表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年二月
65/252

二月十四日 特異能力保有者

四十五日目 四分の二です

「ほんっとに気にしてないんだね」


 ユリカがまじまじとわたしを(なが)めた後で、そう(こぼ)した。


「教育が違うんだよ。こっち来てから価値観変えるの結構大変だったんだよ? 全ては現人神(あらひとがみ)たる御上(おかみ)(ため)ってのが一人一人がみんな平等ですって。始め、何言ってんだこいつらって思ったもん」


「あー…    ごめん。そこまで気が回らなかった」


「いや、星ごと滅んじゃってたんだしどんな社会だったか判らないんだから、察しろってのは無理だろ? 良くしてもらったと思ってるよ。今じゃ感謝しかないもの」


「…。ほんっと。出来た子だねー」


 妙に優しい眼差しでわたしの頭を撫でてくるユリカ。こっぱずかしいんでその手をペシッとはたき落としてみる。


「…(ひど)いー… あはははははははははははははははははははは」


 自分でやっといて拒否られた事で恥ずかしくなったな? こいつ。笑って誤魔化したぞ。


「親父様、焦ってたんだよ。婿(むこ)養子だったし。わたしが巫女になってから一度も龍神(りゅうさん)の力が発現しなかったからさ。御上のために何も出来てないってよく言ってたけど、結局は個人的な要求ばっかだったんでじいちゃんとわたしが意地になって発現させなかったってのが実情。だよ」


 原因を話したらしばらく考え込んだユリカ。 その後、溜息(ためいき)を一つついて頭を振りつつ一言。


「突然に強力な力持つと怖いよねー」


「その結果、星一つ壊しちゃったもの」


「笑えない。笑えないよーっ。鹿乃子(かのこ)ーっ」


「はっはっは」


 ユリカは机に突っ伏した。悪いね。こんな性格で。


 その後しばらく、ユリカにホッペをツンツンされながらマニュアルを読んでいると、五人が朝食を終えて戻ってきた。


「ねー。ユリアちゃんやサリーちゃん何処行ったのー?」


「お城ー。大勢迷子が集まっちゃったからおうち探すって言ってたよー」


「警備部のお手伝いかな? 僕たちもお手伝いに行かなくて良いの?」


 メグに()かれてユリカが答えた。それを聞いたアルファが心配を始めたけど…


「アルファ? ネットワークの迷子だよ? わたし達にはお手伝い出来る事、無いんじゃ無いかな」


「ああ。いたずらっ子かー。お手伝いは難しいね」


 勘違いに気付いたみたい。


「そんな訳で、わたしはマニュアルを熟読しております」


「あたしはー、そんな鹿乃子のホッペをツンツンしてー(なご)んでるー」


「不毛だ!」


 わたしとユリカの現状報告。さつきは呆れたみたいだ。


 アルファとかおりもマニュアルを読み始め、さつきとルミはメグを巻き込んで歴代の少女戦士が一緒になって戦うアニメ第三作の上映会。


 と、どこかから音楽が? 上映会のじゃ無いね。


「さつきだよ! ユリア、何か用事? … 判った。そっち行く。 じゃ後で」


 さつきの携帯端末へ着信でしたか。お出かけご苦労さん。


「かおり。ルミ。お願い」


「判りました」


「了解」


 NINJAコンビが追加装備されたらしい。


「「「「行ってらっしゃーい」」」」


 と、お見送りして、さあマニュアル読むぞーっとリビングに戻ろうとしたら、メグに(つか)まった。


「出掛けよーよ。鹿乃子ちゃーん」


 これ、目的地決まってないんだろうな。きっと。


 四人で学園の近くにある商店街をお散歩中。なぜか学園の制服着用で。逃亡は失敗したよ。


 あっ。お布団(ふとん)だけはしっかり干してきた。昨夜(ゆうべ)の汗は半端(はんぱ)なかったよ。布団凄く重かったもの。


 ユリカとミュウもちゃんと自分の布団干してたしな。


 で。


「みんな、学生やってるより本来のお仕事に専念した方が良いんじゃ無いの?」


 さつきもユリアも忙しそうだし、と歩きながら話を振ってみる。


「表のお仕事十年前に一段落したばかりなんだー。まだあちこち記録が残ってて戻れないの」


 メグから事情を教えてもらった。いっそ長命種ですって言い張っちゃえば良いんじゃね?


「いや、地球の会社だから」


 発祥地でしょ? 長命種の経営者が任命されましたでもごまかせるでしょうに。


「任命期間が決まってるからだめなのよ。一期五年で連続六期まで。結局交代しなくちゃいけなくなるの」


 アルファが丁寧に教えてくれる。めんどくさいルール決めちゃったねぇ。やってる事は一緒だろうに。


「大人の事情ーって奴だよー」


 子供が言ってもなあ。ユリカ?


「これ以上年取れないんだもんー。子供って言うなー」


「「あはははははははははははははははははははは」」


 ユリカの叫びを、わたしとメグで笑い飛ばす。


 こういう時って、アルファは結構オロオロしてて可愛いよ。


 ユリかをからかいつつ歩いていたら、前方に人だかり? 五人ほど固まって何やら騒いでいる。


「ジーナと聡美(さとみ)だね。どうかしたの?」


「あ。ユリか乃子と受付コンビ」


「しつっこいの。助けて」


 二人がこちらに走ってくる。その後から二十代後半くらいの男性三人。おそろいの割と派手なジャケットを着ているね。


 ん? メグとユリカが薄く気を(まと)った? あ、男性の一人が手にした端末を見て驚いた顔してる。ESP波かなんか測定してるのかな?能力者だって認識させたのか。


 アルファは端末で写メ撮ってどっかにメールを送ってるな。


「申し訳ありません。説明に夢中になり、誤解を与えてしまったようです」


 何か耳触(みみざわ)りのよさげな言葉、並べてきたぞ? 要警戒。


「実はこの度、特異能力保有者専用の学園を設立いたしました関係で、各地を回ってお声を掛けさせていただいております」


 と、話し始めた内容は、何かと差別を受けやすい特異能力保有者を保護する目的で、専用の学園を設立し、蔑視(べっし)や迫害から守りつつ勉学と能力向上に努めてもらうべく、各地の学園都市などを巡って、不満などを抱えた生徒を見いだし救済に(つと)めているとの事。 嘘つき。能力向上が入ってる時点でアウトだよ。少なくとも ジーナも聡美も能力を押さえて、一般人として生活出来るように努力していると聞いた。能力向上を願う人は少数派みたいなんだけど?


「学生寮も完備しておりますし、寮費、食費、授業料も必要ありません。何より、将来、当社グループ企業への就職も優遇されます。如何(いかが)でしょうか」


「へー。(すご)いんだねー。(ちな)みにー 寮のお部屋って何人部屋なのー? それと大きさはー?」


「お二人での共有となりまして、各部屋ダイニングキッチンと十平方メートルの個室が一つずつ、共有のリビングが十三平方メートル。トイレと洗面所、シャワールームがつきます。寮一棟当たり十部屋で、共同の大浴場もありますよ」


 ユリカの興味有りますといった感じの質問に得意げに答えております。一般的に言ってかなり良い待遇なんじゃ無かろうか? 此所(ここ)で生活始める前なら喜んだかもな。事前に調査しろよ。待遇が違いすぎるよ。


「家具や寝具は持ち込み? 光熱費なんかはどのくらい掛かるの?」


「光熱費、水道費は通常の半額に抑えさせていただいております。家具や寝具はお好みの物をお持ち下されば結構です」


 熟々(つくづく)調査不足だね。頭痛くなってきた。 おや?警備部の方が到着されましたよ? 此方(こちら)の様子をうかがっております。


「なるほどー。世間一般で言ったらかなり良い条件かもー。でね?おじさま達、此所が姫野グループ本社直営の学園だって事はご存じなのー?」


「「「はい?」」」」


 え? それすら調べてないの? 嘘だろ?


「鹿乃子ー。最初に入った寮の間取り。覚えてるー?」


「驚かされたから当然覚えてる。ダイニングキッチンが約十六平方メートル、十畳。ウオークインクローゼットが約七平方メートル、四畳。バスルームが約十平方メートル、六畳。化粧室が約七平方メートル四畳。納戸が約十平方メートル六畳。約十三平方メートル、八畳と、十平方メートル六畳の個室が一つずつ。これで一人部屋だったね」


「「「はい??」」」


 まあ、その驚きは理解出来るよ。わたしもそうだったから。


「ついでに言うと、嗜好品(しこうひん)以外の食費も、光熱費も水道も無料。入居した時、部屋の内装は全て新品で家具も教材も、大型端末でさえ無償支給だったけど?」


「「「なんだってー?」」」


 目とお口をまん丸に開けたまま呆ける男性三人組。はっはっは。ちゃんと事前調査をしたまえよ。君たち。


 お。警備部の皆さんが近づいてきた。先頭にいるの安積さんだな。


「後ね? 銀河連邦政府の制定している法律で[特異能力保有者の保護、雇用(こよう)、修学等に関する法]ってのが有るんだけど、ちゃんと調べたのかな?」


 メグがなんだか難しい事を言い出した。なんだって?


「簡単に言うと、特異能力保有者を雇用したり学校に入学させたり、寮なんかで集団生活させたりしてはいけませんって言う一見とんでもなく差別特化の法律なんだけどね?」


 それ、特異能力保有者、生活出来なくなるじゃん。


「実際は連邦政府機関は特例で免除(めんじょ)。連邦政府が指定した個人、団体、企業には免除許可証が発行されてるのよ。道具にさせないための措置(そち)なのよね。だから違反すると、裁判無しで懲役(ちょうえき)五年、執行猶予(しっこうゆうよ)十年確定するよ? あと、懲戒措置(ちょうかいそち)で五年間税率百パーセントってのも付いてくるよ? 親会社、大丈夫?」


 メグがそこまで話し終わった所で、警備部の皆さんが三人の男性を取り囲む。要するに、一般の人と特異能力保有者を差別、区別なく雇用、保護出来ると認められた所に免許を発行して能力保有者を保護してるのか。普通なら有効活用しようとするもんな。囲い込んだり、下手をすれば隷属(れいぞく)させたり。まんま この間までのわたしじゃん。


「姫野グループ警備部の安積と申します。どうやら連邦法違反の疑いがある行動をなさっておいでの様ですので、お話を(うかが)わせていただきます。ご同行いただけますね?」


「因みに姫野グループは最初に免許された五企業の一つだよ?しっかりお勉強してね?」


 メグの言葉がとどめになって、三人とも項垂(うなだ)れたまま連行されていく。


「「有り難う。」なんだかしつこく勧誘してきて怖かった」


 ジーナと聡美がやっと安心した様子を見せる。


「ごめんね。怖い思いさせちゃって」


「此所の学園ってー、さっきの人たちみたいなの引っ掛ける罠だったりもするのよねー。島の外周は遊園地だし、お城周りもテーマパークみたいでしょー? この島、リゾート施設の人工島だと思うらしいんだよねー。姫野直営の学園って名前見れば分かりそうなものなのにねー」


「何故か、姫野グループ本部所在地に在るから姫野学園って名前だと思う人が結構いたりする」


 メグが謝罪の言葉を、ユリカがいやらしい設定暴露(ばくろ)を、アルファが世間からどう見られてるのかを説明。


「入港目的が変な人が来たって聞いてねー。今日わたし達で釣り出そうと思ってきたんだけどさー」


 そうゆう話は事前にしろよユリカ。


「何故かジーナと聡美が先に釣り上げてたんで吃驚(びっくり)したの」


「ちょっと焦った」


 確かにやばかったね、メグ。アルファ。でもな、


「わたしは何も知らされてなかったよ」


「「鹿乃子可哀想!」」


「有り難う」


 ジーナと聡美に慰めてもらえたよ。

四分の三に続きます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ