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帰り道と雑貨屋  作者: 春夏 秋冬
1/7

【帰り道】

環境に心の成長が左右されやすい頃、誰もが経験したその時間をスポット当てて物語を書きました。


もう通いなれた道。

1人で歩くこの道は。どこまでも続いているかのようにおなじ景色が続いている。

足元の石畳の線を踏まないように歩く、さっきまで降っていた雨で、湿ったアスファルトの匂いに咽そうになる。

顔を上げ、前を見ると少し先を歩く自分と同じ黒い鞄を背負った数人が楽しそうに笑いあっている。

どうして心がキュッとなるのか理由はイマイチわからない。

僕はその数メートル先の光景をしばらく見つめていた。


先を歩く一人が振り向きこちらを見て笑う。

すると一斉にこちらを振り向く。

ばい菌だ!うつるぞ!

その中の一人がそう言うと一斉に走り去る。

そうだ、僕には友達がいない。心がキュッとするのは友達が欲しいからだ。


でも仕方がない。

僕は入学式の時、トイレに行きたいと言えず

お漏らしをしてしまった事がある。

その事が原因だから仕方ない、人のイメージは簡単には変わらない。

僕の努力が大切だと担任の先生に言われた、僕のせいだから仕方がないんだ。

友達になってもらえないのは努力が足りていないからなんだ。


もう少し歩けば前を行く皆は左に曲がる、僕は真っ直ぐだからこの心のキュッとするのはあと少しで終わる。

前を歩く人影も無くなり、また石畳の線を踏まないように注意しながら歩く。

石畳の切れ間、その先には横断歩道が見えてくる、信号は無く車が来ない事を左右に顔を振りながら確認する。

右手を真っ直ぐ上げ横断歩道を渡り終えると、少し先に曲がり角がある。

僕の家に行く道。

でも僕はいつも曲がらずにもう少しだけ真っ直ぐ歩く、するとその先に見えてくる小さなお店。


学校で習った事の無い文字で書かれた店名は『LIGHT HOUSE』読み方はわからなかったがライトハウスと読むらしい。店主の女性が教えてくれた。

いつものようにドアを開けるとカランカランとベルの音が鳴る、奥から店主の女性が出てきて僕に声を掛けてくれる「おかえり」。

ただいまと答えいつものようにカウンターの中の小さな椅子に座り、決まって出してくれるオレンジジュースを飲みながら話をする。

「今日の学校はどうだった?」

僕はいつもと一緒だよと答える。

「そっか、頑張ったね。今は我慢しなくて良いんだから泣きたいだけ泣きなさい。」

僕は泣いていたみたいだ、嗚咽を吐きながら泣いた僕は涙が枯れるまで泣き続けた。


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