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【142】米と言えば



突然、米の国に行こうと言い出すディスに待ったをかけた。


「米の国に行くなら、ヘンダーソンの分も仕入れたいし、ここの城の分も仕入れた方が良くない?私とディスがいつまでも皆に振る舞うのも限界があるでしょ?」


その言葉に魔王も口を挟んだ。

「うむ、全くもってエルの言う通りだ。そしてこれは昨日の仲買とやらに繋がる話しという事だな」察しが良い魔王の言葉に力強く頷いた。


「なるほど、言われてみれば確かにそうですねぇ。私もこれから嫁を娶る身ですからね、エルファミアの服を買ったり家具を入れ替えたり色々と出費がかさみますから、大勢に振舞っている場合ではないという事ですねぇ」


しみじみと呟いたディスだが・・・

何か微妙に違う気もするけど。


「陛下の言う通りです、ですが流石に陛下や実家から儲けようとは思ってないので、上乗せ請求はしませんよ」


魔王は笑いながら頷いた。

「では料理長にその旨伝えて、米を調達してもらうとしようか。まずは一月分くらいか?」

「そうですね、一月分が妥当かと思います。まだ生産者側の現状が分かっていないですからね、急に大量に売れても生産者側は驚くでしょうし」

「では、そのようにするとしよう」


夏季休暇で私がここにいる間に、料理長の米のレパートリーが増える事間違いなしだからね。


「とりあえず城とヘンダーソン邸の分を買い付けに行った時に、米の生産者さん会って、どの位の量なら定期的に買えるか聞いておかないとだよ」

なんなら街の領主と契約を結ぶのもありだと言うアルフ兄、流石だ。


「アルフ兄、母様はヘンダーソンの街でカスタードクリームのフルーツサンドの店を始めたじゃない?店ってすぐ開けるもんなの?」

「母様の場合は、元々飲食をやっていた建物を買い取って始めたからね~。任せられる料理人も母様からの話ならすぐに受けてくれたしね」

「なるほど」


「エルファミアは何かやりたいのですか?」

ディスの言葉にその場に居る全員が私に注目した。


「米ってこんなに美味しいのに、まだまだ認知度は低いでしょ?なら認知度を上げていくにはどうしたら良いか?って」

「お嬢、もしかして定食屋か?」

「「「定食屋?」」」

「定食はさすがに難しいでしょ、でも丼物専門店なら、定食ほどメニューもないし食材もかからないから出来るかな」

「丼物専門店いいねぇ~。安価なら尚更いい!」

「もちろん、目指すはワンコインよ」

「流石、お嬢っ!」


ヴァルテスとの会話で前世用語がバシバシが飛び交う中、何となく会話の流れで読み取っているのか、うんうんと頷いているアルフ兄とディスや魔王、そして時折首を傾げながらも楽しそうに話しを聞いている側近ズ。


「エル、一旦話しを纏めてみようか」


アルフ兄が魔王から紙とペンを借りて、やるべき事を記入してくれると言う。


まず一つ目・ヘンダーソンに行き、邸の料理長とマルセルさんに、米はどの位の量が欲しいか確認する。

二つ目・母様に店の開店について詳しく聞く。

三つ目・米の国に行き、米を買うのと一緒に米の生産者さん、出来れば領主に会う。


「そうだお嬢、醤油も忘れたら駄目でしょ」

「それ肝心!」


四つ目・米の国に行ったら、ついでにもち米も探す。


「さぁ明日から忙しくなるよ」

「俺達も何か手伝う言葉はあるか?」緑が言う。

「側近ズはとりあえず城での仕事をしっかりしてて。手が足りなくなったらお願いするよ」

「その『側近ズ』って何っ!?」赤が叫んだ。

「側近が複数だから『側近ズ』?」

「お嬢のネーミングセンス最高!」と一人大笑しているヴァルテス。

「名を覚えてくださいよ」と青が言うが、覚える自信がないので『側近ズ』と『四色』どっちがいい?と聞くと、四人は渋々と言った感じで『側近ズ』と答えた。


「うむ、では側近ズはそろそろ仕事に戻れ」

魔王にまで『側近ズ』と呼ばれた四人は驚愕の表情となり「陛下までー!?」と叫びながら、ガックリとした様子で部屋を出て行った。

扉が閉まると、アルフ兄とディスと魔王は、側近ズ達の驚愕した顔を思い出したのか、ブハッと吹き出した。


これから魔王とお茶タイムを楽しむと言うヴァルテスとアルフ兄を置いて、陛下の部屋を後にし、調理場へと向かう。


「早速明日はヘンダーソンに行ける?」

「えぇ、明日はヘンダーソンに行き、数日向こうに滞在して少しゆっくりしてからこちらに戻りましょう。戻る頃には私の邸の調理場も完成しているでしょう」


ディスとお喋りしながら調理場へと向かう途中、また変な感じがして後ろを振り向いた。

だが何もなく、そして変な感じも消えている。

気のせいなら気のせいで良いのだが・・・




***************




今日は朝から城で見張りをしている。

情報によると、アメディストゥス様と人間の女は、何の用があるのか知らないが調理場に出入りしていると。


調理場に続く廊下が良く見える場所から、身を潜めてアメディストゥス様が来るのをじっと待つ。


暫くすると情報通りにアメディストゥス様と人間の女の姿が見えた。


久しぶりに見たアメディストゥス様はやっぱり素敵

ていうか、何あの人間はっ!アメディストゥス様にくっつき過ぎじゃない?しかもまだ子供なのかしら?!あんなのに誑かされたの?!


まさか、幻術でも使うのかしら・・・

あんなにアメディストゥス様のマーキングが付いてるけど、きっと幻術に掛けられて無理矢理やらされたのね!


また昼が過ぎて暫くすると、陛下の部屋の方から歩いてくるアメディストゥス様と人間。


何故、必ず一緒なのかしら!

アメディストゥス様を助ける隙がないわ

そして、くっつき過ぎーっ!

私のアメディストゥス様から離れろー!


必ず幻術を解き助けてみせますわ

待っていてください、アメディストゥス様










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