【37】ナイフ用レッグホルスター
兄二人が食事に行ってる間にやる事やっとこうかな。
「ところでギネス師団長、素材がなくなりそうと言っていましたが魔石はあるのですか?」
「魔石は大量にありますよ。一度採掘に行くと必ず大量に持ち帰るので。何度も行くのは面倒ですからねぇ」
そりゃそうだ。数人でアイテムバッグを沢山持って行けば、かなり持ち帰れるだろう。
「魔石二つ分けて貰えますか?」
「エルファミア嬢になら幾つでも差し上げますよ。で、何を創るのです?今から創ります?」
そう言い魔石を持って来てくれたギネス師団長の目がやたらギラついていた。
ギネス師団長って魔法の事に関すると、すぐ目がギラつくよなぁ、分かりやすいと言えば分かりやすいが。
ギネス師団長のギラついた目は見ない振りをし、空間収納庫から昨日購入した焦げ茶色の革を取り出し、革の上に魔石を置き、魔石に魔力を流し込む
ピカッ!と光り、出来上がったのは
太腿にベルトで装着出来るナイフ用のレッグホルスター
出来上がったレッグホルスターを目に、すぐに食いついたギネス師団長。
「これはどう使うのです?」
「ちょっと待っててくださいね」
また空間収納庫から、今度はエドガー騎士団長にもらった魔鉱石を三つ取り出しそれぞれに魔力を流した。
テーブルの上には少し細く短めのナイフが三本並んでいる。
「なるほど。この革の物はここにナイフが刺せるってことですね?」
「正解です。これはナイフ用のレッグホルスターと言って太腿に巻き付けるんですよ」
立ち上がり「こうやって」とワンピースの裾をバサッと捲し上げ太腿を露にした瞬間にギネス師団長が叫んだ。
「あぁっ!エルファミア嬢!駄目ですよー!女性が男の前でそんな事をっっ!」
焦り顔を背け掌で目元を隠すギネス師団長。
チッ!この位の事でめんどくせぇと思わず半目になった。
「では目を瞑っていてください」
太腿に巻き付けベルトを閉め装着した。
ギネス師団長の方をチラっと見ると、顔を覆っている掌の指の隙間から見ていた。
ギネス!見てるやんけっ!!
指の隙間から覗くギネス師団長と視線が合った。
バレた途端、少し頬を赤く染め照れながら苦笑いをして誤魔化そうとするギネス師団長。
「別に大丈夫ですよ。私は子供ですので気にしませんから。でも見るなら堂々と見てください。指の隙間からとか逆に怪しいですよ」
ほらっと言わんばかりにワンピースの裾を捲り太腿まで上げ、装着したホルスターを見せた。
ギネス師団長も「そうですよね、怪しいですよね」と呟き、今度はしっかりと目線を脚に向けた。
ちゃんと?生足よりホルスターが気になったようで、目を逸らさずしっかりとホルスターを見ている。
「これはまた随分と便利そうな物をお創りになりましたねぇ。我々魔導師は大きな武器は持たないですけど、念の為ナイフなどを携帯するのですが、これならアイテムバッグから出す手間が省けますね」
「そう、いざって時にすぐ出せるから便利なんだよ」
話をしながら私の太腿をジッと見てるギネス師団長。決して太腿を見ている訳ではないが、傍から見たら幼女の太腿をマジマジと見てるやばい人って感じよねと心の中で笑っていた。
ガチャ
扉を開け「ギネス師団長、戻りました」とアルフ兄が入ってきた。
私はフラグを立ててしまったようだ。
部屋の中の私とギネス師団長の状況を見た途端にアルフ兄は目を丸くし口が完全に開いている。
・・・そういう表情になるよねぇ
ギネス師団長も「あっ」と言ったきり言葉を発しない。
二人共完全に固まった。
「あ、アルフ兄、勘違いしないでくださいね。兄様が食事に行っている間に装備を創ったので、それを見ていただけです」
「そ、そうですよ!決してエルファミア嬢の太腿を見ていた訳ではありませんっ!」
ギネス師団長、弁解すると怪しいから。
「アルフ兄、これですよ」ともう一度、ワンピースの裾をしっかりと捲り見せた。
太腿に巻き付いた物を見て、漸くアルフ兄もハッと我に返ったみたいだ。ギネス師団長も一安心。
「昨日購入した革は、この為?」
「そう、初討伐に向けて使い慣れた装備を揃えておきたかったの、これ良いでしょ?」
「ナイフが三本も装備出来るんだ?使い勝手が良さそうでいいねぇ」とアルフ兄は目を輝かせた。
「それ僕も欲しいな。僕にも創ってくれる?」
「もちろん、アルフ兄には革を余分に購入してもらったし、同じ形で良ければ色違いで創るよ」
でも今日は自分の分創ったし、これから刀を一本創る予定だから魔力の都合で明日の製作にしようという事になった。
アデレ兄は魔法より武器派だから、最初からホルスターを創る予定だった。
アルフ兄も装備したら兄妹三人でお揃いだ~
兄妹でお揃いで何か嬉しいと思っていると
「え!私も欲しいです」
ギネス師団長が手を挙げて言った。
え、お前もかっ!
「ギネス師団長も錬金できますよね?討伐で革を調達したら創れますね?今実物見たから問題ないかと」
「えー!!」
仮にも魔導師の団長なんだから、それくらい自分で創れや!
「エルファミア嬢の創った物が欲しかった・・・」
え?何で?!
その後、アルフ兄に初級魔法より上の魔法を教えてもらう事になり室内訓練所に移動した。
中級魔法は『アロー』
魔法の矢がいっぱい降り注ぐイメージみたいだ。
なるほど。でも何だか嫌な予感がする。
アルフ兄から説明を受けた後、矢を思い浮かべやってみた。
予感的中、矢のはずが縫い針程度の大きさだった。やはり中級もミニ魔法か。
これもしかして上級も同じじゃない?
アルフ兄もきっと同じ事を思っているに違いない。
けど、一応と言い上級の『スピア』を教えてくれたが、やはりフォーク位のミニサイズだった。
「エルの魔法は見た目が小さくても威力が凄いからね。使い方次第だよ」
優しい年下の兄は慰めてくれた。
訓練所から帰る道中に、アデレ兄にもワンピースの裾を捲りホルスターを見せたら、一瞬ワンピースの裾を捲り上げたことにギョッとしたが、ホルスターを目にした途端に驚きの目がキラキラの目に変わった。
アデレ兄も気に入ってくれたようだ。
二人の分も頑張って創るぞー!




