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(10-14)モーリタ連合国(訴訟)

(10-14)モーリタ連合国(訴訟)


 モーリタ連合国と言うのは、小国が集まって一体成型されている所でして、首長国は『イイト・モーリタ国』。それに連なっている賛同国が『ブラ・モーリタ』『ヨル・モーリタ』の2国。三カ国で連合を組んでいる訳ですね。今まで出てきたモーリタ連合と言うのは、首長国であるイイト・モーリタ国というわけで、ここの国を指すときは、大抵モーリタ連合国と言う事になっております。ほんで、私はいつの間にかこのモーリタ連合国で犯人扱いされておりまして、はっはっは、前科一犯の辺境村村娘です。


1. お呼ばれていたそうです


 最初の取引のため、モーリタ連合に行っていた商会さん達が書状を持ってきました。例の冒険者リレー郵便で届いたのですけど。中身は、『訴状』と『出頭書』でございました。なんかあっちの町役場に呼ばれて受け取って来たそうで、どこの誰だかわからん相手を訴えてどうするんだべ、さらにどこに居るのかわからん相手に『出頭書』って酷いですね。ブルボニア王国みたいに、一方的に『取り調べ』と言いつつ『殺せ』と大差ないよね。


 その『出頭書』なんですが、期日が過ぎていまして、私があっちを経って既に2ヶ月経過した『本年10月に裁判するから出てきてね』だそうです。とうに過ぎました。そうすると自動的にお尋ね者になるらしく、晴れて前科一犯です。わーい。


「えっ、ミーちゃん犯罪者なの、いやこわ~い」

「なんか言ったかね、エッちゃん」

「それで、『出頭書』でしたっけ、『ミール』ってだけで、国も住所もないのに良く通りますよね」

「あれでしょ、町役場って話だから、骨を折った街長さん辺りが、腹いせに無理やり通したんじゃない。ほれ『連合議会議員の殺害』ってなっているから」

「裁判てあるんですかね。確定している事になっているからないのかな」

「裁判ねえ、あるのかな。再審要求って通るかな。なくても再審させるけど」

「「あはははは」」


 それでですね、商人さん達はうちの船を使わずに商いを行ったわけですよ、どのくらい日数がかかったのか、費用はどうだったのかを聞いてみたんですけど、海運はすんなり行っても半月。モラッコ共和国も高速馬車で半月ちょい、旅費はモーリタ換算で20[モーリタ金]。だいたい15[魔導金]位、約1500万円かな。高っけー。ほんでもってここは帝国の東なんだから、帝国横断分も入れると2000万円を軽く超える訳ですよ。呼び出すけど交通費はないよ、自費で来いって事ですよね、ひでえなおい。訴訟を起こすのは良いけど、無茶な事をするもんですね。うーん、50[モーリタ金]位は取れるかなー。


2. 再審議


 と言う事で、モーリタに来てみました。出頭書には、町役場の法務部に来いとなっておりますので、お伺いしました所、衛兵さんにつかまりまして、只今裁判所。普通拘置所にお泊りとかあるんでないのかね、まぁ良いけど。


 私がいる場所と反対側にあのおっさんとたぶん取り巻き。証言台だっけ、その後ろに席があって、衛兵長さんと室長さんが呼び出されています。ご苦労さんですね。裁判所の人が3人前の席に座っています。後は、たぶん裁判所の警備員さん。私の後ろにも警備員さん達が沢山。なんでだよ、ああ、被告人だからかな。


「開廷します」


 一応は体裁を整えてくれたようなのですけど、理不尽な呼び出し方には変わりありませんので、ちょっと聞いてみました。


「裁判長、お尋ねします。『出頭書』が発行されてから仲介人が手にするまでに1ヶ月。今回は偶々でしたけど、普通は買付毎ですから4ヶ月です。その仲介人が渡海して、手紙として差し出し、こちらが受け取るまで最低でも1ヶ月掛かります。船が遅れるとその分が加わりますので、半年は見積もらないとまともに通信できません。余裕も含めれば年単位で掛かります。『出頭書』発行日から一週間で裁判、出頭なきは罪状確定と言うのは、理不尽で作為的な感じを受けますけど、貴国ではそういうやり方と言う事で宜しいですか」


 確認の為、お尋ねしました。


「我が国の法ではそうなっております。我が国に籍のない者については取り決めがありません。よって確定した罪状はひとまず無効とすることを宣言します」

「裁判長!被告の国籍なんてわかるわけがないでしょう、人殺しには変わりないのですから、国籍なんてどうでも良いではないですか。人殺しですよ」

「原告人、言葉を選び謹んでください。起訴状では『我が国で発生した事件』と言う事でありますから、我が国の法で判断しました」

「裁判長!確定した罪状は罪状でしょう。変更するのは如何なものかと」

「原告人、起訴状には被告の国籍が明記されていませんでした。無記入の場合は、我が国に籍があるものとする慣例があります。事実は違いましたので、原告の作為的な措置とみなし、確定した罪状は無効であるとします。よって再審を宣言します」


 ああ、ほら裁判とか会議って、『裁判長』って宣言してさ、『誰それさん証言台へ』とかあるじゃないですか、面倒だから飛ばしていますよ。悪しからず。


「裁判長、お尋ねします。この国の裁判と言うのは、訴訟側が証拠品を含むできる限りの証拠を揃え、参考人を呼び証言を用意し、被告側の反証も吟味し、参考資料に目を通すなど、公平に行われますか。例えば、ブルボニア王国のようにろくな検証もせず、罪状を決めつけ、反証もさせずに死罪を言い渡すとかありませんよね。あの国はお城がなくなり、為政者の半数が居なくなりましたけど、大丈夫ですね」


 念の為、脅し^h^h確認を取ってみました。


「もちろんです。法の下、公正に公平に判断します」

「裁判長、お尋ねします。『我が国で発生した事件』と言う事ですが、被害者が発見された場所は、領有が確定どころか宣言すらされていない場所だそうです。『我が国』が適用されるのでしょうか」

「適用されません。我が国にはそのような法は整備されていません」

「裁判長、お尋ねします。何のための裁判ですか。まずは殺害とするならば、殺害の場所を解明すべきではありませんか、被害者は下船した事を証明できますよ」

「『下船証明』ですか、提出してください」


 まずは、サイン部分を伏せて提出してみました。


「裁判長、まずはその依頼内容を検討して下さいますか」

「了承します。本依頼内容について、我々は『依頼者を現地に連れて行く事』と解釈致しました。間違いありませんか」

「裁判長、間違いありません。では伏せた部分を開いて下さい」

「判りました。これは全員の下船時における記名でしょうか。本人確認を致しますので、暫く閉廷します」

 ・

 ・ 検証中

 ・

「開廷します。記述したのは全て本人である事を確認しました。よって『依頼者を現地に連れて行く事』と言う内容に被害者は了承していた事になります。被告の発言に相違はないと言う事であります」

「裁判長!下船時に殺したに決まっています」

「原告にお尋ねします。方法は全員同時に殺害した証拠はありますか」

「船に乗せて連れて行ったのは、貴様ではないか。そんなものはなくても殺したに決まっているではないか」

「原告人、被害者は全員下船しています。殺害の証拠が提出されていません」

「裁判長、調査隊の資料を提出します。死因は『餓死』と見られるとあります」

「裁判長、お尋ねします。それでなぜアタシが犯人なんですか。断定できる証拠を知りたいのですが」

「裁判長!こいつが犯人に決まっていますでしょう、判決を」

「原告人、断定できる証拠を提出して下さい」

「当然殺したのはこいつに決まっている」

「原告人、断定できる証拠も証言もありません。起訴状は作為的な偽証によるものとし、原告の敗訴を宣言します。よって被告は無罪。従って、原告は本件にかかる費用および被告が請求する費用の全てを速やかに納付して下さい」


 コン、コン。


『閉廷します』


 あっ街長さん、裁判所の警備員に連れられて行っちゃった。あっ!そうだ、あれやったほうがいいのかな『勝訴』っての。いや…外には誰もおらんね、残念。


// ------------------------------------

// 知らない事は、上手いこと思い浮かびません。やめときゃよかった。

//「異議あり」とか言うゲームでもやってみるべきでしょうかね、

// どこかに機械とソフトが落ちていませんかね。

// ------------------------------------


3. ついでだから観光しましょ


 暇になっちゃった。


「どうする、あの湖に行ってみる」

「う~ん、まだ魔力水とか果実とか、結果が出ていないよね」

「そうですね、街めぐりでもしてみますか」

「別の店にも行ってみるさね」

「そうしよ、あっハゲさん達のお墓を見に行ってもいいかな」

「それもそうさね、魔力がどうなっているのか見ておくさね」


 ということで、ぞろぞろと街壁越えて、街はずれ。


「おお、ちゃんと石碑が建っている」

「モーリタ歴120年…500年前ですね…建立だそうですよ」

「ミーちゃん、ここの骨、魔力の流れが変じゃない」

「えっ、本当だ。街の広場辺りにも同じ魔力を感じるね」

「繋がっているように見えるさね」

「ねっ!なんだろう、これ」


 おかしいですよね、広場の辺りに元骨があったとしたら、片付けたはずでしょ。どうなっているんですかね。と言う事で広場に戻ってきました。


「あ、この下にまだ何かあるね。お残ししたかね」


〔エル君、何かわかるかな〕

〔せやな、小さな骨がありまんな。形があの魔獣そのものでんな〕

〔どのくらい下〕

〔だいたい20[㍍]って所でっしゃろか〕

〔わかった、ありがとう〕


「エッちゃん、アッセさん、土の精霊にこの下調べて貰ってくれるかな」

「「はーい・・・・・・あぁ、何かあるっぽい」」


 さて、どうやって説明しますかね。ちょうどあの衛兵隊長さんが来ましたので、聞いてみる事にしました。


「おお、ミール君ではないか。こっちに居たのか」

「あ、こんにちは」

「そうだ、あの先達旗な、あれについて協議したいのだが、時間は取れるかね」

「先達旗?」

「君が掲げていった、その…なんだ、下履きだよ」

「あ、あれ旗になるんですか、いやどうでも良いですけど。領土とかそういうのなら、連合国扱いで良いんじゃないですかね、アタシ管理できませんもん。最初に到達した人ってだけで良いです」

「わかった、それなら証明書を書いて貰いたい」

「役場ですか、それなら丁度良かったです」


 役場に向かいながら、広場の下にある魔力の残滓について説明してみました。


「ふむ、それを移動すると、街を避けて墓に行ってくれるだろうか」

「どうですかね、それは分かりません。地下水とかも関係するかもしれないし」

「ああ、そうだよな」

「あの魔獣が来た時に、門を開けて素通りするようなら、移葬の効果はあると思いますけど」

「うーん、難しいな。人の恐怖とかがあるしな」

「賭けになっちゃいますね」

「そうだな」


 役場に到着。証明書を書いて、会議室へ。丁度街の会議が行われていました。ほれ、さっき街長さんが連行されちゃったじゃん、どうすべって事らしいです。それで、さっきの話をして貰いました。


「会議は一時中断を宣言します」

「「「「了承しました」」」」

「よし、ひとまずはその残滓とやらを取り除き、移葬をしてみよう」

「残滓の確認手配は、私がしましょう。魔法管理課に行ってきます」

「では、私は土木課へ。魔法師も確保せねばなりませんな」

「衛兵には広場の誘導を頼めるか」

「承知しました。ではミール君またな」

「はい、行ってらっしゃい」

 

 早いね、まあ何時あれが来るか分からんもんね。後は街の人間に周知する位ですかね。もしかすると街がなくなるよって。逆に素通りが確定したら、弔い祭りになるね。さて、街の人はどっちを選択するでしょう。


 帰り際、屋台でしわしわの赤黒い干し柿みたいな種?果実?なんだろねってのを売っていましたので買ってみました。


「なにこれ」

「この辺りじゃ『デーツ』って言っているな、ほれあの木になる実だよ」

「木に名前は、付いているの」

「いや名前はないぞ、皆『農民の木』って呼んでいるけどな。穀物が不作の年でも実がなるんでな、ありがたい木なんだ」


 指差す方には背の高いソテツ?あ、ナツメヤシか。デーツって事はそのまんまだね。上の方ではこれでもかって言うくらいに実がついています。結構甘さがあるんですよね、婆ちゃんが好きそう。


「酒、作れそうだよね」

「樹液はどうさね、樹液の方が良さそうさね」

「あっちで育てられればな。若い木を売っていないかな」

「苗木なら、その辺の農園で売っているぞ、行ってみるといい」

「あ、そうなの。ありがとう」


 お土産は、ナツメヤシの木になりました。育つと良いけどね。


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