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帰り道と雑貨屋  作者: 春夏 秋冬
5/7

【少し長い休み時間】

今日はいつもの今日ではなかった。

僕にとっても、皆にとっても。


少しざわついた教室も1時間目が始まると少し空気が戻った。

休み時間にはまた少し違った空気になったが、いつものように嫌がらせを受けることは無かった。

2時間目を終えると5分ほど長い中休み。普段の僕は校庭へ遊びに行く同級生を見送り次の授業の準備とトイレを済ませてまた席へ戻る。でも、今日は違う、友達になりたいと伝えた。次はこれだろう。

「鬼ごっこしようぜ~」

一人の男子生徒が言うと一人また一人と参加しようと校庭へ足を向ける。

「あのさ!ぼ、僕も一緒に鬼ごっこしてもいいかな!」

また、少し空気が変わる。戸惑う同級生達、その中の一人が声を発する。

「いいよ!一緒にやろうよ!」

田中君がそう言ってくれた。

「そうだよ!一緒にやろー」

小柳君も。

「うん!やろーやろー」

女の子達も。

「ありがとう!酒井君と阿部君と伊藤君もいいかな、僕も一緒に皆と遊びたいんだ」

「うん・・・」

「いいよ・・・」

「僕もいいよ・・・」

「ありがとう!じゃあ行こうよ!」


みんなとやる鬼ごっこ。

最高に楽しかった。ずっと友達だったような感覚で遊べた。誰からも意地悪を言われなかった。ずっと鬼をやることもなかった。タッチされるのが嫌だからって手袋をしろとも言われなかった。途中から無視をされるなんてことも。


予鈴がなり教室へ戻る。

教室に入ったところで田中君が僕の名前を呼び話しかける。

「今までごめん、ずっと知らんぷりして。僕、いじめられるのが怖かった。仲間外れになりたくなかった。だから知らんぷりした。本当にごめん」

「田中君・・・」

「俺もごめん!」

「私たちも!本当にごめんなさい!!」

「みんな・・・」


ふと視線を横にすると扉の外で先生が立っていた。

僕らを見て泣いて、笑ってた。

先生ありがとう。皆ありがとう。

まだあの三人とはちゃんと友達になれていないかもしれないけど、僕は必ず友達になるよ。このクラス全員と友達になるんだ。


先生が教室に入ってくる。

「仲良しなのは良いけど授業はじまるぞー、席に着けー」

そう言いながら僕の肩をポンと叩く。

二人で笑顔を交わし僕は席に着いた。


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