二月十三日 角
四十四日目 多分 四分の一です。
やや短めです。
星暦二千百十一年二月十三日 金曜日
お早うございます。
ここ数年で一番すっきりした目覚めです。気持ちいいーっ!
身支度を済ませたら夕べ寝る前に[洗濯機]様に放り込んだユリカのタオルを取り出す。
何が便利って、服も下着もタオルも何もかも一緒に放り込んでおけば、種類や材質に合わせた洗い方、乾かし方で仕分けして綺麗にした上でアイロン掛けや畳むまでしてくれる。 何も考える必要が無い位自動化されている点。
洗剤や柔軟剤、漂白剤なんかも数種類セットしておいて使い分けてくれるんだから、もう言う事もない。
なんて便利な世の中だ。
ダイニングにみんなを迎えつつ一人一人に昨夜のお礼を伝える。
ユリカにはタオルをお返しして。
で、みんなが揃った所で更に一言。
「昨夜龍神様と融合が完了しました。身体能力が馬鹿上がりしちゃったので訓練にお付き合いお願いします」
笑いと拍手に囲まれた。有り難う。
更に、ユリカにドアノブもぎ取っちゃった件を暴露されて、みんなが大爆笑。 おのれ!
まあ、壊したノブは[ハウスキーパー]様が昨夜の内に修理してくれてある。ホントに万能仕様で有り難い。
但し、交換済みの廃棄物をみんなに披露して回るのは止めていただきたかったぞ? こーゆー仕様なの?
ミュラ姫、アルファ、サリー、さつきは、お口開いて固まってるな。仕様じゃぁ無いらしい。個性かな?
「鹿乃子が感染してるんじゃないかな?」
ってどーゆー意味だ?ユリア。わたしは感染したり増殖したりしないぞ。
「本部のメインシステムにも感染してたじゃん」
サリー。あれは雷龍です。
そういえば、守護に附けた雷龍の分け御霊って今は…元気にメインシステムで活躍中ですね。ミュウの分と二柱。
こんなことも判るんだ。凄いな龍神。そうだろうってご機嫌だね。
で?今あの二柱の神様は何をしていらっしゃるので? 悪質な接続者への反撃担当? 政治的だったり、組織的だったりする侵入目的の接続者を発見次第、身元を解析しつつ反撃して接続を強制切断ですか?
なかなか難しいことをなさっていらっしゃるようで… はい。理解できておりませんが何か?
なんだか楽しんでおられるようなので良いんですよ。私が理解できなくたって問題なし。
「それ、もう感染でよくね?」
「だよね」
ユリア、サリー。五月蠅いよ。ちがうからね。
食事が終わって、出発の準備。
いつも通りにサリーとミュラ姫をおいて九人で学園に向けて出発。
アルファは初めから銀の巨人のポーズ。
やっぱりいつも通り、わいわい言いながら学園に到着。
「お早う」
と挨拶しつつホームルームに到着。
既に登校してるのはクラスの半分位かな?
「昨日みんなでお休みだったけど、何か大仕事だったの?」
ジーナが近寄ってくる。
「いんや。ほとんどルミとかおりが対応してたよ」
「ほぼ全員野次馬さんでしたね」
わたしの返事に続けてかおりが追加。
「ずる休みって事?」
「そうなりますねー。ユリアちゃんと鹿乃子ちゃんはお仕事しましたけど、他の方は見てただけですねー」
「ちょー。わたし。わたしもお仕事したしー!」
かおりの暴露に大慌てのさつき。
「いや、ユリカ以外みんなちゃんとお仕事してたからね? かおり。あんまりみんなを苛めないでくれるかな?」
追加でユリアが注意する。
「そういや、みんなお城に呼び出されてたっけ?」
お昼の後、別行動してたっけな。
「えー?近くにいるんならちょっときて手伝えって言われただけでしょ?ちゃんと学園に登校してればお呼びが掛かる事無かったじゃないですかー」
あれ?そうなの?初めから行くつもりだったんじゃないんだ。
「そっかそっか。そういや研究所にいるんなら顔出せって言われたんだっけな。うん。みんなずる休みでいいや」
「「「「ひーどーいー」」」」
ユリアが同意した瞬間、さつき、メグ、アルファ、ミュウが叫ぶ。
「「「「あはははははははははははははははははははは」」」」
ユリカ、ユリア、ジーナ、後から寄ってきて話に加わっていた静香が爆笑。
「それにしても鹿乃子ちゃんって、メンバーズ登録されたばかりなのにお仕事多いよね」
感心したように言うのは同じく後から話に加わってきた聡美。
「鹿乃子ってー超有望新人だからー」
何故か自慢げにユリカが答える。
「そういえば…」
ジーナが何か言いかけて止める。わたしをちらと見た後視線を外した? 何かな?
何か聞きたい事がある? 言ってみそ?
「気に障ったらごめんね… 鹿乃子、角生えてる?」
ああ。
「有るよー。何時だっけ、成長しちゃったからさー。どっかで見えた?」
「体育の着替えで、頭のバンド外した時ちょっと…嫌じゃなかった?」
「全然平気。邪魔だから引っ込めてただけだし。見る?」
周りからもチラチラと視線が飛んで来ているし。見たかったら伸ばすよ?
「見たい!」
食いついたのはルミでした。
「ルミは一遍 見ただろーに」
「何遍でも見たい」
そうかー。そんなに気に入ってたかー。
鉢金を外して角を伸ばす。 久しぶりだな。ってか、生えた時以来じゃね?
で、とても頭に違和感が。なんか、質量増えてないか?
「ふおおおおおおー」
ルミがとっても凄い事になってるし。
「鹿乃子…」
ユリアが端末の画面を此方に向ける。写メして見せてくれるらしい。
「でっかくなってる!?」
この前は三つ叉位だったよね? どっかの公園にいるニホンジカ亜種位の。
今見せてもらってる端末の画面。アメリカエルクも真っ青なくらい枝分かれした立派な奴が映ってましてですね。
「ナンダコレ?」
枝分かれが多く、広がりが大きいほど龍の格が上なんだそうですよ?龍神の記憶によると。これ、かなり…ってか、龍神の記憶の中でもトップクラスなんだけど。
「えー?」
「あはははははははははははははははははははは」
わたしが困惑の叫びを上げたら、ユリカが毛玉になった。
「「「「「あはははははははははははははははははははは」」」」」
「「「「凄ーい」」」」
「「「「「かっこいいー」」」」」
笑い転げる奴。素直に驚く奴。うらやましがる奴。…?
欲しいんならあげるけど? あげられる物ならば…な。
「鹿乃子さーん なんだか刺さりそうで怖いのでしまってもらえませんかー?」
と言う なばちゃん先生の声が掛かるまでみんなで大騒ぎだったよ。 やれやれ。
一つだけ朗報。角が生える以前の瘤くらいまで縮める事が出来るようになってた。ほぼ無いのと同じ。これで寝る時の違和感がなくなる。引っ掛かる感触がなんか嫌だったんだよね。癖で、横向きで寝てる事が多いから。素直に嬉しい。
四分の二に続きます




