二月二十六日 あざとい…
五十七日目の前半です
星暦二千百十一年二月二十六日 木曜日
お早うございます。
トレーニングルームへとやって参りました。
わたしがよく使ってるランニングマシンに張り紙がありまして。
『今日の朝練はパスします』
と、ミュウの伝言。
昨夜、徹夜は駄目だよって何回か言ったから、ほどほど頑張って寝たんだと思われる。
と言う訳で、一人、島内全周走破マラソンの続きをスタート。
一人で黙々と走る。距離が稼げるること…
毎日わいわい走ってたせいでちょっぴり淋しい。
まあ、邪魔者は全部跳ね飛ばした。
余分な動作を入れるのがめんどかったとも言う。
そのまんま体当たりを…ですね。
速度差でわたしの勝ちだった。ははは…
一時間弱走って朝食の時間が迫ってきたので終了。
部屋でシャワーを浴びて着替える。
ダイニングで、今日はウイーにお任せのメニューにしてみた。
ハンバーグメインのディナーコースが出てきた。
いや、朝から此の量はちょっと…と思ってたんだけど食べちゃった。
いや、あっさりと。美味しかったです。有り難う。ウイー。
さて。一休みしたら散歩に行きたいけど、駄目だろうな。
まだ緊急事態警報解除されてないし。
悪いことをして捕まって、その身内が被害者に対して逆恨みして復讐って…厄介な人達が居たもんだ。
あぁ…身内に居たよ、そう言えば。そっち側の人が…
止めよう。もう過去のことだよ。
リビングでソファに座って考え事…はっと気が付いたら寝ていたみたい。
一時間ほど過ぎている。
時刻はもうじき九時。
ブランケットが掛けてくれてあるんだけど、誰?。
まあ、ミュウかウイーしか居ないんだけどね。
ミュウは起きてきて無いっぽいから必然としてウイーかな?
どこに居るだろう…お風呂で音がする。お掃除中かな?
覗いてみたら洗い場のお掃除をしてくれている。
「ウイー、大変だね。有り難う」
「ドウ イタシマシテ オシゴト デス カラ」
テレテレしながら答えてくれる。
「ブランケット掛けてくれたのも、ウイー?」
確認してみる。
「ハイ サムソウ ニ ミエマシタ ノデ」
やっぱりだった。
「気を使ってくれて有り難うね」
「オシゴト デス カラ オキヅカイ ナク」
と、言いながら、くるくる回って嬉しそう。
「仕事の邪魔をしてごめんね。よろしくお願いします」
「オマカセ アレ」
手を振って見送ってくれたよ。
リビングに戻ろうとしたらパジャマ姿のミュウ発見。
ちょい寒そうな様子。上に何か掛けてくれば良いのに。
ちょうどブランケット持ってるんで肩に掛けながら朝のご挨拶。
「ミュウ。お早う」
「お早う。鹿乃子ちゃん。ブランケット有り難う」
ふにゃっとした笑顔でお返事がもらえたよ。
「わたしもうたた寝してて、ウイーに掛けてもらったんだよ」
ミュウが固まった。
あれ? これも普通取らない行動?
「ま…まあ、鹿乃子ちゃんに対してだから…」
大分、狼狽えている様子。
「どっかで行動パターンを調べて学習してるとか…?」
苦し紛れの気休めなどを。
「あ。その可能性、大きい。確認してみるね」
其の儘向きを変え、自室に戻ろうとするので慌てて止める。
「いや、ミュウ。朝ご飯食べに来たんでしょ?」
「ちがくて、簡単なもの貰っていってお部屋で調べ物しながら食べようかと…」
考え方と行動にブラック臭を感じる件。
「サンドイッチとホットミルクでも持ってくよ。お部屋で着替えてて」
「有り難う。お願いします」
サンドイッチにホットミルク。わたし用のコーヒーを作ってワゴンに乗っける。ついでにカップとティーセット。
ミュウのお部屋にお邪魔。
うん。ミュウが引っ越してきた時以来かも知れない。
前見た時より凄いことになっていた。
辺り一面わたしには意味不明な機械がいっぱい。
突っ込んだら多分お話が終わんなくなりそうな危機感があるのでスルーしようと思う。
「出来たよー」
「有り難う。やっぱり鹿乃子ちゃんの予想で合っていそう」
もう調べ始めてた。
「他のハウスキーパー。特にタイプⅠに対して、かなり頻繁に通話してる記録があるの」
「タイプⅠ用の行動パターンがないから教えて貰ってるんじゃない?」
と、適当なことを言ってみたり。
「そうみたいなの」
えー? 正解だったの? 吃驚だ。
「とりあえず、お上がりなさいな」
持ってきたサンドイッチを渡す。
「戴きます」
「ウイーの調整じゃないから若干味が落ちるよ」
謙遜じゃなくて事実だよなぁ。
「美味しいです」
とか言いつつも片手はキーパネルの上を移動し続けている。
「どっちかに集中しようよ」
そっとキーパネルの手を押さえて告げてみる。
「…うん」
ちょっと考えて、でも素直に食事に集中。
食事を終えてほっと一息。
直ぐに又、キーパネルを操作し始める。
そこへ、部屋用の呼び鈴が鳴る。
誰か帰ってきたのかな?
そう思ってミュウの部屋のドアを開けたらウイーだった。
「ショッキ ヲ サゲ ニ マイリ マシタ」
「有り難う。助かるよ」
サンドイッチのお皿とミルクとコーヒーのカップを手渡す。
「ソレデハ ゴユックリ」
手を振って見送る。
振り返ったら又固まったミュウが。
「あの子、もう、タイプⅠの能力、超えてる気がする…」
済まん。ミュウ。どうコメントして良いのか判らない。
わたしにはハウスキーパーの普通って言うのが判らないんだ。
それから、ミュウがあちこちの通信記録を調べたんだが、家庭用だけじゃなくって業務用や公共施設用なんかのキーパーやスイーパーとまで通信していた記録が出てきた。
「これ、寧ろタウンキーパーやタウンスイーパーから積極的に教えてる形跡がある…ミュウにはもう理解出来ないよ」
そうなんだ。専門科がスプーンを投げちゃう事態なんだねぇ。
「まあ、害があるわけじゃないんだし、寧ろ助かってるんだから良いんじゃない?」
と、無責任に言い放題してみる。
「鹿乃子ちゃんのその何でも受け入れちゃう性格が素敵…」
ミュウ。それ、暗にわたしがお手軽だって指摘なのかな?
「いえ。素直な感想です」
そうですか。投げられたスプーンがどこかに刺さってたりしないよね?
ウイーの行動変化、原因はともかく要因は有る程度判ったので調査は打ち切ってリビングへ戻ることに。
ワゴンを押して、二人で地上へ。
せっかくなんで、リビングでお茶することにした。
準備を始めたらウイーがすっ飛んできたんでお任せしましたよ?
美味しいです。
まったりしたら、色々忘れてミュウと無駄話で時間が過ぎていく。
平和だ。なんだったんだろうか?昨日の八つ当たり連中って。
まだ忙しく働いてくれている方も大勢居るんだよね。はた迷惑なことだよ。
「大丈夫。厳しく罰せられるはず。全ての証拠は揃ってるらしい」
ありがたや。オシゴトして下さった皆様に感謝感謝です。
で、そうした人たちの中の一部が帰ってきたのがお昼寸前。
「お腹空いたー。ただいまー」
と言うユリカの声を皮切りにゾロゾロと。全員帰宅。
人工島のお昼に合わせて、全星域の緊急事態が解除された旨、放送が入った。
さつきじゃなくて紗耶香だったけど…
なんで学園長のわたしがって、ぼやきまではいってた。
ホント、なんで?と思って聞いてみた。
「あの子、お城のゲーセンで遊んでたから、色々と押しつけといた!」
プンプンしたさつきの言葉。
見かけないと思ったらそんな所で…
それで、やっかい事は片付いたんだろうか。
「えーと、一部まだ用事が残ってる人も居るけど、終わったと思って大丈夫だよ」
ユリアからお答えが。一部って言うと、役職者とか責任者とか?
「此所のメンバーじゃ、わたしとユリアとミュラちゃんだね!」
やけくそ気味に叫ぶさつき。まあ、その気持ちも判る…かな? ご苦労様です。
「ミュラちゃん! 今度こそ、此所に艦隊一個大隊の配備権利を奪い取りからね!」
「甘いでしょ。系列含めた関係各星系毎にでしょ!全部合わせれば連邦軍より大きくなっちゃうけど遠慮はしてられないわよ!」
「ついでに羽根とノースウエイブにもおこぼれが回るように根回ししておこうかしらね」
さつきとミュラ姫とユリアが燃えている。
「優良企業に区分されてる企業全部、巻き込んじゃえば良いのよ。根回ししようか?」
サリーがさらりと怖いことを口にしている気がする。
「「「政府のロートルを黙らせるぞー」」」
君らの方がロート…済みませんでした。
ちょっと突っ込んでみようと思ったんだけど、ほぼ全員から睨まれました。怖かったです。
「ねー。お腹空いたんだけどー」
と言う、空気まるで無視したユリカの言葉でお昼を摂ることになりまして。
ダイニングに向かったらすっかり準備が整っておりました。
「わぁ。ウイー。有り難う。気が利くねー」
思わず褒めたらウイーが高速で旋回しながらキッチンへすっ飛んでいったよ。
何故に?
「照れちゃったんだね…」
ユリアの一言。納得した。
キッチンとの出入り口からこそっと覗いている…なんだかかわいい。
「あざとい…誰があんなこと教えるんだろう」
「さっき鹿乃子ちゃんと調べたんだけど…」
ユリアの疑問にミュウが調べた情報を伝えたら、サリーがガバッと横を向いてプルプルと…
やっぱこいつが犯人か!
「鹿乃子ちゃんがわたしの仕掛けた悪戯、片っ端から踏み抜いていく…」
うずくまってプルプルしながら白状した。
此の様子じゃ、まだまだありそうな予感。
「サリーちゃん…一辺、じっくりとお話ししましょうか?音が漏れない丈夫なお部屋で…」
ユリアの目がマジだった。
「はい!此の件については全てレポートにして提出します」
ビシッと固まった後、敬礼をしたサリーが叫ぶように答える。
「よろしい」
怖いよね? 今のユリア、怖かったよね?
ミュウもアルファも震えているし。
ユリカとさつきは大爆笑だけどな。
…ミュウとアルファ、怖かったんだよね?…ねぇ? 怖くって震えてたんだよね? こっち見て?
見てくれないや。 ほっといて、食事しよ…
戴きまーす。
「うわ! 鹿乃子ちゃんの、マイペースが凄い!」
「戴きます」×十人
さつきの叫びに続いてみんなも我に返ってお昼の食事が始まった。
やれやれ。
「鹿乃子ちゃんが発端なんだけど!?」
サリーが叫ぶ。
いや、わたしは切っ掛け、原因はあなたでしょうに。
「反論出来ない…」
よし。黙った。
ユリカとさつきとメグとかおりが爆笑を始めた。…はぁ
後半に続きます




