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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年二月
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二月十七日 強制握手

四十八日目の後半です。

 十六時近くなったので、そろそろお開きにしようか?と、片付け始める。


 たまにはわたしが確認取ろうかと、携帯端末を引っ張り出してユリカを呼び出す。


 しばらくコール中の音が流れた後ユリカが応答。


『どうかしたー?』


「勉強会終わったから帰ろうかなと。そっち行った方が良い?」


『校門で落ち合おー。今日はあたし一緒に帰れるよー』


「了解。じゃ後で」


 と言う訳で、最低限ユリカは一緒に下校が確定。と。


 片付け終わった七人(そろ)って図書館を後にする。図書館を出た所で麗華(リーファ)が別れ、校門でユリカ、さつき、ミュウと合流、静香(しずか)聡美(さとみ)、ジーナが夫々(それぞれ)自宅へ別れてゆく。


 相変わらずNINJAな二人と情報収集がお得意なユリア、(ミユラ)、サリーがいないから、諜報(ちようほう)活動中?


「ユリアとミュラ姫は情報収集と言うより強制侵入調査(クラツカー)と言うべき?」


 なんだか犯罪臭のする呼び方ですね。メグ。


「元は犯罪者用語だったかな? 無断で、証拠も足跡も残さず他人の端末に侵入するスキル持ちの呼び方だった様な?」


 とはミュウの解説。


「サリーちゃんみたいに、システム開発なんかのスキル持ちはハッカーだったかな? 一時期クラッカーと一緒くたになってた様な?」


 アルファから追加情報。じゃあ今度からユリアと姫はクラッカーコンビ、ミュウとサリーをハッカーコンビと呼ぼう。


 そう言えば、ミュウは今日帰っちゃって平気なの?


「わたしの分は終わったし、サリーちゃんの作業見学したくても早過ぎて(わか)んないし」


 何となくしょんぼりな様子。 あぁ。ミュウの判るスピードにしてもらおうとするとサリーの邪魔(じやま)になっちゃうと?


「うん」


 せっかくの機会なのに残念だったよね。ユリアや姫の作業は見なくて良いの?


「あの二人がやってる事はわたしには理解不能」


 なるほど。方向性の違いって奴ですかな?


「そんな感じ」


 合ってたらしい。てきとうに言ってみただけだったんだが…


「そーゆーとこ、勘が妙に鋭いよね。鹿乃子(かのこ)って」


 ()められちゃった?


「なんで疑問形?」


「「あはははははははははははははははははははは」」


 ミュウとお話ししてただけなのに、ユリカとメグが笑い出しちゃったよ。何故だ?


「なんかかみ合ってる様で微妙に掛け違ってるみたいな?」


 アルファ、そりゃあ、わたし。半分も意味が分かってないんだから無理もないんじゃないかな?


「「何故それでお話が成立してたの?」」


 いやー。何となく…


「「「「あはははははははははははははははははははは」」」」


「あ! 乗り遅れちゃった!」


 タイミングを逃したさつきを残して大爆笑。そんなに変な事言ったか? わたし。


 そんなじゃれ合いをこなしつつ、恒例のタウンスイーパーとの挨拶(あいさつ)は最近ほとんどハイタッチになってきているんだが、こなしつつ、もうすぐツイッギーの待つ公園出口。


「ただ今。ツイッギー。今日も一日お疲れ様」


「オカエリナサイマセ ミナサマ コノアトモ オキヲツケテ」


 両手でわたしの空いてる左手を(つか)みぶんぶんと強制握手。強い。ぶんぶんが強すぎるんじゃないかな?最近。


「「「「「あはははははははははははははははははははは」」」」」


 手を離してもらった後、手首をぷらぷらしていたら爆笑された。今度は間に合ったな。さつき。


 (ちな)みに右手は、アルファの左手と(つな)がってます。


 アルファの反対の手はメグ。ミュウはユリカとさつきがひぱってる。


 やがて家に到着。ユリカに(かぎ)を開けてもらって中に入る。


「ただ今」×六人


 で、制服を脱ぐために一旦各自自室へ。


 着替えが終われば、自然にリビングに集合する日課。


 課題は特にない。各自試験勉強せよとの無言のお達しらしい。


 大体が、みんな集まったら遊んじゃうんだけどね。


 今回、わたしはこの社会にどの程度なじめたのか確かめる意味も含めてぶっつけの予定。問題文の書き方とか、回答の手がかりになる部分がどんなふうに表現されているかってのが判断ポイントになるかなって思ってる。


 今のところ、個人の権利に関する考え方がちょっと極端なのがなじみにくいかなって感じてる所。


 立場によって当然、何かと制限を受ける度合いって違うのが当たり前って思ってるから、人類は皆平等とか、単なる理想じゃね?って感じですな。 わたしにとっては。


 ミーハーな雑誌の論法ほど、この傾向が強い様な…。 あぁ。もそかしてこれ政策の一部なのか?


「違うからー。連中、ちょっと勘違いしてるだけだからー」


 あれ?又駄々漏(だだも)れてました?


「通常運転でしたー」


 失礼いたしました。


 で、何処から(こぼ)れてましたかね?


「個人の権利がーの当たりー」


 うん。やや興奮し始めた当たりですな。


 さて。そろそろ十八時。残りのメンバー遅くなるのかな?


「わたし、夕飯担当しちゃおうか?」


「そろそろ帰ってくると思うよー」


 ユリカから返事が。そして、


「ただいまー」


 と、玄関からユリアの声。


「「「「ただ今」」」」


 と、リビング入り口で残り四人の挨拶(あいさつ)


「直ぐ夕飯。今少し待機」


 と、ルミがキッチンに向かおうとするので声を掛ける。


「着替えて一息入れなよ。まだ大丈夫だよ」


「…感謝」


 答えて自室に向かった。他の四人も一度自室で着替え。


 真っ先に戻ってきたユリアに向けて質問を飛ばしてみる。


「順調に進んでるの?」


「まだ仕込み中だからなんとも… って、何処まで聞いてるの?」


「十八禁だってことまで」


 残念。ポロリはしなかったか。


「なかなか悪知恵を」


 顔だけにっこりのユリア。


 それほどでも?


「そーゆー反応ってー。もージューブン此所(ここ)馴染(なじ)んでるよねー」


 (あき)れ口調でユリカに指摘された。 そうか? そんなでもないと思うんだけどなぁ。


「よし。表面的なお仕事を回してあげるから堪能(たんのう)すると良いよ」


 遠慮(えんりよ)します。


「即行で拒否かい?」


「「「あはははははははははははははははははははは」」」


 ユリアの申し出に遠慮したらさつきとユリカとメグが爆笑した。ユリアはなんて奴だとむくれてる。


「相変わらずの(にぎ)やかさですね。鹿乃子ちゃんの爆撃ですか?」


 戻るなり、(ひど)い言いがかりだよ。かおり。


「あら。ごめんなさい。違ってたんですね。じゃぁ一体何が?」


 間違ってないけどな。


「やっぱり。最初は鹿乃子ちゃんを疑えば大丈夫ですよね」


「鹿乃子の答え、微妙にズレる。爆笑必至」


 かおりが酷い。更に、ルミの中のわたしの存在が笑い袋かびっくり箱になってる気がする。


「言い得て(みよう)?」


 ルミ。?付けなくて良いよ。もう。断定すれば良いと思う。


「次はそうする」


「手加減して下さい」


「あはははははははははははははははははははは」×十人


 レスポンスのあまりの早さに、わたしも即行で謝罪したら大爆笑。いつの間に参加してたんだ?サリーと姫。


「夕飯の支度」


「お手伝いしますよ。ルミちゃん」


 爆笑が収まってルミがおさんどん。かおりがお手伝い。仲いいな。


「あたしと鹿乃子みた「無いな」い……ひーどーいー!」


 途中で(さえぎ)ってみた。ユリカが暴れ出す。


「充分、仲いいよね!」


 否定はしないけどな? さつき。自分でいう事じゃ無い気が凄くするんだ。


「そうかも!」


「さつきちゃんも酷いー」


「「あはははははははははははははははははははは」」


 メグとアルファが爆笑を再開。ルミが呼びに来るまで続いたよ。


 みんな(そろ)って晩ご飯。


 堪能した後、試験勉強をするつもりの無いわたしは、やる事が特にない。


 部屋に戻って何か考えようと思っていたんだが、みんなしてゾロゾロリビングに移動開始。


 さては全員試験勉強する気が無いな?


「いや、全員とりあえず成人してるしな? 一辺学校卒業もしてるし、今さらじゃ無いかな?」


 とユリアが(のたま)うんだけど、数学とか科学とかって覚えてるの? みんな。


「だから、教科書持ち込みOKじゃん!」


 …


「その(ため)なのか?」


「半分はそう!」


 さつきの答えがなんとも酷い。


「解き方ぐらい覚えてるからなんとか()るわよ」


 ユリアも酷い。


「そんな訳で上映会です」


 ミュウがいそいそと準備を始めた。


 わたしは、かおりと二人で(あきら)めモードに突入した。


「あはははははははははははははははははははは」


 ユリカ、楽しそう…


 内容? 小学生に危険な仕事させるんじゃ無いよ!封印の魔法生物! ってなる奴。


 まあ、結局のめり込んだ訳ですが。二十二時だよ。みんな寝ようよ。


「はーい」×十人


 例によってみんなでお風呂。ホッコリ温まったら夫々の部屋に分かれて就寝(しゆうしん)です。


 それでは、おやすみなさい。

四十九日目に続きます。

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