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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年二月
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二月二十八日 尻尾

五十九日目、前半です。

 星暦二千百十一年二月二十八日 土曜日


 お早うございます。


 トレーニングルームです。


 最近の朝恒例(こうれい)、マシントレーニングに来たんだけど、今朝は六人大集合。


 NINJAペア、ユリカ、ミュウ、サリー、わたし。


 昨日ミュウとサリーが頑張って修正したソフトの確認を六人で。


「投げたり打ったり走ったり、その人の力の掛け具合を基準にボールの軌道や人の移動速度なんかを計算するように修正しました」


 と言うミュウの説明。


 要するに…どうゆう事?


 サリーに解説を依頼です。


「一般人の力を五、プロが十、鹿乃子(かのこ)ちゃんを五十だとするでしょ?」


 はい。


「一般人を二倍、プロを其の(まま)、鹿乃子ちゃんを五分の一にするとみんなプロクラスになるでしょ?」


 そうなの?


「一般人を十倍、プロを五倍、鹿乃子ちゃんを其の儘ならみんなで非常識クラスになるのよ」


 今日は上手くいく?


「多分」


 やってみれば判るか。


「とりあえず、プロの倍に(そろ)えようか。倍率調整するからみんなマシンに上がって」


 サリーに言われるままに、マシンに上って準備完了。


 先ずはベースランニング…って。遅! いくら頑張ってもめちゃくちゃ遅い!!


 あと、ぬるっとした感触が気持ち悪い!


「えー? 鹿乃子ちゃん、五分の一にしてもそのスピードなの?」


 サリー。全然スピード出ないんですが?


「平均時速九十キロ…」


 ミュウが計測してくれた。


 遅いよね!?


「「「「「一般人は()の半分も出ません」」」」」


 そうなんだ。


「瞬間でも五十キロは出ないよー。普通はー」


「プロでも一周の平均時速は三十キロぐらいね。一周十三秒で回ればかなり早い方よ」


 ユリカのぼやきとサリーの解説。


「鹿乃子ちゃんは、一周四秒半」


 わたしの計測結果をミュウが読み上げる。 そんなに掛かっちゃったかー。


 よし、神気(しんき)じゃやり過ぎだろうから、真気(しんき)を纏ってもう一回。


「二秒です」


 やっぱり遅いよ?


 なんだか、常に足が空回りしてる感じが(すご)いんですが?


「やっぱり違和感が大きい?」


 ミュウに()かれて考える。


 なんて言うか、思いっきり滑る床の上でふつーのスニーカーで全力疾走してるのに、曲がる時だけグランドをスパイクシューズみたいな…とってもちぐはぐな感じ。


「サリーちゃん…」


「ちょっと危険ね。筋肉に負担掛かり過ぎちゃうかも…ユリカちゃん、能力無しで一周してみてくれる? 設定は二倍にしてあるから」


「はーい」


 と返事して走り出すユリカ。


 え? これで二倍? 遅くない?


 かなり、早いんだそうです。


 ホントに??


「違和感半端ないよ!? 自分の足で走ってるのに()いそうだよ!!?」


 一周してきたユリカの感想。


「ミュウちゃん。わたし達も試してみて良い?」


 かおりとルミもやってみるらしい。


「じゃあ、二人も二倍で」


 走り出す二人。


 さすがに忍者。ユリカよりかなり早いけど…


 順調に一周。終了。


「あははははははははははははは。気持ち悪いですよー。酔う、酔う。すっごく変です」


「気持ち悪い。無理」


 走り終えたかおりとルミの感想がこれ。


「あれですよ、昔有ったフルダイブVRゲーム機で調整失敗してるヤツみたいです」


 かおりが具体的な指摘を。


 まあ、わたしには何のこっちゃ、判んないんですけどね?


 ミュウとサリーには何かピンとくるモノがあったみたいで。


「神経の伝達速度と脳の処理速度も(いじ)らないとダメなのかもね」


 なんか怖い事を仰ってますが?


「結論。能力値を変更するにはフルダイブVRじゃないと無理。って事かなのかなー」


 がっくりと項垂(うなだ)れたミュウ。


 え?フルダイブってヤツなら可能って事? さっきの怖そうな処理が?


「夢を人工的に作るようなモノですから感じる時間を縮めたり延ばしたりって事も出来るんですよ」


 夢の世界なら問題ないのか。何となく納得。


 かおり。有り難う。


「もう一度考え直してみる。もうちょっとで届きそうな気がするんだけどな…」


 ミュウも前向きに再検討する模様。


 そんなわけで実験中止と相成りました。


 朝食を()りに一階へ戻ります。


 で。着替えて朝食。


 その後は、NINJAコンビに誘われてみんなでゲーム部屋。


 オンラインでクラスメートと合流して冒険です。


 顔を合わせた途端


《今日は手加減して下さい》


 と、全員から言われちゃったけど。


 さすがに、昨日はやり過ぎだった模様。


 ゲーム中に運営からも、今日は手加減してくれて有り難う。ってメールが来ちゃったし。


 普通に合わせて加減するのが難しい件。


 お昼が近付くと、みんなもう何も言わなくても近くの町へと移動開始。ログアウトの準備です。


《お休み入れた方が効率が良いのが判ったんだよ。鹿乃子ちゃん》


《実感したよー》


 と言うのは、聡美(さとみ)麗華(リーファ)


 実体験、強し。経験に勝る勉強方法はないよね。


 お昼を食べて、午後はお散歩。


 ミュウとサリーはもう一度プログラムを見直すそうで、NINJA二人とユリカはゲーム部屋。


 公園までやってきましたよ。


 ツイッギーに突撃を食らいました。


 だから、ボディーが硬いんだから、突撃はヤメロって。


 尻尾(しつぽ)があったら、ぶんぶんと音を立てて振り回してるんじゃないかって位の(じや)れッぷりだよ。


「コンドノ メンテ デ ソウビ ツイカ シテ モライマス」


 止めときなさい。


 需要(じゆよう)が見込めないから。


 いや、ウチの連中なら受けるかな?


「オマカセ クダサイ」


 だから、止めとけってば。


 ツイッギーとしばらく戯れた後、公園内をぐるりと一周。


 何カ所か、公園内に配備中の[タウンスイーパー]達とも挨拶(あいさつ)しつつ、ぶらぶらと。


 一人でノンビリするのって何時以来だろう?


 ずーーーーっとユリカ達に引っ張り回されていた記憶しか無いんだけど…


 既に何年か経っているような気がする。


 まだ二ヶ月に満たないんだけどな。


 覚える事が多すぎて、毎日の経験が濃密だったって事なんだろうけど。


 騒がしすぎる気がするんだ。


 あいつらって。


 気遣いなのかな?


 馴染みやすいようにって。


 本性じゃないよな?


 違うよな? 違って欲しいな。誰か、違うって断言して?


 公園内を登下校時の縦とは逆に横方向に移動して、別の出入り口から居住区画へ戻る。


 当然ユリカの家とは別の区画になるんで、道中のスイーパーと挨拶を交わしつつ、家に向かってだらだらと。


 なんだかんだで二時間ほど歩き回って帰宅。


 都合、十キロちょっと歩いたのかな?


「ただ今」


「オカエリ ナサイ マセ」


 玄関を(くぐ)ったらウイーのお出迎え。


「わたしが帰ってきたの、よく分かったね? ウイー」


 タイミングぴったりなんで不思議に思って問い掛ける。


「オクガイ ノ ボウハン カメラ ト レンドウシテ オリマスレバ」


「なるほど!」


 納得いった。


「有り難う」


「ドウ イタシ マシテ」


 時刻は十五時過ぎ。


「ウイー、ミュウ達、出てきた?」


「イイエ、ミナサン オヒル スギカラ ミカケマ センガ」


 没頭してますか。


 強制気分転換、かな?


「おやつを六人分。お願い出来る?」


 ウイーにお願いしようと思う。


「オマカセ アレ」


 キッチンに向かってくれた。


 やがて、ワゴン二つにおやつを乗っけてきたウイー。


 さすがだ。二ヶ所に()もってるのをしっかり把握(はあく)してる。


「ミュウの部屋の二人はウイーにお願いしても良い? わたしじゃ開発の邪魔(じやま)しそうだから」


「オマカセ アレ」


 地階の二人分をウイーに頼んで、わたしは四人分のおやつを乗っけたワゴンを押してゲーム部屋へ。


「休憩時間だよー」


 と声を掛ければ、VRゴーグル越しにユリカが振り向く。


「今戦闘中ー。片付いたらお休みするよー」


 とのお返事。


 VRゴーグルは、ランニングマシンと繋いでた汎用品(はんようひん)。ゲーム機とも繋がるそうで、最近はみんなこれを使ってる。


 攻撃対象はどうやって指定するの?って訊いたら、視線誘導と思考スイッチで出来るそうで、やってみたらとっても便利。


 小さなタッチパネルを凝視してると目は疲れるし、タッチする度に片手をゲーム機から離さず済むし、視界は拡がるしで良い事ずくめ。


 とりあえず、三人のゲームチェアに付属するテーブルにおやつを配る。


 やがて、戦闘終了。


「「「有り難う」」」


「「「「戴きます」」」」


 ウイーの用意してくれたロールケーキ(おやつ)。市販のケーキより数段美味しい…


「自動調理器って、きちんと調整すればこんな美味しいケーキまで作れるんだねえ」


 と感心したら、


「うう…マニュアルの件が未だに尾を引いている…」


 ユリカが落ち込んでいる。


 そりゃぁ、マニュアルを仕舞い込んで存在を忘れていたんだから自業自得だよ。


「鹿乃子が(きび)しいー」


 当然だよ。マニュアルに謝ったか? ユリカ。


「あはははははははははははははははははははは」


 ありゃりゃ。かおりが爆笑しちゃった。

後半に続きます

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