔だめかぁー。もっと勉強しておくんだったかな〕

〔生きろよぉ~、まったね〕

〔ありがとうね、じゃぁねぇ〕


 こうして時折来てくれるんですけど、気を紛らわすためですかね、いい子達ですね。


 そうそう、道行が岩だらけだし、結構鋭い岩もあったりで、いちいち回復魔法も面倒だしで、樹皮で靴も作って置きました。靴というより草履?下駄?うん、下駄だな。


 樹皮の底板に紐で緒を付けた、即席の下駄。それがですね、聞いて下さいよ、足の裏にまで保護膜すると、岩で滑るんです。最初、苔で滑っているのかと思ったら、魔力膜のせいでした、無念。それで下駄にしたって訳です。改めて水に写った自分を見ると、完全野生児。笑うしか無いね。


3. ついったぁ


 どこぞの呟き(ペケ)電話じゃないですよ、村です。見覚えのある川に出ました。どの位経っているのかな、途中で数えるのが面倒になって数えていないんですよねぇ。


 ふはははは、どうだぁ、とうとう私は帰ってきた。

あぁ、でも村の人は私が死んだと思っているでしょうからね、どうしますかね、暗くなってから礼拝堂。これですね。少し待つことにしました。


4. 礼拝堂でお話


 さて、日も沈んだことだし、礼拝堂へ行きましょう。裏から回ってみると、ジュダさんが何かしていました。


「こーんーばーんーはー」


 幽霊じゃないですが、ヒュードロドロって感じで後ろから、ご挨拶して見ました。


「ンギュアァァァァ」


 なんか変な声で叫びだしてしまった。わっわっ、刃物を飛ばさないで。


「アタシですよ、ミールですってば、落ち着いて」

「ハァ、ハァ、ハァ。あの子は贄にされてしまいました。生きているはずが有りません。いたずらはやめなさい。貴女は誰ですかッ!」

「いや、ですからミールですってば、生きていますよ、ほらこの通り」


 通じないとは思いましたけど、足を前に出し、叩いて見せます。あっ、パンツが。


「ミールちゃん?本当に、貴女なの?貴女なのね、生きてたぁ、良かったぁ」

「わわわ、包丁、包丁!包丁を持ったまま抱きつかないで、あれっ?さっき投げてたのは包丁じゃ無いの?うーわっ、小刀だ。どこから出した、この人。危ねぇ人だ」


 さっき、目にも留まらぬ速さで連投していたのは、小刀でした。あれは、プロの技ですね。ホント、どういう人だ?裏の人だったりしてね。


 騒ぎを聞きつけたんでしょう、神父さんも来てしまいました。まぁ、どうせご挨拶しますので丁度良いのですけど。


「ミール君かい?よく帰って来られたねぇ、ここではなんだし、客間へ行こうか」

「はーい」


 と言う事で、客間で斯々然々、大蛇を退治した所から、サバイバった所まで。


「大蛇を倒したのかね?」

「倒しました」

「どうやって、貴女あんなの倒せたの」

「えっ、魔法で。あれ、見たんですか?すっごい大きかったんですよね」

「「え゛ーーーーーーーーっ」」

「そんなに驚くほどでも」

「驚きますよ、あんな化け物を倒せるなんて、聞いた事がありません」

「そうですよ、教会の歴史書にも倒したなんて記録はないのよ」

「あ、そうだ、これどうですか?なんかあいつの中から出てきたんですけど」


 そう言えばと思って、背負っていた袋(作りました、蔓で)から、大蛇の石を取り出して、「ゴトッ」とテーブルへ。


「「………………」」


 ふたりとも目をむくようにして、絶句。そんなに大事(おおごと)ですかね?

復活は、神父さんの方が早かった。


「いやはや、これは驚いた。うん、この大きさと魔力量なら信じるしかないだろう。売れば一生遊んでいても暮らせる位のお金になりそうだ」

「そうですか、おーもかったんですよぉ、これぇ。何かは知りませんけど」


 うんざりした調子で言ってみます。いやそれはもう「うんざり」しかないですからね、こいつの感想。


「うんざりで片付けられる、君の力に驚かされるけどね、まぁ生きていたんだから、それは良いとして、家はどうしますか?知らせますか」

「いりません。当然ですが、村も捨てます。アホらしくなりました」


 きっぱり。


「そうですか、判りました。内緒にしておきましょう。ところで、麦の論文について話をしても良いですかね」

「あっ、はい。なんですか」


 うんざりを思い出して、椅子の背にもたれかかっていたので、姿勢を正します。


「徴税官殿が、先日やって来てね、君が作付けした場所を見て、予想通り何か気がついた所があるらしく、その彼がここに聞きにきたんですよ」

「ほうほう」

「それで、君の論文を見せた所、大いに乗り気になってくれてね、国に上訴してくれる事になったんです。領ではなくて、国だから、悪いようにはならないと思うんだけどね、良かっただろうか」

「報告書が論文に昇格?いつの間に。いやまぁ構いません、平和に片付いてくれればそれが一番」

「そうだよね、平和に終わるのか一番だ。それでね、君は死んだ事に成ってしまっているからね、村長の手柄になるんだけど、それでも良いかな」

「どうぞ、どうぞ、アタシは存じませんと言う事で」

「わかった、国が出てきても、そういう方向で話を進めておくとしよう」


 それから少しばかりお話して、気がついたら私の格好は樹木の精霊。3人で笑い合って、荷物整理と出立準備。ジュダさんから背負鞄をプレゼントして貰いました。形は、ランドセル?革づくりで、縫製もしっかりしていて、丈夫そう。少し長くて、腰まで届くけど、どうみてもランドセル。


「ジュダさん、鞄をありがとう」

「鞄くらいで大げさねぇ」

「そうだ、これが隣の街への大まかな地図だよ、持っていくと良い」

「ありがとうございます。これは助かります」


 少し眠ってから、明け方早く起きて、さぁ出発です。

 

「神父さんも、ジュダさんもありがとう。お世話様でした」

「あぁ、元気で。君なら大丈夫だろうけどね」

「本当に、気をつけてね。何があるかわからないし、元気でね」

「はい!さようなら。行ってきます」

「「さようなら」」


          - 完 -


 あ?同じ手は二度目はだめでしたか、そうですか。別のを考えますね。

おや、そこの方気が付きましたか?まだ秋ですからね、5歳なんですよ私。


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