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【132】城に到着



「ねぇ、邸に調理場がないって言ってたけど、ノルマンさん達ってどこで食事を調達しているの?」


お茶を入れる為のミニキッチンみたいな場所と、それなりの大きさのテーブルはあるようだが、あの四人は邸に在中しているのに、毎日食事をどうしているのか謎に思ったことをディスに聞いてみた。


「彼らも近場なら転移可能ですので、毎日街に出て外食なり、すぐ食べれる物などを購入して持ち帰ったりしているようですよ?」


え!毎日?何それ面倒くさっ!


「調理場あれば、誰かしら料理できる人がいるんじゃない?」

「ふふ、それが残念ながら誰一人として、ここには出来る者はおりません」


聞く所によると、一階の奥には調理場になり損ね、使い道のない広い空き部屋があるとか。


そこが調理場になるのは決定だ。

後はどういう構造にするかだな。


「そろそろ城に移動したいと思います、兄とヴァルテスは掴まってください。では行きます」



掴まり飛んだ先は、さっきも見たような殺風景な部屋に到着した。どこも転移専用部屋は用意されているのね。


「城には変な輩が多いので気をつけてくださいね」


変な輩と言われ瞬時に赤い瞳を思い出し、苦笑いとなった私とヴァルテスを見て、アルフ兄がひと言。

「二人の顔を見たら『変な輩』がどんなのか、だいたい想像できるよ」と笑った。


転移部屋の扉を開けようと、ドアノブを掴もうとした瞬間に扉がバンッと開き、ディス以外はビクッ!となり何事かと目を見開いた。


「来たな、アメディス。お嬢さんいらっしゃーい。あれ?二人もおまけがいるね~」


ディスの言葉はフラグだったのか、早速変な輩の登場にディスは死んだ魚のような目になり、私とヴァルテスの眉間に皺がより、顔が一瞬にして引き攣った。


アルフ兄は私達の顔で、これが変な輩と判断したようで即座に私を庇うように前へ出た。


「おまけとは失礼な物言いですね。こちらの国の最高位の御方は、来賓にそのような無礼な対応をお許しになるような方なのでしょうか?僕達はこれから、こちらの最高位の御方と謁見ですが、その際にきっちりと報告させて頂きますねぇ」


アルフ兄の捲し立てるような言葉に、赤い瞳の男が目を泳がせたじろいでいるのが分かる。


「ククッ、兄の言う通りですよ。陛下にルベウスの事は報告させて頂きますね」


あ、そうそう『ルベウス』だったね名前。

すっかり忘れてたよ。と自分の覚えの悪さに思わずフフっと声を漏らすと、すぐにディスが反応した。


「どうしました?」

「え、ごめん。今ディスがこの男の名前言ったでしょ?それで、あーそんな名前だったなと、すっかり忘れててついね」

「ぶふっ!なるほど。流石エルファミアです」

「さ、こんなの相手にしてる暇ないし、アルフ兄もヴァルテスも行くよ~。ディス、あの御方が待ってるんでしょ?」

「ククッ、その通りですよ行きましょう」


赤い瞳の男は私とディスのやり取りを聞き、目が点といった表情で固まっていたが、部屋から出ようとした私に手を伸ばしてきたのが横目で見えた。


その瞬間に、その手首を掴み瞬時に男の背中側に捻り上げると、ギャッ!と声を上げた赤い瞳の男の顔を、背中側から覗き込みひと言。


「人のマーキングがついてるものに手を出してはダメですよ~?分かってるよね?」

顔を引き攣らせている男にニヤァ~と微笑んだ。


「ヒィッ!わ、分かってるって、いや、分かってます!ごめんなさい、ごめんなさい!」

捻り上げていた手をパッと離し「分かればいいのよ」とディスの手を引きスタスタと部屋を後にした。


「ククッ!本当に貴方は」

ディスは笑いを堪えるかのように、口元を手の甲で押さえ隠しているが、肩が小刻みに揺れている。

すぐ後ろではアルフ兄とヴァルテスが「流石エルだな」「だよな、お嬢カッコよすぎだろ」と褒めているんだか何だか良く分からないことを言い、四人で長い廊下を歩き、謁見の間を目指した。




***************




あのアメディスのマーキングだらけの娘

初めて対面した時の衝撃は今でも忘れられない。


まさか人間の、しかもまだ子供の女が、寝ていたのにも関わらず俺の気配に気づいて、瞬時に攻撃を仕掛けてくるなどと、いったい誰が思う?!

常に武器を隠し持っているのか?


しかも表情一つ変えずに的確に喉を狙ってくるとは、あの時は人間の小娘だと、完全に侮っていたし、アメディスが止めてなければ殺られていたかもしれないな。


その時にかなりの手練だと瞬時に悟った。

魔族でも、その場の咄嗟の判断であそこまで出来る者は、中位魔族以上でないとなかなかいないだろうな。


だが良く見ると子供なのか大人なのか

何だか分からない気配を感じた。

アメディスは面白い者を見つけたな!

これは俺も退屈しのぎが出来そうだ。


それにあの腹を抉りにくるような鋭い膝蹴り!

そして躊躇なく人の髪を鷲掴みにする行為、まるで拷問に慣れているかのような行動だ。

素晴らしい!としか言いようがない!


いつも予想外の動きを見せるお嬢さん。

アメディスが入れ込む気持ちが良く分かった。


だが、あまりちょっかい出すとアメディスに怒られるから気をつけないといけないな~


などと思っていたが、城にアメディスの気配を感じて出迎えに来たのはいいが、調子に乗り過ぎて、娘に腕を背後に捻り取られた。


近くにアメディスや他のに男が二人もいるのに、お嬢さんが率先して動くとか、守られる気なしかっ?!


その行動が予想外で面白過ぎるんだって!











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