二月十二日 工業区
四十三日目 多分 四分の一です
星暦二千百十一年二月十二日 木曜日
お早うございます。
朝食の準備が終わって保温中。みんなが起きてくるのを待っています。
もう身支度している所らしいから直に集合するだろう。という事で、配膳の準備に入る。
「お早う」
の挨拶と共に次々集まってくる。
一人目から三分ほど、みんなが揃った所で、保温していた朝食と入れ立てのコーヒーやらホットミルクやらお茶やらを配る。
「戴きます」×十一人
毎食大変美味しい料理を作ってくれる[自動調理器]様には深く感謝を。
わたし、このユリカの家に来る前の自炊生活。もう無理だな。断言出来ちゃう。
食事が済んで、食器を流しへ。後を[ハウスキーパー]様にお願いして出かける準備。
制服で良いの?と訊いたら私服が良いかな。とのお答えなので、地球から持って来た、なるべく動きやすめのジーパンにシャツとジャケット。
あまりに地味。とのダメ出しで、ジャケットとシャツを此方でユリアが選んでくれた物に着替える羽目になったりしたけど、準備完了。
けど、人数が増えていないか? 全員揃っているように見えるのは、気のせいじゃないよね?
「まあ、大人数じゃ困る。って仕事じゃないし、いいんじゃない?」
と言うユリアの一言で全員参加が決定した。
今日向かうのは、わたしは初めてになる[工業区]
中央に直径十キロの[中央区]。その外側を取り囲んで幅二キロの[緑地帯]。更にその外側に、幅十五キロのドーナッツ状の区画が今日の目的地。[工業区]
その一角に、研究開発専門の施設が有って、そこでお仕事らしい。
お仕事の内容は、未だもって謎な儘。
そろそろ教えておくれよ。
「現場で聞けば一発で理解出来るから」
ユリアが教えてくれない。
一般のコミューターに比べるとかなり大型の、飛行可能なコミューターを呼んでみんなで乗り込む。
前にユリアとさつきがよく使ってた大型飛行コミューターより更に大きい中型バスサイズ。
最大二十五人ほど乗れるとのことで、割とゆったり。
さほど待たずに工場らしい大きな建物が見られるエリア上空に到達。
各建造物の敷地が広いので、上空から見るとポツポツ小さな建物が有る感じだけどかなり大きいらしい。
その中の一つに向かって高度を下げるとでかさが分かった。
幅と奥行きが三キロ近いとのこと。
なので、着陸したコミューターの儘、建物内部へ侵入する。その一番奥の方の一角でやっと停車。
建物の中ってより、アーケードが連なる商店街をひたすら走ってた感じだよ。
降りた先の出入り口らしいドアは意外と小さくて、幅と高さが三メートルぐらい。
ユリアが壁の端末らしい装置を弄ると自動で開く。
「あぁー。やっと来てくれたよー。待ってたー」
同時に中から、叫び声と一緒に一人の女性が走ってくる。
「やっほー」
「ケイちゃんおひさー」
「お久しぶりねー。元気そうで何より」
「「ご無沙汰」」
「ご無沙汰ですー」
「「こんにちは。元気そうねー」」
「待たせちゃってごめんねー。全責任はミュラが取るから」
「え?酷い?時間が取れなかったのよ?ホントなのよ?」
順に、さつき、ユリカ、サリー、ミュウとルミ、かおり、メグとアルファ、ユリア、ミュラ姫の発言。
わたし以外は顔見知りのご様子。
「この娘が新戦力の[槇 鹿乃子]だよ」
「鹿乃子です。宜しくお願いします」
「Kです。みんなケイって呼びますけど。宜しくね」
ユリカの紹介に続いて挨拶し、ぺこりと。
ケイが返事を返してくれたんですがね。
ただ今、わたし、ケイをガン見中。
何故かというと、
「とくしゅめいく?」
「「「「「あはははははははははははははははははははは」」」」」
ユリカ、メグ、さつき、かおり、珍しくルミが決壊した。
いやね? 耳が、なんて言うか[エルフ]? でっかい目は瞳孔が縦長な猫目? 髪の色なんて、鮮やかな青紫。
「あたし[シャリエティプス]、略して[シャリー]という人種とのハーフです。鹿乃子ちゃんから見たら、一般的に言う所の異星人ですね。 半分だけですが」
感動しました。初めて異星人に出会いましたよ!
「わたしも異星人なんだけど?」
え!? そうだったの? でも、サリーって機械生命体って言ったって、見た目地球人なんだもん。とんがり耳と縦長瞳孔ですよ! 見た目。大事。
四人に加えてミュラ姫、ミュウ、アルファ、ユリアまで決壊。
しょぼんとしたサリーとキョトンとしたケイ本人、加えて大興奮中のわたし以外で大爆笑。
「気に入っていただけたら何より。わたしのことも呼び捨てでかまいませんからね」
お許しが出たのでケイと呼ばせていただこう。 もちろん、わたしのことも鹿乃子と呼び捨てで。
「有り難う。ところでミュラ?二週間も放置って酷くない? お返事位欲しかったの」
「いや、だから色々と集中しててね?…ごめんなさーい」
「お詫びももらったし、ミュラ弄りはおしまいにして、お仕事お願い出来る?」
ケイ、なかなかの圧力。ミュラ姫タジタジですな。
「ケイ?添付ファイルがなかったんだけど内容の説明よろしく」
「んー?そんなの付けてないよ? いつも通りぶっつけで良いんでしょ?」
ユリアが依頼内容に不備があるぞと突っ込めば、いつもの事じゃんと返すケイ。で合ってる?ユリカ。
「合ってるよー。いつもどーりですー」
ユリカ。これって身内ならではの緩さ? [姫野]の体質的な緩さ? どっち?
「両方ー」
了解。
「おー。新人ちゃん凄いー。たいした神経の太さだ。馴染みきってるんだね」
「馴染みすぎかな。もう大ベテランで良いと思う。」
ケイの評価はまだしも、ユリア。酷い。わたしまだここに来て一月と十二日。
まあ、そんなじゃれ合いをこなしつつ移動中。如何にも開発工場な区画にやって参りまして。
ド派手にカラフルな塗装が施された飛行機の前におります。
全長が十八メートル位、駐機状態の高さが五メートルあるかな?翼を含めた幅が十二メートルほど?
あっちこっち、床や壁、柱に一メートル間隔のマークが付けてあるんでおおよその大きさが分かるんだけど、これって大きいの?
現行の艦載機に比べたら小さい。なるほど。空中用?宇宙用? 兼用ですか。水中もいけるし、超光速で火星位までなら飛べる? そうですか。
かおり、なんでそんなに詳しいの?
「え?だって私諜報担当ですから、このくらいの知識は持ってないといけないんですよ?」
わたしには無理ですね。 えーっと? ルミが高速で横方向に首振ってるけど? ルミも諜報だよね? あ。かおり、そっぽ向いた。
「かおりちゃん、いつの間にデーター集めたの? まだ公開してないんだけど?」
ケイが目を丸くしてるんだけど…
「ケイちゃんは、データの管理が雑すぎですよ。昨夜お邪魔したんですけど気付きませんでしたか?」
マジ?そんなことしてたの?かおり。 ルミ知ってた? 出掛けたのは知ってたと。行き先は今知った。なるほど。
「かおりちゃん、セキュリティチェックの依頼真面目に続けてたんだ! ケイちゃんがこんな状態だって事は続けてもらった方が良いのかな? ユリア?」
「さつき。自分で発注しといて忘れてたんでしょ。毎週ちゃんと報告書上げてくれてるのに見てないな? さては」
「あ。ごめん!藪蛇だった!」
さつきとユリアがじゃれてるし。 かおりが受けたお仕事だったんだ。あれ見ても続ける?
「止めようかしら…」
思いっきりジト目でさつきを睨むかおり。 その気持ちは判るな。
「ごめんなさい。ちゃんと読むから今後も続けて下さい! お願いよー!」
「「「あはははははははははははははははははははは」」」
横で聞き耳を立てていた、ユリカ、メグ、ミュラ姫が決壊した。
かおり。あっちこっち見て回るの大変じゃないの?
「んー。週一回、時間がある時に抜き打ちで一カ所調べるだけですし、趣味と実益も兼ねてますから全然平気ですね」
…趣味と実益…?
「そこは内緒です」
にっこり笑顔がちょっと怖かったのは内緒です。
「口に出したら内緒じゃないですよ?」
「…わたし、なんで声に出ちゃうんだろう?」
「癖なんじゃ?としか言えませんけど…判りやすくていいじゃないですか」
考えてる事ダダ漏れなのは、わたしにとって非常に良くないと思います。
「あはははははははははははははははははははは」
かおりにばかうけしたよ。
「えーと、そこで騒いでる子達。仕事内容が決まったんだけど良いかい?」
ユリアから声が掛かる。 さつきと戯れてたんじゃなかったっけ?
「そんなの一瞬だよ。お仕事だからね?」
さすがは総会長付きの秘書。仕事が出来る女ですね。
「はいはい。内容の説明するねー」
軽く流された。
で、説明を聞いた上で理解出来たのは、目の前にある試作飛行機がどのくらいの衝撃で壊れるか試して欲しいというのが依頼の内容らしい。
合ってる? ユリアが頷いたんで良いらしい。
わたしやユリカが試したら壊れるの確定なんで、先にNINJAペアが実験って言うのもOK? これも良いらしい。
わたしとユリカは、シールドを展開した上で壊せるのか調べるって言うのも合ってる? OKと。
んじゃ、出番まで見学しまーす。
四分の二に続きます




