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【187】ノルマンの知り合い



昨夜はディスが昼間の分までとかおかしな事を言い、大いにハッスルしてくれたせいか、朝までぐっすりと良く眠れ、おかげでスッキリと目が覚めた。


「もう少しだけこのままで」と、背中からがっちりホールドしているディスに「駄目、今朝はパンケーキ焼くから」と言うとすんなりと素直に腕を緩めてくれた。


分かりやすいなっ!



「あれ、エル様、早いですねー!もう起きてたんですか?」

キッチンで朝食の支度をしていると、起きてきたユーリとミーナの二人。

「朝食の支度する時は、いつもこの時間には起きてるよ」

「お屋敷や訓練所の食事は、エル様が考案したと聞いたけど、エル様が一から食事の支度してるのは初めて見たかも」


最近は邸と訓練所の料理は、料理長とマルセルさんがきっちり作ってくれるから、私は行っても少し手伝って食べるだけだ。でも学園の寮とここは私だけのキッチンだからね。


二人は手伝うと言いキッチンに入り、食器を出したり野菜を洗ったりしてくれる。


「皆さん、随分お早いですね」

そう言い、いつも通りの時間に起きて食堂に現れたノルマン達四人は、食堂のテーブルのセッティングをしているユーリとミーナを見てホッコリした表情を浮かべている。

すると「やはり女性がいると華やぎますね」とコウディーが呟いた。


おい、私は毎週末来てたよね?

私じゃ華やかないってことかっ?

まぁ良いんだけどねっ!


「エル~今朝はなーに?」起きてきて開口一番に、朝食メニューを聞くアルフ兄。


「今朝はパンケーキだよ。そろそろ焼くからディスとヴァルテス起こしてきて」


パンケーキと聞き、全員がパンケーキって何?と目を輝かせた。そう言えば、寮ではたまに作ってたけど、邸やここではまだ作った事なかったな。


近年流行りのフワフワのやつではなく、どちらかと言うと昔ながらのホットケーキのような、外国の朝食に出てくるような薄いパンケーキ・・・と言って分かるのはヴァルテスくらいだ。なので「食べたら分かるよ」と誤魔化す。


そしてパンケーキを焼き始めると、起こしに行くまでもなく、ディスとヴァルテスは匂いに釣られて食堂にやってきたようだ。


本当に二人の臭覚ってどうなってんの?


お皿にはパンケーキと一緒に、カリカリに焼いたベーコンとスクランブルエッグとサラダ。

別添えで、はちみつとベリーのジャム。

甘いのと塩っぱいのの無限ループ仕立てで、皆は朝からパンケーキ相手に恍惚な表情を浮かべていた。


朝食を終え、各自部屋で身支度を整えたら下の階のエントランスに集合となった。


「ノルマン、今日はよろしくね」


ノルマンの知り合いの食堂の店主は、ダグラスという名で、結構長い付き合いなのだそうだ。

ダグラスの店で出す料理は、基本的には一人で調理をし、接客は奥さんに任せていると言う。

ノルマン曰く、料理の味はぼちぼち、客入りもまぁまぁとの事だが・・・まぁ嫁と二人で細々と、と言ったところか。


私・アルフ兄・ヴァルテス・ユーリとミーナ・ノルマンの六人はディスに掴まり街へと飛んだ。



街の中心から少し離れた所にある、こじんまりとしているが雰囲気の良い見た目の一軒家。

一階が食堂で、二階が自宅と言った感じだろうか。

店内は余計な物など置かずすっきりとしているが、白と茶色を基調とした色合いの中、壁には風景画などが飾られており、なかなかに落ち着きがある。

席は、四人掛けのテーブルセットが四つ、二人掛けが二つという具合だ。


「アメディストゥス様、お久しぶりでございます。ノルマン、皆さんもお待ちしておりましたよ」

「私の嫁の臣下が世話になりますね」

まずディスが微笑みながら胸に手を当て挨拶をした。


・・・嫁って言うな


「そんな、勿体ないお言葉。アメディストゥス様の奥様の臣下の方なら喜んでお引き受けしますよ」


その言葉に、ユーリとミーナは一歩前に出た

「エルファミア様の臣下のユーリと申します」

「同じくミーナと申します」

「「宜しいお願い致します。頑張ります」」


元気に良く挨拶した二人を見て、ノルマンとダグラスは顔を見合わせて笑顔を交わした。


「ダグラス、エルダはいないのです?」

「エルダはいま買い物に出てるんだ、もうそろそろ帰って来ると思うんだが」


エルダとはダグラスの奥さんの事のよう。


暫すると、遅くなったわと買い物袋を下げて店内に入ってきた小柄で可愛らしい女性は、私達を見るなり目を輝かせた。

「まぁ!もしかしてこちらの方が、アメディストゥス様の奥様でいらっしゃるエルファミア様?!」


いや、まだ奥様じゃないですけど


ダグラスとエルダの二人に私が完全に奥様認定されているからか、ディスはかなりご機嫌な様子。


「そうだよ、エルダ。そしてこの二人がエルファミア様の臣下のお二人だ」

「まぁ可愛らしいお嬢さん方、よろしくね」


うん、とてもキャッキャしていて明るそうな奥さんだ、これなら安心して任せられそう。


「二人が立派に接客できるよう、鍛え上げて下さい。よろしくお願いします」

「「お任せください、奥様」」


いや、本当に『奥様』って『嫁』と同じくらい何だか気恥しいからやめて欲しいわ~

なんて熱くなった顔をパタパタしていると、そんな私の様子を見て、隅の方で笑いを堪えているアルフ兄とヴァルテス。


ダグラスとエルダは、良かったら食事をと言うので、お言葉に甘えて早めの昼食をご馳走になることにした。


一つの四人掛けにディス・私・アルフ兄・ヴァルテスが座り、もう一つにノルマン・ユーリ・ミーナが座った。


少しするとテーブルには次から次へと料理が、エルダの手によって運ばれてくる。


目の前に並んだ料理は、トマトソースがかかった鶏モモ肉のソテー、豚肉と野菜をトマトソースを使って炒めたもの、塩コショウで味付けして焼いた魚のムニエル、野菜をコンソメで煮たポトフのようなもの、卵と刻んだベーコンを混ぜてスクランブルエッグのように焼いたもの、じゃが芋の香草焼き。


ちょ、随分量が多くない?誰がこんなに食べられるのさ?!


「ダグラス、少し量が多くないですか?」

流石にノルマンも、この量を見て同じ事を思っていたのか、目を丸くしてダグラスに問いかけた。


「いや~、ノルマンからエルファミア様は料理がお上手だと聞いたので、出来れば味見してもらいたいなと、ハハハ」


なるほど、そういう事か。











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