表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年二月
86/252

二月二十一日 ダウン

五十二日目 三分の三です

 地上に戻る。


 ゲーム部屋(もう呼び方これでいいよね?)の連中は(いま)だに出てくる気配無し。


 とりあえず、各自部屋に戻って着替え。


 ダイニングを通ってキッチンへ。


 お昼、何にしよ?


醤油(しようゆ)ラーメン大盛りで」


 ミュウの注文入りました。


「「「「以下同文」」」」


 何がだよ。言いたい事は(わか)るけどさあ。


 まあ、全部同じで()いか。


 そこへ走り込んできたのは[ハウスキーパー]様のウイー。


 自動調理器の前で両手を広げて通せんぼって、手に持ってるの、ホウキだよね?


 お掃除(そうじ)続けてくれて良いんだよ?


 胸を(たた)く動作って事は任せなさいって事?


「よろしくお願いします」


 もう、この際やってもらう事にする。


 なんでここまで好かれちゃったのかな?


 不思議(ふしぎ)だ…


 その後提供してくれたラーメンがいつもより美味(おい)しい件。


「やっぱり自動調理器の調整、かなり細かくやってくれてるんだよね?」


「これ、もうタイプⅠ(高級モデル)の機能ほぼ解禁されてるね」


 ミュウに()いたら正解らしい。


「ほぼって事は後何が残ってるの?」


「会話機能」


「話が出来る?ツイッギーみたいに?」


 こくりと(うなず)く。


 ツイッギーが一日中家の中に?


「凄く(やかま)しそう…」


 さつきが(つぶや)く。同じ事を想像した模様。


 あの子、テンション高いもんなー。


「ウイーは平気でしょ?結構控え目な性格っぽいし」


 ミュラ姫の意見には同意。なんかこそっとやってくれてる印象が…


 いや、わたしに対しては結構ぐいぐい来るよ?


「そこは(あきら)めて?」


 (ひど)い。ミュラ姫が酷い。


 あれぇ?まだお昼だよねぇ。なんだか一日過ぎたように疲れてる気がする。


 食べ終わったタイミングでウイーが片付けに来てくれる。


「ウイー、有り難う」


「ドウイタシマシテ」


 ……


 六人が固まりました。


(しやべ)っちゃった」


「タイプⅠとタイプⅢの価格差二倍が酷い詐欺(さぎ)に思えてきた!」


 ミュウとさつきが突っ伏した。


「今さら」


鹿乃子(かのこ)ちゃん現象の前ではその程度の差は問題じゃないですよ」


 NINJAコンビがなかなかひどい感想を。


「ユリカちゃんが丸儲(まるもう)けですね」


 ミュラ姫…それは言っちゃいけない気がする。


 [ハウスキーパー]タイプⅢってお掃除と洗い物機能に限定した廉価版(れんかばん)って売り込みだったらしいよ。


 好感度さえ上げられれば最上位機種並みの働きになるなら廉価版で良いじゃんって()りそう。


「上がんないから大丈夫よ。この前チェックして確信したもの」


 ミュラ姫、此所(ここ)に実例が…


「鹿乃子ちゃんは特別枠(とくべつわく)だからだいじょーぶ」


 さいですか…


 サリーのおいた(・・・)の所為でわたしの評価が酷い事に。


 爆笑を始めたさつきに、拳骨(げんこつ)をプレゼントしたわたしは悪くない。と思う。多分。


「そう言えば、ユリカちゃん達お昼は食べないのかしらね」


 ミュラ姫のお言葉。


 もうじき十三時だね。


「時々笑い声が聞こえるし、ゲーム続行中なのは間違いないんじゃないですかね」


「多分携帯食料。非常食の在庫が減ってた」


「中等部時代は()まり込みでよくやりましたもんね」


 NINJAコンビからのご報告。非常食なんて用意してたの?知らなかったよ。


「階段(わき)の奥の部屋にある。この前聞いた」


 ミュウが教えてくれたよ。


「ゲーム中はとっても便利」


 使い方が激しく間違ってる模様(もよう)


 それよりも、


「携帯食ってカロリー依存(いそん)じゃなかったっけ?」


「現代の携帯食は栄養バランス整ってるから下手なお食事よりバランス良いよ!」


 涙目だけど、さつきが復活。


「あたしも残業用に用意しようかしら」


 ミュラ姫も、間違った方向に突撃を始めた模様。


「鹿乃子ちゃん、午後はゲーム参加しませんか?」


 ミュウがお誘いコール発動。


 かまって?かまって?と言う子犬のお目々が凶暴(きようぼう)です。


「行きますか」


 抵抗は無理でした。


 立ち上がれば、他全員起立したんだが…


「みんなやりたかったのね?」


 上下運動のお顔が四個。


「携帯食と飲み物取ってくる」


 とミュウが走り出そうとするので慌てて声を掛ける。


「飲み物だけで良いよ。食事はきちんと取りましょうね?」


 ピタリ。と止まってゆっくり振り返る。


 悲しそうなお目々で見つめても駄目です。きちんと休憩。絶対必要。


「…(わか)った」


 とぼとぼと取りに行くミュウ。


「生活年齢一番年下な(はず)なのに、すっかりお母さんだね!」


 さつき。五月蠅(うるさい)いよ。


 君たちの精神年齢が低すぎると思うんだ。わたし。


「なんか、身体の年齢に引っ張られちゃうんだよね!不思議な事に!」


「そうなの?」


 頷く一同。


 事実らしい。まあ、そのうちいやでも経験しそうな予感…。


 現実感が(はる)か彼方に逃走中。気にするの終了。


「ミュウ。有り難う」


 ドリンクパックを抱えて戻ってきたミュウから夫々(それぞれ)受け取ってゲーム部屋へ。


 ゲーム中の何人かちらっと視線を向けた気配。


 ユリカなんかは手を振ってるしな。


 シートに座ってゲームに参戦。


 まあ、アシスタントに専念するんですけどね。


 …


 そんなわけで、本日のゲーム中継はサクッと省略。ごめん。


 わいわい騒いでもうすぐ十八時。


 さて、どうやってこいつら一旦休憩させるかな。


《ユリカ。デスペナルティって二時間ステータス半減で良かったっけ?》


《うん。(あと)、所持金半減ー》


《プレイヤーキルすると、した方は町には入れなくなるんだったよね?》


 …


《何を考えてるか思いついたんだけど…》


《もうじき夕飯時なんだ》


 今使ってる武器はバスターソードとか言う奴なんだけど、ぶんぶん振り回してみる。


《おかーさんが夕飯食べないとぶっ殺すって(おつしや)ってますー》


 現在連れ立ってプレイ中の十七人中、ユリカとわたし以外が固まった。


 ユリカを攻撃目標にセットしてみる。


《夕飯食べて二時間休憩しまーす。近くの町まで戻るよー》


 と宣言するユリカ。


《はーい》×十五人


 残り全員、素直でよろしい。


《一辺顔洗ってくると良いよ。ご飯ちゃんと食べる事。後二十時までゲーム禁止。(ただ)しなばちゃんは除く》


《なんでなばちゃんだけ?》×多数。


《社会人にまでお世話する気は無いもん》


納得(なつとく)》×多数。


 町まで戻ってログアウトですよ。


 作戦成功です。


「鹿乃子ー。物騒(ぶつそう)な説得、ありがとー」


「そうでもしないと中断しないだろうに。ほら、みんな部屋に戻って顔洗っといでー」


 ユリカの不満げなお礼にこう返す。


「はーい」×六人


 ふらふらしながら部屋へ向かった。


 残った五人はそれを見て苦笑い。


「何人かは脱落すると思いますよ」


 と、かおり。


 そりゃ、一晩どころかほぼ丸一日以上集中してりゃ疲れるよ。楽しいから気付かないんだろうけどさ。


「ジーナや聡美(さとみ)達の健康気遣(きづか)ってやらなきゃ駄目(だめ)じゃん。年齢三(けた)以上が集まってんだからさあ」


「申し訳ありません」×四人


 さて、夕飯の準備だね。


「ミュウが当番。鹿乃子ちゃんは一辺お部屋に戻って?」


「なんで?」


「鹿乃子ちゃんが()ると、きっとウイーが作っちゃうから」


 納得。部屋で()もってます。


「出来たら連絡するね」


 お願いします。


 そーすると、わたしの食事当番は、事実上なくなったって事かな?


 絶対、ウイーが作ってくれるというか、わたし、作らせてもらえない気がひしひしと。


 等と悶々(もんもん)してる内に、出来たよーとお呼びが掛かりまして。


 食事を(いただ)きながらミュウに確認したら、やっぱりウイーはお手伝いしてくれなかったとの事。


 判らん。


 ユリカはダウンした。


 夕飯出来たよって呼んでも来ないんで見に行ったら、着替えもしないでベッドに寄りかかって眠ってた。


 とりあえず、ちゃんとパジャマに着替えさせてベットに放り込む。


 サイドテーブルにおにぎり他食事を置いて。


 ユリアが言うに、能力使ってないと十三、四歳の体力しか無いんだって。


 体ちっちゃいもんな。


 ゲーム中は一切、能力使ってなかったんだそうです。


 徹底(てつてい)してふつーに楽しんでるらしい。


 時々見せる大人な態度と、ギャップが酷すぎる。


 あいつ、普段は結構な無理をしているんじゃないかと予想。


 で、二十時。ゲームにログインしてしばらく待機。


 いやー。此所のメンバー以外でログインしてきたの、なばちゃんとジーナだけだったり。


 家のメンバーも、アルファとメグはドロップです。


《あ。メールだ》


 とジーナ。


 しばし固まった後、


《他のみんなはおうちの人からゲーム機ぼっしゅーの刑が言い渡されたそうです。》


 と、ご報告。


《なので、わたしも今夜は自主的にログアウトします》


《しっかり休めー。また明日ー》


 と声を掛ければ、手を振りながら姿が消える。


《それじゃ後は鹿乃子ちゃん以外大人ばっかなんで、各自自己責任で》


 おや?


「なばちゃん、君らの年齢知ってるの?」


 ミュラ姫の台詞におやっと思ってオフラインで(たず)ねる。


美來(みらい)ちゃん、学園長の一年後輩なの。一緒に馬鹿(ばか)やってた()だから色々知ってるのよ」


 と言うお答えはユリアから。


「一時期はメンバーズでも活動してたわよ!今はお仕事に専念だって!」


 さつきの追加情報でなるほど、と。


 メンバーズの寄せ集めクラス担任なんだからそのくらいでないと(つと)まらないか。


 それからわたし、ミュウ、NINJAペアの四人と残り五人で夫々パーティを組んで二十四時まで。


 なばちゃんの狙撃(そげき)スキルが(すご)かった。()のスキルで、ゲームのスキル補正や補助は受けてないそうで。


 アーチェリー競技なら国際競技会トップクラスなんだとか。


《ターゲッティングとリリースのタイミングだけですから 実際の弓より遙かに簡単ですよー?》


 と仰ってました。


 その後、予定時刻で解散。


 なばちゃんもあっさりログアウトした当たり、アレは教え子の様子を見るために一緒に遊んでたと推測(すいそく)


 何処まで無理が出来るのか経験させたかったとかかも?


 なんにしても、思ったより良い先生らしい。


 何処までが素なのか判らないのが怖いんだけど…


 まあ、なんだかんだ、色々ありました。が、おおよそ平穏(へいおん)


 良い一日だったということにしておこう。


 それでは、おやすみなさい。

五十三日目に続きます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ