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【43】初討伐の日



いよいよ初討伐の日となった。

早朝は、アデレ兄といつもより軽めの鍛錬にし、早々に部屋へと戻った。


部屋でギネス師団長とエドガー騎士団長から贈られた騎士服に身を包み鏡に向かった。


自分で言うのもなんだが、か、格好いい!

そして心身共に引き締まる思いだ。


鏡に見とれているとセシルが部屋へ訪れた。

「お嬢様、騎士服とても良く似合っていらっしゃいます。本物の戦闘の女神様のようです」


・・・いや、それは違います。



「本日はどのような髪型に致しましょう?」

「今日は高い位置で一纏めにしてから三つ編みにして、その三つ編みを最初に纏めた高い位置の所に巻き付けて止める。って感じで」


セシルは暫く無言で鏡越しに私を見ていた。

漸くして「よし!」と髪を梳かし纏め始めた。

きっとイメトレでもしていたのだろう。


セシルは真剣な眼差しで丁寧に綺麗に髪を纏めあげた。


「セシル、完璧!」と思わず親指を立てた。

「何です?その親指は?」

「あ、これ?凄く良いよって意味よ」

「そうなのですね、ありがとうございます」

セシルも親指を私に向けてビシッと立てた。


太腿にホルスターを装備して鏡で確認してから部屋を出た。


扉から出ると、ちょうどアデレ兄とアルフ兄も自室の方から廊下を歩いて来たのが目にはいった。

二人も今日は騎士服に身を包み、もちろん二人も太腿にホルスターも装着済だ。


うわ、騎士服だと男前度が一気に増すなぁ

兄二人のイケメン度に惚れ惚れした。


「エル、今日は頑張ろうね」

「一緒にデカいの仕留めようぜ」


ん?アデレ兄、目的がちょっと違くない?

首を傾げながら兄二人と一緒に食堂へと向かった。


食堂に着くと、椅子に座っていた父様と母様が立ち上がり私達の方に目線を向けた。


父様は驚いた様子で開口一番

「エル、その騎士服はどうしたんだ?」


サプライズプレゼントだった私の騎士服


まさかの父様も知らない案件だったとは。

「これはエドガー騎士団長とギネス師団長から頂きました。お二人が内密に仕立て屋さんに依頼していたようです」

「エドガーとギネスか。彼奴ら気が利くな」

父様はニッと笑顔になった。


「エルとても似合うわ~。素敵よ。母様も着てみたくなっちゃうわ」

と両手の掌を胸の前で合わせ目をキラキラとさせている。

母様ならロベルタさんに本当にお願いしそうだから怖い。


父様は食事中に「その太腿のやつが今騎士団員の間で騒がれているやつか!」とかなり食い気味に色々聞かれた。



「今日は怪我に気をつけるんだぞ」


朝食を終えると父様と母様は門まで見送ってくれた・・・のは良いが、父様と母様の並びにブレリックやクレイ、クローネとセシルまで整列して見送っている。


なんか娘を嫁に出すみたいな雰囲気になってるけど大丈夫か?!



訓練所に着き、集合場所になっている寄宿舎のエドガー騎士団長の執務室へと向かうと、執務室の中にはすでにギネス師団長が待機しており、ブラッディ副騎士団長も来ていた。


「お、来たか。今日はよろしく頼むぞ」

「私は楽しみで昨夜あまり眠れませんでしたよ」

ギネス師団長、あなたは子供か!

「本日は私もお供させて頂きますね」

ブラッディ副騎士団長も一緒に行くとは想定外だ。


騎士団長と副団長と師団長そして兄二人って、かなりの精鋭部隊じゃない?!今日って革を取りに行くのが目的だよね?大型魔獣狩りじゃないよね?

何か目的が間違った方向になってないか?


「そういや、マルセルが出発前に食堂に寄れって言ってたな、行ってみるか」

エドガー騎士団長が部屋から出ると、他の人達も続いて出て行き、私もそれについて行く。


マルセル料理長?何だろ?


食堂に着くとすぐさまマルセルさんが駆け寄ってきた。

「お嬢様、初討伐に出られるそうですね。これ途中でお腹空いたら食べれるように作っておいたんだ」

そこそこ大きな籠を渡され、何だろと中身を覗くと籠の中には大量のいろんな具材のサンドイッチが詰まっていた。


うわっ!美味しそう


「お嬢様のお腹が空いて動けなくなったら困るでしょ?」

「私こんなに食べ切れるかな」

「え!これ一人で食べるおつもりですか?!」

「冗談ですよ。皆で食べます」

マルセルさんは吹き出した。

「緊張はしていないようで安心しました。くれぐれもお気を付けて。無事なお帰りを料理人一同お待ちしております」

「はい、いってきます」


マルセルさんと並び、他の料理人達も食堂の出入り口で手を振り見送ってくれた。


そしてサンドイッチの籠と一緒に果実水の入ったビンも持たされた。


みんな心配してくれているんだ、ありがとう。

何だかんだ言っても見た目8歳の子供だしね


空間収納庫に籠とビンをしまって

いざ出発!!


エドガー騎士団長、ギネス師団長、ブラッディ副騎士団長、アルフ兄は、それぞれ身体強化をかけた馬に跨った。

馬に乗れない私は、行きはアデレ兄の馬に一緒に乗り東の山の結界境界線を目指した。


身体強化した馬なら一時間程で着くらしい。

馬に乗り草原を走り抜ける。

山々の麓の青々とした森が、徐々に眼下に迫って来る。


生い茂る森に入る手前の、少し開けた場所に生えている樹々に馬の手網を縛り付ける。


そこからは徒歩で森の中へと進んで行く。



「森に入って前方1キロ辺りにオークの群れがいるようですよ」

「右の方にはゴーレムも数体いるみたいだよ」


ギネス師団長とアルフ兄が感知・探索魔法で確認したようだ。


「エルはどっちが良い?」

「エルファミア嬢の行きたい方へ行きましょう」


おお、選ばせてくれるんだ?


て言うかどっちもどっちじゃない?!









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