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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年二月
57/252

二月十二日 オリジナル

四十三日目 恐らく 四分の二です

 ところで、ユリアは(ひま)


「まあ暇って言えば暇だけど…何?」


「さっきのかおりの説明。この飛行機超光速で火星まで飛べるって言ってたけど…」


「ああ、文字通り光速を越えた速度で飛べるんだよ。一部でワープ航法って言うらしいけどね」


「光速って超えられるの? 出来ないって言ってなかった?」


「普通のロケットみたいなのじゃ光速を越えるのは無理ね。特殊なシールドで船体を(おお)ってあげると光速を越えることが出来るんだよ。但し、エンジンが持たないから長距離は苦手。何故(なぜ)そうなるのかはかなり難しい説明になるけど…聞く?」


「そうゆー方法が有るって判れば良いかな」


「じゃ、そーゆーもんだって覚えといて?」


「了解ー。前に言ってた[ハイパージャンプ]ってのとは違うんだね?」


「[ハイパージャンプ]は光速を超えて移動するんじゃなくって、うーんと近道して光より早く移動する方法だね。だから光が数日で届く所なんかは逆に苦手」


 えーっと?…


「光の速度で何年もかかる距離を移動する時に使うのが[ハイパージャンプ]で、何日かで移動出来るなら超光速って事?」


「その認識で良いよ」


「有り難う」


 二人でそんな話をしている間、始めにかおりが何か手袋をはめて、その後でルミがでっかい指輪が幾つもくっついたみたいな物を使ってドッカンドッカン。


 次に、ごっついブーツに()き替えて、やっぱりかおりが先に、続いてルミがドッカンドッカン。


 そこまでやって、塗装は()がれたみたいだけど、大きな傷は付いて無いっぽい。


 次に、かおりの異空間シールド。 其の儘(そのまま)(たた)き付けた。


 一際(ひときわ)でっかい音がして、さすがにベコッと外板がへこむ。


 二度目。今度は何か細工したのかな? 異空間シールドがズパンて言う感じで貫通しちゃったんだけど…飛行機の右側面から左側面まで。


「おー。貫通したよ。(すご)いねー」


 ケイ、喜んでる。 それでいいんだ。


 次にルミ。何をするんだろうって見ていたら、右手を手刀の形で頭上に構えて、地面を一蹴りで飛行機に接近し振り下ろす。 キィン。と言う甲高い音が響いた後、手刀を振った当たりでパクッと切れた。当たってなかったよね。操縦席の当たりで二つに分かれちゃったんだけど… 轟音(ごうおん)と共に飛行機が崩れ落ちた。


「いつ見ても謎な能力だなー。空間ごと切ってるみたいなんだよなー」


 ユリカが訳わかんないことを(つぶ)く。ユリカにも判んないのかい?


「本人は[鎌鼬(かまいたち)]って言うけどー、なんか違うよねー」


 知らんがな。鎌鼬って真空の刃を飛ばすとか言う術かい? そんなんじゃ絶対あれは切れないね。人の肌が切れるってのすら怪しいもん。


「うわー。綺麗(きれい)な切り口。ピッカピカで一欠片(ひとかけら)のバリも無いや。加工機械じゃどうやってもこんな綺麗には切れんなー」


「金属なら汚れる前に切り口合わせればくっつくよ。それ」


「金属結合が復活するの?」


「結構頑丈(がんじょう)


 えー? ルミがなんか変なこと言ってる。いっぺん切ったのにくっつくの?ホント?


「あー。確かに磨き上げた金属面同士って合わせるとくっつく[リンギング]って言うのが有るからねー。それの凄い版かな」


 そんな現象が有るんだ。ケイもユリアも唖然(あぜん)としてるけど。


「それにしても、ルミちゃん達でも破壊出来ちゃうんだねー」


「まあ、置いてあるだけですしね。飛んでる状態じゃ、私にはどうやって近づくんだって話なんですけど」


 呆れた様子のケイに動いてないからねと答えるかおり。 まあ。当てるだけに集中出来るから威力は増すよね。


 で、これ、もう壊れちゃって動かないよね?シールド張ってどうのって無理なんじゃ?


 そんなこと考えたらユリアが、


鹿乃子(かのこ)。まだ機体は有るから平気だよ? ケイ。十機ぐらい作ったんだっけ?」


「そう。十機作ってテスト飛行で二機落っこちた。で今一機壊れたから(あと)七機有るよ」


 あらら、やっぱりテスト飛行で事故とか起きるんだ。


「限界テストするからねー。慣性(かんせい)制御切って、音速の五倍で半径百メートルの旋回掛けたらばらけちゃったよ」


「「当たり前だろ!」自分の機体が生み出す衝撃波で吹っ飛ぶよ!」


 ケイの、のほほんとした告白にユリアとかおりが怒った? かおりの言葉遣いが珍しく怖い。


「いやー、スラスターとバーニア使えばいけるはずだったんだよ? まあ、実際そんな操縦したらパイロットはぺちゃんこになっちゃうから自動操縦で試したら十機中二機空中分解しちゃってさー。なんか大気の密度に(かたよ)りが有ったみたいでねー」


 あはははーと笑い飛ばすケイって一体… 


「「えー…八割は成功したんだ? それ絶対に強度がおかしい…」」


 ユリアとかおりが何か呆然としている。 きっとものすごいことなんだな。うん。


「そんな訳でー。こっちに有る二号機で続きをお願いねー」


 と言いながら歩き出すケイを追っかけてみんなでぞろぞろ。


 同じ形の色違いの飛行機が有りまして。


 ものは試しと、ちょっと神気(しんき)(まと)ってぽんと小突いたらベコッとね。


 (こぶし)の跡が付いちゃった。


「なんか、試験にならないなー。壊れるの確定じゃん…ちょっと待ってね…これで、今のをもう一回」


 何やら手元の端末を操作した後もう一度というので、同じ強さでぽこっと。


 [ぶおん] て感じの音が響いて腕が止まった。 飛行機まで後五十センチ位。何か青白く光った気がする。


「うっわ。すっごいパワー。携帯型のレールガン並だよ? これ」


 端末に今のパンチの結果が出たみたい。レールガンって何?


「電気と磁力で球を飛ばす装置。携帯型だと一発でコミューターが鉄くずになるね」


 ああ。うん。確かにそのぐらいの威力じゃないかな?今のパンチ。


「この機体、七~八トンぐらい有るんだけど、動かせる位のパンチ打てる?」


 そのくらいは平気だよ? やって良いの?とケイに視線を送ると(うなづ)いた。


「ほいっと」


 下から機首めがけて打ち上げる。


 「ガイーン]って感じの悲鳴みたいな音がして、若干飛行機が浮き上がったけど、やっぱり四十センチ位手前で拳が止まってる。


 今度ははっきり青っぽく光ったね。


「じゃあ、機体にパンチが届く位のって出来そう?」


 多分。 行きますよ?と視線を送り、頷くのを確認して少々力を込めてみる。 多分このくらい。


 [ドカン]と言う大きな音と、盛大な青い光と共に、飛行機自体が数十センチ飛び上がった。


 (なぐ)った所はへこんでいる。


 操縦席の中では、火花が散っている。


「うわー。直径五十メートルの岩でも弾き飛ばせるシールドなのに…」


 ああ。神気纏えばそのくらいの岩投げ飛ばすのは簡単ですね。


「いつぞやの亀さんよりシールド弱いけど、こんな物なの?」


 ユリカに()いてみた。


「今のはふつーに飛ぶ時のゴミ避けでしょ? 戦闘用なら亀さんより強力なシールド張れるんじゃない?」


「ああ。そうそう。今のは戦闘時の防御用じゃないよ」


 ユリカに続けてケイからもお返事が来る。


「ケイ、まだ続ける?」


 ユリアがケイに問い掛ける。


「いやー。もう壊れるの前提になっちゃうし良いかな。今の衝撃力もデータ取れたし。終了って事で」


 依頼完了だそうです。 みんなでぞろぞろ元来た部屋に向かう。


 さっきNINJAペアがぶった切った機体の横まで来てふと、神気無しでどのくらいいけるかなーとか思いついた。


「ねえ。この壊れた飛行機、神気無しで殴ってみて良い?」


 どうぞどうぞとみんな賛成。良いんだ。


「では」


 と、翼の根っこが(かた)そうだったのでそこに向かって構える。


 集中して、神気は遣わないけど、真気(しんき)(めぐ)らす。


 掌に気を集めたら構えを取って一拍。


「はっ」


 掌底(しょうてい)を打ち込む。


 [ドガッ]と、今日一番の大音響が響いて、翼の根元、パネルの一部が機体にめり込んだ。同時に、飛行機自体、五メートル位移動する。


「結構いけた」


 神様の力借りなくても結構威力出せたのに気を良くして振り返ったら、みんな唖然としていた。


 あれ?


「おかしいな。肉体の構成も染色体の構造もほとんど違いがなかったはずなんだけどな」


 ユリカが頭を抱えて何かブツブツ独り言(ひとりごと)


「鹿乃子。変?」×十人


 ひどい! 修行すれば誰だってこのくらい出来るはず!


「出来ません!」×十一人


「えー?」


「「「「「あはははははははははははははははははははは」」」」」


 ユリカ、かおり、メグ、さつき、ミュラ姫。覚えとけ。


「鹿乃子ちゃんだしねぇ」


 サリーの(あき)れた声に他の五人も頷いて。


「ああ、オリジナルの[シャリエティプス]人なら同じ事出来るかも」


 ぽんと掌を合わせてケイが言う。 オリジナルのってどうゆう事かな?


「自己紹介でも言ったけど、わたし[シャリー]と地球人のハーフなので。純粋な[シャリー]人の方って、かなり頑丈(がんじょう)に出来てるのよ」


 疑問を口に出したらケイが教えてくれた。けど。具体的にどのくらい?


「私達と良い勝負出来ますね。一度試合した時にはあっさり負けましたから。今ならちょうど良いんじゃないかしら?」


 かおりと同じ位って肉体だけで?


「うん。そんな感じー」


 ユリカ。それって、筋肉お化け?


「あはははははははははははははははははははは。細胞の材料のタンパク質が地球の生物と違うんだよ。普段はぷにぷになのに力込めると鉄より固いのー」


 何だそれ。触ってみたくなる。触らせてもらえるかな? どっかで会える?


「まあ、そのうち会えるんじゃないかなー?」


 了解。楽しみにしとく。


 例の大きな出入り口まで戻って、その横の壁にある通常サイズの扉が開いているので中に入る。と、エレベーターだった。


「地下?」


 ユリカに訊けばこくりと頷く。


「会議室に行くの?」


「食堂だよ。お腹空いてない?」


 ケイに向かってユリカが質問すればそんなお返事が。


 あぁ。もうお昼か。聞けば、地上はまるごと研究施設と工場なんで、食堂や休憩室なんかも含めて、その他の施設は地下一・二階にあるそうで。地下三階以下にはパスがないと降りられないそうです。


「わたし達は降りられるんだよー」


 と、ユリカ。メンバーズカードですね? 判りました。


 これだけの大人数に加えて重役ペアもいることだし、さぞや注目を集めるんだろうなー等と思いつつ食堂に到着。


 がらーんとして、ほとんど人が居ない。二十人居るかなー。三百人位は入れそうなんだが。

四分の三に続きます

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