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【80】さすがディス!



ディスと街に買い出しに行き、何が食べたい?と聞くと即答で『唐揚げ』と言うので、調味料や粉、油や鶏肉、あとサラダ用の野菜や卵も購入した。野菜があればスープも出来るしね。次の日の事も考えついでに他にも色々な食材を大量に買い込んだ。


そして米を用意してくれたディスに感謝の気持ちを贈ろうとプリンも作る事にした。


部屋に戻り買い物した物を冷蔵室にしまって(仕舞って)から気づいたことが一つ。


「あぁ!ミスった。米を炊く鍋がないっ」

「ナベ?ですか?どんな物です?」


前世でたまに土鍋で米を炊いていた。土鍋で炊くと美味しいんだよね。鯛めしを作った事もある。

落ち込んでいる私にディスは「どんな物か分かるなら創れますよね」


「え?」

「貴方がたまに創っている装備と同じですよ」

「鍋とかも魔石で創れるの?!」

「原理は同じですからね」

でも土鍋には粘土のような土が必要だ。この世界に粘土なんてあるのかが謎だ。鉄?鉄鍋なら米も炊けるかも?


「もしかして武器のように金属一択なら魔鉱石で出来る?」

「試した事はないですが、それなら魔鉱石で出来そうな気もしますね~」


やってみます?とディスが掌に魔鉱石を出した。


だからそれ、どこからどうやって出してるのさっ!


とりあえず魔鉱石を一つ受け取り、土鍋のような形の鉄鍋を事細かに頭に思い浮かべた。


「よし、やってやるっ」


掛け声と共に魔鉱石に魔力を流した。

光りが止み目に写ったのはシンプルな両手鍋のような鉄鍋。


「やった!ディスやったー!これでお米食べれるよ」

私が小躍りでもしそうな位喜んでいる姿を、ディスは微笑んで眺めている。


早速、鉄鍋は一度洗ってから、その中で米を研ぎ水を適量注ぎ暫くそのまま置いておく。

その間に今日のおかずの仕込みをし、プリンも無事に冷蔵室に入った。

鉄鍋で水に浸した米を炊いていく。多分土鍋と同じような手順で大丈夫なはずだ。


暫くするとお米の炊けるいい香りが部屋に広がった。

「これは、美味しそうな匂いですねぇ」

「ディスはお米を食べた事は?」

「見た事はありましたが食した事はないですよ、今日が初めてになりますね」


そろそろ米が炊き上がったはずだ、あとは蒸らすだけの頃におかずの仕上げに取り掛かり、米の蒸らし時間に合わせてテーブルに料理を並べた。


ディスの顔が少しニヤけている。

本当、食べるの好きだよね~


鉄鍋の蓋を開けるとモワァと上がる湯気と、炊き上がったお米のいい香り。

しゃもじなんてないから、大きめのスプーンんで混ぜてみると程よく粘りもあり、なかなか美味しそうな米だ。

もちろん茶碗もないからお皿に盛り、テーブルへと運んだ。


「さ、熱々なうちに食べよ。いただきます」


まずお米を一口、ハフハフッ

ほんのりとした甘みと粘り、これぞ私が求めていた物だ「お米サイコー!」と言い続けて唐揚げを頬張った。

「やっぱお米に唐揚げ合うわ~」


私が食べているのを見て、ディスもお米を口に入れた。

「ん、これ自体は淡白な味わいですが、噛めば噛むほどほんのりとした甘みを感じますね」

「いいから、早く唐揚げも口に入れる」

お米の余韻がある内に唐揚げを食べるように勧めた。

「これはこれは、唐揚げとお米は相性が良いのですね。とても美味しい」

「むふ、気にいってくれて良かった」


食事をしている途中で突然ディスは、あっ!と言い、また掌に何かを出した。


「米のついでにこんな物も持ってきてみましたよ。この国では見た事がない物を見つけたので」


ディスの掌に現れたのは褐色の液体の入った小瓶だった。

私の記憶が確かなら、この褐色の液体は!

思わず何度も小瓶とディスを交互に見た。

「ククッ、本当に貴方は面白い。どうぞどんな物か確認してみてください」


ディスに手渡されすぐさま蓋を開け、鼻を近づけると前世では馴染み深かった懐かしい匂い。

「醤油だっ!ウソ!これ醤油だよ!」

「貴方が喜んでくれたのなら良かった」

私の喜ぶ姿に、ディスも喜んでいる様子だ。


「これで料理の幅がグンッと広がるから、楽しみにしてて」


お米と醤油で浮かれていたが、ふと気づいた

何か二人で食卓を囲って、なんて事ない会話して・・・

この状況って新婚みたいじゃない?!なんて気づくと少しだけ恥ずかしくなり、頬が熱を持った。



食後に二人でプリンを食べている時に「ねぇトゥスはどうしている?寮に一緒に連れて来なかったの?」


私の言葉にディスは眉をピクっと動かした。

「気になりますか?」

「そりゃ気になるよ、トゥスは私の癒しだから」

「貴方の癒し?」

「そうだよ、トゥスの肉球をムニムニしたり、あの毛並みを撫でくりまわしたり、お腹に顔を埋めてスンスンすると気持ちが落ち着くの」

私の話しを聞きながらディスは何故か少し頬を赤く染めた。


「ねぇ、本当に、もし万が一私がディスの元に行くことになったら私にトゥスちょうだい?私がお世話したいから」


ディスは頬を赤く染めたまま目を見開き私の顔を見た。


「もしでも万が一でもなく来るのは決まっている事です。なのでトゥスは必ず貴方に差し上げる事になるでしょうね」


言いながら何故かニヤけたディスに、少し首を傾げながらも一応、ありがとうとお礼を言うと「こちらこそ」と戻ってきた言葉に更に首を傾げた。












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