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第8話 はい、頼りないです



 いつかの日の午後。

 ルンルンだった俺は、シロンに新しい遊びを教えてあげていた。


「シロン、これはトランプと言ってね。人と遊ぶための道具なんだよ」


 シロンにトランプの遊び方を教えてあげていたら、珍しくイマ先生が遅れてやってきた。


 そんなイマ先生の肩には黒いカラスが乗っている。


 シロンはそれを見て、「あっ」と驚いて声をあげた。


 すると肩のりカラスが喋りだす。


「シロンちゃんだー。わー、シロンちゃんひさしぶりー。会いたかったよー」


 元気にばさばさして、シロンの元に飛翔。

 そして、俺のヒロインの周りをぐるぐる飛び回る。


 知らなかった。


 異世界のカラスって喋るんだな。


 シロンはウィズの喉元をくすぐる。

 その手つきは慣れていた。


「ウィズ、良かった、元気だったんだね」


 シロンとウィズはとても仲良さそうだった。


 前に聞いていた友達の黒カラスと同じ名前だから、そういう事なんだろう。


 久しぶりの再会。


 いい話だ。


 いまいち最初から何を考えているのか分からない人だったけれど、イマ先生が見つけてくれたんだろうか。


 そのイマ先生はトランプをつまみ上げて「これは、なんだ」俺に聞いてきた。


 あっ、仕事さぼってたって怒られる。


 俺は必死に、「いやっ、あのー。これはですね、教育なんです。そう物を教えていただけなんですよ」そう言い、取り繕うが。


 シロンが無情にも「キルトと、遊んでたの」そんな死刑宣告。


 あぁ。シロン……。


 口裏合わせてって言うの忘れてた。


 イマ先生は、何を考えているのか分からない顔で、俺とシロンを見たり眺めたり。

 いやどっちも同じ意味か。


 最近はちょっとわかってきたつもりだったけど、やっぱり何考えてるのか分からないな、この人。


 そんな俺を眺めていたソニアが壁の空調管理パネルでポツリと呟く。


「まったく頼りないなぁ。そんなんじゃ、出来る事も出来なくなっちゃうよ。やっぱり僕がしっかりしないとね」



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