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【162】勝負の時



ディスの言葉に驚愕の表情となった周りの人達、すると黒が「前からよくアメディスの周りをちょろちょろとしていましたよね」と言う。

「だよな、いつも影から覗いてると言うか、見張ってると言うか・・・」と緑が、その時の様子を思い出したのか、身震いしながら言った。


それってストーカーじゃね?

魔族ってストーカー気質が多いのか?


「何にしても、私はお前など知らないし、知る必要もない。エルファミアに殺気を向けたお前は、私に殺気を向けたも同然だ」


「わ、私はアメディストゥス様の為にっ!」


「おいおい、それは無理だな~。アメディスは幻術になど掛かってないし、アメディスの方がエルファミアに有り得ないほど執着しているからなぁ」


赤の言葉に少し赤くなる頬を、咄嗟に両手で隠した。それを見逃さなかったのかすぐに「可愛いっ」と自分の方へと肩を抱き寄せたディスの体からは、黒い靄が消えていた。


そんな私達のやり取りを女は見逃さなかったのか「アメディストゥス様!」と悲痛な声を上げたが、そちらを見向きもしないディス。


「そもそも、もしエルファミア嬢が幻術を使えたとして、我々が人間の仕掛けた幻術に嵌ると思うのか?ましてや陛下の一番の側近のアメディスだぞ」


尤もな青の言葉に、やっと少し正気になったのか愕然とする女。そして広間にいる周りの女達からクスクスと聞こえる笑い声。


「馬鹿な子ね、あんなだから駄目なんじゃない?アメディストゥス様も相手にするわけないじゃない」

「もっと上手くやらないとねぇ」と聞こえるひそひそ話に、お前らも馬鹿だなと思いながら覚悟を決め、横にいるディスに体ごと向き合った。


そして小声で「ディスごめん」と呟くと、えっ?!って顔したディスのジャケットの襟元を掴んでグッと私の方へ引き寄せると、ディスの口唇に自分の口唇を重ねた。

そしてすぐに自分の腕の中に閉じ込めるように抱きしめた。


「アメディストゥスは私のだから。邪魔するやつは命懸けで来な」


周りの女共を鋭い目付きで見渡し啖呵をきった。


超カッコいい!と言うヴァルテスとアルフ兄。

魔王は「流石戦闘の女神!」と称え、側近ズも「おぉやるなー!」とニヤニヤしながら手を叩き騒ぎ出す。


悔しそうな表情の周りの女達と、ギリギリと奥歯を噛み締める縛られている女。

縛られている女は、魔王の指示で黒い鎖に引っ張られるように床に飲み込まれていったが、最後までディスの名前を叫んでいた。


ストーカー怖っ!


周りの悔しそうな女の顔を見渡して、ざまーみろと得意げにドヤ顔していたが、よくよく考えたら私からくっついたりされる事に弱いディスだが、ずっと我慢していたキスを私からしたらどうなるのか?と恐る恐る下からディスの顔を見上げると、頬は赤く目は潤んでいる。


うん、風邪の引き始めの症状に似ているね・・・

いや!風邪の引き始めにこんな妖艶さはないっ!!


かなり妖艶さを増しているディスの頬を両手で挟み小声で「大丈夫?」と聞くと、同じく私の頬を両手で挟み、大勢の人の目の前で顔面チュッチュ攻撃をしてきた。


途端に歓声やら悲鳴が上がる広間。


えっー!!やっぱりこうなるの?!

こんなに人いるのに?魔王の御前なのに?!


「貴方が悪いのですよ、もう限界です。すぐ邸に戻りましょう」と私を抱きしめ、そのまま広間から一瞬で消えた。


「えー!俺達は?!」とヴァルテスとアルフ兄の叫び声が聞こえたが・・・二人共すまんっ!


転移部屋に着くと、いつも通り出迎えてくれたノルマン達に「今は急いでるので後ほど」とディスは私の手を引き、急いで部屋に向かった。



部屋に入ると途端に始まった顔面チュッチュ攻撃だが、今までの攻撃とは違い、口唇にもチュッチュしてきた。

そうだよね、ずっと成人するまで我慢と言っていたディスに、私から解禁してしまった口唇だ。もう我慢も何もない。


「私は貴方のものなのですねぇ、そうではないかとは思ってはいましたが、やはり言葉で直接聞くと凄まじい破壊力です」とディスは片手で胸を押さえながらも、顔面チュッチュ攻撃を止めない中、隙をついて口を開いた。


「いつも成人するまで我慢って言ってたのに、何かごめん」

「ふふ、そんな事、貴方のあの言葉を聞いたら我慢なんて出来ませんよ。なのでしっかりと責任取ってくださいね」


え!責任?!ま、まさか!


私を横抱きにしてベッドに運ぶと覆いかぶさって来たディスは、片手で髪をかきあげながら、もう片方の手でタイを緩めた。


妖艶さMAXのディスに鼻血が吹き出しそうだが、愛おしそうに見つめる綺麗な紫色の瞳に完全に囚われたかのように、身動きしない私を、そっと大切そうに触れる優しいディスの気持ちに応えるように、首に手を回し身を委ねた。




朝、目を覚ますと目の前にはディスの美形過ぎる寝顔と、素敵な上腕二頭筋と、綺麗に浮き出ている鎖骨と胸筋、あぁ眼福眼福。


というか、全身ダル重なんですけどっー!


頭の中で叫びながらも、綺麗過ぎるディスの顔に見とれながら、こんな完璧な人が本当に私で良いのだろか?・・・人ではないが。


などと考えていると「エルファミア、もう起きたのですか?まだ早いですよ」と背中に手を回し自分の方へと抱き寄せたディスの胸の中で、あまりに幸せな気分で一人ニヤニヤしていると「本当可愛い」と言うディスの声。


え?!ディスからは私の顔見えないよね?

と、とりあえず、もう少し寝とこう・・・


その後、起きると「体は大丈夫ですか?無理してませんか?」とやたら心配するディス。


あまり言われると思い出して恥ずかしくなるからやめてー!










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