表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年二月
88/252

二月二十三日 ツンデレ

五十四日目です

 星暦二千百十一年二月二十三日 月曜日


 お早うございます。


 今朝(けさ)も例によって地下一階。トレーニングルームにて走ってますよ。


 今朝はミュウとユリカ、NINJAコンビが一緒(いつしよ)に。


 相変わらずNINJAコンビは自由気まま。


 ミュウは飛行訓練中。


 妖怪(ようかい)スクーターおばちゃんは見かける(たび)討伐(とうばつ)中。


 (いのしし)瓜坊(うりぼう)に分解してる。


 あと、時々ゴリラ。ライオン。パンダ(うさぎ)


 兎はいかん。時間を忘れてモフっちゃうから。


 かおりがビルの屋上にプテラノドン居たとか言ってたし。


 邪魔(じやま)だから()り飛ばしたらしい。


 なんか、音が聞こえた気がするな。


 こっちもちょうどおばちゃん蹴り飛ばしたとこだったみたいなんでよく分からんかった。


 しかし。実際の町中で蹴り飛ばさないように気をつけないと。


 傷害事件(しようがいじけん)になっちゃうし。


「あはははははははははははははははははははは。スクーターおばちゃんは()の島に()ないから平気だよー」


 ホントか?


 何処(どこ)の町にも出没するって()いたんだけど?


「あのサイズのスクーター、この島での登録台数ゼロだもん。本家の地球にはまだ居るかもしれないけどねー」


「それと、スクーターおばちゃん道交法に違反してるから間違いなく[タウンキーパー]が捕縛(ほばく)するよ」


 ユリカとミュウがお答えを。


 そっか。速度規制も停止義務も歩行者保護義務も全部無視してるな。


 さすが妖怪。


「映像も作り物って感じが残ってるでしょ? だから間違えたりしないわ。()えてそうしてるのよ。現実と混じっちゃったりしないようにって」


 視界の外から声が?


 VRゴーグルの映像を透過(とうか)させたら隣にミュラ姫。


 何となく作り物っぽいのって(わざ)とだったの?


「その気になれば見分け付かないレベルで表示出来るわよ?(いじ)ってみましょうか?」


「お願いします」


 言った途端(とたん)風景が変わった。


 全く自然な風景に。


 やばい。これ完全に現実と混じる。混乱する。


 視覚に対する他の感覚と微妙(びみよう)にズレがあって気持ち悪い。


 リアルなら良いってものじゃないんだな。驚いた。


 吃驚(びつくり)して走るの止めちゃったら元の画像に戻った。


(すご)かった。逆になんだか気持ち悪いんだね」


「リアルなのと自然すぎるのって違うから。五感が受ける現実との微妙な違いが気持ち悪く感じるのよ。今位の作り物だよっていう映像なら平気なのは視覚が現実じゃないって認識(にんしき)出来るからなのよね。きっと」


 色々と気を使うんだな。市販(しはん)製品を作るのって。


「何を変えてるの?荒っぽい映像になるわけでもないのに此の作り物感たっぷりなのって」


「主に空気が反射する光と、影に回り込みを起こす光かな。それと色の数」


 空気が光を反射?


「空気の分子とかでも光の反射が起こるからね。それに大気中には(ほこり)(ちり)も大量にあるでしょ?それと、単純な言い方だけど、影の(さかい)で起こる光の屈折(くつせつ)。航空機の影がなかったりぼやけたりするのがその実例かな」


 影? あー。妙にハッキリ見える建物の影とかの事かな?


 言われてみれば、確かに違和感(いわかん)を感じてる。


繊細(せんさい)なんですねぇ」


「人間の視覚(しかく)って案外凄いのよ? 脳の処理が追いついてないけど」


 吃驚知識でした。かなり簡略化した説明っぽいけど。


 そんな知識まで必要とするんだなー。


「あ、知らなくても開発に支障(ししよう)ないから平気よ? 感覚頼りでどうとでも為るし、知ってる方が考えやすいだけだから」


 …落ちが…落ちが(ひど)い。感心したのに。


 トリビア知識でしたか。


鹿乃子(かのこ)ちゃん、説明聞く前から違和感に気付いてたじゃない。感覚で調整ってそれの事だよ?」


 ミュウに言われて気が付いた。


 話を聞かなくても違和感は感じてたし、映像が作り物だって事も認識出来てたね。


 自分の身体なのに気付けない、不思議だねぇ。


 そんなお話をしていたら朝食の時間になったので一階に戻る事に。


 で、ダイニングのテーブルにて。


「ウイー? ウイーちゃん? ちょっと待ってー? あたしー。あたしの注文もお願いー」


 と言うユリカの悲鳴が。


 時間に合わせて揃ったメンバーから、最早(もはや)、当たり前に朝食の注文を受けたウイーが、ユリカだけ華麗(かれい)にスルー。


 慌てて注文をお願い。とユリカが悲鳴を上げた所です。


 渋々(しぶしぶ)という感じを(にじ)ませつつユリカの注文を受け、キッチンへと向かうウイー。


 見事な弄り方。


 しょんぼりと(しぼ)みきったユリカがウザかわいい。


 さつきを除いた全員(そろ)ってるんですけどね。


 サリーがニヤニヤ…いや笑いを必死にこらえてる感じ?


 じっと見てたら決壊した。


「ユリカちゃん。あれ多分ツンデレモード…」


「なにそれ!?」×九人


「二番目に気に入ってる人を邪険(じやけん)に扱うモードなの。ごめんねー。内緒で入れてたのが発動しちゃった」


「サリーちゃん!?」×九人


 てへぺろーって顔で(のたま)うサリーに全員から悲鳴が。


 悪戯(いたずら)するにも程があるんじゃないかい?


 ま…まあ、ユリカが弄られるだけなら実害はないから良いとするか。


「鹿乃子もなにげに酷いー?」


 ユリカが涙目で叫ぶ。


「まあまあ、ツンデレって言ってたから、しばらくすればデレるわよ。弄られてるだけなんだから。ね?」


 ミュラ姫があやす…もとい。(なぐさ)める。


 かおりとメグは視線()らしたまま肩がぷるぷる…


 至って平和です。


 八時半回った頃さつきが起きてきて朝食。


 待ち合わせ時刻の九時に合わせてゲーム部屋に集合し、みんなでログイン。


 なぜだろう、居てはいけないはずの なばちゃん先生がいる。


《なばちゃん? お仕事は?》


昨夜(ゆうべ)の内に済ませましたー》


 質問したらこれがお答え。


 いや、それおかしい。


《答案用紙、金庫みたいなとこに保管したんですよね?》


《そうですよー》


 だからさ…


《夜学校に行っても、金庫開かないですよね?》


《学園長を約一名様ほど用意すれば開きますよー》


 いや、学園長は一人しか居ないよ?


《学園長は合鍵扱いですか?》


《大丈夫ー ちょっと(おど)せばー 大抵(たいてい)は言うこと聞いてくれますからー》


 脅した? 脅したって言ったぞ? この人。


《失礼ー お願いですー 懇切丁寧(こんせつていねい)に 昔話(むかしばなし)しながらお願いしたんですよー》


 ………


 もうね、周りの全員が大爆笑。


 ユリカやさつきなんかゲームシートから落っこちちゃってるし。


 クラスメイト達も決壊したらしく、なばちゃんとわたしのキャラ以外、全員地面でのたうってます。


 ゲーム機の画面。


《あららー 何か(まず)かったですかねぇ》


 等と言いながら辺りを見回すなばちゃんのエルフ幼女。


 これが教師で大丈夫なのか?姫野学園高等部。


 みんなが復帰するのに十五分ほど必要でした。


 その後は順調に。三パーティーで攻略を進め、夕方六時から一時間の休憩。


 七時から続きを深夜まで。


 次回以降はログイン時間が重なった人で組みましょうと別れてログアウト。


 平和だ。


 おかしい。平和すぎて不安になるよ?


 ここ数日、行動する度に何かしら騒ぎが発生してたはず。


 何か大騒動の前の静けさなのではなかろうか?


 なんだかぐるぐる疑問が()いてきて…


「ユリカちゃーん。鹿乃子ちゃんが何か疑心暗鬼(ぎしんあんき)(おちい)ってますよー」


「鹿乃子ー。たまにはこんな日も在るよー。ていうかー。これでも結構騒がしかったと思うんだー」


「ですよね?プテラノドン出てきたし、ウイーちゃんはユリカちゃん弄ってたし、なばちゃん先生は学園長脅迫(きようはく)してたし」


 言われてみれば…色々あったような気がする。


 かおりの言葉で我に返った。


「かおり、助かった。有り難う。考えてみれば充分以上にトラブル発生してるね」


「はい。ふつーの人生はもっとずーっと平和だと思いますよ?」


 良かった。天変地異(てんぺんちい)でも起こるんじゃないかと心配になったよ。


「みんなでお風呂入って休もー?」


 ユリカの言葉にみんな頷いて、着替えを用意してお風呂。


 ゆったり温まってお休みを言って夫々(それぞれ)自室へ。


 明日からまたふつーに授業だよ。


 それでは、おやすみなさい。

五十五日目に続きます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ