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【160】勝負のために



いよいよ今夜は城の夜会だ。


今夜の夜会の為にヘンダーソンに戻り、クローネとセシルに体を磨きあげて貰う予定だ。


「そんな事しなくても貴方はとても美しいですよ」

とディスは言うが、夜会となるとディスを狙う女達がわんさか来るはず、そんな女達に負けないように少しでも綺麗にしたいと思うのが女心というものよ。


ちなみにディスは、兄達の卒業式の時に私が贈ったスリーピースで出ると言う。ヴァルテスとアルフ兄も同様のようだ。


朝食を済ませ、すぐにヘンダーソンの邸に飛ぶと、待ち構えていたクローネとセシル。


「さぁ!久しぶりに腕がなるわね~」クローネさんは腕や肩をゴリゴリ回し、やる気満々だ。


ヴァルテスとアルフ兄は、卒業式でディスが着けていたアスコットタイを買いにロベルタさんの所へ出掛けて行き、ディスは私が磨かれている間に、料理長と訓練所のマルセルさんに仕入れた食材を届けてくれると言い消えていった。


磨かれながら簡単に昼食も済ませ、体が完成すると、髪も綺麗に整えられた。今日は左側だけ編み込みを入れてもらい、そこにディスから貰った髪飾りを付け、あとは全体的にゆるふわ系に仕上げ、化粧を施してもらった。


「お嬢様完成ですよ」「とてもお美しいです~」

すると、本当にどこかで見ていたのでは?と言うくらいタイミング良く部屋に現れたディスは、私を見るなり少し頬を赤らめ、眩しいものでも見るかのように目を細めて「とても綺麗です」と呟いた。


まだドレスは着てないんだけどね。

ドレスは一人でも着れるし、ドレスだと気を遣うから出来ればギリギリまで着たくない。


私の磨きが終わり、ヴァルテスとアルフ兄が街から戻ると、すぐにディスの邸へと帰った。

アデレ兄とマリアにも会いたかったが、二人は相変わらず父様と母様に付いて出掛けており居なかった、残念。


ディスの邸に帰ると、出迎えてくれたノルマン・ビセット・コウディー・リーヴルは、まだドレスも着ていない私を見て、おお!と声をあげた。


一応、私も美少女の括りに入るので、化粧をすると『可愛い』から『綺麗』系に変わるのだ。


まぁ普段はまだ14歳だし、化粧もしないし、自分が美少女なんて自覚もないから、化粧をして髪を整えただけでも、別人のようで誰もが驚くのだろう。


夕暮れ時になると、ヴァルテスとアルフ兄は着替えを済ませ、食堂でノルマン達とお茶を飲んで待機している所に「お待たせ」と、スリーピースのスーツに着替えたディスのエスコートで、ドレスに着替えた私が食堂に入った。


「「「「おおっ~!」」」」


ボレロを一枚羽織っているが、透け透けの肩と背中に加え、スリットの間からの太腿のチラ見せが目を引くドレスに、声を上げて目を輝かせたノルマン達は口々に「綺麗です」「流石、主の奥様」と口にした。


胸元と髪にはディスからの贈り物のネックレスと髪飾り、左手首には私お手製の二人お揃いのブレスレット。全身ディス色に仕上がっているが、やはり人には見せたくないと眉を下げるディス。


「昔もそんなドレス着てたよな、そのドレス凄く『お嬢』っぽいくていいな、似合ってる」

「似合ってるけど、随分目立ちそうなドレスだね」

「今回は目立ちたかったからいいの」


私の言葉に首を傾げるヴァルテスだが、アルフ兄は「あ~、なるほどね」とニヤっとした。

アルフ兄には勝負ドレスってことがバレたようだ。


「こんなに綺麗なエルファミアを大勢に見せたくありませんが、仕方ないので参りましょうか」




***************



今日の夜会の為に用意したドレス。

肩をガバッと開き、上半身は体の線に沿った形だが

お尻から下はフレアで波打つ濃いピンク色のドレス


私が着れば妖艶さが増すのは確実だわ。


フフ、きっとこれを着た私を見たら

アメディストゥス様も釘付けになるわね。

これで今日の夜会の主役は私よ。


やっとアメディストゥス様が私のものになる日が来たのねー!


早く会いたいわ、アメディストゥス様~




***************




夜会の広間に魔王と一緒に入るため、魔王の部屋に顔を出すと、着飾った側近ズも揃っていた。


「うぉっ!お嬢さんか?誰かと思ったぜ」

「凄く素敵なドレスですね、そんな形のドレスあるんですね?初めて見ました」

「薄らと見えてる肩と背中、ちらっと見える太腿が凄く唆る~。その隙間からナイフが見えるのがまた良い!」

「だよな~、これはかなり色っぽいな」


ニヤニヤとした笑みを浮かべた赤・黒・緑・青が私とディスを取り囲むと、ディスはすかさず私を自分の背中に隠した。


「アメディスのマーキングだけでも、かなり目を引くのに、装飾もアメディスの紫色で、しかもその形のドレスは更に目立つこと間違いなしですね」


黒の言葉にハッとなった。そう言えばマーキングがあったんだった。態々派手なドレスにしなくても、それだけで普通に注目の的だったことをすっかり忘れていた。


「エル、とても似合っておるぞ。君達は今日の主役なんだから、少しくらい目立った方が良いのだ」


よく考えたら『人間』ってだけで目立つよな。


側近ズは、太腿からチラっと見えるホルスターが気にいったのか、よく見せて!と言うが、今?今は無理っしょ!?


流石にディスが、太腿に群がる側近ズ四人の頭上にチョップをお見舞した。




魔王の右側に私とディス、左側にアルフ兄とヴァルテス、そして後ろに四人の側近ズが横に並んでいる。

そして魔王に左手、ディスに右手を預け、エスコートされて、いよいよ広間に入場である。



背の高い二人に両手を取られて、若干囚われた宇宙人のような気分になった。













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