二月十九日 目の下に隈
五十日目です。
四分の一ですよ。
星暦二千百十一年二月十九日 木曜日
お早うございます。
大丈夫、目の疲れは残っていないよ?
今日はテスト前日なので、授業は半日とか言ってた。
午後半日って訳じゃ無いから出掛ける時間はいつもと一緒なんだけど。
とりあえず部屋着に替えて朝食に。
「「お早う」」
と挨拶を交わす。
今日の朝食当番、アルファだった模様。
まだちょっと眠たそう。
今朝のセットはフランス風?
バゲットだったっけ? やや固めの。
アルファと二人、もぐもぐ始めるとユリアとかおり、ルミがやってくる。
「アルファ、さつきの分は食パンでお願い。あいつバゲット駄目なのよ」
「はーい」
と、ユリアとアルファの遣り取りが。
我が侭な奴だな。
「子供時代にまるごと囓って乳歯が折れた事があったらしくてね?トラウマなんだって」
なるほど。我が侭なんて言ってごめん。
あらら? かおりが俯いて震えてる。
何かツボっちゃったらしいや。ごめんね?
「あはははははははははははははははははははは」
爆発してしまった。
被害を広げないうちに食事に集中しよう。
おかしい。涙こぼして声も出なくなっちゃったよ。どうすれば良い?
「さっさと食べちゃって出掛ける準備。かな?」
了解、ユリア。急ぐよ。
慌てて詰め込んで自室に引っ込む。
かおり。すまんかった。
でも、何に嵌まったんだろうね?
理由が分からないから又やらかしそう。
出掛ける準備を終えてリビングへ。
ソファで待っているとユリアとルミがやってくる。
「かおり、生きてる?」
「朝食再開。生きてる」
「手加減してあげてね?」
ユリア。手加減も何も何処に反応したのか判らない。
「そっか。じゃ、其の儘で」
良いんだ…
三人でしばらく和んでいたら次第にみんな食事を終えて集まってきた。
かおりはなんだか疲れた表情だけど。
ごめんね?と顔の前で手を合わせる。
「あはははははははははははははははははははは」
又爆発しちゃったよ?
何故だ?
「かおりー。今日はもう休んでた方が良いよー」
「あー。疲れでハイになっちゃったか。ルミ。一緒に休んで」
「了解ー」
ユリユリの指示でかおりとルミは部屋に向かう。
「お仕事の方で疲れたの?」
「多分。今日は休んでもらうよー」
ユリカも結構きついって言ってたしなぁ。
手伝えないのがもどかしい。
「そーしたら、私とサリー、ミュラはお城に行こうか? あっちの方が回線太いし」
「そうね。ミュウちゃんはどうする?」
「出来る事があれば行く」
「じゃあわたしのお手伝いで」
「うん。色々覚える」
ユリア、ミュラ姫、サリー、ミュウはお城行きが決定。
「じゃ、学園行きは五人か。そっちの四人も無理しないで」
「ありがと」
手を振って四人が出掛ける。
残ったわたしとユリカ、メグ、アルファ、さつきの五人で学園へお出かけだね。
五人で家を出ていつものコース。
「鹿乃子ちゃんのおかげで早めに気がつけたね!」
「かおりもルミも、密かに頑張っちゃうからねー」
あれ? やっぱルミも変だったんだ。
かおりの様子になんか無関心だったよね。
「あの子、初めはあんな感じで周りに無関心だったの! 疲れると閉じこもっちゃうのよね!」
「二人っきりで置いといて平気?」
「「んー」」
「あたし残るよー」
「じゃ、お願い!」
わたしの問い掛けにやや考えて、ユリカが様子見に残る事になった。
手を降って別れる。
「ちょっと淋しいね」
アルファが溢す。そうだね。四人になっちゃった。
公園に入った所で[ツイッギー]に盛大に心配されたり。
そこからは、いつもほど目立たず登校。
まあ人数半分だしな。
ホームルームに到着して、やっぱりみんなに心配される。
「ユリアとミュウちゃんはお城でお仕事だよ! ユリカちゃんは看病! ルミちゃんとかおりちゃんは過労!」
とさつきの説明。
「ユリユリいなくてさつきちゃんが居るのって珍しいよね」
と麗華の感想が。
確かに。
でもそれよりも。
「麗華。ジーナ。静香。聡美。目の下に隈」
「「「「ごめんなさーい」」」」
四人揃って両手で目を隠す。
「鹿乃子。クラスのほぼ全員がそう…」
とアルファとメグが周りを指差す。
目を向けると、ほぼ全員で両目を隠す。
「あっはっは。学園長の狙い通りだね!」
「あー…」×クラスのほとんど。
「今夜は負けないよーに? 午後から長いよ? みんな」
アルファの言葉にみんな顔を覆って俯いた。
「自信が無い…」×俯いた全員
「まあ、頑張れ?」
メグの励まし? 突き放しかな?
「努力します」×みんな
そこで始業チャイムと共に なばちゃん先生。
「あらあらあらー 学園長せんせーの罠にはまっちゃった人が大多数ですー? なるべく頑張って下さいねー?」
割とおおらかだった。良いのか? 担任。
そんな訳で授業が三時間とロングホームルームで今日はおしまい。
クラブ活動は禁止されたので全員帰宅だそうな。
大多数がおっきな欠伸を繰り返してるんだけど…大丈夫か? みんな。
因みに月曜日は先生方が採点で忙しいのでクラブ活動も含めて生徒はお休み。
土日にやらないの?と訊いたら
「鹿乃子さんはわたし達に休日出勤をしろとおっしゃいます?」
と泣かれた。 ごめんなさい。
三連休って、することが無いんだが…
等と悩みつつも帰宅中。
[ツイッギー]には明後日から学園三連休だよと伝えておく。
三日も会えないなんてと泣かれたが、明日は行き帰り会えるからと逃げてきた。
顔の表示されたスクリーンの中で、目から滝の涙を流し、スクリーンの中で段々貯まって最後には魚が泳いでいた。
無駄に凝った演出は何の拘りなんだろう?
さつきのツボに嵌まっていたと報告します。
家に着いて玄関を潜る。
「「「「ただいまー」」」」
「「「おかえりー」」」
挨拶したら返事が三つ。
かおりとルミが復活してた。
三人で絶賛ゲーム中。
明日試験だぞ?
「気にしない気にしない」
本人が良いんなら放置しとくけどな。
先ずは制服を脱がないと。
部屋に戻って着替え。其の儘ダイニングへ。
リビング脇を通った所で中の三人に声を掛ける。
「お昼はどうするの?」
「「「食べる」」」
「返品は受け付けないよ?」
「「「了解」」」
ダイニングで二回の三人にインターホン連絡。
「お昼は?」
『『『食べます』』』
「メニューはお任せで良い?」
『『『お願いします』』』
あと三十分位だね。何にしよう。
キッチンに移動して、自動調理器のメニューを眺める。
手軽に食べられて温かい物で…牛丼にでもするか。
メニューをセット。時間もセット。
よし。お茶を煎れてまったりしよう。
お茶を持ってダイニングへ戻るとちょうどアルファとメグが来た。
「お茶、いる?」
「もらう」
「戴きます」
お茶を二杯追加。
三人でのんびりとティータイム。
「みんなゲームが好きなんだね」
と、学園での様子を思い出して口にする。
「嵌まっちゃうとなかなか切替が出来なくなっちゃうね」
「ゲーム依存症って病気扱いされる人もいる位」
メグとアルファの弁。
そんなになるまでのめり込む?
「ゲームの刺激で脳内の麻薬物質が大量発生すると抜けられなくなっちゃうの」
アルファ、もうそれ麻薬指定で良いんじゃないかな。
「そうゆう時代もありました」
ホントに有ったんだ。
「ゲームが広まってから百年に一回位の割合で」
「十年位のゲーム氷河期が周期的にやってくるみたいだね」
アルファとメグの経験談?
「うん。その昔にはフルダイブVRってゲーム機もあったみたいだけどこれだけは復活してこないんだよねー」
何者ですか?そやつは。
「脳波通信か何か使って仮想世界に入り込んじゃう装置を使ったゲーム機だよ」
メグ。話を聞くだけで恐ろしいんですが?
「医療用には普及してるよ? 視力や麻痺が回復出来ない人とかの生活用とかで」
「視力補助にはバイザー型のが多いです。麻痺した人は、モーター駆動の車椅子やアンドロイドを操作するタイプが主流かな」
アルファが追加の情報をくれる。
そういった使い方なら納得いくんだけど?
「ゲームに利用して、コンピューターやサーバーシステムの中に仮想的な世界を作ってそこで色々遊ぶらしいよ」
「接続したまま飢えや脱水症状で病院に担ぎ込まれる人が続出したみたいなの」
「それで一旦禁止されてから復活してこないんだよねー」
そうなる前にゲームを終了する様に安全装置とか出来なかったのかね?
「制限時間を解除しようと安全装置を外しちゃう人が大勢発生してね?」
メグ。それ自業自得じゃん。
ゲーム機械が悪い訳じゃ無いじゃん。
「世のお母様達が納得しなかったらしいよ? その時代の」
おぅ。まさにゲーム氷河期。酷い風評被害だよ。
四分の二に続きます。




