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【201】人員確保



年明けから十日程過ぎた頃、いよいよ完成間近となった私とディスの建築中の建物。丼の専門店となるその建物に看板を付ける事にした。

その名も『米』である。しかも前世の漢字で書く事にしたので、実際読めるのは私とヴァルテスのみ。他の人達は何かの記号だと思ってるみたい。

もちろんディスには教えたけど「面白いですねぇ」とマジマジその字を見ていた。


二階建ての建物の壁面は薄い紫色、屋根や柱や縁などは薄いグレーの塗装でなかなか目立つ可愛い見た目に仕上がった。


二階は転移部屋と、休憩室となっている。


「二人で買った、二人の土地に、二人の色の建物。あぁもう私は胸が苦しくておかしくなりそうです」と悶えるディスは放っておき。


まだ建築なのに、すでにこの店の噂は広まっているとか。

ディスの名前が絡むとやはり噂が広がるのも早いな、流石魔王の側近だ。


「何を言っているのです?私ではなく貴方ですよ?『塩唐揚げ』を手掛けた私の嫁の店って事で噂が広がっているのですよ」


な、何っー!まさかの唐揚げ効果か!

うーん、ジーク達四人だけで回せるかな?もう少し人員を確保した方が良いか・・・



「アメディストゥス様の奥様のお店が始まったら、ユーリとミーナもこちらには来られないのですよね?出来れば彼女達のように信頼できる人が欲しいのですが、どなたかいらっしゃらないですか?」

「どなたか来てくれるのなら、今度はうちが雇いますので。よろしくお願いします」


と、ダグラスさんとエルダさん。そう、ここも人手が足りなくなるのは必須だ。どうしたもんかな・・・とりあえず側近ズにも声を掛けておこう。もしかしたら伝手があるかもだ。


「エル様、俺らと同じ間の子ならすぐ見つかるかもしれないぜ?俺らも何人か会った事あるし、海を渡るやつは多いから海坊主なら情報持ってるんじゃないかな」


私が卒業するまで後二ヶ月弱。

その間にきっちり教えこめば、ユーリとミーナの補助的な接客ならいけるはずだと言うジーク。


「皆自分の居場所が作れるなら欲しいはずだから、必死で仕事も覚えるはずだよ。来るならもちろん俺達もしっかり面倒見るよ」


「よし、じゃあ海坊主に会ってくる」と、ジークと拳を突き合わせた。



いつも夏に来る海にディスに飛んでもらったは良いが、冬の海寒っ!!と自分で両腕を摩っていると、素早く空間からショールを取り出し掛けてくれる準備の良いディス。


「冬の海は冷えますからね」と。流石だわ。


とりあえず呼べば来るかな?

「おーい、海坊主ー!」と叫んでみた。

すると、沖の方から気配が近寄ってきて、海から顔を出した海坊主。

「お前らが冬に来るなんて珍しいな、何かあったのか?」


実は・・・と事情を説明すると「ほー、間の子なら数日前に三人ほど海を渡ったぞ」て言う海坊主は、その子らにジーク達の話をしたという。

「だから、お前達も居場所を作りたいなら『ヘンダーソン』に行ってみろと言っておいたがの」

「でかした!海坊主、ありがとねー!また遊びに来るねー」と別れを告げ、急いでヘンダーソンの街に飛んだ。



「ねぇ、ディスなら広範囲で感知できるよね?いまヘンダーソンに間の子がいるかどうかって分かる?」

「出来ますよ、少し待ってくださいね」


ヘンダーソンの街の中心部に行き、中心から広範囲に感知検索魔法を施したディス。


「居ますね三人」


ディスの感知で見つけた三人は、街の外れにある古い空き家に身を潜めていると言う。


その空き家に静かに近づき扉の前に立つと、一応礼儀として扉をノックした。が、当たり前だが返事はないので、そっと扉を開けると、一人がナイフを手にして飛びかかって来た。

だが飛びかかってきたタイミングに合わせて避けると、よろけた弾みでナイフは手から離れ、その子は地面に転がった。


その転がった子に「大丈夫?」と声を掛けて、腕を持つと怯えた様子でこちらを向いた顔半分布で覆った目。


「君達でしょ?海坊主と会ったのは」と言うと、地面に転がった子は驚いたように目を見開き、身を隠していた二人は物陰から少し顔を覗かせた。


普通の人間なら海坊主に会うなんて事ないからね。


「君達はジーク・ディーン・ユーリ・ミーナの事を知ってるのかな?」

「し、知ってる。海坊主がジーク達はオーストヴァレイのヘンダーソンて所にいるから、い、行ってみろってっ」

「うん、ジーク達はいま私達と一緒に居て、しっかりと自分達の居場所を作ったよ。君達は?どうしたい?」とその子の目をじっと見つめた。


「・・・わ、私達も居場所が欲しい、つ、作りたいです」と泣き出したその子は、ジーク達より少し幼そうな女の子。

物陰から出てきたのは男女一人ずつで、一人目の女の子よりも更に少し幼く見えた。


「分かった。じゃあ行くよー」

そう言うと、え?え?という顔をした三人の手をしっかりと取りディスに掴まると、すぐにその場から消えて次に目に飛び込んできたのはヘンダーソン邸の転移部屋。


ジーク達の時と同じように、ブレリックさんとクローネさんにお風呂を任せ、その間にマルセルさんの元にいたジークを邸に呼びよせた。


「カーラ!ティーナ!ギース!」

「「「ジーク!!」」」

四人は再会を抱き合って喜びあった。


「ジークの知ってる子達だったんだね」

「うん、元々は一緒に居たんだけど、川で激流に飲まれた時にはぐれてしまって・・・三人とも生きてて良かった」


そっか、ジーク達にしてみたら生き別れた家族みたいなものなのかもしれない。


今回は完全に海坊主の手柄だ。

海坊主、グッジョブだよっ!


ジークは「エル様ありがとう、ありがとう」と涙ぐみながら礼を言ったが「お礼は次の夏に海坊主にね」と。


ダグラスさんの店には、側近ズ黒の従者の知り合いが一人、調理見習いとして働きたいという事で雇うことが決まった。

黒は側近ズの中で唯一まともだし、黒の従者なら変なのも居ないだろうと、少し安心した。


その後、魔王と対面してからの、ジーク達による勉強と特訓の日々が始まった。











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