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【200】飲み過ぎ注意



今日から二日間はヘンダーソンで過ごす。

年明けに成人となる事を決めたジーク達は、ダグラスさんの配慮により、年越しの日から週末までお休みとなり、四人はヘンダーソンに里帰り中だ。

今日は四人の成人のお祝いを兼ねて、騎士団で餅つき大会&宴会である。


正直、餅は十分食べたからもういいかなと思ってる私。きっと絶対ディスとアルフ兄とヴァルテスも思ってるってはず。


とりあえず、もち米の仕込みなどはマルセルさんと料理人達が率先してやってくれるので、後は騎士団員達に餅つきのやり方を教えるだけだ。


「ねぇ、エル達は二日間学園休んでいたわよね?ルキアの国に行っていたの?」

向こうで年越し年明けで連日飲んだくれてたと話すと、有り得ない物を見る目つきになったマリア。そう、マリアはあまり酒が得意ではないのだ。


「あ、そうそう。これならマリアも飲めるんじゃないかなと思って」と空間から出した赤と白のサングリア。

グラスに注ぎマリアに手渡すと「わぁ、凄く良い香りね!エルが作ったの?」と口を付けると、途端に目を輝かせ「美味しい!」とチビチビ飲み始めたマリア。

それに続くようにディス・ヴァルテス・アルフ兄も、グラスにサングリアを注ぎ飲み始めた。

そうなると目ざといギネス師団長やエドガー騎士団長も、餅つきそっちのけでサングリアに寄ってきた。


いやいや、餅つけやっ!


父様、母様、アデレ兄にもサングリアのグラスを渡したが、とても好評の様子。


「ジーク・ディーン・ユーリ・ミーナは何飲むの?」

「俺達もエル様の酒貰っていい?」

「もちろんよ、今日はあなた達のお祝いでもあるんだから、好きなだけ食べて飲みな~」


四人のグラスにサングリアを注ぐと、ジーク達は本当に自分達がこんな風に祝って貰える日が来るとは思っていなかったと、少し涙ぐみながら笑顔で酒をチビチビ飲み始めた。


「まだまだこれからよ。これからも一緒にドンドン楽しい事を増やしていくよ」と四人の手を両手で纏めて掴んだ。


「「「「エル様~!」」」」

「エルファミアが居てつまらない事なんてないですからね。むしろ面白い事しか起きませんよ、ククッ」


なんだそれ、褒めてるのか貶しているのか?


餅が出来上がり、雑煮やみたらしのタレで楽しむ団員達。他にも沢山の料理を用意してくれたマルセルさん達料理人も、餅料理を作り終えると宴会に加わり、更に賑わいを見せた。



「エリュ~、しゅきしゅき~!キャハッ」

私の腕にギューギューしがみついて纏わりつくマリア・・・あら、相当酔っているのね。

そんなマリアを剥がしにかかるディス。


「エルファミアは私のですから、あなたはアデレ兄にでもくっついてください」

「えぇ~、だってぇ~アデレイドは~くっついてもぉ口づけしかしてくれないのぉ~」


・・・・・・は?


「もっっぉとイチャイチャしたいのにぃ~」

「なら、あなたから押し倒せば良いでしょ」

「え~いいのぉ?私からぁ?いいのぉ?」

ディスの言葉に頬を高揚させ目を輝かせたマリア。


「えぇ、お好きにどうぞ。アデレ兄はあなたのでしょ」


え!マリアに変な事吹き込んで平気?!


やったぁ~!と喜んでいるマリア。

そんな酔ったマリアの様子に気づき、慌ててマリアの元にすっ飛んできたアデレ兄。

「アデレイド~、私からぁ押し倒すからぁ覚悟しなさぁいよぉ~」腰に手をあて、人差し指でビシっとアデレ兄を指して、いつかの封印されたポーズを取ったマリア。


周りで聞いていた騎士団員達は『ヒューヒュー』と笑いながら野次を飛ばしている。


「ちょ、マリア、飲み過ぎじゃないか?!」

マリアの言葉に顔を赤くして挙動不審となったアデレ兄。


「女性からの申し出なのですから、慎んでお受けしてくださいね、アデレ兄」とニヤニヤ顔のディスに言われ、真っ赤な顔で口をパクパクさせるアデレ兄に追い討ちとばかりに「アデレ兄、奥手過ぎるのも善し悪しよ?」と私もニヤニヤして言うと、アデレ兄はマリアを担いで一目散に逃げていった。


さて、どうなる事やら。


「アデレ兄もお嬢に言われるようじゃな~」

「だよね?エルなんて自分の気持ちを自覚するまで結構かかったのにね?」


ちょ、奥手なアデレ兄のせいで私まで巻き込まれ事故にあってるんだけど?!


「エルファミアはいいのですよ、そういう所も含めて全てが可愛いのですから」


これ、もう全員酔ってんじゃないの?!


結構用意したはずのサングリアのボトルが、全て空になった頃には、父様母様はいつの間にか居らず、ベロベロに酔って潰れたユーリとミーナを担いで「すんませんっ、おさきですっ」と寄宿舎の自室に連れて行く、やはり酔ってフラフラのジークとディーン。

酔っても仲間の面倒をちゃんと見るジークとディーンは偉いね~


・・・そこまでは覚えている、アルフ兄とヴァルテスはどうしたのか・・・気づいた時にはヘンダーソン邸の自室のベッドの上だった。

ちゃんとディスもいるから、ディスが運んでくれたのだろう。


・・・くっ!頭痛いっ!


ん?っていうか背中から感じる温もりが、いつもと少し違う事に気づき、ふと自分を見た。

あれ?何故私裸なの?ゆっくり寝返りをうち、ディスの方を向くと、ディスも裸だ。


「エルファミア、あまり動かないでください」

「な、なんで私達裸なの?」

「昨夜、貴方が『熱い』と言い服を全部脱いだので、私も脱いだ、それだけですよ」

あ~なるほど・・・って、何故ディスも脱ぐ?


「起きた時に一人だけ裸だと恥ずかしいかと思ったのでね」ニッコリ微笑むと、おもむろに手に取り出したレモンのはちみつ漬けを私の口に入れた。


私の為に脱いだの?優しいね・・・って全くならないよっ!?って酸っぱっ!!いつの間に自分の空間にはちみつ漬けを確保していたんだ?


「さぁ私にもレモンを分けてください」

と、真昼間からゴングを鳴らしたディスだった。


ディスは流石に、私の実家では酔いつぶれる訳にいかないと思って飲む量をセーブしていたのだとか。


いやいや、私は二日酔いだからー!!









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