二月十二日 年幾つ?
四十三日目 きっと 四分の三です
お昼過ぎたよね?
何でこんなに少ないの?とユリアを見る。
「此所、研究棟なのよ。居るのは研究馬鹿だけ。食事なんてまともに摂る訳ないでしょ」
「「「「「あはははははははははははははははははははは」」」」」
受けた! ユリカたちにメチャ受けた。 近くに居た例外的な人たちも吹き出している。大惨事だ。
どこかから「総秘書長、言い方ー」という声が聞こえた? ユリアも結構人気者?
それ以降はノンビリとしたお昼が終わって一休み。
ミュラ姫、ミュウ、サリーはシステムチェック。さつきはちょっとしたお仕事。メグとアルファは引継ぎした新しい班長さんから呼ばれて、夫々離脱。
「お仕事おしまい?学園に戻らなくて平気?」
そう訊ねてみれば、
「今から戻っても最後の授業遅刻になっちゃうけど?」
ユリアにそう言われれば、戻んなくても良いか。ってなるよね。
「それじゃ、わたしは仕事の戻るよ。今日は有り難うね」
ケイがそう断って仕事場に戻っていく。 遊んでいただけな気がするのはわたしだけなのかな。
「わたしなんてー、付いて来ただけー」
そういやユリカ、その通りだったな。
「ユリカ、唯一何にもしてない」
ぽつりと呟くルミの言葉にユリカが突っ伏す。
「それじゃ、わたしがまだ理解出来てないとこ教えてよ」
そう切り出してみた。
取り合えず、ユウジ君の説明と食い違っている、学園の男女比率かなぁ。
「あー。鹿乃子に鉢金渡した時の。女子の方が能力発現する確率が高いって奴だよねー?」
そう。それ。ウチのクラスも隣のクラスも男女比一対一じゃん?
「まず前提が違うよ。メンバーズ相当の能力者が女子比率が極端に高いんだよ。一般的な意味で言う能力者なら三対七ぐらいで女子が多い位かな」
そう、ユリアが教えてくれる。
それでも女子率が高いんだよね?
「後、多分勘違いしてるのは、全校生徒が能力者じゃないよ? 此所の高等部で八割位だからね」
ん? あー、それはなんかミュラ姫に聞いたな。
「それから、一年は一般課のE組が男女十五人ずつ居るけど、AからCは女子の方が多いよ。Dは女子クラスだし、うちらのFも女子が増えちゃったし。二年三年も似たような物かな」
「商業科とかだと女子が四分の三じゃなかったですか? 芸術科とかも三分の二以上女子だった気がしますよ」
あ。学科がいくつかありましたね。すっかり忘れていたよ。かおりの追加情報で気が付いた。
「ABCが一般人と能力保有者の混成クラスで、DEFは全員Bクラス以上のエスパー登録されてるよ」
そうだったんだ… 全然気付かなかったよ。
「まあ、鹿乃子、わたし達とばかり一緒に行動してるから気付かないのは当然かな。謂わば集中教育中だとでも思ってちょうだい。今は授業よりメンバーズ関係の彼是を覚えて欲しいかな」
わたしの能力、デカすぎるよねー。多分そんな所だとは思ってた。結局、ユリカに訊いたのにユリアが答えてるし。
「よろしくお願い致します」
「今さらー」
「「「「「あはははははははははははははははははははは」」」」」
真面目にお願いしたのにユリカに茶化されて爆笑されたよ。
「男女の比率はそんなとこで良い?」
今のところの疑問は解消。
「他にも疑問点、ある?」
沢山あるけど、どうしよう。
「訊いて平気かな」
「言ってみて?」
「みんな、見た目通りの年齢じゃないよね?」
それはもう。見事に全員固まった。隠してるつもりだったのに驚いたわたしも固まったけどな。
「まあ、学生能力者育成が主な目的なんだけど…ユリカがね。外観が変わらないんだよ」
説明のついでにユリアがぽつりと。
「サイボーグというか、バイオニックというか、ハイブリッドな改造されちゃっててね。頑張っても高等部生徒が限界かなーと」
いやー。中学生も厳しくないかなー? 初めて会った時小学生にしては発育が良いなとか思ったし。
「ひーどーいー!」
バシバシとテーブルを叩いて騒ぐユリカは置いといて、ユリアはどうなの?
「私は外見、割と自由に変えること出来るよ。初等科から六十代位の範囲なら変化出来るかなぁ」
「私は今位から成人ぐらいの範囲ならナントカ変身出来ますね。ルミちゃんも同じ位ですよ」
かおりも続けて教えてくれた。みんな外見変化するんだ。わたしも出来るかな?
「多分ね。適当にやると危険だから今度指導するよ。勝手にやっちゃだめだよ?」
ユリアに念押しされた。やり方が見当も付かないからやらないよ?
「そこをやっちゃいそうだから鹿乃子は怖いの」
信用がない模様。
「前科ありすぎ。自業自得」
ルミ!酷い!!
「あはははははははははははははははははははは」
ユリカ…
「えーと、今の話からして、メグとミュラ姫とさつきが変身系で、ミュウ、アルファ、ケイは変わんない系? カミーラはどっち?」
「ミュラは変わらない人。それ以外は合ってるね。カミーラも変身系」
「サリーはアンドロイドみたいな感じだろうから変わりようがなくて…?」
「ついでに言えば、ユウジ君もサイボーグ。セラ、リディア、弥生、サヤカ、学園長も変身系」
「薫くんも成長止まっちゃった系だねー」
ユリアの説明。みんなそうなのか、ユリカ、止まっちゃった系は酷くないか?
「間違っちゃいないんだよ。ミュラとか、薫、ミュウ達は能力発現と同時に成長も老化も止まっちゃったんだ」
どっかで能力者って長寿命って聞いた気がするな。それかなー?
んで、君ら今年幾つ?
「覚えてないー。二千年は越えてたなー」
「私も覚えがないね。ユリカよりは少ないはず」
「私とルミちゃんなんて何時生まれたか記録すらありませんね」
「最低三百年は過ぎてる?」
順に、ユリカ、ユリア、かおり、ルミ。
「香歩ちゃんが一番若くて見たまんまー」
そうなの? それなのにあんなに馴染んでるって凄くない?
「いや、鹿乃子。君の方が馴染むの早い」
ユリカの言葉に驚いたらユリアに突っ込まれた。そういやここに来て四十三日目…
「わたし、凄い?」
「うーん。遠慮がなさ過ぎー?」
「ユリカ。酷い」
「ぶっ!」
わたしとユリカの遣り取りに、珍しくユリアが吹き出した。
「じゃ、これで今日は最後にするけど、影の総帥って、さつき?」
「よく覚えてるね、一度話題に上がっただけなのに。その通りだよ」
「さつきちゃんのお父さんが姫野精機って会社経営してたんだけどねー。さつきちゃんがあっちこっちから技術者集めてきていつの間にか今の状態になってた感じかなー?」
「当時は、見るからに出来るキャリアウーマンだったわね」
「今は見る影もない」
「「「あはははははははははははははははははははは」」ルミちゃんひど過ぎですよー」
ユリユリの回想にルミの突っ込みが酷い。
「何時までも一人で経営とか、学校で指導とか出来ないからみんなで交代しながら、外見合わせつつやってる感じかな。今回は鹿乃子が特殊すぎたのと学園の能力保持者が比較的多いのに加えて、あっちこっちの組織が代替わりする時期、集中しちゃってねー」
「学生身分にしとくのが一番動きやすいんでー、集中して集めたんだよー」
色々苦労してるんだな。結構謎が解けてきたよ。頑張って慣れよう。
で、気が付けば結構時間が過ぎていた。割とポンポン話が弾んでいた気がするんだけどな。
「あー、そうそう。鹿乃子気が付いてないみたいだから言っとくー」
最後に、ユリカがこそっと。
「何を?」
「生まれた順番。カミーラの次って鹿乃子だよ?」
…
……
「えー!?」
「「「「あはははははははははははははははははははは」」」」
「これまで、カミーラちゃん以外の身内で一番古い誕生日の方って、二十三世紀の生まれなんですよ」
あー。かおりの説明で納得。わたしは二十一世紀終盤生まれだから順番ならそうなるのかー。
まあ、生活してる時間は短いんだからどうでもいいや。経験不足なのは事実だし。
「ほんっと、鹿乃子ちゃんって割り切るの早いですよね!」
かおり。そんな呆れた顔しないでも。 あれ? みんな呆れてる? そこで頷かないでよ、全員で…
「「「「あはははははははははははははははははははは」」」」
みんなに爆笑されて落ち込んだ振りをするわたし。 ユリカがジュースを持って来てご機嫌取りをするんで復活してみたり。そんなことをしていたら、コミューターが到着したと連絡が来た。
いや、さつきたちが中央区へ乗ってっちゃったんだよ。此所に来る時乗ってきたおっきなコミューター。
やっと戻ってきてくれた。
四分の四に続きます




