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Strangers Story ~僕たちの546日間戦争〜  作者: めだか東一郎
第一章 邂逅
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二節 異世界

「帰れるぞ。元の世界に」


 武文君のあっさりとした答えに、僕は拍子抜けした。


 あれから僕達3人は馬車に乗り、目的地であるという村に向かって出発した。馬車、と言っても実際には霊使操行車、略してレイカーという、馬のいらない屋形のみが走る、まんま車と同じようなものだった。

 しかしこれはカリシュスでも最新技術を詰め込んだ試作品らしい。なにせ、業者のいらない自動運転ができるとあって「込み入った話するのに余計な茶々が入るのは面倒」と武文君が僕達3人だけで話せる状況で移動するのにちょうどいい、と話していた。更に街道に沿っての運転補正、人や障害物の自動回避や停止、当然手動運転への切り替えもできるのだから、現代日本の車よりも高性能だ。ただし最高速度で40キロ程度と速度は控えめ。


「試験運転も兼ねて運用しているのですよ」


 そう、飲み物と軽食らしき食べ物を用意しながら説明してくれたのは金髪のお兄さん、ストラル・ザイグナー。彼はレイカーに乗ってからすぐに自己紹介をしてくれた。驚いたのがその時の口上。バルア王国ランバルト領公子、ストラル・ザイグナー。つまり、この世界でいうところの貴族だという。どれぐらい偉い立場にいるのかはわからないが、そのような人が僕たちにこまごまと世話をしてくれているのは、いいのかな、と思ってしまう。


「私はあなた方の世話を命じられていますので、気軽に何でも申し付け下さい」


 そんな僕の心の中を見抜いたかのように話すストラルさん。うーん、なんか一つ一つの動きが優雅に見える、さすが貴族。


 そして、ここに至るまでのお互いの経緯を話し合う。


 僕達はあの日、学校祭の準備のため夏休み返上で学校に行っていた。クラスの出し物と部活の出し物。掛け持ちしていた僕は、クラスの方をサボって部活の方を準備するのに屋上にいた。そして早起きしたせいか、昼寝の誘惑に負けていたところを弟の勇に起こされる。「クラスの方を手伝え」と武文君が探しているとのことで。

 僕は渋々自分の教室に戻ると、誰もいなかった。勇の話では、武文君は僕を探しながら優に声をかけ「見かけたら声かけといて」と言っていたという事だから、入れ違ったかな……と思っていると。


 いきなり外が暗くなった。


 天気が悪くなったわけではなかった。空が晴れているのに暗い。急に夜になったような、でもそこまで暗くない、変な感じ。そんな奇妙な状況に戸惑っていると、角田君が慌てた様子で教室に入ってきた。

 なんでも、昼休憩で学校から出ようとしたら、外に出られないという。

 何ですかその状況は?と詳しく話を聞くと、玄関扉が開かない、窓も開かなければ、中庭に続く扉も開かなくなっている、と。

 鍵とか閉めてるのかな……と職員室に行くも誰もいなかったため、生徒会の方へ話を通そうと行くと、佐乃崎君と加川君がいて合流。鍵を持って玄関へ行くものの、鍵は動くのに扉が開かない。

 なにこれ?さてどうしよう、と頭をひねっていると「屋上は?」と加川君。まあ屋上から学校の外に出るのは無理だとしても、このまま建物に籠っているよりはいいか……と屋上へ向かい、そこにいたのは。


 白衣を着た、長身の男。


 見た事の無いその男に、不審者だー、と近づいた加川君を、白衣男はいきなり殴り飛ばした。ほぼ、目にも止まらぬスピードで。僕たちあっけにとられていたが、一呼吸おいて何してんだ!と倒れこんだ加川君に駆け寄る角田君。それに目もくれず、白衣男は僕に近づき、何か話しかけてきた。

 何を言っていたのか、正直覚えていない。戸惑う僕に長身男は一つため息をつくと拳を振り下ろす。

 しかし、そこは僕。反射的にかわせてしまった僕を、きょとん、とした表情で見る白衣男に、いつの間にか起き上がった加川君が、後ろから消火器を叩きつける。


「……やりすぎじゃね?」


 それまで黙って話を聞いていた武文君が思わず突っ込んできた。


「まあ、他に武器になりそうなもの手近に無かったからだと思いますけど……」

「容赦ないな、あいつ。思い切りがいいというか……」


 確かに消火器でいきなり人を殴るというのは中々できることじゃないですよね。


 まあでも、白衣男にはあまり効かなかったようで、倒れるどころか怯むことも無く、すぐにどこから出したのか、剣で。そう、剣だ。消火器を切り裂いた。

 爆発する消火器。衝撃で吹き飛ぶ加川君。巻き込まれる角田君。白衣男の剣が僕に向く。その異常な状況に僕は……。


「ってとこまでです、はっきりと覚えているのは。その後、あの、さっきいた部屋ですか。そこまで多分意識が飛んでます」

「……なるほどね」


 腕を組んで、うーん、と何か考え込む武文君。わずかな沈黙の後、ストラルさんの方を向いて口を開く。


「……で、どうだろう?そいつ、誰だろうね」

「白衣、となると、やはり3人の科学者のうちの一人でしょうね。しかし剣、となると……レイブンが本命だと思っていたのですが」


 新しい単語で二人が話し始める。説明無しで新しい単語が出てくると頭が混乱するからちゃんと説明してほしい、と口を挟もうとしたが、違和感を感じた。あの、どう見ても異質な白衣男の話を、今、している?


「武文君、もしかしてあの白衣男に会ってないんですか?」

「ん?ああ、会ってないね。そっちとはタイミングが違ったんだな。

俺の方は、そんなに話すことも無いね。お前を探しにリョウ三影マサの3人で、まあ色々回った最後に屋上に行ったんだよ。誰もいないな、って思ってたら空が暗くなって、視界も暗くなった?と思ったら、カリシュスにいた」


布流谷ふるやりょう君。三影みかげ正史まさし君。二人ともクラスメイトだ。あの日は、他のクラスメイトは予定が合わないとの事だったので4人で準備進めるか、という話だった。


「恐らくですが、異世界間の『ゲート』を開いたタイミングで、タケフミさん達と白衣の男が入れ替わる形で移動したのでしょう。そして、その後にダイさん達がその、屋上、ですか、に来た、という事でしょうね」

「で、そいつがお前らを連れ攫おうとしたのが、何らかの理由でできなかった。でもゲートが閉じた時に巻き込まれて来た、ってところかな……多分」

「連れ攫うって……ああ、なるほど。それでさっきの、あれですか」


 さっき僕が目覚めた部屋。そこで武文君が言っていた言葉。


「異世界拉致」


 僕の言葉にこくり、と神妙な表情で頷く武文君。それと対照的に、なんとも複雑な表情をしているストラルさん。……拉致の部分が良くなかったのでしょうか、適切な表現だと思うのですが。

 

「そうですか……異世界召喚ではないんですね。じゃあ、その、元の世界に帰る、なんて……」

「いや」


「帰れるぞ、元の世界に」


 そして冒頭の言葉。その武文君の言葉に僕は安堵した。異世界召喚・転生モノでの重要案件2つの内の一つ。元の世界に帰れるか帰れないか、それで行動変わりますからね、とても大事。

しかし。


「ただ話はそう簡単じゃなくてね」


そこには続きがあった。


「今この世界な、戦争中なんだよ」


 戦争中……そう来たか。魔王を倒す勇者召喚とか、そういう方向性ではなく。まあ異世界転生でもないみたいだし……、あれ?でもそうなると……。


「現在、カリシュスは7つの王国によって統治されています」


 少し頭をよぎった疑問を打ち消すようにストラルさんが言葉を発し、一枚の地図を広げた。学校で見る世界地図よりもかなり簡素で、大まかな国名と大陸名、海名しか書かれていない。


挿絵(By みてみん)


地図を覗き込んだ僕に、ストラルさんは一つ一つ指さしながら説明を続ける。


「今我々がいるのがバルア王国。隣国のティルム王国とフォルツせい王国。こちらの細長い大陸を統治している耶叢光やそうこう群島ぐんとう国、北のクルス選王国せんおうこく。そして、こちらの大陸を分割統治しているルヴ公国こうこくと……現在、『帝国ていこく』と呼ばれている旧ガールドゥ王国です」


 国名があまりに馴染みなさ過ぎて、全く頭に入ってこない。けれど、地図を見ながら説明を受けるとわかりやすい。こういう視覚情報って大事だなと思う。


「カリシュスはには『魔降周期まこうしゅうき』という、一定周期で魔物が大量発生する『災害』があり、そのため歴史上、国家間の戦争というものは殆どありませんでした。しかし、2カ月程前……」


 ストラルさんが表情を歪ませ口を噤む。一呼吸置き、言葉を続けた。


「……ガールドゥ王国が、各国主要人物を城に集めた上で全員惨殺。『帝国』を名乗り、全大陸を統治するという宣言をしたのです。その為、現在ガー……帝国以外の6国が連合軍として帝国と対立している、という状況です」


 おおぅ……全員惨殺ってそれはかなりすごい出来事なのでは……。


「で、どうも今回、俺らを巻き込んだ『異世界拉致』を仕掛けたのが帝国、って事なんだけど……」

「異世界間移動の『術式』を扱える『神の子』。そのうちの一人を帝国側が有しているのです」

「だから、帝国を何とかしないとそいつの手を借りれないから帰れない、ってこと」


 カリシュスは今戦争中。敵は帝国。僕たちが帰るのには『神の子』の力がいる。でも『神の子』は帝国にいるから、戦争を終わらせないと帰れない。そういった感じですか……。


「じゃあ、僕達は、その、戦争の手伝いをするために召喚されたのでしょうか?」

「知らん」


 先程、頭をよぎった疑問を口にした僕の問いに、端的に即答する武文君。……ええー?


「帝国に聞かんとわからんね、そんな事。まあ、多分そうじゃないかなー、って思うけどさ、確認しようがないし。問答無用で戦争仕掛けてきてる奴らだぞ?話のしようが無いね」

「現状、確認は難しいです。一部国家は開戦の理由を問い合わせましたが、回答は無く侵略を繰り返している状態です」

「ま、そんなわけだから、まあ連合軍側としては俺達の事は完全にイレギュラーで勘定に入ってないし。そもそも俺らみたいな『異邦人ストレンジャー』ってのは、カリシュスじゃ普通はVIP扱いだから、無理に何かしなくても大丈夫じゃないかな?」


 そういうものですか。じゃあ帝国は何のためにその『神の子』の力を使って僕達を呼び寄せたのでしょうか。

 ……『神の子』……?


「……ん?あれ?その……『神の子』……『そのうちの一人』って言ってました?それ、その人って、その『神の子、そのうちの一人』ってことは、似たような人が何人かいるんですか?」

「ええ。『神の子』はカリシュスにおいて、どの時期でも必ず三人いらっしゃっています。本来なら神託や異世界間移動の手助けなどを行うのに、各国で協力してお世話させて頂いているのですが……。

一人はバルアの姫様、なので連合国側にいます。一人は各国でも手が出せない場所にいるため不明、そして最後の一人、今回異世界間移動を行った方は、数年前に帝国が拉致している状態です」


 ……一人はバルアの姫様?連合国側?


「あの、バルアの姫様、って事は、その人に頼めばいいのでは……」

「あー、駄目だね、あれは」


 僕の疑問に言葉を被せてくる武文君。っていうか、姫様を捕まえて『あれ』とかって。武文君は全く気にせず発言してますが、ストラルさん、苦笑してますよ。


「『神の子』は成長が極端に遅く、また成長につれてできることが増える、との事です。バルアのサラ姫は、私が生まれる前から今のお姿と聞いていますが、幼すぎて異世界間移動に関する術式はできないです」

「後でお前にも会わせるけど、まあなんというか、バルア王とセットで見ると中々のクソガキだよ、あの姫様」


 お姫様をつかまえて『クソガキ』って、武文君。ストラルさん、苦笑いが止まりませんよ。


 ……ん?でも『異世界間移動の手助け』って、そうなると……。


「ストラルさん、『神の子』が異世界間の手助けをする、って事は、普段から僕たちみたいに異世界から来る人っているんですか?」

「ええ。『歪み』……異世界との通路が開き、異世界と行き来できてしまう事があり、そこを通ってしまいこちら来てしまう方が……そうですね、10年に数回程度あります」


 結構な頻度だ。


「まあ今回みたいにカリシュス側から呼び寄せることはまず無いらしいよ。そもそも、来たってわかった時点で大体は『神の子』が送り返すらしいし。

 連合軍側でも俺達の事は完全にイレギュラーみたいよ?「なんでこのタイミングで来るかな」って焦ってたし」

「稀にそのままここに定住する方もいるらしいですが、最近は聞かないですね」


案外、行方不明者とか神隠しとか、そういった人たちはこうして異世界移動して定住しちゃった人たちなのでしょうか……なんて、考えてみる僕。


 ガタン、ゴトン、とレイカーが道を進む。大分話し込んでいて少し疲れた僕は、話に集中していたため全く手を付けていなかった飲み物を手に取り窓から外を見る。

 広がる草原風景。遠くの方に見える、森らしき木々の集まりと低めの山。赤みがかった空に違和感を感じるものの、こののどかな風景を見ていると、とても戦争なんて起きているようには見えない。

 それにしても、異世界で目覚めたところから始まり、一緒に来たかもしれない友人達、異世界の国の事、戦争。情報量が多すぎて頭が痛くなってきた。


「疲れたろ」


 そんな僕の様子を見て武文君が声をかけてくる。


「ええ、まあ……ただ、まだ聞きたい事も沢山ありますし、目的地までもまだかかるんですもんね?」

「やー……どうかな?あと15分くらいかな、ストラル?」

「ええ、それぐらいですね」

三影マサもお前みたいに無事だといいんだけど」


 三影君。彼が、これから向かう村で見つかったから急いで行く。そう、移動開始する直前に武文君から聞いている。


「それにしても武文君。三影君と布流谷君を探してた、って事でしたけど手際良すぎません?僕ってそんなに長い間寝てた、感じでもないと思うんですが」

「ん?ああ、お前は見つかってから丸1日くらいだよ、寝てたの。手際良い、ってわけでもないさ。

 俺は1カ月以上前からこっちにいるから」


 ……はい?1ヶ月以上前?


「それは、僕が1カ月以上寝てたという……」

「無い無い。あんなとこでそんなに寝てたら、確実に誰かが見つけてる。お前がこっちに来たのは、見つけた一昨日。それは間違い無いと思う」


 少し混乱している僕に対して武文君が言葉を続ける。


「それに関してはちょっとストラル達とも話してたんだけど、さっきのお前の説明ではっきりした。多分、向こうの世界とカリシュスの時間の流れが違う」

「大分古い記録ですが、こちらからそちらへ行って戻ってきた方がいまして、かなり歳を召されてたという話があり、もしかしたら、という話をしていたのです。なにせ、あまりにご友人が見つからないとタケフミさんが大変心配されていたもので……」

「ストラル、余計なこと言わんでいい」


 ストラルさんの言葉をややぞんざいな言葉で遮る武文君。あれは照れていますね。


「まあそんなわけで、なんか知らんがお前が最初に見つかったもんで、これは布流谷や三影以外にも巻き込まれた奴がいるな、と思ってさっき聞いて……俺がこっちに来た後に何があったか大体わかったし、後は三影を無事に保護できれば、まずは一段落だね」

「そうですか……」

「残り4人はちょっと多いけどね」


 軽くため息をつく武文君。僕と出会うまで1ヶ月以上かかってることを考えると、単純計算で4カ月ぐらい……まあ三影君のケースも考えると、なんとも予想できない感じではありますが。


「あ、そういえば一つ大事な事を聞き忘れていましたが」

「大事?何?」

「異世界チートボーナスってどうなってます?あるんですか?」


 僕の一言で武文君は表情停止し、ストラルさんがきょとん、とした顔になる。

あれ?事情を知らないであろうストラルさんはいざ知らず、武文君の反応は意外だった。

異世界召喚・転生モノでの重要案件の一つ、チートスキル能力。もしくは現代知識常識での無双。武文君なら今の言い方でわかってくれると思うですが。

でも確かに、僕はこちらに来る際に女神様に会うとか、スキル選んだりとかしたわけじゃないですし。


「いやほら、現代科学で無双とか」

「……うーん、そこは基盤が違うだけというか……お前、これに乗ってみて、俺ら中坊ごときの学力で無双できると思う?」


 そう言いながら座席をポンポン叩く武文君。


「じ、じゃあ現代倫理無双とか……」

「こちらのストラルさんの振る舞いを見て、どう思う?」


 頭に?マークが浮きながら微笑んでいるストラルさんに手を指す武文君。


「えー……じゃあなんかそういうお得なチート無双できる事って……」

「あるぞ、チートスキル。『たま』だな」


 おお!やっぱりあるんじゃないですか、もー、武文君ったらもったいぶっちゃって。なんかストラルさんに対し制止するかのように武文君が手を出しているのが気になりますが、……たまだな?たま?……タマ?


「えー……猫の名前ですか?」

「『れい』って書いて『たま』。8種類あるって話だったかな?『かぜたま』とか『やみたま』とか……お前、こっち来た時に誰かに会ったりとか、『声』。聞いてないか?」


 ……声……というより、夢を見ていたのは覚えていますが……はっきり覚えてるアレは……挨拶みたいなもんですよねぇ?

 首を傾げている僕に、武文君が手を差し出してきた。


「まあもしかしたら忘れてるだけかもしれないし、魔力の流れ教えてやるから、ちょっと俺の手、握ってみて?」


 何かストラルさんが緊張しているように感じますが……僕は少し躊躇いながら武文君の手を握る。


 どくん、と。


 武文君の手を握った瞬間、体の中心に鈍い……衝撃?というか、妙な感覚が走ったかと思うと、そこを中心にゆっくり、じんわりと『何か』が全身を流れ動く。


「……どう?なんか感じる?」

「……感じますけど……うーん……なんかゆっくり、じんわりでなんかくすぐったい感じですねー……弱―い感じで……」


 なにか、血管に沿ってとでも言うのか、細く弱弱しい……なんというか、煙とかそんな感じのものが全身を巡るような……もぞもぞする。


「弱い感じね……、!」


 武文君が急に僕の手を払いのけると、慌てた感じでレイカーの窓から外を見る。……びっくり、急に何をするのですか。


「ストラル……村の方、何か様子がおかしい」


 厳しい口調でストラルさんにそう声をかける武文君。ストラルさんは緊張した様子で武文君に並び、望遠鏡を手に外を見る。……望遠鏡ですよね?あれ。


「……まずいですね、戦闘が起きてます」

「帝国……にしては魔力濃度が……低いような……」

「……、恐らく襲撃側は小隊程度ですが、スイレンの件で村の方の駐在軍は数名程度です。急ぎ部隊を……」

「いや、それじゃ間に合わない、かもだ」


 武文君はそう言うとレイカーの扉を開けた。


「タケフミさん!?」

「俺が連中抑える。ストラルは急ぎ部隊の招集と、大を頼む」


 そう言って武文君は。


 背中から倒れこむようにレイカーの外へ身を投げた。


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