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鹿乃子の日常奇譚  作者: みゆki
星暦二千百十一年二月
52/252

二月十日 北大西洋(仮)

四十一日目 三分の二 です

 その後は、わたしにひっつこうとするアルファと対抗してひっつこうとするミュウと更に対抗して抱き付こうとするユリカとアルファにひっつくメグで、常に五人でぞろぞろと。真ん中で身動き取りづらいったら。


 クラブルームに着いた今現在も継続中。勘弁(かんべん)してよー。


 重役コンビとNINJAなコンビはニヤニヤ笑ってるだけだしなー。


 ミュラ姫にしても、現在わたしにまとわりつくミュウとアルファにまとわりついて絶賛拒否られ中。


 助けて。カミーラ様。暑いんだよー。


「頑張れー」


 棒読みだった?


 ニヤニヤな四人が爆笑な四人にレベルアップした。 (りゅう)さん。レベルアップの使い方これであってる? OK? ありがとー。


「余裕有るじゃねーか」


 カミーラ様。(あきら)めたんです。


 カミーラ様も爆笑仲間に加わったー。


 騒いでいる所に、珍しく二年生トリオのご出勤


「僕は帰る!」


「…帰ろう」


「[残念ミュラちゃん]だー。あはははははははははは」


 そして、入り口のドアが開くなり台詞が三つ。(かおる)君もユウジ君もせっかく来たんだから活動しようよ。 香歩(かほ)ちゃんは爆笑組に参加決定? 男子二名は帰宅が決定したらしい。


 それにしても日っ者(あっつ)いよー。 ちっこい体で体温高い奴らが三人べったりって。 いくら冬でも暖房の効いた室内じゃ拷問だー。 離れろよお前らはー。


 結局また汗まみれに。もう着替えがないんでそのまんまだよ。諦めたとも言う。


 特に急ぎの用事も予定もないらしいので帰る、と立ち上がれば、じゃあわたしもとみんな帰宅となって…


 当然の流れのように同居人が増えることとなっております。


 香歩ちゃんと校門で別れて公園へ。此所(ここ)で、ミュウとアルファとミュラ姫が大騒ぎ。


「「鹿乃子(かのこ)と一緒でなきゃやだ」」


「二人ともあたしが抱っこする」


 まあ、ミュラ姫は置いといて、二人で(ゆず)らない。


 わたしはな。早く帰って着替えたいんだよ。汗が冷えて寒くなっててな? という事で、アルファとミュウを両脇に抱えてとっとと走り出す。


 二人とも吃驚(びっくり)お目々でしばらくジタジタバタバタしていたけど、がっちりホールドから抜け出せなくて、現在ダラーと力が抜けてぶら下がり中で大人しい。


 抱き上げられ、逃げられないんで諦めて ぐにょーんと延びきったニャンコな状態。


 慌てて後を追いかけてくるミュラ姫と、呆れたり大笑いしたりで続く残りの面々。


 さらには公園出口で[ツイッギー]が


「オニモツハ ワタクシガ オモチ シマスー」


 と叫んで両腕を伸ばしながらしばらく併走してみたり。 後方で大爆笑する声が上がっていた気がする。…きっと気がするだけ。


 家について玄関先でミュウをひょいっと前方に差し出せば、ロックが解除されて玄関が開く。楽ちんだ。


「ただいまー」


 と中に入って二人を下ろす。


「今後は今のやり方で運搬。で良いよな?」


 と二人に問い掛ければ、慌てて相談を始めたから何かしら妥協するんじゃないかな?


「「「「「「「ただいまー」」」」」」」


 続いて残りの七人が帰着した。


 かおりとルミがわたしの鞄と着替えた制服なんかを渡してくれる。


「二人とも有り難う」


 お礼を言って受け取ったらすぐさま着替えに自室に飛び込む。


 シャワーで汗を流して暖まって着替えて…やっと落ち着けたよー。


 まだ水気の残る髪にタオルを乗っけてリビングに入ればミュウとアルファがやってきた。


「「さっきはごめんなさい」」


 二人揃って頭を下げてくる。 今度からは一回ずつ交代で手を引いて下さいとお願いされたので了承して二人の頭をなでなでと。もう一人はミュラ姫が担当するそうで、それは幸せそうなお顔で喜んでおります。ミュラ姫だけが。


 アルファもレビテーションとか言う能力もちなんだ?と問えば、


「ぼくは重力(グラビティ)吸収装置(アブソーバー)を使って浮き上がります」


 と言うお返事。其の儘(そのまま)ユリアに顔を向けて首を傾げてみる。


「万有引力が効かなくなる謎装置だよ」


 だそうです。便利な世の中だ。


「あれ? そう言えば、ユリアもさつきもメグちゃんもよく付いて来れたね?」


 アルファを含めたこの四人、一緒に登下校するの初めてだったよ。


「メグと私は走れるよ。さつきはミュラと同じで飛行能力(グライディング)だね」


 了解です。ますます珍妙な集団登下校風景になるんだなあ。


 明日からの、周囲の視線を考えて、やれやれと遠い目で考え込んじゃうよ。


 [ツイッギー]の一件からこっち、帰ってからも部屋の隅っこでケラケラと笑い転げていたユリカがピタッと停止した後起き上がってこっちを見る。何事だ?


「ねぇねぇ鹿乃子。朝の会話で引っかかったんだけどさー。前に、この人工島が太平洋の何処にあるかって訊いて来たけど、もう何処に有るかは判ってるよねー?」


「ああ。うん。海って言ったら太平洋って思い込んでた。大西洋だよね?アトランティス大陸が有ったとか無かったとか言う当たりだっけ?」


「うん。アトランティス云々はどうか知らないけどー。北大西洋(仮)の真ん中だよー」


「…やっぱ(仮)が付くんだ…」


「それはもう諦めていただくしか…ねぇ?さつきちゃん?」


「ソウダネー。マァ、大西洋ナノハ各大陸カラノ距離ノ問題ダネー」


 (仮)にこだわってるよなあと思ったらかおりの微妙な説明とさつきのお返事が…何故にカタカナ? いつもの[!]は?


 じっと見つめたらぷいっと横を向いたまま視線を合わせようとしませんね。


「ユリカちゃん。わたし達二階のお部屋使ってもいーの?」


「良いよー。ちょうど二部屋空いてるから荷物運び込んでもらってあるよー。使って使ってー」


 メグの声に応えるユリカ。 さつきの反応についてはスルーの模様。


 そして、彼女らのお荷物は例のごとく、学園で授業中に運送屋さんが匠のお仕事らしい。


「アルファ。二階見に行ってこよーよ」


「うん。見に行くー」


「でも、お城のお部屋みたいに広くないからねー」


 アルファを誘って二階に向かうメグにユリカが注意する。


「「あんなおっきなお部屋、要らなーい」」


 ドタドタ遠ざかる足音と一緒に二人の声が揃って帰ってくる。


 直ぐにバタバタと足音が近づいてきて、


「でっかいよ?充分以上にお部屋がでっかいんだよ?ユリカちゃん」


 メグに詰め寄られて、固まるユリカ。


「メグちゃん。二人で一緒のお部屋にしない?」


 後からアルファが来てメグに問い掛ける。


「する!っ アルファ大すきっ」


 くるっと向きを変えてアルファにぎゅっと抱き付くメグ。仲いいよなー。


 ユリカはメグに詰め寄られた時の姿勢で固まっている。NINJAな二人は丸くなってお腹押さえてぷるぷると。 平和だ。

三分の三に続きます

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