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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年二月
76/252

二月十八日 自動ドア

四十九日目、三分の三です。

「ゲームの続きはどうするのー?」


「終わりにする」


「「「「えー?! もったいない!」」」」


 ユリカの問い掛けに答えたら盛大に反対された件。なんで?


 結局、スリープモード、一時的にゲーム機の動作を止めておいて、食事の後再開する事になった。


 リビングのおっきなスクリーンに(つな)いで。


 夕飯の担当はユリカだった。


 メニューはカレーライス。


 選んだ理由は、作るのも食べるのも時間が掛からないから。


 えーっと…。


 食べ終わると同時にリビングへ引っ張られてスクリーンが用意される。


 ユリアがさっさとゲーム機を(いじ)ってゲームの画面がスクリーンにも映し出される。


 おー。でっかい画面で見ると細かい所がよく分かるね。


 草の一本一本まで()れているよ。


 で、ほいッとばかりに目の前にゲーム機が差し出されまして。


「食休みを要求する」


 と拒否してみた。


「えー?」×八人


 声を上げなかったの、かおりとサリー。味方してくれて有り難う。


 かおりに教えてもらって再びスリープモードに。


「お茶して休むぞ。最低三十分」


「十分で」×八人


「やだよ!ちゃんと休ませろよ。なんで一気に子供の反応になるんだよお前達は」


「あはははははははははははははははははははは」×八人


 半分位は冗談だった模様。勘弁(かんべん)してよ。


 三十分ぴったりでゲーム機が目の前に差し出されましてね?


「はぁー…」


 深ーい溜息(ためいき)と共にゲーム機を受け取る。


「んじゃ、始めるよー」


 と言いつつスタンバイを解除してゲーム画面に。先ずはステータス画面で状態を確認。


 ユリカたちが色々やってる間に魔力は回復してるね。


 と言う訳で、移動開始と共に魔物と遭遇(そうぐう)、戦闘状態に突入です。


 しばらく回復待ちしてた様なものだから、当然、移動開始と同時に魔物と遭遇する状態が続く。


「あー。()のゲーム、マップ上で動かないでいるとエンカウントしない代わりにその時間動いていたら遭遇したはずのエンカウント()め込んじゃうんだっけか?」


「そうそう。じっとしてれば回復出来る代わりに、その後延々戦闘になっちゃうから、普通はポーション使うんだよね」


 さつきとユリアの会話。


 マップ…は地図だよね。エンカウント? ポーション? 何? それ。


「ねぇ、なんで攻撃を回避しながら□や☆の魔法記号を正確に入力出来るんだろうね?」


「それに、敵の攻撃、一切当たんないね」


「うわー。広範囲(こうはんい)魔法まで回避してるんだけど? どうなってるの?」


 相手の攻撃避けなきゃやられちゃうし、魔法は記号書かなきゃ発動しないんだから慣れるしか無いんじゃないかい?ミュウ。


 相手の攻撃って、動き始めれば軌道(きどう)が変わんないから避けるだけだよ?メグ。


 攻撃放った本人は範囲外にいるんだから発動する前に接近しちゃえば当たんないよ?ミュラ姫。


「「「普通、出来ないんじゃ無いかな?」」」


 楽器だって両手で別の動きしてるんだし、敵の動きなんて画面二枚分見れば判るじゃん?


「あぁ。そっか」


「「フレーム単位で見分けてるの!?」」


 ミュウは納得してくれたけど、フレームって、何?


 そんな具合にダダ()れ思考で会話しながらひたすら戦闘繰り返してたらやっと通常状態に戻った。


 レベルもバンバン上がって現在八十二


「初期装備だとレベル上がるの早いんだっけ?」


 さつきがユリアに確認中。


「上昇幅も(すご)かったはず…ステータスちょっと見せて?」


 ユリアのリクエストにお応え。


「あー。もうほとんどカンスト寸前…。ありがと」


 カンストって、何ですか?


 で、大体森の中心付近。目の前に洞窟(どうくつ)


 まあ。ここまで真っ直ぐ来たんだしな。其の儘(そのまま)進んじゃえ。


「ためらいも準備も無くダンジョン突入ってー。あははははははははははは」


 ユリカが爆笑してる。


 変だった? 此所(ここ)、ダンジョンって言うんだ。


 ダンジョン内は魔物が変わった。


 外より若干早くなったかな?


 力も強いのかも知れないけど、当たんなきゃ関係ないし。


 と言う訳で、外同様サクサク前進。此所も真っ直ぐ進めるんでそのまんま直進中。


 迷路みたいな通路なんだけどなぁ。ま、壁に突き当たるまで直進直進。


 レベルも順調に上昇して、さっき見たら九十五だった。


 体力や魔力は九が四つ並んでた。他の数字も大体そんな感じ。


 やっと行き止まり。


 大きな扉が目の前に。


「開発陣の冗談だと思ってたんだけど…」


「ホントにスタート地点から北に真っ直ぐが最短なんだね…」


 さつきとユリアが(あき)れ声。


「鹿乃子ー。其の儘前進ー」


 ぶつかんない?


 進んでみたら自動ドアだった。


 なんか周りで吹き出す音が? わたし変な事言った?


 中に入ると五段位の階段の上におっきな椅子(いす)を置いて座ってる人が一人。


 でっかい角があるんだけど、魔王様?


 何で魔王様だけ人型なんだろう?


 なんだか周りでどったんばったんあばれる気配が…まあ良いか。


 魔王様が何か話し始めたけど、其の儘進んだら戦闘になった。


「「「「あはははははははははははははははははははは」」」」


 なんで笑うんだ? ユリカ、メグ、さつき、かおり。


 ここまで使った事無いけど魔王様相手なら良かろう。という事で。


 最上級魔法を四連発。


 残りの魔力で上級を三発。


 …おい。終わっちゃったぞ?


「あはははははははははははははははははははは」×十人


 一同大爆笑。そんなに面白い状況だったのかな。


 画面には[パーフェクト]とか文字が出てるんだけどさ。


 これから先何をすれば?


 …当分帰って来そうもないね。みんな。


 (のど)(かわ)いたし、お茶して待っていよう。


 それから約三十分。やっとみんなが帰ってきたよ。


 現在、アルファが同じゲームをプレイ中。


 みんなで大画面に写して見てるとこも一緒。


 そうか。色々準備したり情報集めたり回復したり装備の交換したりしながら進めるのが普通だったんだ。


 近くに町がある理由がようやく判明。


 ゲームの一番優先順位が高い催し(イベント)は勇者パーティーより先に魔王様を倒す事らしいんでわたしのプレイも間違っちゃいないみたいだけどな。


 初期装備でノーダメージクリア出来る人がいるとは思わなかったというみんなの感想でした。


 現在、アルファが平原や林や町を行ったり来たりしてるんだけど、わたしが進んだ時と比べて魔物との遭遇回数が圧倒的に少ないんだよ。何で?


「鹿乃子がやった一直線で北上するルートだと、魔王様に会うまでにレベルが上がんないからだと思うよ」


「レベル五十以下だと確か魔王様にダメージ入らないんじゃ無かったかな! 専用の調整がしてあるんだと思うよ!」


 なるほど。ユリア、さつき、解説有り難う(ありがとう)


「そうだ。鹿乃子(かのこ)、クリアしたゲームのパッケージ貸して? 開発部に送って見てもらおう」


 言いながらわたしのゲーム機からパッケージカードを取り出すユリア。


「何度もやるつもり無いからかまわんけど?」


「うん。そう言うと思った。売り手側としたら、出来たらいろんな遊び方して欲しいんだけどね」


(ひま)な時の候補に入れとく」


是非(ぜひ)、そうしてやって」


 そんな話などもしつつ、アルファのゲーム進行状況鑑賞会は続く。


 今は薬草?とかから回復薬?を作って資金稼ぎの最中。


 そんな事も出来るんだねぇ。


 一時間ほど経過した所でステータス画面を開いて端っこの方にある[保存]ってコマンドを選んだ。


「鹿乃子ちゃん。これがセーブだよ。ゲームの進み具合を記録して後で再開できるようにするの」


 メグが説明してくれた。


 なるほど。一気にクリアしちゃうんじゃ無いのか。


 それなら色々のんびり出来るよね。納得した。


「何故一気にクリアしなくちゃって思ったの?」


お城(本部)でやったゲームがそうだったじゃない。あんな感じだと思った」


「なるほどー」×十人


「そういや、初めてのシューティングゲームもノーミスクリアしてたっけねぇ」


「規格外だよねー」


 さつき、ユリカ。しみじみ人を食み出し者(はみだしもの)扱いはヤメロ?


「食み出してないよー。もう食い散らかしちゃってるよー」


「余計に(ひど)いわ」


「あはははははははははははははははははははは」×十人


 爆笑しやがった。みんな酷い。


 片付けも終わってみんなでお風呂。


 ちっちゃな画面見つめ続けてたせいか目が疲れた。


 お湯で暖めたタオルで目を(おお)うと気持ちいい。


 ゆっくり温まって就寝の準備。


 ジーナ達、明日きっと寝不足だな。等と考えつつ布団に入る。


 それでは、おやすみなさい。

五十日目に続きます。

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