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第一章 【69】面倒な宴への招待



医務室で回復魔法をかけてもらい、体が少し楽になると途端にお腹の虫がグゥ~と鳴った。


「エル、お腹空いてるのね。ふふふ」

「いっぱい動いたからねぇ、ぐふっ」

「ブハッ、回復してすぐお腹が鳴る所が流石だよな」

「ぷっ、エル、食堂に沢山食事が用意されてるから行ってみよう」


あんなに体力使って皆はお腹空かないの?!

笑っている兄二人とクリスとマリアを、納得いかないなとジト目で睨みながらも食堂へと急いだ。


騎士団宿舎の食堂に入ると、中はちょっとした宴会のような盛り上がりを見せていた。

「わっ!エルファミア嬢がいらっしゃいましたよ!」

「エルファミア嬢、ご苦労様ですっ!」


え、何か騎士団員達が変なテンションだ。

「エルファミア嬢、ドラゴンに攫われたって?!よく無事だったな」


ドラゴンの話を騎士団員達から聞いたマルセルさんが驚きの表情で近寄り、私の全身をマジマジと眺め何ともない事を確認している様子だ。


「えぇ、まぁ何とか・・・」

「兎に角、何ともなさそうで安心したよ。さぁお腹空いたろ?いっぱい食べてくれよ」


マルセルさんは、大きめのお皿に私が好きそうな料理を山盛りにして渡してくれた。


さすがマルセルさん、私の好み分かってるね~


やたらと盛り上がる食堂で黙々と食事をし、お腹いっぱいになると疲れがどっと押し寄せて来たので、皆に悪いけどお先!と声を掛けとっとと部屋に戻り、セシルにささっとお風呂を済ませてもらい、ベッドにダイブして秒で眠りに落ちた。


次の日の朝は体が、かなりだる重だった。

魔力増強剤を何本も飲んだのが、どうやら影響しているようだった。


それから数日後、隣国のシュテルマ皇国の辺境騎士団から使者が訪れた。本当に魔獣の群れ殲滅の宴を開くらしい。


国同士の宴だと、色々手続きやら何やらの問題で大変な事になるが、今回は同じ国境騎士団同士と言う名目で開かれるので、事が大きくなる事はないようだが・・・


「はい、私も参加したいです」と、挙手したのはマリア。

「僕も参加します」続けてクリスも挙手した。


いやいや、国境騎士団同士と言っているのに、貴方達が出たら問題が生じるのでは?!

仮にも第二王子と王女様ですよね?!


「ヘンダーソン兄妹のただの友としての参加なら問題ないだろう?」

「まぁ確かにそれなら大丈夫そうだが・・・」

「大丈夫だよ、僕から父様に言っておくね」

「「やったー!」」


アルフ兄ー!絶対面白がってるよね?!

何だか面倒な未来しか見えないよっ!


シュテルマ皇国の騎士団との宴は一週間後となった。


騎士団員は騎士服が正装にあたるため、全員騎士服での参加だ。

ドレス着なくて済んだだけヨシだね。


「あ~、その事なんだがな・・・」

父様が何やら言いにくそうに言葉を渋っている。

「女性はドレスで。と決まったのだ」

「えぇっーそんな!私も騎士です。騎士服が良いです」

「シュテルマ皇国の辺境騎士団長が、戦闘の女神様には是非ドレスでお越し頂きたいと言われてな」


くっ!結局ドレスかっ


でも宴まで一週間しかないので、今回は仕立てずに既製品で参加する事となった。

翌日にでもマリアと、セシルも一緒に街の服屋に行ってみようと決まった。



その晩ディスが大きな箱を抱えて部屋に現れた。


「宴用のドレスが必要と耳にしましたので用意しましたよ」

「えっ、やる事早っ!てか何で知ってるのか謎なんだけど」

「私は地獄耳ですからね。ククッ」


魔族が地獄耳って・・・


「さぁ、どうぞ。開けてみてください」


ディスに渡された箱をテーブルに置き蓋を開けてみると、上半身は体にフィットするような形で、胸元はディスからの贈り物のネックレスが目立つように、鎖骨が見えるスクエアネックだ。

ウエストから下はシフォンのような薄い生地がい幾重にも重ねてありフワっと広がっている。


凄く素敵なドレスだ。

だが色は全体的に艷めくような濃い紫色。

完全にこれはディスの瞳の色だよね。


「貴方にはその色が一番似合いますから」


ディスの妖艶な微笑みに、思わず鼻を押さえた。


私の様子を見たディスが「鼻、どうかしましたか?」と、小首を傾げた。


クソっ!美形恐るべしだな。


次の日、セシルとマリアに「衣装部屋にまだ着てないドレスあったから大丈夫」と告げると、セシルが片眉を上げそんなドレスあっただろうかと思考を巡らせていた。


ドレスは別として街には遊びに行く事にした。

ドレスは見に行かないと知ったアデレ兄とアルフ兄、そしてクリスも一緒に街に行く事になった。


女子の服選びは長いからね。



そして宴の当日。

ドレス着て馬で行くのかと思っていたら、どうやら今回の魔獣の群れの件で、今までは通信魔道具で連絡を取り合っていたが、今回のような事がまた起こり得るかもと想定し、辺境騎士団長と父様が協議し、転移魔法陣を繋げる事になったのだと。


身支度を終え、転移部屋に集合だ。

人数が多いので数回に分けて行く事となった。











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