二月十九日 [CRITICAL]
五十日目 四分の三です。
で、此方ではユリカ、かおり、ルミの三人が、
「「「リベンジだー」」」
と叫んでゲームに突入。
三人を指さしアルファの顔を見る。
「昨日ジーナ達が買ったゲームだよ。ネットワークで通信しながら出来るの。多分連携するか対戦するかしてるんじゃないかな?」
それは…同じゲームを大勢参加でやってるという事で?
「そうです。家に帰ってから友達と遊べるから嵌まりやすいの。話題を共有出来るでしょ?」
なるほどー。そうやって中毒患者が増えていくんだねー。
「ちゅ…否定出来ないです」
三十分ほど眺めていたら、
「「「クリアー」」」
と又叫びが。
「ユリカ。そのゲームって予約無しじゃ買えないんじゃ無かった?」
訊ねてみた。
「「「予約してたよ?」」」
あ…そお。
「ジーナ達と競争中なのさー。これなら身体能力あんまり関係ないからねー」
そうなの?
アルファの顔を見てみた。
「昨日の鹿乃子見てたら同意出来ないかな。ぼく」
だよねー。
「これ、アクションゲームじゃ無いからー。鹿乃子みたいな変態的動体視力なんて役に立たないからー」
酷い言い種だな。
「んで? 勝負出来てるの?」
「…一日の差は大きいよねー」
「後は人数ですよー。あっちは四人に加えてステファニーちゃんとなばちゃん先生の六人パーティーですよー」
なるほど。全然追いつけてないと。
なばちゃんも参加してんの?
それ、大丈夫なん?
「今夜中に追いつくよー」
「「夜はお休み」します」
「えー?」
NINJAな二人は無茶はしないようです。ユリカはむくれたよ。
「ただいまー」
玄関が開いてユリアの声がした。
「いやー。AIの好感度確認してきたけど全然平気だわ。鹿乃子以外では最高四十三パーセントだった。熟々異常な好感度たたき出してるよね。鹿乃子」
人を異常者みたいに扱うなよ。
「公園の[ツイッギー]。あの子なんか鹿乃子ちゃんの好感度カンストして二週目もカンスト寸前だったよ!」
さつきのご報告。
あー。サリーが言ってた超えちゃった発言の事か。
「昨日の鹿乃子ちゃんのゲーム、お城の開発部から販売元へ送っといたわ。開発部でも、みんなに大ウケしてたわよ」
「今までの最短記録を六時間縮めたらしいよ?」
ミュラ姫とミュウからもご報告が。
それはあんま、聞きたくなかったかな。
「それと、プレゼント」
サリーが何やら手渡してきた。
ゲームじゃん。
予約してないと手に入らないって言う。
何処で入手されたんですかね?
「開発部が纏めて仕入れてたからもらってきたのよ。はい、アルファとメグの分」
「おぉ「有り難う」サリーちゃん」
「えー? わたし達自分で買ったんだよー」
「そうなの?全員分もらってきたんだけど。余っちゃった?」
メグとアルファのお礼に続いたユリカの抗議にサリーの無情なお答えが。
「まあ。ユリカちゃん。みんなより先にプレイ出来たんだし、良しとしましょ?」
いじけちゃったユリカを、かおりが慰める。
「わたしの分は誰かに譲る。倍額が妥当?」
こら。ルミ。高額転売禁止。譲るんなら定価以下。
「了解ー」
ペロッと舌を出してるし。まぁ本気じゃ無かろうが。
で、隣でわたしにゲーム機を差し出しているアルファがおりましてですね?
「有り難う」
他にどう答えろと…散歩に向かう前の子犬の様なキラッキラのお目々で見つめられているのに。
「意外とマニアだよ?」
メグ…そういうことは事前に頼むよ。
明日、テストなのに。
「多分今夜は寝られないかもねー」
どうやって逃げようかなー。
「駄目…?」
アルファ。その目は凶悪だよ。
徹夜が決まったようです。
で、アルファに教えてもらいつつ初期設定から職業を選んで、チュートリアルとか言うお勉強モードに突入。
大剣使いの戦士とか言うのになりました。
あれ?此のゲームの戦闘はコマンドから行動パターンを選ぶんだ。
そうすると、選んだコマンドに従って攻撃したり魔法を使ったりアイテムを使ったり。
スキルとか言うのを使うと次の行動まで待ち時間が発生する。と。
攻撃パターンや魔法は成長すれば増えていく。町で購入も出来るんだ。へー。
初戦闘に突入。
コマンドウインドウが開いたら何をするのかを選ぶ?
[戦う][魔法][スキル][道具][防御][逃走][その他]
で、選んだコマンドを使う相手と攻撃する場所を選ぶ。
攻撃場所は画面にタッチでも良いのか。
戦うは剣で其の儘攻撃、で直ぐ次の選択。
魔法は…更に種類を選んで決定。ゲージが増えていっていっぱいになると攻撃。
スキルはやっぱ種類を選んでゲージがいっぱいになると攻撃。あれ?其の儘固まるの?
おや、別のゲージがいっぱいになったら動ける様になった。
いきなり使うと非常に拙くないか?これ。
道具は今持ってる物から使う物を選ぶ?ああ、回復薬とかか。
防御は…敵の攻撃を防ぐんだ。
逃走は文字通り逃げる。失敗する事もあり?危険危険ー。
その他は…今は使えない、と。
色々確認しながらやる事が多いね。
あ、コマンドの選択、コントローラーのスイッチを操作した分は画面の矢印が動き出す前に決定しちゃってもちゃんと反応してるや。ウインドウが消える前に、遅れてちゃんと動いてた。
スイッチ弄ってから動くまでにちょっと遅れるからな。反応待たなくても良いなら助かる。
大体頭か胴体の真ん中を攻撃すりゃ良いよね。
命中。
ん?[CRITICAL]?
一撃で終わりなの?
よし、次は…
二匹同時に出てきた、戦闘開始。先ずは右から。
[CRITICAL]
残り。
[CRITICAL]
ダメージの表現なのか?
あ、手に入れた素材を売却?
で、町の人と話をすると。
チュートリアル終了?
「終わったみたいだよ?」
アルファに声を掛ける。
「じゃあパーティーを組みましょう。通信入れるから許可を選んでね?」
おや。ゲーム機が細かく振動して呼び出し音が。
ナナさんから通信の許可を求められています?
アルファか。許可許可、と。
「わたしもー」
ああああさん。メグね。了解。許可、と。
マイクロさん?プリンセスさん?誰だ?
「「わたしも入れて」」
ミュウと姫でした。
良いの? とアルファを見ると頷いてるんでOKを。
四人分のキャラクターが追加で画面に登場。
エルフと女性騎士とドワーフ?が二人…
エルフが姫?
うんうんと頷くミュラ姫。
そうすると騎士がメグで紫ドワーフがミュウ、緑ドワーフがアルファであってる?
三人が頷いている。
で、此の後何するの?
と訊いたら、先ずは町中引っ張り回されて色々お買い物。
ついでにいろんな人とお話。
準備万端で町の外へ。
道をしばらく進み、草原に入っていくと魔物が現れた。
パーティーでの初戦闘。
一匹に見えたけど戦闘画面では三匹だった。
コマンドウインドウが出ると同時に攻撃を選んで一番近い魔物の頭をタップする。
[CRITICAL]と出て魔物が倒れる。
只の攻撃なんで直後にコマンドウインドウが表示されてくる。
隣の魔物の横っ腹をタップすると又攻撃が決まって[CRITICAL]。
再度ウインドウが表示されてくるので最後の一匹の頭をタップ。
[CRITICAL]が出て戦闘終了。
「「「「何?今の!鹿乃子ちゃん!何したの?」」」」
四人同時に詰め寄ってきた。
怖いんですけど。
で、コマンド選択ウインドウが表示され始めると同時に戦闘を選んで敵の頭か胴体の真ん中を指定した事を伝えたんだけど…
四人が画面をネットワークに接続して何やら調べる事約五分。
「これだわ。コマンド入力速度と急所を指定するまでの速度でCRITICAL発生確率を計算してるらしいって」
ミュラ姫が声を上げる。
「鹿乃子ちゃん、コマンドウインドウが開き始めて十フレームくらいでもう敵の急所を指定してるのよね」
隣でわたしの様子を見ていたらしいメグからの報告。
「ほぼ攻撃が全部CRITICAL判定になっちゃうね」
「ゲーム機の画面は一秒に百フレーム表示してるから零点一秒。鹿乃子ちゃん凄い」
ミュウとアルファの反応が…。
なんかこう…やっちまった感がですね?
「鹿乃子ちゃん、悪いんだけどね?」
「わたし達四人が攻撃入れるまでまってもらって良いかな?」
「そうしないとわたし達レベルが成長しないのよ」
「お願いします」
という事になりました。
次の戦闘からは、四人が攻撃入れるのをまって四人目の攻撃発動直後にわたしの攻撃。
魔物が多くて全滅までに間に合えば四人も再度攻撃する。と言うスタイルです。
相変わらずわたしの攻撃は[CRITICAL] 。
みんなの攻撃では数字が表示されてるのになあ。
ダメージの量なんだそうですよ?
わたしの攻撃はどの位なんだろうね?
「あー。駄目だわ。これ、慣れちゃ駄目な奴だわ」
「ほぼダメージが来ない。休憩も回復も必要ない」
「レベルがガンガン上がっていく」
「わたし達、寄生しちゃってる?」
なんだかみんながブツブツ言い始めたよ。
「初期装備の儘でレベル二十越えは無いんじゃないかな」
「一度町に帰りませんか?」
「「賛成」」
と言う訳で町に帰ってきましたよ。
そこでみんなで一辺セーブする事に。
やり方を教えてもらって記録する。
「必要ないかも知れないですね」
そんな事は無いと思います。休みは必要ですよ?ミュラ姫。
お茶が欲しくなったのでキッチンに向かう。
[ハウスキーパー]様に追い返されまして。
「ホントにお茶持って来た」
ミュラ姫が実際に見て感動していらっしゃる。
「有り難う、色々頼んじゃってごめんね」
お礼を言ったらなんか動きが挙動不審?
「あら、照れてるわ」
「初めて見た」
「激レア」
「プログラムしてないよ?」
順にミュラ姫、アルファ、メグ、ミュウの反応。
プログラムに無い動きをしてますか。それは貴重ですな。
「ちょっとー?何でみんな動かなくなっちゃったのー?全滅する全滅するー」
と言うユリカの叫びに横を向けば、六人でパーティー組んでいた残りのメンバー中ユリカ以外が此方をガン見中。
「サリー?」
「いやー?わたしも覚えが無いんだけど?」
ユリアとサリーの会話でした。
まあ、そんな事もあるさ。
「「無いわよ?」」
いや、でも現実に。
「あー!。全滅しちゃったー。あはははははははははははははははははははは」
騒々しいな。ユリカ。
「又デスペナ付いちゃったよー。それってー、どう行動して良いか判んなくなってどっか、ループしてるんじゃないのー?」
やっと落ち着いてキッチンへ引き返していく[ハウスキーパー]を指差してユリカがそう告げる。
「「「「それかー」」」」
開発陣の四人様、納得された模様。
「確認しとく。暴走に発展しちゃうと怖いから」
サリーが立ち上がってキッチンへ向かう。
お茶を頂いてのんびりしているとサリーご帰還。
「いやー。AIの自動プログラム機能が自分で照れた時の動き追加してたわ。吃驚吃驚」
やや冷めちゃったお茶を一気飲み。
「状況に合わせた動きの自動生成は判るけど、褒められて照れる動きを作るとは思わなかったわ。元はユリカの言う通り、どう動いて良いのか迷ったのが原因らしいけど、それが照れてるって評価受けて記録しちゃったみたいだよ?」
あ!それ心当たりがある!
「あはははははははははははははははははははは」
ユリカが指さし大爆笑。
喧しいよ。こっち指差すのヤメロ!
「犯人も分かった事だし、あの子だけの動きだから気にしない事にする」
と宣うサリー。
でも、個性で済ませちゃって良いの?
「うん。それを認めないとわたし達みたいな機械生命体まで否定しちゃうからねー」
ああ。そういうことか。
いくら高性能な人工知能もコピー出来ちゃうなら生命とは呼べないという事であってる?
「概ねOK」
親指と人差し指でまるを作って残り三本の指を伸ばすサリー。合格点頂けた様で。
みんな、お茶を飲み終わった様なので纏めてワゴンに乗っける。
ダイニングの辺りまで押していったら[ハウスキーパー]様が取りに来てくれた。
「有り難う。お願いね」
軽く本体の天辺をなでなでして離れたら、又例の照れちゃった動きをしていた。
癒やされるよねー。
リビングに戻ると、スクリーンが用意されていて、座ったわたしにはゲーム機が差し出される。
これはあれか? みんなで見るから戦闘しろって事なのか?
はいはい。
四分の四に続きます




