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【62】魔法の実演とは?!



次の日も訓練所に来ていた。


前日にクリス殿下にお願いされたレッグホルスターの製作の為、エドガー騎士団長の執務室へと向かった。


エドガー騎士団長にナイフを創る為の魔鉱石を三個貰い、

自分用に何か新しい武器を創ろうかと考えていると話すと、エドガー騎士団長は何故か喜んで魔鉱石を差し出してきた。

今日は創らないけどね。


その足で次はギネス師団長の執務室へと向かう。


何故かエドガー騎士団長も付いて来た。

「俺は王子殿下の護衛をしなくてはなっ!」

なんだその言い訳は!?訓練所内でしかも護衛騎士もいるのに騎士団長まで要らなくない?


「言っておきますが、今日は新しい武器は創りませんよ?」

「分かってるって。今日は王子殿下のホルスター製作だからな。午後には殿下の前で魔法の実演をするらしいな?」


クリス殿下とマリア王女と私は三人同時に「えっ!」と驚き目を見開いた。びっくりだよ!そんな話は初耳だ。

またギネス師団長が勝手に決めたに違いない。


ギネス師団長の執務室をノックもせずバンッと開け放ち

「師団長ー!!」と叫んだ。


「エルファミア嬢。ならびに王子殿下と王女様、お待ちしておりましたよ」


え!ならびにって、王子殿下と王女にそんなオマケみたいな挨拶駄目でしょ?!


「と言うか、今日午後から魔法の実演って何なんです?!私聞いてないですけど?!」

「おや、もうお耳になされましたか。私がアルフ殿と決めたのですよ」


アルフ兄もかいっ!アルフ兄をジト目で見ると、口唇を尖らせ態とらしく目を逸らした。


「昨日は剣術の実演しか致しておりませんので、エルファミア嬢は魔法も凄いという所をお見せしなくてはと思い、アルフ殿と相談して決めたのですよ」と言いニッコリと微笑むギネス師団長。

「え、でも今日エル様はこれからクリスお兄様のナイフ装備を製作なさるのですよね?魔力は大丈夫なのでしょうか」


マリア王女が心配した面持ちでギネス師団長に訪ねた。


「エルファミア嬢なら大丈夫です。昼食をしっかり食べ少し休憩すれば問題なしですよ」


ほ、本当か?!



ひとまず、クリス殿下のレッグホルスターの製作に取りかかる。革はアイテムバッグと同じ黒を選んだ。まず魔鉱石でナイフを三本創り、その後レッグホルスターを完成させると、クリス殿下は笑顔ですぐに装着したい!とアデレ兄に付け方を教えてもらい装着した。


クリス殿下はホルスター格好いい!と感激している。

喜んでもらえて何よりだ。


今日の昼食は騎士団の食堂にお邪魔する。

クリス殿下とマリア王女が現れると、皆は恐縮した様子を見せたが、いつもと変わらない私や兄二人と騎士団長と師団長を見て周りも徐々に平穏を取り戻した。


「エルファミア嬢、今日はどちらにします?」

マルセルさんが肉と魚どっちにするか聞いてきた。

今日はチキンカツとフィッシュフライのようだ。

「今日は魚にする」

私が魚を選ぶとマリア王女も魚を選び、クリス殿下は二人が魚ならと鶏を選んだ。


出来上がった料理は、私のはすでにパンでサンドされているが、通常はメインのフライの横にパンが添えてある。


「エル様のだけ何故サンドイッチなのです?」

「この方が食べやすいから?」

「なるほど。では料理長、私のもエル様と同じにして貰えますかしら」


料理長が「了解!」とマリア王女にも同じようにサンドしてトレイの上に置いた。


トレイの上に置かれたサンドは、少し大きめの丸いパンの真ん中を横に開き、間に野菜とチーズと魚のフライが挟まっている。ソースはマヨネーズに少しだけトマトソースを混ぜた物だ。


見た目は完全にフィッシュバーガーだ。

食べる時は結構な大口を開けないとだけど、マリア王女は大口開けて食べれるのかな?


席に着くとマリア王女はじっとフィッシュバーガーを見つめている。きっとどう食べようか悩んでいるのだろう。

そんなマリア王女を横目に、私が隣りで何の躊躇もなくバーガーを両手でガシッと掴み、大口を開けて齧りついた。

マリア王女は一瞬ギョッとした表情になったが、意を決したかのように、すぐさま私の真似をし手で掴み齧りついた。


「んふっ、おいひい~」


齧った途端にモグモグしながらマリア王女がひと言。

こらこら、口の中がなくなってから喋りなさい。

王女様がはしたないですよ。

流石にクリス殿下もマリア王女の言動に苦笑いをしている。


初めての料理だし、きっとすぐに言葉にしたくなるほど美味しかったのだろう。


マルセルさんも、マリア王女のそんな様子を見て微笑ましげな表情をしている。


というかマリア王女はヘンダーソンの領地にいたら、どんどん王女様の気品がなくなってしまうのでは?!と少し心配になった。


昼食でお腹いっぱいになり、ふと気づいた。

午前中に魔力を使い少し疲れを感じていたが、今は疲れもなくだいぶ回復したように感じた。


本当にギネス師団長の言う通りになって、何となく納得いかないような気もしたが。


昼食後は全員で室内訓練所に移動した。


「ギネス師団長、そもそも基本の魔法がちゃんと出来ない私が何を実演したら良いのですか?」


基本の魔法は全てミニサイズだ。

それを実演したところで、見せられた方も反応に困ってしまうのがオチだろう。

私の『出来ない』と言う言葉に反応したクリス殿下。


「エル嬢は基本の魔法が出来ないのかい?」

「いえ、エルは出来ない訳ではないんだよ」

アルフ兄は勘違いするなと言わんばかりにすぐにクリス殿下に切り返し返答をした。


「エルファミア嬢の魔法は少し特殊なんですよ」

「「特殊?」」


ギネス師団長は的を指差し叫んだ

「さぁエルファミア嬢、的に向かって思いっきりどうぞ!」


何だかめっちゃやりにくいんだけど。


とりあえず銃擬き魔法を放とうと、仕方なく的に右手の親指を立て人差し指を向け、左手で右手を支え構えた。

クリス殿下とマリア王女は「ん?」と首を傾げながら不思議な物でも見るような顔つきだ。


的に向かって指先からビー玉より一回り小さい大きさの炎の球を連射し、続けて隣りの的に雷の球を撃ち込んだ。


球の発射と共に、クリス殿下とマリア王女が目を見開いていく。

「ささ、王子殿下と王女様。的を見に行きましょう」

「え、あの、今のは何ですか?」

「的に当たったのか?普通は当たると的が弾けて砕け散ったり・・・しかもあれ程球を小さくするのは難しいはずだ」


二人はギネス師団長とアルフ兄に背中を押されるようにして的に向かっていった。的の前まで行くと、先程見開いた二人の目が更に大きくなった。


「な、な、何ですこれっ!穴、穴が!」

「しかも、全て真ん中に命中しているぞ?!王宮魔導師でもこんな魔法使う人はいない、初めて見た!」


「ふふっ、エルファミア嬢は魔法も凄いでしょ?」


ギネス師団長が何故かドヤ顔だ。









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